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とつぜんリストラ風雪記 18

とつぜんリストラ風雪記17

 H屋D堂をクビになって半年間求職活動をした。求職活動は、このあと何度かするが、小生もそれなりに学習した。それを前回まで3回にわたってまとめてみた。同様の境遇におられるご同輩に少しでも参考になれば、これにまさる喜びはない。

2004年3月22日(月)
 H屋D堂最後の日。原稿を書いていると総務から電話。応接に来てくれとのこと。行くと、総務部長と、入社時に面接をした北浜本社の人事担当の二人がおった。
「あなたは当社に向いていない。契約を打ち切る」とのこと。クビの宣告である。小生自身も、こんなところは長くいるところではないと思っていた。
 そうと決まれば、このような場所に長居は無用。早々に退出することにする。未練はまったくない。ただ、詩吟の会費がまったくムダになったことがはらだたしい。ひと月500円。9ヶ月4500円。この4500円どぶに捨てた。あくまでクラブ活動なのだから入会を拒否できた。それでも半強制だったから、だまって500円払い、昼休みをつぶしての稽古にもつきあってやった。まったくムダだった。非常に後悔している。こら、H屋D堂4500円返せ。
 パソコンなど私物を整理して帰ろうとすると、雨が降っている。「クビになってやるんだから、おわびのしるしに、せめて最後に車で駅まで送れ」と、総務部長にいったら、阪急苦楽園口までベンツで送ってくれた。

3月23日(火)
 今日からまた職探しの日々。久しぶりに西宮ハローワークへ行く。

3月25日(木)
 雇用保険の受給手続きに灘ハローワークへ行く。ところがH屋D堂の書類のミスで手続きできず。H屋D堂に行って総務部長を厳重にしかりおく。すると、おっさん「そんなに早く手続きに行かれるとは思いませんでした。2、3日はゆっくりされると思ってました。早急に処理します」
 アホかこっちは妻子をかかえて浪々の身。必死やねんで。あんたみたいな、当主たらいう、わけの判らん薬作っとる、ニセ坊主のごきげん取りして、生きてんのと違うで。
 東灘区役所へ行って、健康保険を国民健康保険に切り替える。

3月28日(日)
 お弁当を作って、芦屋川へお花見。非常に良いお天気。気持ちがいい。早く職を見つけないと、来年はお花見もできないぞ。

3月29日(月)
 神戸ハローワークへ行く。収穫なし。

3月31日(水)
 伊丹ハローワークへ。収穫なし。時間があったので、適当に散歩。K電気伊丹工場まで歩いていた。K電気では中津、吹田、伊丹と三つの工場にいたが、この伊丹工場が最後。さしたる感慨もない。
 夜、某所にて会食。王子動物園の桜がきれい。

4月2日(金) 
 セリーグ開幕。阪神タイガース白星発進。これは幸先がいい。

4月4日(日)
 星群の例会に出席。金がないので、2次会の飲み会には参加せずに帰る。

4月12日(月)
 灘ハローワーク。収穫なし。天気が良いので、山手幹線沿いをぶらぶら歩いて帰る。気持ちの良い散歩だった。この時分はまだ足は痛くなかった。

4月19日(月)
 神戸ハローワーク。収穫なし。元町にある兵庫県経営者協会の事務所へ行く。職場体験就労の申し込みをする。
 これに申し込んでおくと、月に一度受け入れ先の企業のリストが郵送されてくる。その条件を見て、これはと思う企業があると、経営者協会に連絡する。企業からコンタクトがあり、こちらもOKならば、面接を受け、1ヶ月その企業で働く。双方がOKなら採用となる。
 今の会社の前の昆布会社はこのやり方で入社した。ただし、リストに掲載されている企業の条件は劣悪なものばかり。一家を養える収入を保証していつ案件は皆無であった。昆布会社も同様であったが、この件についてはいずれ書く。

4月22日(木)
 灘ハローワークへ。収穫あり。KJ電機という大阪の会社。電機関係の資材購買の仕事。
 昼からKJ電機に下見に行く。JR環状線の大正駅から、43号線を越えて30分近く歩く。バスもあるが、中途半端でバスは使いにくい。通勤には少々不便。工場を外から見ただけだが、ちゃんとした会社と見る。

4月23日(金)
 KJ電機に面接に行く。社長が面接をしてくれる。しごくまっとうな会社。まっとうな社長だった。30分以上、じっくりと話をする。かなり鋭い突っ込んだ質問をしてくる。この社長、それなりの人物と見る。
 通勤には少々不便だが、この会社この社長、小生は気に入った。縁があれば入社したい。感触は五分五分。

4月24日(土)
 KJ電機より電話。ダメだった。不採用。残念なり。

4月26日(月)
 神戸駅前のクリスタルタワーにある、就職支援センターをのぞいてみる。役に立ちそうには思えない。

4月29日(木)
 胃の具合がもひとつ良くない。胃潰瘍の再発か。
 


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10月30日(木) 立食パーティーの極意

 小生、立食パーティーにはよく出席する方だ。長年SFファンをやっているので、作家にも何人か知人友人がいる。デビューN周年とか、賞を取ったとか、また、イベントのあとの打ち上げパーティーとか。前の会社の組合の副委員長だったころは、上部組織の情報労連とか連合とかの関係のパーティーやら、他の組合のパーティーなんかにも、ちょくちょく出席した。
 この立食パーティーというの、けっこうコツがいる。まず、食べ物の食べ方。美味しそうな食べ物が次々出て来るが、最初の方からガツガツ食うと、お腹いっぱいになって、後の方で、さらに美味しいものが出てきても食べられない、ということがある。
 また、後からの方が、ええもんが出てくるやろ、と思って、食べるのをセーブしていると、料理はおしまいで、何も食べ物が残っていない、という悲劇に見舞われることもある。そのへんの兼ね合いが難しい。だいたいメインの料理は、パーティーが始まったころに出てくる。後に出てくるのは、ピラフ、炒飯、寿司、そば、サンドイッチといったもの。だから最初はちょっと飛ばしぎみに食べた方がいいだろう。
 次に飲み物だが、最初はビールで乾杯となる。その後も飲み物のメインはビールの場合が多いが、ビールをあまりたくさん飲むと、お腹がいっぱいになって、料理をあまり食べられない。適当なところで、ウィスキーの水割りなどに切り替えた方がいいだろう。
 立食パーティーで困るのは、料理を食べながら酒を飲む時。皿に料理を取って、日本酒なりウィスキーを飲むときの、料理の皿の置き場所に困る時がある。ビールならテーブルに置いてあるが、それ以外の酒なら、それが置いてある場所まで取りに行かねばならない。会場のスタッフが持ってきてくれるといいのだが、自分で取りに行くこともあるだろう。その時、食べかけの皿を自分の目の前に置いて、酒を取りに行くわけだが、帰ってきたら、自分の皿がどれか判らなくなっていることがある。そういうことを防ぐために、手に持っている皿はきれいに食べてから、酒を取りに行こう。
 宴もたけなわになってくると、カラオケを始めるパーティーもある。小生、カラオケは大の苦手。人前に唄を唄うのはなによりイヤ。ちょくちょく出席するさるグループのパーティーは、唄った人が次ぎに唄う人を指名する。当てられたら嫌だから、カラオケが始まったら、小生は早々に消える。この消え方が難しい。会場からトンズラしようとする所を見つかると、「これ、雫石さん。どこへ行く。次がアンタ唄いなさい」となる。
 だから、カラオケが始まりそうな雰囲気をいち早く察知して、トイレに行くふりをして、人知れず消えなくてはならない。ある種の忍法を心得る必要がある。大変に難しい。昔は、小生も失敗して「六甲おろし」を唄うはめになった。
 厳に慎まなくてはならないのは、食べ物の取り過ぎ。食べられる分量以上の食べ物を皿に取って残し、次の料理が出てくると、また新しい皿にてんこ盛りに取る。そして、そやつの前のテーブルは食べかけの皿でいっぱいになる。これ、非常に醜い。気をつけよう。
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SFマガジン2008年11月号


SFマガジン2008年11月号№631
 今号の特集は「宇宙SFの現代」
 ニュー・スペースオペラを中心とする、最新の宇宙SFのガイドが掲載されていた。一読すると、だいたいの作品を押さえてあって、モレはないように見えるが、なにかが抜けているような気がする。なにか大事な作品が抜けているような。それが何か判らないが。なぜだろう。

雫石人気カウンター
 1 戦争と芸術         ナンシー・クレス   訳 金子司
 2 ガリバー旅行記       樺山三英
 3 ウルフ359なんか恐くない ケン・マクラウド   訳 嶋田洋一
 4 ヴェルザンディの輪     イアン・マクドナルド 訳 矢口悟
 5 食物の招喚         リン・ディン     訳 柴田元幸
 6 グローリー         グレッグ・イーガン  訳 山岸真

 久しぶりにイーガンの短編がSFマガジンに載った。あいかわらずのイーガンである。イーガンねえ・・・。マニアには受けるが・・・。いんんだろうか?
京フェスやセミナーの常連さんには受けているようだが。う~ん。   
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10月28日(火) 大食いはスポーツか

 テレビの大食い番組なるものがある。事故があったりして、一時なくなっていたが、最近また復活して放映しているらしい。
小生はあんなくだらんもんは見ない。料理を趣味として、人一倍食べることが大好きな小生だが、かような番組は食べ物を冒涜しているとしか思えない。
と、いうようなことを友人と飲みながら話していると、彼はあれはスポーツだ、といった。
 人間の身体的能力、腕力、脚力などの限界にアスリートが挑戦するのがスポーツだとするのなら、人間の胃袋力の限界に挑戦するのが大食いだ、というわけ。そういえばそうだが、どうも納得がいかない。
 はたして大食いはスポーツだろうか。
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最高の人生の見つけ方


監督 ロブ・ライナー
出演 ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマン、ショーン・ヘイズ

 ニコルソン、フリーマン、ともに1937年生まれ。今年で71歳になる。アメリカを代表するじいさん名優の共演。これは観なくてはいけない。で、観た。確かに二人のじいさんの映画だった。くせ者、ひねくれ者のニコルソンと、誠実、生真面目のフリーマン。二人の今までのキャラの通りの役柄で、見事にかみ合っていた。
 エドワード(ニコルソン)は実業家で病院のオーナー。金はあるが家族に恵まれていない。カーター(フリーマン)は自動車整備工。金はないが家族に恵まれている。
 二人は末期癌患者で余命半年。同じ病室の二人は友だちになる。二人は死ぬまでにやりたいことを、リストに書いて実行していく。
 
 スカイダイビング
 名車マスタングでレース。(うわっ、懐かし「ブリット」でスティーブ・マックィーンが乗ってた車や)
 赤の他人に親切にする
 荘厳な景色を見る
 涙が出るほど笑う
 世界一の美女にキスをする
 などなど

 二人は自家用ジェット機で世界中を巡りながら、リストの項目を一つずつ実行していく。なにせエドワードは大金持ち。そして旅から帰った二人はケンカ別れをする。それは、カーターが自分は持っているが、金では絶対手に入らないものを、エドワードに手に入れさせようとしたため。
 エドワードはカーターの親切を受け入れ、それを手に入れて、二人はリストの項目すべてを実行して死ぬ。
 もちろん「世界一の美女にキスをする」も実行した。どのようにしたかは、映画を見てのお楽しみ。そして映画は「荘厳な景色を見る」を実行しつつ終わる。
 エドワードの秘書(ヘイズ)が実に面白い。わがまま横暴なボス、エドワードのむちゃ無理を実にうまいことさばきながら、平然とクールに職務を遂行する。
 セリフがいい。台本にあるのか、ニコルソン、フリーマンの二人のアドリブか判らないが、笑わせられる。死にかけている病人が主人公の映画だが、明るく楽しい映画であった。
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ねぎすじ焼き


 牛のすじ肉を煮込んだもんを、神戸では「ぼっかけ」ゆうねん。神戸市長田区が発祥の地やて。
 牛すじを10分ほど下ゆでして、きれいに洗う。そんで、小さく切って、手でちぎって小さくした、こんにゃくといっしょに煮込む。スライスしたしょうがを入れて、味付けは砂糖、酒、醤油。味醂は使わんほうがええのんとちゃうやろか。甘味を濃くしたいんやったら、砂糖と酒を増やしたらええねん。
 最低3時間は煮たいな。すじ肉は安いし、ぼっかけは、ぎょうさん作った方がうまい。そやからようけ作って冷凍しといたら、いろんな料理に使えて、ええで。
 うどん、カレー、焼きソバ、白いご飯の上に乗せて丼にしてもうまい。豚まんの生地で「ぼっかけまん」を作ってことがあったけど、ごっついうまかった。
 そんでもって、きょうはお好み焼きにした。ねぎすじ焼きちゅうわけ。大阪は十三に有名な店があって、30分も行列せなあかんそうやけど、そないにしてまで外で食わんでも、家でもおいしいねぎすじ焼きは食えるんや。
 生地は普通のお好み焼きの生地より、少し薄い目がええみたいやな。お好み焼きの生地はダシでといだりするけど、ねぎすじ焼きの場合は水でええねん。卵は入れような。ホットプレートに生地を薄く引く。鰹節の粉をパラパラ。その上にすじ肉をのせる。そんで青ネギをドバッとぎょうさんのせる。天かすも入れような。そんで、その上から生地をかけて焼く。焼けたらレモン醤油で食うねん。ごっついうまいで。
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とりくりいも煮

 
 秋も深まってまいりました。これからは、しっとりとした煮物がうれしゅうございます。実りの秋とか申しまして、この時期、おいしいものに事欠きません。秋の味覚の代表に栗がございます。また、これからは根菜類がおいしゅうございますね。
 さて、今晩のおかずでございますが、その栗と里芋をほっこりと煮てみました。この御両所のお相手は、鶏肉に勤めてもらいましょう。とりくりいも煮でございます。
 まず、栗でございますが、少々手間ですが、必ず皮つきの物を使いましょう。むいてある栗は栗ではございません。栗の残骸です。
 ゆでて、湯につけておけば、むきやすうございます。ケガをなさらないように、お気をつけくださいまし。軍手をはめて、よく切れる刃物をお使いになることを勧めます。
 里芋は皮をむいて、塩でこすって、ぬめりを取ってやります。お芋さんにぬめりがあると、味が染み込みにくうございます。ここで下ゆでをする人がおりますが、わたくしは、野菜の煮物は素材の下ゆではいたしません。わざわざ、野菜の旨味を、お水の中に捨てるのはいかがなものでございましょう。
 鶏肉は手羽を使いました。骨付きの方が、おいしいだしが出ます。手羽はフライパンで表面に軽く焦げ目をつけて、熱湯をかけて油分を抜きます。
 これで素材の下準備はできました。あとはこの三つを鰹昆布だしで煮ます。しょうがを入れるのをお忘れなく。味付けは醤油、酒、砂糖、酒、味醂。煮る時間は15分ほどでよろしゅうございます。
 煮えたら鍋に蓋をして、しばらく置いておきます。煮物はすぐ食べるよりも、時間がたってから食べた方がおいしゅうございます。温度が下がる時に味がしみるのでございます。
 ささ、秋をお召し上がりくださいませ。


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10月25日(土) 日本SFの先駆者 海野十三

 神高学公開講座に行ってきた。会場は神戸高校同窓会館。演目は、日本SFの先駆者 海野十三。海野は神戸市兵庫区下沢通に住んでいた時期があって、神戸高校の前身神戸一中の卒業生。小松左京氏の先輩にあたる。

第1部は講演「海野十三と少年冒険小説」講師は神戸探偵小説愛好会の野村恒彦氏。
第2部は講談、旭堂南湖師の海野原作の講談「蝿男」

 海野十三は戦後、忘れられた作家だった。戦前、国威発揚の軍事小説を書き、日本の軍国主義に協力したとみなされていた。海野本人も、罪の意識を持ち、別のペンネームで探偵小説を発表していた。
 物理を応用したトリックの探偵小説や、科学そのものを題材にした小説を書いているので、日本SFの先駆者と呼ばれる所以である。ただし、野村氏の話によれば、かなりいいかげんなグロな話も多いようだ。
海野が真価を発揮したのは少年冒険小説。「浮かぶ飛行島」「太平洋魔城」「火星兵団」の3作はいま読んでも面白いとのこと。小生は、子供のころ「浮かぶ飛行島」は読んだ。双胴の巨大空母のイラストを覚えている。
 昭和40年にハヤカワSFシリーズから「十八時の音楽浴」が出たのがきっかけで再発見される。この本はいわゆる「銀脊」ではなく、「金脊」だ。当時のハヤカワSFシリーズは古典は「金脊」だった。
 海野を日本SFの先駆者というのはいかがなものか。先駆者の一人というべきではないか。押川春浪を先駆者という人もいる。
 この、海野の他、横溝正史、小栗虫太郎、木々高太郎、蘭郁二郎らが忘れられた作家だったが、江戸川乱歩一人覚えられていたのは、乱歩が自分の名を後世に残すことのみを考えていた作家だったからと、講師の野村氏はいっていたが、この考えは小生は同意しかねる。星新一、筒井康隆、大藪春彦を発掘し、矢野徹氏にSF普及のアドバイスを送り、日本SFの普及の大恩人である。いわば現代の日本のエンタティメントの基礎を作ったのは乱歩である。だから、こそ乱歩は名が残っているのだ。 

 南湖師の講談を聞くのは2回目南湖師は探偵小説講談も力を入れておられる。今日の「蝿男」は快作が多い、海野十三のSF探偵小説の中でも、とびきり、珍妙で怪奇な話。ま、フランケンシュタインもんといっていいのかな。大変におもしろかった。南湖さん、こんどはSF講談をやってくださいな。
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10月24日(金) 宣伝会議賞への応募コピー作成終了

 9月の頭から取り組んでいた、第46回宣伝会議賞への応募用コピー作成を今日で終わる。締め切りは10月31日だが、少し余裕を持って、1週間前の今日で終わる。月曜日には郵便局から発送する。
 土日以外の毎日、1日2課題か4課題づつ、約2ヶ月間取り組んできた。もちろん、昼間は会社勤めの身、阪神タイガースを応援しなくていかんし、ブログの投稿も毎日したい。時間のやりくりが大変だった。しわ寄せは創作活動におよんだ。この2ヶ月間、ショートショートが1本も書けなかった。
 1課題につき、だいたい30分づつぐらい頭をひねって考えて、全60課題全部取り組んだが、応募できる作品は8点しかできなかった。昨年はもっと多く出来たのに。
 このコンテストは毎年応募している。昨年は2点、1次審査を通った。22万件応募作品中2点というのは、いいのか悪いのか?もっと多数応募して全部1次審査落ちの人もいるだろう。また、一人で何点も通っている人もいる。
 今年は調子が悪かったのか、年齢による衰えなのか、もひとつ良いコピーができなかった。それどころか、半分以上の課題は、なんにもコピーが思い浮かばなかった。困ったもんだ。まったく。
 もちろん、来年も応募する。なんらかの結果をだすまで、いくつになっても応募を続ける。職業としてのコピーライターは30年前に辞めたが、コピーライターは引退したつもりはない。結果を出せば、本当の意味でコピーライターを引退する。
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10月23日(木) タバコ1箱1000円大賛成

 たばこの税金の引き上げが検討されていて、たばこ1箱1000円になる可能性がある。このたばこの増税、小生は大賛成。
 たばこを吸うという行為そのものが、そもそも病気なのでは。たばこが健康を損ねる、という言葉は矛盾している。たばこを吸うことが、病気なのだから、たばこを口にした瞬間に、その人は健康な人ではなく、喫煙者という病人なのだ。
 たばこは、副流煙によって、周囲の人の健康にまで悪影響をおよぼすのはご承知の通り。かくいう小生も、20年前まで1日60本を吸うヘビースモーカーだった。最初から吸わない人よりも、小生のような禁煙者の方が、たばこの煙に敏感。近くで喫煙されると、ものすごく煙たく、息苦しい。どうしても吸いたい人は、レベル4の対バイオハザード対策をなされているような部屋で吸うべきだ。
 たばこによる健康被害は明白。たばこが原因の病気が、いかに国の医療費を圧迫していることか。そこで提案だが、あきらかにたばこが原因とわかる疾病の場合は、健康保険を適用しないようにしていただきたい。たばこを吸えば、病気になると判っていて、承知の上で喫煙する人の医療費を、なぜ、小生たち非喫煙者が負担しなくてはいかんのだ。
 たばこを吸えば健康保険が効かない。1箱1000円。この2本立てで喫煙者は大幅に減少するのでは。

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ながれ星の女

「あら。いらっしゃい。来てくださったのね。うれしいわ」
「うん。この近くにぼくの仕事場があってね」
「お飲み物は」
「そうだな。もう秋だしビールより日本酒だな」
「燗ですか」
「いや冷でいい」
「天狗舞の山廃大吟醸があります。それでいいですか」
「うん」
 この店の女将とは一か月ほど前に初めてあった。その時はジーンズにTシャツで、真っ赤なBMWに乗っていた。
その時メモをもらって彼女が、神戸の三宮で小さな店を出していることを知った。ぼくは新神戸駅近くに仕事場を持っていて、売れないミステリーなどを書いている。三宮とはすぐ近く。一度は行こうと思っているうちに一ヶ月が過ぎた。
「あの時のお礼がまだでしたね」
「いいよそんなこと。大したことしてないんだから」
 和服を着てカウンターの向こうに立つ彼女は、あの時とはまったく別人のようだ。歳は四〇代前半。しっとりと落ち着いていて少しさみしそうな瞳をしている。今日で二度目の出会いだが、ずっと以前から知り合いだったような気がする。かといって水商売の女性特有の変ななれなれしさがない。
「とりあえず今日のお勘定はわたしのおごり。なんでも好きなものをいってください」
「いいのかい」
「いいの。肴はなんにする」
「なんでもいいよ」
「ちょっと待ってください」
 出してくれたのは松茸の土瓶蒸しだ。松茸特有の胸のすくような芳香がただよう。具は松茸と三つ葉だけという極めてシンプルなもの。汁を飲む。鼻腔と口腔が松茸の香りでいっぱいになる。だしは鰹節と昆布。それも特上のものだ。鰹節は枕崎産の血合いの少ないもの。昆布は羅臼か利尻。味付けは塩と薄口醤油のみ。絶妙の味付けだ。具の松茸を食べる。シャクッとした歯ごたえ。香りと味がふんだんに残っている。松茸の土瓶蒸しは蒸し時間が難しい。蒸しすぎると松茸の味と香りが全部汁に出て具の松茸は出がらしになる。蒸しが少ないと肝心の汁に香りが移らない。この土瓶蒸しの蒸し時間は最高だ。彼女の料理の腕は尋常ではない。
「ものすごくうまい土瓶蒸しやな。こんな土瓶蒸しを食べたのは生まれて初めてや」
「うれしいわ。お口にあって」
 ぼくがこの店に入って三〇分は時間が過ぎた。客はまだ一人も入ってこない。店の雰囲気もいいし女将も感じがいい女。料理はさきほどの土瓶蒸しで分かるとおりのおいしさ。不思議な話だ。
「今日は松茸づくしといきましょう。松茸お好きでしょう。山木さん」
 少し酔いがまわってきた。酔いのまわった頭でも引っかかった。女将はなぜぼくの名前を知っている。
「ぼく名前をゆうたかな」
「あの時教えてくださったでしょう」
 確かあの時名前を教えた記憶はない。しかしあの時のことはよく覚えていない。記憶に残っているのは彼女が教えてくれた店の名前と場所だけ。ほかのことは霞がかかったようで記憶がぼんやりとしている。ぼくは記憶力はいいほうだが。
 飛騨コンロに炭火を入れて松茸を焼いてくれた。陶然とする香りとはこのことだ。徳利が空くペースが速くなった。それにしても客が入ってこない。
「この店はいつもこんなんかね」
「こんなんて」
「客だよ。これだけの美人女将の店に客はなんでぼく一人なんや」
「今晩は山木さんの貸し切りよ。今日来てくださるとおしゃってたでしょう」
 そんなことをいった記憶もない。料理は松茸の天ぷらとなった。卵を使わない衣はカラッとしていて完璧な揚げ具合だ。衣の中は熱せられた松茸の芳香が凝縮して詰まっていた。
「今日の松茸は素晴らしいな。もちろん国産やろ。どこのんや」
「わたしの実家から送ってもらってるんです」
「うらやましいな。こんな松茸が採れるところが実家だなんて」
「来週のウィークデーで空いている日ありますか」
「なんや」
「実家の松茸狩りにご招待しますわ」
「ほんま。行く行く絶対行く。ぼく自由業やから平日でもOKやで」
「それでは来週の水曜午後三時にあの場所でお待ちしています」
「あの場所って」
「山木さんと初めてお会いした場所よ」
 かなり酔っている。ろくに手帳も見ずに約束してしまった。最後に松茸ご飯が出た。最高だった。
 
 ぼくの趣味は天体観測だ。この道の先にある山の頂上がぼくのお気に入りの観測スポット。彼女と初めて会ったあの時は、何年ぶりかの大流星雨を観測しての帰りだった。深夜、この道をパジェロで走っていた。久しぶりの大きな流星雨。特に大きな流星が頭上真上を飛んだ。まるでごく至近距離に隕石が落ちたようだった。しかしなんの衝撃もなかった。ぼくも天体マニアだから隕石が近くに落ちたか落ちなかったかは分かる。
 すれ違う車も、前を行く車も、後ろから来る車もない。真っ暗な道をぼくは走っていた。その時前方の道路沿いに赤い物がチラッと見えた。近づくと赤い車だ。後ろにパジェロを止める。ジャッキアップされた真っ赤なBMW。車の脇で女がしゃがみこんでいた。道路脇の溝に何かを落としたらしく点灯していない懐中電灯を持って途方にくれている。
「どうしました」
「パンクしてスペアタイヤを付けようとしたらネジを一個落としちゃって。探してたら懐中電灯の電池が切れて」
「ちょっと待って」
 ぼくはパジェロから懐中電灯を持ってきて彼女といっしょに探した。ネジはジャッキの後ろにあった。タイヤを取り付け、ジャッキをはずしトランクに収納するといった後の作業はぼくがした。彼女はたいそう感謝して何度もお礼をいった。別れる前にメモを一枚くれた。
「わたしここでお店をやっています。このお礼をします。ぜひおいでください」
「偶然やな、三宮か。ぼくの仕事場の近くや。いっぺんいかせてもらうで」
 確かこれだけの会話だった。ぼくの名前も店に行く具体的な日付まで約束した憶えはない。
 水曜日の昼下がり。もう少しだ。約束の時間には余裕で間に合う。次の次のカーブを曲がったところで彼女は例の赤いBMWを止めて待っているはず。そこから車で一〇分も走ると彼女の実家がある村落だということだ。このあたりは何度か来たことがある。確かこの近くに人家はないはず。本当に彼女の実家があるのだろうか。
 赤いBMWのフェンダーにもたれて彼女は待っていた。
「今日はパンクしてへんのか。タイヤのネジはちゃんとあるんか」
「わたしのBMWはめったにパンクしません。あの日は流れ星がタイヤに当たったの」
「UFOみたいなBMWやな」
「あの日は流れ星がたくさん流れたわね」
「願い事したか。ぎょうさん願い事できたやろ」
「わたしの願い事は一つだけ」
「それは叶ったか」
「はい」
 うなずいた彼女の顔は大変明るかった。
「行きましょうか。わたしの後をついてきてください」
「ぼくのパジェロは四駆だからええけど、そんなBMWでこんな山道を走れるのか」
「だいじょうぶです。わたしはいつも走ってます」
 獣道に毛が生えたような道をBMWは走り出した。道の両方から木の枝が張りだしてフロントグラスにばんばん当たる。路面も倒木があったり岩があったりで車はガクガクゆれる。ゴリゴリと腹をこする。ぼくのパジェロは大丈夫だが彼女のBMWは大丈夫だろうか。岩の角でオイルパンを傷つけてエンジンオイルが漏れだしたら走れなくなるぞ。
 真っ赤なBMWはぼくの心配は無用とばかり何のストレスもなくスイスイと道なき道を走っていく。あのBMWは本当に車だろうか。 突然視界が開けた。前方が盆地になっていて道は下り坂になった。盆地には二〇軒ばかりの農家がある。全戸が茅葺き屋根だ。こんなにたくさんの茅葺きの民家がまとまって有れば有名になってぼくも知っているはずだが、こんな場所は聞いたことがない。村落の向うがわの山の斜面は棚田で、それが山の頂上まで続いている。
 BMWは一番手前の家の庭先で止まった。パジェロをその横に止めた。彼女が先に降りて家の縁側まで案内してくれた。老人が二人立っていた。大変上品なおじいさんとおばあさんだ。おじいさんは顎に白いひげを生やし、おばあさんは腰が丸く顔も丸くまん丸なおばあさんだ。縁起物の人形に「高砂」というのがある。あの翁と媼の人形そのままのおじいさんとおばあさんだ。
「両親です」
 彼女が紹介してくれた。
「山木さんじゃな。このたびは娘がお世話になりました」
 翁があいさつした。
「これ、加代、早うお客さんを座敷にご案内して」
 彼女の名は加代というのか。初めて知った。床の間のある八畳ほどの部屋に案内された。加代がお茶と菓子を持ってくる。
「少し休憩したら早速松茸狩りに行きましょう」
 しばらくしたら加代が呼びに来た。ぼく、加代、父親の三人で行くらしい。
「さあ、行きましょう。なあにほんの少しです」
 そういうと父親はスタスタと先頭を歩き出した。道は村を外れ山へと入っていく。老人とは思えない健脚ぶりを発揮してどんどん山中へと進んでいく。都会で文筆業を営んでいる者としては難行苦行だ。
「おとっぁん。歩くの速すぎ。お客さんがお疲れよ」
「おお、それはすまんかった。ほんじゃ少し休憩すっか」
 父親はそういうと倒木に腰掛けた。腰にぶら下げたキセルを取り出し刻みたばこをつめた。今時刻みたばこなんてどうして手に入れたのだろう。ぼくもマイルドセブンを取り出した。
「すまんが、火を貸してくださらんか」
 ライターでキセルの火口に火をつけてやって自分のマイルドセブンにも火をつけた。ぼくが吸い終わるのを待って父親が腰を上げた。
「さ、行きましょう。もうすぐじゃ」
 本当にすぐそこだった。
「ここじゃ。ほれそこ」
 父親が指さす木の根本に枯葉がこんもりと盛り上がったところがある。枯葉をどけると松茸があった。取ってにおいをかぐと素晴らしい香り。まがうことなき松茸だ。
「松茸は円形に生えるの。その松茸の円周をたどって行けばもっと沢山あるわ」
 加代がいいながら手招きした。そこにも有った。
「これ、本当に自然の松茸か」加代に聞く。
「あたりまえです。外国産の松茸を植えている観光用の松茸じゃないわ。この山に自然に生えているのよ」
 こんな山が現代にあるとは信じられない。
 その夜は松茸が山ほど入ったすき焼きで、したたか飲んだ。いつ寝たのか覚えてない。起きたのは昼近かった。
「起きなすったか。娘は店があるんで先に出ました。あんさんはゆっくりしてください。なんならもうひと晩お泊まりになったらどうじゃ」
 母親があいさつに来た。仕事がありますので、と帰ろうとすると、昼も食べて行けとのこと。結局昼もごちそうになって神戸に帰ったのは深夜になっていた。
 その後何度か彼女の店に顔を出そうと思ったが、雑用に追われて行けなかった。
 秋も深まりもうすぐ師走という時期になって彼女の店に行った。そこに店はなかった。生田神社の少し南、東急ハンズの近くの雑居ビルに彼女の店は有るはずだが、そこは空きスペースになっている。隣はラーメン屋だ。ラーメン屋のオヤジに聞いたら、確かに女性が一人で切り盛りしている小料理屋があったが一日だけ開店してすぐ閉店したとのこと。彼女はぼく一人のために店を一軒開業してくれたのだろうか。
 パジェロをとばす。彼女と出会ったあの場所はすぐわかった。今日は赤いBMWは止まってない。ここから山道に入るはず。道はおぼえている。天体観測は人里離れた場所で行う。だからぼくはこのような道を走るのは慣れている。
 ところがわからない。いくら探しても彼女の村は見あたらない。確か盆地にあったはずだが。山仕事をしているおじいさんに聞いた。「ワシは八〇年ここに住んどるが、このへんにゃ村はない」
 夜まで探した。村はなかった。あきらめて帰る。山道を抜け例のカーブに戻ってきた。少し期待したが赤いBMWはなかった。
 夜の山のスカイラインにひとすじ流れ星が流れた。 

                             


                            星群83号掲載
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10月21日(火) 2008年の阪神タイガース

 2008年の阪神タイガースの戦いは終わった。82勝59敗3分、勝率5割8分、セリーグ2位、クライマックスシリーズ1勝2敗。
 立派な成績である。前半はだんとつの独走で首位を快走。優勝まちがいなしと思われたが、後半失速して巨人に抜かれて惜しくも2位。
 阪神ファンの各位におかれては、慙愧の念に絶えがたく、失意の日々を送っておられるムキもおられるだろう。しかし、抜きつ抜かれての大混戦のペナントレースの末の2位であったとしても2位。2位は2位、変わりはない。
 小生の知人の知人に、熱狂的な阪神ファンがいて、阪神が負けると、非常に機嫌が悪くなり、荒れて手がつけられない。ひどい時には奥方に暴力を振るったりもするとのこと。このご仁などは、今年はどうしているだろう。
 小生も長年の阪神ファンだが、不思議と悔しさはない。残念ではあるが悔しくはない。それどころか充分に阪神タイガースを楽しませてもらったという満足感がある。考えてもらいたい、阪神タイガースが144勝0敗で優勝したとしたら面白いだろうか、楽しいだろうか。阪神タイガースが、V9時代のような巨人みたいな常勝球団になれば、面白いだろうか、楽しいだろうか。少なくとも、阪神タイガースがそんな球団になれば小生は阪神ファンをやめる。勝ちがあれば負けがある。たまたま今年の阪神は前半に勝ちをまとめすぎただけ。
 阪神タイガースの応援は、しょせんは娯楽、楽しみごと。快楽を求めて阪神タイガースの応援をするのだ。阪神が負ければ苦痛に感じる人は、何を求めて阪神ファンをやっているのだ。今年は59回も苦痛を感じたわけだ。これでは娯楽としての阪神応援とはいえない。本末転倒である。
 それはさておき2008年の阪神タイガースだ。これはもう、阪神のヨナの上をオリンピックが通った、としかいいようがない。
 北京オリンピックの前と後では、全く別のチームとしかいいようがない。新井、矢野、藤川の3名が抜けただけだが、阪神のこうむった被害は甚大であった。阪神の選手層は厚いといわれるが、1軍のレギュラーというような、頂点のプロで構成する組織の場合、精巧に組み立てられたジグソーパズルである。そこから、重要なピースを三つも抜かれたら全体のバランスが狂うのは当然である。その証拠に広島、オリックスとオリンピックに一人も派遣していないチームが後半、健闘している。オリンピックに選手を出しているのは阪神だけではない、といわれるかも知れないが、それぞれの選手のそれぞれのチームにおける立場が、それぞれ違うから一概に条件は同じとはいえない。

 投手たち
 投手に関しては、先発陣は2007年より全体的な底上げはなったのではないか。下柳は安定して頼りになった。そして、安藤の復活と岩田の台頭が大きい。去年活躍した上園は、小生は今年はあまり期待していなかった。新人の2年目のジンクスというやつだろう。福原は阪神のピッチャーの中で小生の好きなピッチャーだが、不幸なケガに泣いた1年だった。来年の捲土重来を期待したい。杉山、能見、小嶋たちの奮起を期待する。金村暁だが、とうとう1勝もしなかった。FAの横浜三浦、ロッテ清水の獲得を目指しているらしいが、もし、どちらか一人でも阪神に来れば、不要な投手だろう。先発ピッチャー不足の横浜と吉村あたりとのトレードというのでどうだろう。
 リリーフ陣は、JFKの威光が昨年よりかげってきた。藤川は防御率零点台で、文句をつければバチが当たるが、藤川の魅力である高めのストレートで空振りを取るというシーンが減って、フォークボールなどの変化球が多くなった。これは彼の投手生命ということを考えれば、いたしかたなきことと理解してやる必要がある。
 久保田は投げすぎ。あれだけ投げてれば打たれもする。少しは休め。ピッチャーのくせに金本のマネをするんじゃないの。できたら先発に転向した方がいいのでは。
 
 野手たち
 野手は、去年の病気が、今年の後半に再発した。「あと1本が出えへん」病である。ランナーを出すが、それをよう返すことができない。塁にでるのが仕事の赤星はちゃんと仕事をした。3割で盗塁王こそヤクルトの福地に譲ったが、盗塁も41個している。後半はこの赤星を返すことができなかった。昨日も赤星が3塁まで行ったのに得点にならなかった。
 野球は投手しだいといわれるが、点取りゲームである。いくら投手が零点に抑えても、点を取らなければ勝てない。引き分けに持ち込むのが精一杯。そして、点を取るにはホームラン以外は、相手がミスをしなければ、複数の安打が必要。3アウト以内で、最低二人の打者が打たなければ点は入らない。一人のストライカーのシュートで点が入るサッカーと違うのである。いくら3割バッターでも一人ではチームを勝利に導けない。イチローがいるマリナーズは決して強くない。首位打者内川のいる横浜が最下位。
 塁にランナーがいる。ここで打ったら点が入る。で、確実に打てる。今年の阪神の前半は、新井が金本が打っていた。関本、矢野たちも「必死のパッチ」で打っていた。では、後半、なぜ打てなくなったのか。結局は精神的なもんとしかいいようがない。新井にしても金本にしても、前半と後半は同一人物である。新井はケガをしたが、両名ともバッティングの技術は同じはず。この両名だけではない。新代打の神様桧山、前半良い仕事をした葛城、高橋も同一人物である。
 こんなことはいいたくないが、「油断」があったのではないか。13ゲーム差という大きなリードをしていて、ホッとした瞬間、巨人が一気に背後に付き、あとは背後霊の如くぴったりくっつき、阪神の優勝を脅かす。そして10月8日、暗殺者のように阪神の急所をグサリ。だれもいわないが、今年の後半の巨人は、2006年の中日にとっての阪神以上に、阪神の選手は恐かったのではないだろうか。
 野球はやっぱりメンタルなスポーツである。

 外人たち
 JFKの一角ウィリアムス。36歳。さすがに歳だといわざるを得ない。かっては左バッターはかすりもしなかった、ジェフの対角線に飛んで来るボールをしばしば打たれるようになった。球速は変わらないが、やはり年齢だろう。リリーフ陣のリーダーたるジェフの不調が渡辺、久保田、江草たちに伝染した思われるところもある。とはいえ、今の阪神タイガースの功労者の一人、あと1、2年やってなんらかの形で阪神に残ってもらいたい。
 ボーグルソン。あれだけ良い球があるのにもったいない。5回までピッチャー。他の国内球団が興味を示している様子。敵にまわすとこわい。先発なら5回まで限定。中継ぎに転向させたらどうか。
 リーソップ。藤川の代役なんかできるはずがない。先発も?ご苦労様でした。
 アッチソン。適材適所とはこういう。後半、苦しい中どれだけ助けられたか。アッチソンがいたからリーソップはいらなかったのでは。来年もお願いしますよ。ジェフの引退も近い。いまのところ、ジェフの後継者の候補№1。
 バルディリス。将来が非常に楽しみ。守備はいうことなし。あの守備がある限り長い眼で見てやって欲しい。バッティングもきっと良くなる。来年も楽しみにしている。ぜひがんばって欲しい。
 あと、だれがいたかな。う~ん。思いだせん。もう一人、ぬらりひょんみたいな外人野手がいたけど、だれやったかな。

 雫石鉄也が選ぶ今年のMVP
 投手=江草仁貴
 なんで江草やねん、という人も多いだろう。安藤、下柳、岩田、藤川をさしおいて江草!確かに勝利に貢献といえば安藤たち4人だろう。しかし、先発が2回でKO、だれ出そ、江草。6回2点リードされとる、逆転するかもしれん、だれ出そ、江草。8回5点リードされとる、だれ出そ、太陽はファームや、だれ出そ、江草。困ったら江草。これだけチームに貢献した投手は他におるやろか。
 野手=関本賢太郎
 新井オリンピック、骨折、今岡不調、平野負傷。どれだけ関本に助けられたことか。1塁2塁3塁内野ならどこでも守れる器用さ。一番四番以外どの打順でもOK。ホームランも打つしバンドの名手でもある。阪神プロパーたたき上げの選手。赤星の次の選手会長か。

 最後に岡田監督へ
 5年間どうもご苦労様でした。このブログでこの感謝の言葉を何度もいいましたが、なんどでもいいます。
 JFKを構築し、金本を4番にすえ、鳥谷を育て、関本を育て、今の阪神タイガースを作ったのは、岡田さん、あなたです。野村でも星野でもありません。岡田さん、あなたです。
 岡田さんは本当に選手想いの監督さんだった。それは、きのうのラストゲーム敗戦のあとの胴上げに現れています。
 敗戦投手の藤川にいったそうですね。
「お前で打たれてよかったよ。なあ球児、お前で終われて良かったよ・・・」
 この言葉に涙しない阪神ファンがいるでしょうか。少なくとも小生はホロッとしました。岡田さんは阪神タイガースの監督やなあ。岡田さんは心から阪神を愛していたのだなあ。
 岡田彰布監督。名監督であった。拍手。
 
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深海のYrr

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フランク・ツェッツィング 北川和代訳     早川書房

 久しぶりのハリウッド超大作、といった感じ。事実、この小説は映画化の企画がなされているとか。著者もかなりの映画好きらしく、所々で映画を描写のネタに使っている。この作品中で見受けられるネタ元の映画を思いつくまま上げると、「アビス」「タイタニック」「デープインパクト」「インデペンデンスデー」「エイリアン2」などなど。
 
で、監督とキャストを小生なりに考えてみた。

監督 ジェームス・キャメロン
   
間違ってもマイケル・ベイに監督させてはいけない。
配役 シグル・ヨハンソン   トム・クルーズ
   
レオン・アナワク    キアヌ・リーブス
   
サロモン・ピーク    ウィル・スミス
   
サマンサ・クロウ    ジョディ・フォスター
   
ジューディス・リー   アンジェリーナ・ジョリー
   
ゲーアハルト・ボアマン ブルース・ウィルス
 
こんなところかな。著者のフランク・ツェッツィングは、ジョージ・クルーニーやユマ・サーマンの出演がご希望とのこと。また、作中に登場する実在の地球物理学者ゲーアハルト・ボアマンは「まるでブルース・ウィルス」との記述がある。
 
ノルウェー沖で新種のゴカイが発見された。ものすごい数に増殖している。大陸斜面上のメタンハイドレードの層を食い荒らしている。ホエールウォチングの観光船が、突然凶暴化した鯨に襲われた。貨物船が謎の沈没。船底には不思議な貝がびっしり。フランスのレストランでロブスターを調理中のシェフが急死。猛毒の毒クラゲが大量に発生する。アメリカ東海岸に新種のカニが大量に上陸、殺人藻を振りまきながら猛威を振るう。ニューヨーク全滅。ワシントンまで危機で大統領が避難。そうこうしているうちに巨大津波が発生。北ヨーロッパが壊滅。中小の船舶が海を航行できなくなって、世界中の海運がマヒ。
「海」そのものが人類に牙をむいて襲いかかって来た。海の中に「なにか」がいる。深海に存在する謎のゼリー状の物体の存在が確認された。その物体は「Yrr」(イール)と名づけられた。
 
対イール作戦に、海洋生物学者、クジラ研究家、イルカ訓練士、地球物理学者、火山学者、地球外知的文明探査の専門家、CIAのエージェントなどが、アメリカ海軍の巨大ヘリ空母「インディペンデンス」に集合した。指揮をとるのは野心満々の女性海軍司令官。
 
船を襲うクジラの群れ、巨大津波、などのスペクタクルシーンの描写は迫力満点で満足の行くものであった。長い小説であったが、訳文は読みやすくスラスラ読めた。で、肝心のイールの正体だが、SFファンの小生としては及第点をやれる。メンバーに地球外知的文明探査の専門家がいるが、これから想像される正体かどうかは、ネタばれになるのでいえない。

     

 

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10月20日(月) 2008年阪神タイガース全試合終了

 セリーグ・クライマックスシリーズ第1ステージ第3戦。阪神VS中日。2対0で阪神の負け。
 岩田VS吉見の素晴らしい投手戦。両投手とも、まことにあっぱれである。岡田、落合両監督のがまん比べともいえる。先に動いたのは岡田監督。好投岩田に変えて桧山。桧山あえなく三振。9回の表、阪神のピッチャーはもちろん藤川。
落合監督も代打立浪、ところが立浪ヒット。そして、藤川がウッズにまさかのホームラン。裏は岩瀬に押さえられてゲームセット。
 代打の切り札桧山は三振、代打の切り札立浪ヒット。4番金本無安打、4番ウッズホームラン。守護神藤川被本塁打、守護神岩瀬3者凡退に押さえる。
 裏があれば表がある。勝ちがあれば負けがある。光があれば影がある。勝負は時の運。桧山、金本、藤川、だれも責められない。ただ、こっちに光が当たらなかっただけ。
 これで2008年の阪神タイガースの試合は全て終了。
 岡田彰布監督5年間、ご苦労様でした。
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10月19日(日) 祝 岡田阪神、ポストシーズン初勝利

 セリーグ・クライマックスシリーズ、第1ステージ第2戦。阪神VS中日。7対3で阪神の勝ち。
 岡田阪神、ポストシーズン初めての勝利。最後の最後に勝てた。よかったな岡田はん。シーズン、後半から悩みのタネだった「ここ1発が出えへん」病が、今日は発病せんかった。
 1回、いきなり、まったく久しぶりに打線がつながり、金本のタイムリー、鳥谷の3ランで4点先取。先発下柳は6回まで試合を作る。で、鳥谷の2本目のホームランと中田がくれた2点で7点。
 後は、アッチソン+JFK。久保田が1点失ったが、久保田の場合はお賽銭みたいなもん。
 正直いうと、ワシ、今日も負けて阪神の2008年は終わり。阪神タイガース2008年の総括を書かなあかんな、と思とった。それが勝った。こうなりゃぜひ、明日も勝って東京ドームに乗り込んで、メイク・レジェンドをぶち壊してもらいたいもんや。
 
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