2009・10・12(月)東京室内歌劇場公演
プーランク:「声」&マスネ:「マノンの肖像」
新国立劇場小劇場
アレルギー性の咳が止まらないため、前半のプーランクの「声」を観ただけで失礼せざるを得なかった。
松本美和子が歌い、佐藤正浩が指揮、加藤直が演出。ほぼ正方形の舞台が作られ、その脇、上手側には小編成のアンサンブル(東京室内歌劇場管弦楽団)が配置され、下手側には観客の椅子も置かれるという具合。この規模で音楽的にも演劇的にもしっかりしたものが創られると、充実感が生れる。今回は字幕付フランス語上演。
「声」は、主人公の女性が独り延々と恋人相手に電話で深刻な話を喋り続ける、というモノ・オペラだが、これまで観た上演では、だいたい「彼女」が苛立ってヒステリックになる表現が多かった。
しかし今回の上演では、松本美和子は「激しいエゴ的な性格の女性」を排し、控え目ながらもひたむきな愛を抱くといった女性像を描き出していたのである。これは、いかにも日本人に適合した演出解釈とも言えよう。それに、彼女の容姿や雰囲気ともよく合っている。
そしてまたこの曲では、ソプラノ歌手が己の至芸を誇示せんとばかりに熱演すればするほど、本当に彼女一人の「モノ・オペラ」になってしまい、電話の彼方にいる「相手」の存在が感じられなくなってしまうものだ。
だが、今日は間違いなく、電話の相手が「どこか」にいた。これが、ベテラン・松本美和子の巧さというものだろう。
アレルギー性の咳が止まらないため、前半のプーランクの「声」を観ただけで失礼せざるを得なかった。
松本美和子が歌い、佐藤正浩が指揮、加藤直が演出。ほぼ正方形の舞台が作られ、その脇、上手側には小編成のアンサンブル(東京室内歌劇場管弦楽団)が配置され、下手側には観客の椅子も置かれるという具合。この規模で音楽的にも演劇的にもしっかりしたものが創られると、充実感が生れる。今回は字幕付フランス語上演。
「声」は、主人公の女性が独り延々と恋人相手に電話で深刻な話を喋り続ける、というモノ・オペラだが、これまで観た上演では、だいたい「彼女」が苛立ってヒステリックになる表現が多かった。
しかし今回の上演では、松本美和子は「激しいエゴ的な性格の女性」を排し、控え目ながらもひたむきな愛を抱くといった女性像を描き出していたのである。これは、いかにも日本人に適合した演出解釈とも言えよう。それに、彼女の容姿や雰囲気ともよく合っている。
そしてまたこの曲では、ソプラノ歌手が己の至芸を誇示せんとばかりに熱演すればするほど、本当に彼女一人の「モノ・オペラ」になってしまい、電話の彼方にいる「相手」の存在が感じられなくなってしまうものだ。
だが、今日は間違いなく、電話の相手が「どこか」にいた。これが、ベテラン・松本美和子の巧さというものだろう。
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