放浪息子 第1話「おんなのこって なんでできてる? ~Roses are red, violets are blue~」 感想
「女の子は、お砂糖とスパイスと素敵なモノで出来ている」
今期観た1話の中では一番惹きこまれました。
カサヰケンイチ監督によりアニメ化された、同じ志村貴子原作の
「青い花」も非常に繊細かつ丁寧に作られた傑作だったけど、
あおきえい監督による今作も、それと同等かそれ以上にしっかりと
作りこまれているように感じられ、1話としては上々だったかと。
原作コミックは妹に借りて1巻だけ読んだことがあるんですが
かなり昔の話であまり内容を覚えていない上に
アニメでは小学生編をすっ飛ばして中学生編をやるみたいなので、
ほぼ初見のような状態で視聴。
まず真っ先に目につくのは淡い色使いと水彩タッチで描かれた映像。
内容的には割とドロドロとした所まで踏み込んでいきそうな予感が
1話からしていたのだけど、それを写す映像はどこか優しさを感じさせます。
語り口も感傷的になり過ぎずにどこか淡々と進んでいく所は
同じ原作者ということで「青い花」と似たような空気を感じたなあ。
登場人物は結構多めの様子。初回から殆どのキャラが顔見せし、
さらに人間関係もある程度できあがっているということで
まず誰がどういう人間なのかを把握するのが大変だったのだけど
回想などを使ってそれぞれ上手く印象付けはできていたかな。
その中でも女装願望のある二鳥修一と、男装願望のある高槻よしのが
中心となって物語が動いていくことになるのだろう。しかし、
二人が既に告白という一大イベントを済ませているというのは意外だった。
その辺りをすっ飛ばしているということは、恋愛というよりも
内に抱える悩みの解決がメインになっていくのだろうか。
トランスジェンダーという悩み自体はマイノリティのものかもしれないが
二人の葛藤を前にして、どこか他人事のような気がしないのは
「自分は一体何者なのか」という、思春期の子供なら誰でも一度は抱える
感情が根底にあるからなのでしょう。
修一には身体的成長という残酷な現実がさっそく突きつけられるようですが
それらとどう向き合い、折り合いをつけ、答えを出していくのか
最後まで見届けたいと思います。