2024-12

2019・1・20(日)METライブビューイング「マーニー」

   東劇  6時30分

 ウィンストン・グレアムの小説を基に、ニコラス・ライトが台本を、ニコ・ミューリーが音楽を書いた新作オペラ。マイケル・メイヤーが演出、ロバート・スパーノが指揮。
 美女の泥棒マーニーにイザベル・レナード、社長マーク・ラトランドにクリストファー・マルトマン、その弟テリー・ラトランドにイェスティン・デイヴィーズ、2人の母親ラトランド夫人にジャニス・ケリー、マーニーの性悪な母親にデニース・グレイヴス、他。

 この「マーニー」のストーリーは、かつてヒッチコック監督がショーン・コネリーらの主演で映画化しているが、すこぶる面白い。金庫破りの常習犯マーニーを主人公に、今回のオペラ版では、その盗癖の心理分析なども織り交ぜられている。ラストシーンは何となく日本のテレビの刑事ドラマのようなパターンになっているが、まあ救いはあるだろう。

 なにしろ、イザベル・レナードがグレース・ケリーさながらの上品な美貌と来ているし、相手役のマルトマンもカツラをつけてショーン・コネリーもかくやの紳士ぶりだし、オペラの舞台というよりは昔の佳き時代のハリウッド映画を観ているような雰囲気を感じさせる(従ってMETの巨大な舞台で観るよりも映像の方が面白さは倍加しているだろう)。
 15回だかに及ぶというマーニーの衣装替え(衣装はアリアンヌ・フィリップス、大変な人気らしい)も鮮やかで、またこれが見事な着こなし。マーニーの分身たる4人の女性も美女ぞろいであり、彼女に付きまとう男たちもカッコよく、「現実と非現実とが交錯する」メイヤーの演出もセンスがいい。

 ただその一方、肝心のニコ・ミューリーの音楽がどうだったかと言われると少々困るのだが・・・・。ミニマル・ミュージックの影響をも受けつつ、色彩的な楽器編成で登場人物たちの性格を描き分けようという狙いもあったとか。それは充分理解できるとはいえ、━━終ってみれば些か印象が薄いという感は拭い切れない。

 字幕は極めて読み易く、要を得ている。これは昨年11月10日上演のライヴ映像。共同制作のイングリッシュ・ナショナルオペラでは、既に2017年11月に初演されている由。休憩1回を含み、上映時間は2時間50分。

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