黛ジュンはビート歌謡の始祖であり、60年代邦楽のイノベーターと言っても過言ではない重要なシンガーである。彼女の登場で歌謡曲の世界は様相が一変、1968年なんかはまさに “猫も杓子もビート歌謡” 状態で、あの美空ひばりやこまどり姉妹までがミニスカートでビート歌謡を歌っていたのだからその影響力は凄まじい。当然ショートヘアにミニスカート、更に下の名前がカタカナ又はひらがな名というフォロワー達が続出した。今日はそんな中から私のお気に入りの “黛ジュンそっくりさん” を特集したい。
【響かおる】
①太陽がこわいの(1968.4)
ビート歌謡はまたの名を “ひとりGS” とも言われるが、その特質を完璧に近い形で備えているのが響かおるのデビュー曲「太陽がこわいの」だ。力強いビートと目立ちたがりのギターという “あの時代” そのもののGSサウンド、覚えやすいサビのメロディー、そして本家黛ジュンを彷彿とさせるパワフルなヴォーカルと、まさに非の打ち所のないビート歌謡である。特に “幸せは 帰らないのにぃ~♪” のラインなんかもうジュンが憑依したかのようで、さすがは “クラウンの黛ジュン” と呼ばれるだけのことはある。エンディングのクッソダサい女性コーラスが無ければ100点満点をあげたい名曲名演だ。
響かおる 太陽がこわいの(1968年)
②星とお月さま / バラのささやき(1968.9)
響かおるの2ndシングルは色んな意味で面白い。A面の「星とお月さま」は何をトチ狂ったのかドラムが大暴れする伴奏が笑いを誘うし、B面の「バラのささやき」では軽薄浮薄なギターが音数の多すぎるオブリガートでヴォーカルにまとわりついてうるさいったらない。これではまるでハエや蚊である。曲自体はとても良いし彼女の歌も相変わらず上手いのでホンマに勿体ないと思うが、プロデューサーは一体何がしたかったんやろ?
響かおる 星とお月さま(1968年)
響かおる バラのささやき(1968年)
【梢みわ】
③恋のバイカル(1968.5)
クラウン・レコードの響かおるに負けじと本家本元の東芝がデビューさせたジュン・フォロワーが梢みわだ。デビュー曲のタイトルが「恋のハレルヤ」を意識した「恋のバイカル」で、イントロにバラライカを使ってロシアっぽい雰囲気を出そうとしているのも良いし、“オゥ バイカルゥ~ オゥ バイカルゥ~♪” というキャッチーなサビも効果抜群で、一度聴いたら忘れられないロシアン・ビート歌謡(?)に仕上がっている。
梢 みわ 「恋のバイカル」 1968
④愛の泉(1968.9)
梢みわは3rdシングル「涙をどうぞ」でビート歌謡のビの字もない小唄調ナンバーへと方向転換してしまうのだが、この2ndシングル「愛の泉」はジャケットの雰囲気といい、その歌唱法といい、めちゃくちゃ “黛ジュン度数” の高い作品である。おそらく彼女の本質は3rdシングル以降の作品にあるのだろうが、たとえレコード会社の戦略による仮の姿とはいえ、これだけジュン度の高いビート歌謡を歌いこなせるというのはある意味凄いことだと思う。
梢みわ 愛の泉(1968年)
【川奈ミキ】
⑤夢のソネット(1968.7)
川奈ミキのデビュー曲「夢のソネット」は何と言っても筒美京平の存在感がデカい。私は日本人の心の琴線を震わせる哀愁を描かせたら彼の右に出る者はいないと思っているが、この曲でも絶妙な器楽アレンジで哀愁舞い散る “ひとりGS” を演出しており、それに応えて堂々たる歌声を披露する川奈ミキにも脱帽だ。尚、川口真が作曲したアップテンポのB面「みずいろのうわさ」(←意味不明なタイトルやな...)がモロに「夢見るシャンソン人形」してるのが笑わせてくれる。
川奈ミキ 「夢のソネット」 1968
⑥愛のおもかげ(1968.12)
“ひとりGS” のエッセンスを濃縮したかのようなエレキギターに「ブルー・シャトー」を想わせるストリングスが絡みつくイントロだけでも涙ちょちょぎれるのだが、続いて炸裂する川奈ミキのコブシの効いた歌声がこれまた絶品で、まさにビート歌謡の王道を行くといった感じのグルーヴィーなナンバーだ。作曲したのは一連の黛ジュン作品を手掛けた鈴木邦彦。この曲はそれほどヒットはしなかったようだが、個人的には傑作目白押しの彼の作品中でも五指に入る名曲だと思っている。
川奈ミキ 「愛のおもかげ」 1968
【響かおる】
①太陽がこわいの(1968.4)
ビート歌謡はまたの名を “ひとりGS” とも言われるが、その特質を完璧に近い形で備えているのが響かおるのデビュー曲「太陽がこわいの」だ。力強いビートと目立ちたがりのギターという “あの時代” そのもののGSサウンド、覚えやすいサビのメロディー、そして本家黛ジュンを彷彿とさせるパワフルなヴォーカルと、まさに非の打ち所のないビート歌謡である。特に “幸せは 帰らないのにぃ~♪” のラインなんかもうジュンが憑依したかのようで、さすがは “クラウンの黛ジュン” と呼ばれるだけのことはある。エンディングのクッソダサい女性コーラスが無ければ100点満点をあげたい名曲名演だ。
響かおる 太陽がこわいの(1968年)
②星とお月さま / バラのささやき(1968.9)
響かおるの2ndシングルは色んな意味で面白い。A面の「星とお月さま」は何をトチ狂ったのかドラムが大暴れする伴奏が笑いを誘うし、B面の「バラのささやき」では軽薄浮薄なギターが音数の多すぎるオブリガートでヴォーカルにまとわりついてうるさいったらない。これではまるでハエや蚊である。曲自体はとても良いし彼女の歌も相変わらず上手いのでホンマに勿体ないと思うが、プロデューサーは一体何がしたかったんやろ?
響かおる 星とお月さま(1968年)
響かおる バラのささやき(1968年)
【梢みわ】
③恋のバイカル(1968.5)
クラウン・レコードの響かおるに負けじと本家本元の東芝がデビューさせたジュン・フォロワーが梢みわだ。デビュー曲のタイトルが「恋のハレルヤ」を意識した「恋のバイカル」で、イントロにバラライカを使ってロシアっぽい雰囲気を出そうとしているのも良いし、“オゥ バイカルゥ~ オゥ バイカルゥ~♪” というキャッチーなサビも効果抜群で、一度聴いたら忘れられないロシアン・ビート歌謡(?)に仕上がっている。
梢 みわ 「恋のバイカル」 1968
④愛の泉(1968.9)
梢みわは3rdシングル「涙をどうぞ」でビート歌謡のビの字もない小唄調ナンバーへと方向転換してしまうのだが、この2ndシングル「愛の泉」はジャケットの雰囲気といい、その歌唱法といい、めちゃくちゃ “黛ジュン度数” の高い作品である。おそらく彼女の本質は3rdシングル以降の作品にあるのだろうが、たとえレコード会社の戦略による仮の姿とはいえ、これだけジュン度の高いビート歌謡を歌いこなせるというのはある意味凄いことだと思う。
梢みわ 愛の泉(1968年)
【川奈ミキ】
⑤夢のソネット(1968.7)
川奈ミキのデビュー曲「夢のソネット」は何と言っても筒美京平の存在感がデカい。私は日本人の心の琴線を震わせる哀愁を描かせたら彼の右に出る者はいないと思っているが、この曲でも絶妙な器楽アレンジで哀愁舞い散る “ひとりGS” を演出しており、それに応えて堂々たる歌声を披露する川奈ミキにも脱帽だ。尚、川口真が作曲したアップテンポのB面「みずいろのうわさ」(←意味不明なタイトルやな...)がモロに「夢見るシャンソン人形」してるのが笑わせてくれる。
川奈ミキ 「夢のソネット」 1968
⑥愛のおもかげ(1968.12)
“ひとりGS” のエッセンスを濃縮したかのようなエレキギターに「ブルー・シャトー」を想わせるストリングスが絡みつくイントロだけでも涙ちょちょぎれるのだが、続いて炸裂する川奈ミキのコブシの効いた歌声がこれまた絶品で、まさにビート歌謡の王道を行くといった感じのグルーヴィーなナンバーだ。作曲したのは一連の黛ジュン作品を手掛けた鈴木邦彦。この曲はそれほどヒットはしなかったようだが、個人的には傑作目白押しの彼の作品中でも五指に入る名曲だと思っている。
川奈ミキ 「愛のおもかげ」 1968