2025年の投資戦略です。
戦略というものはシンプルにし、常に思い起こせるようにしておきます。
「優良銘柄を、適正な株価で買い、長期保有する」
戦略というよりも戦術や行動指針に近くなっていますが、今年も原理原則を大切にした投資を心掛けたいと思います。
次に実際に投資する前に、自問しておきたい事項です。ここまで条件を厳しくして納得して投資できれば、その投資を実行して後悔することはほぼなくなると思われます。
〇 銘柄選定における留意点
- その企業の地位は業界トップですか?
- その企業のPERは十分に低い状態ですか?
- その企業のPBRは十分に低い状態ですか?
- その企業のROAは十分に高い状態ですか?
- その企業の配当は満足できる水準ですか?
- その企業の配当は安定していますか?
- その企業の利益率は業界水準を超えていますか?
- その企業の自己資本比率は業界水準を超えていますか?
- その企業の株価が半値となっても買い増ししたいと思えますか?
- 買うという結論ありきで都合のよい情報を集めて自分の投資判断を歪めていませんか?
〇 その他の留意点
- 売却を考えて投資すると、判断の難易度が上がる
- 優良企業の長期保有は、判断の難易度を下げてくれる
- 受取配当額を積み上げていく投資手法は、成果を「見える化」しやすい
- 株式投資は長く続けていれば、結果はついていくることが多い
- よって、投資初心者は短期的なリターンを求めるという難易度の高いものを追求するよりも、長く続けられる投資手法は何かを吟味した方が、いい結果を得られる可能性が高い
長く投資を続けていれば多くの人が気付くと思うのですが、程度の差こそあれ長く続けていればリターンはそれなりについてくるものです。そのため、「1年間でどれだけ儲かったか」よりも「大きく負けないこと」の方が大切だと考えています。
また、過度なリターンを求めるのも禁物です。仮に1年単位で予想を上回るリターンを得られたとしても、普通に考えれば続くわけがないと認識しておいた方が無難でしょう。
バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイのホームページには、「Warren Buffett's Letters to Berkshire Shareholders(バフェットからの手紙)」が掲載されており、その中でバークシャーにおける過去のパフォーマンスが公開されています。 「Berkshire’s Performance vs. the S&P 500」 の下から2行目に幾何平均リターンが記載されていますが、バークシャーが19.8%、S&P500が10.2%となっています。
投資の神様と呼ばれるバフェットのリターンが年19.8%です。普通の人がこのようなリターンを「継続的」に得られると考えるのは、虫がよすぎるというものでしょう。
〇 マクロの視点で参考としたい資料
経済成長予測についてはIMF世界経済見通しで確認すれば事足ります。ここに掲載されている2分程度の動画をみれば時間をかけずに信頼性の極めて高い情報を得ることが可能です。 世界経済の成長率予測も不定期で更新されています。2025年の予測について直近のデータでは、日本が1.1%、米国が2.2%、ドイツが0.8%となっています。
なお、経済成長率と株式リターンとの相関はさほどないと認識しています(成長の罠に重きを置いているため)。
(出所:IMFのホームページ)
〇 NISAでの運用について
今年の運用も、何はともあれNISA枠を埋めていくことを最優先としたいと思います。つみたて投資枠では、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)へ投資。成長投資枠では、イギリス株のブリティッシュアメリカンタバコ(BTI)を軸としつつ、NTTやINPEXあたりへも少額ずつ投資しようかなと考えています。なお、優待銘柄へ投資する場合は特定口座でと考えています。
なお、2024年は成長投資枠の4分の3程度をブリティッシュアメリカンタバコへ投資していますが、残りの4分の1程度は日本株で、銘柄と株数は以下のようになっています。
平均回帰性を考えるならば、赤字となっている、INPEX、ブリヂストン、NTTへ投資して青地への反転を試みるのも、投資戦術の一つとして一定は機能するのではと考えています。
○ 会社四季報オンライン、マネクリ、に取材記事が掲載
○ 戦略の概念について
戦略という言葉は至る所で見かけますが、概念がつかみにくいという方も多いのではないかと思います。例えば巷でよく見かける、投資戦略、というと全体としての大きな考え方というイメージを抱く読者も多いのではないでしょうか。
個人的には、戦略とは「手元の資源をどう配分するか」と認識しています。その戦略を機能させることにより目的の達成が可能となり、戦略を機能させるために具体的に何をどのように行うかが戦術となります。
例えば、FIREしたい(目的)⇒配当を増やす(戦略)⇒NTT株を買う(戦術)というように、各階層ごとに思考を巡らせることで整理がしやすくなります。
古くは中国最古の兵書である『孫子』が戦略という概念の起源とも考えられおり、その発想法は2500年が経過した現代でも色褪せることはありません。解説書は数多くでていますが、慣れれば岩波文庫のものが思考を深めるのに役立つと感じています(原文に訳注という構成なので少し慣れるのに時間がかかりますが、、、)。
ビジネスの世界では、戦略論の世界的権威であるリチャード・ルメルト博士の著書『良い戦略、悪い戦略』の中で以下のように書かれています。
戦略の基本は、最も弱いところにこちらの最大の強みをぶつけること、別の言い方をするなら、最も効果の上がりそうなところに最強の武器を投じることである。
(出典:リチャード・ルメルト著『良い戦略、悪い戦略』)
投資であれば勝てる(負けない)確率が高いところに投資する、ということになろうかと思います。
また、良い戦略について次のように書かれています。
ずばり単刀直入なのが良い戦略である。
- 診断――状況を診断し、取り組むべき課題をみきわめる。良い診断は死活的に重要な問題点を選り分け、複雑に絡み合った状況を明快に解きほぐす。
- 基本方針――診断で見つかった課題にどう取り組むか、大きな方向性と総合的な方針を示す。
- 行動――ここで行動と呼ぶのは、基本方針を実行するために設計された一貫性のある一連の行動のことである。すべての行動をコーディネートとして方針を実行する。
また、悪い戦略についても四つの特徴を挙げています。
- 空虚である――戦略構想を語っているように見えるが内容がない。華美な言葉や不必要に難解な表現を使い、高度な戦略思考の産物であるかのような幻想を与える。
- 重大な問題に取り組まない――見ないふりをするか、軽度あるいは一時的といった誤った定義をする。問題そのものの認識が誤っていたら、当然ながら適切な戦略を立てることができないし、評価することもできない。
- 目標を戦略ととりちがえている――悪い戦略の多くは、困難な問題を乗り越える道筋を示さずに、単に願望や希望的観測を語っている。
- まちがった戦略目標を掲げている――戦略目標とは、戦略を実行する手段として設定されるべきものである。これが重大な問題とは無関係だったり、単純に実行不能だったりすれば、まちがった目標と言わざるを得ない。
(出典:リチャード・ルメルト著『良い戦略、悪い戦略』)
今年1年の相場もこれから始まりますが、上記を踏まえて、投資戦略を考えてみても損はないと思います。
そして、「ずばり単刀直入なのが良い戦略である。」というルメルト博士の言葉は忘れないようにしたいものです。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
長い投資人生のお供として、よろしければ拙著を。
2作目『半オートモードで月に23.5万円が入ってくる「超配当」株投資 』は、1冊目とは相互補完的な内容です。投資判断のモノサシを増やし、投資の精度を上げて割安な銘柄へ投資ができるよう、執筆しています。また、各セクターにおける日本を代表する銘柄を網羅的に紹介しています。幅広い優良銘柄の選択肢を用意しておいて、条件が整った時に投資するというような手法もとることが可能となります。