調査期間は6月17日午前0時~11月20日午前10時。対象者は日経ビジネスオンラインの登録会員。有効回答者数は1320人で、うち男性が92%、女性が8%だった。
参院選に関する読者アンケートの後編(前編はこちら)。今回、目玉のひとつになっているのが、野党による候補の一本化だ。全国32カ所の1人区で、民進党や日本共産党などの野党が統一候補を擁立、“反安倍票”の集約を狙っている。
アンケートでもこの点について尋ねた。
野党統一候補について「賛成」、「どちらかと言えば賛成」と答えたのは回答者の62.9%。「反対」、「どちらかと言えば反対」の合計を2倍近く上回る結果となった。
野党の統一候補について、支持政党に関する質問で「支持政党なし」と答えた無党派層のうち62.1%が「賛成」、「どちらかと言えば賛成」と回答。実際に1人区に居住している回答者の57.9%も賛成の考えを示している。与党側は野党の候補一本化について「野合だ」と批判しているが、肯定的な意見がある程度浸透していることが分かった。
次に安倍首相が「参院選で国民の信を問いたい」と話す、消費増税の再延期について聞いた。
消費税率10%への引き上げ時期を2年半再延期したことについて、回答者の23.8%が「評価する」、26.3%が「どちらかと言えば評価する」を選択。否定的な考えを持つ回答者とほぼ同数で、意見が割れていることが明らかになった。
争点にならない消費増税再延期
支持政党別では、自民党支持者の68.5%が好意的な意見を持っているのに対し、民進党支持者はこの比率が24.8%にとどまっている。無党派層では評価するとの声は43.2%だった。
ただ、「参院選で最重要視している政策や争点」について尋ねた質問で、「消費増税再延期」を選んだ人は回答者のわずか2.7%だった。再延期を評価する人々と評価しない人々は大きく二分しているが、参院選の重要な争点になっているとは言い難いことが分かる。
続いて、消費税を10%に引き上げること自体について尋ねた。合わせて賛同する理由と反対する理由についても質問した。
アンケートの結果は、「引き上げるべきだ」と答えたのが39.2%。「どちらかと言えば引き上げるべきだ」を合わせると、66.5%に上った。過半数の回答者がいずれかの時期に消費増税が必要だと考えていることが判明した。
「子々孫々に負債を残さないで」
賛同する理由の内訳を見てみると、「財政再建を進めないと破綻する可能性があるから」が回答者の46%を占め、最も多かった。「社会保障の安定財源として必要だから」というのも40.5%に上った。
その他の意見では、「子々孫々に、負債を残さないでほしいので」、「今、引き上げを決断出来なければ、永遠に出来ないと思われるから」、「やる時はやっておくべきだ」など、今の時期だからこそ消費増税に踏み切るべきだという声が目立った。
「所得税減税とセットで高齢者からの徴税を強化し、現役世代の負担を軽減すべき」などの世代格差に関する意見もあった。ちなみに59歳までのいわゆる現役世代の回答者のうち賛同側は62.3%。60歳以上が74.4%で、12ポイントほど両世代間で差が出ることになった。
一方、反対する理由については「景気に悪影響を及ぼす可能性があるから」との回答が45.2%の票を集めた。その他の意見では「たくさん税金を使うことを評価する仕組みを変える必要がある」「行政の無駄遣いを民間企業並みに行うべき」「海外へのバラマキ等、まず見直すべきことが他にある」「法人税課税対象の拡大、自営業者等の補足率の向上、インボイス制の導入による流通過程の透明化などやることは沢山あるから」など、税の構造全体や活用方法に関する見直しを求める声が目立った。
また、「逆進性が強く、富裕層有利の税制だから」「(本当に)社会保障の財源になるのか?」と消費税のあり方そのものを問う意見も多く寄せられた。生活に密接に関わる税だからこそ使途や課税方法について関心が高い様子がうかがえる。
政治資金を巡る問題で辞職した舛添東京都知事。最後に投げかけたのは政治資金規正法の厳格化に関する質問だった。
「厳格化すべき」だと答えたのは回答者の69.1%。「どちらかと言えば厳格化すべきだ」の20.6%を合わせると、実に89.7%の人々が政治資金規正法の厳格化を求めていることが分かった。
自民支持者も舛添問題に厳しい目
2014年の前回都知事選で舛添氏は無所属で出馬したが、自民党は推薦という形で支援していた。自民党支持者のうち政治資金規正法の厳格化を求める意見を寄せたのは87.6%。自民党支持者も今回の辞任劇には厳しい目線を送っていることがうかがえる。
だが一方で、厳格化を求める意見を持っていながら、参院選で自民党候補に投票しようと考えている回答者は364人に上った。自民党候補への投票を検討している人々は全体の32%で、政党別の回答では民進党の17.6%を上回りトップだった。364人はこのうちの86.1%に相当する。
舛添氏の辞任劇をきっかけに政治資金規正法の厳格化は必要だと考えているが、この問題だけをもってして自民党そのものにバツを付けた訳ではない――。アンケート結果からはそんな顕著な傾向が見て取れる。
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