shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Tokyo Dome April 29, 2017 The Movie / Paul McCartney

2017-06-27 | Paul McCartney
 “ピカデリーDVDで振り返るポール2017ジャパン・ツアー” もいよいよ後半戦に突入だ。過去の日本公演では日によってほんの少しセットリストが異なることがあり、その微妙な違いが各公演の見どころ聴きどころになっていたが、今回のドーム2日目も例外ではなく、セトリが他の日と少し変えられていた。
 中盤のアコースティック・セット最初の曲がこの日だけ「ウィー・キャン・ワーク・イット・アウト」ではなく「アイヴ・ジャスト・シーン・ア・フェイス」にスイッチされていたことには特に違和感を感じないが(←これに「アナザー・デイ」も含めてアコギの定番曲やもんね...)、オープニングの「ハード・デイズ・ナイト」に続く2曲目がこの日だけ “アウト・ゼア・ツアー” で耳タコ(笑)の「セイヴ・アス」というのはちょっと肩透かしを食った感じ。私が現地組だったら “何か前回と変わり映えせんなぁ... 「ジュニアズ・ファーム」はどこ行ったんや???” と思っただろう。そういえば2015年の時もドーム2日目だけオープニング・ナンバーが「マジカル・ミステリー・ツアー」ではなく2013年と同じ「エイト・デイズ・ア・ウィーク」で、ファンの間で“エイトの日”って呼ばれてたっけ。
 今回のドーム3日間ではラス前のアンコール・ナンバーとして初日は「バースデー」、3日目は「ゲット・バック」と日替わりでアッパーなキラー・チューンが選ばれており、この日は「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」がセット・イン。ノリの良い曲で盛り上げておいて “モウソロソロ...” →「アビーロード・メドレー」という流れはもはや様式美の世界と言っていいと思う。
I Saw Her Standing There / Paul McCartney 29 April 2017 Tokyo Dome JAPAN ポールマッカートニー


 セトリの違い以外でこのドーム2日目の一番の聴きどころと言えば「1985」だろう。この日はいつもと違ってポールが左手でピアノを連打し “That's the note... and that's the riff...” と言いながら曲に入っていくのだが、コレがもうめちゃくちゃクールでカッコイイのだ。一部の隙もなく完成されたエンターテイメント・ショーというのがポールのライヴの売りだが、だからこそと言うべきか、このようなちょっとしたアドリブ・プレイが斬新に耳に響くのだろう。
1985 That's the note...and that's the RIFF Rare Cool Intro / Paul McCartney 29April2017 Tokyo JAPAN


 武道館で発症(?)したポールの“カタカナ英語病” は日本滞在中にどんどん進行していったようで、“ビィトル ズゥ”“ポォル マカァトニィ” では飽き足らず、「マイ・ヴァレンタイン」の曲紹介MCで嫁さんのことを“ナンシィ” と発音して自分でウケていたのが笑えた。私的にはカタカナ英語乱発はあまり好きではないが、ポールのこういうお茶目な一面は大好きだ。
Paul McCartney - My Valentine (live at Tokyo Dome) 29.04.2017


 このように見どころ聴きどころ満載のドーム2日目をバッチリ収録したピカデリーのDVDだが、ドーム初日よりも断然見やすい映像で(←さすがに武道館には負けるが...)奇声も十分許容レベルなので観ていてストレスを感じることはほとんどない。ドーム初日が75点ならこちらは85点あげてもいいと思う。ブートCDの方は極上オーディエンスやらイヤモニやらマトリクスやらで百花繚乱の様相を呈しているが、ブートDVDに関してはピカデリー・サーカス・レーベルの一人勝ちと言っていいだろう。やっぱり映像はあった方がエエぞう(^.^)
【ボクハ ポォル マカァトニィ...】

【オッス!】

【コノ キョクハ コンカイ ハツ コーカイ...】

【I'm not even fifty...(寒っ)】

【She was just seventeen ♪】

Tokyo Dome April 27, 2017 The Movie / Paul McCartney

2017-06-18 | Paul McCartney
 今回のポール日本公演は4/25武道館、そして4/27, 29, 30の東京ドームと計4回行われたが、参戦できなかった私が客観的に見て一番気に入っているのが4/27の東京ドーム初日の公演だ。話題性から言えば圧倒的に武道館ということになるのだろうし、リリースされたブートの数も断トツで武道館モノが多いのだが、前回の “49年ぶりに聖地に帰ってきたポール” という特別な思い入れもなければ “「アナザー・ガール」世界初公開!” のような衝撃性もなく、セトリも短縮ヴァージョンということで私的にはイマイチだ。だから今回の日本ツアーに関する限りは武道館よりも断然東京ドームの方に魅かれるし、そのドーム3公演の内でも「ジュニアズ・ファーム」や「レッティング・ゴー」といった貴重なウイングス・ナンバーが聴けるセトリを考えると “ドーム初日がベスト” という結論に達するのだ。
 そんな4・27公演の映像だが、現時点で私の知る限りではNANKER とピカデリーからしか出ていない。先に出たのはNANKERの方だが、メーカー・インフォに “1階最前の素敵な席からステージをほぼ真正面に映した極上安定ショット” と “普通の録画では捉える気にはならない、スクリーンを映したショット” の2種類を用意したと書いてあるのを読んで購入を思いとどまった。いかに美辞麗句で取り繕おうと(“素敵な席”って何やねん...)、これって “ポールが遠いステージ・ショット” と “16:9の横長画面で見るケータイ動画みたいな縦長のスクリーン映像ショット” の2点セットということやん? そんな半端な商品に6,000円以上も出せるほど寛大じゃない私はコレをスル―、その数日後にピカデリーのDVDサンプルを目にしてそちらを即買いしたというワケだ。
 しかしこのドーム初日のピカデリーDVD、単体で観ればまぁまぁ満足のいく映像なのだが、他の日のピカデリーDVDに比べるとクオリティーが少し落ちると言わざるを得ない。まぁ武道館の映像が神ってたのでしゃあないのかもしれないが、ドーム2日目や3日目と比べても負けている感は否めない。メインとなるのがアリーナ席からの映像なのだが前の客の頭や手が邪魔で、画面左側で激しく振られる緑のサイリウムもウザい。画面左上の真っ赤なロゴはじっとしとるから(笑)慣れたら全然気にならないが、蛍光色のサイリウムはチカチカするので気が散ってポールに集中できないのだ。
 それと、奇声が少ないのが売りのピカデリーにしては珍しく“ホー! ホー!” という、まるでエンプレス・バレイみたいな(笑)奇声を拾っているのも残念(←もちろんEV盤ほど酷くはないが...)。いくら良席を確保しても周りのオーディエンスの中にアタマのおかしなのが一人でも混じっておればそれでブチ壊しなので、こればかりはピカさんも運が悪かったと言うしかないだろう。仮に前回取り上げた武道館を100点満点中の95点とすれば、このドーム初日は前半65点後半85点で平均75点といったところか。まぁそれでも3時間近くスクリーン・ショットを拝ませられるよりはこっちの方が遥かに良い(^.^)
【Let's go, let's go, let's go, let's go♪】

【This is for the Wings fans!】

【ポール・マッカートニー & ハンドクラッピング・リズム・セクション】

【Now, you!】

【モット キキタァーイ?】


 このドーム初日で一番気に入っているのは “みんな僕に聞くんだ... どうやって曲を書くのかって。次の曲はこんな感じで始まったんだ...” というポールの語りからスーッと曲に入っていくアレンジがめちゃくちゃカッコ良い「ユー・ウォント・シー・ミー」だ。この曲は“ニホン ハツ コーカイ” であるだけでなく、ライヴでもあまり演奏されたことがない貴重なナンバーで、私の手持ちのブートでこの曲が入っているのは2004年のロシア・サンクトペテルブルク公演盤とスペイン・マドリッド公演盤の2枚のみ。しかもその時はオリジナルに忠実なアレンジだったのに対し今回は斬新でカッコいいアコースティック・アレンジなのだからたまらない。コレを生で聴けてたら鳥肌モンやったろうなぁ... (≧▽≦)
Paul McCartney One On One Tour Tokyo Dome 4/27 - You Won’t See Me


 又、「ジュニアズ・ファーム」「レッティング・ゴー」「レット・ミー・ロール・イット」「1985」と最初の10曲中4曲をウイングス・ナンバーが占めるというセトリはリアルタイムでウイングスを聴いて育った私にとっては涙ちょちょぎれる選曲だし、中でもこの日にしか演奏されなかった「レッティング・ゴー」はめっちゃ貴重なナンバーだ。これでオープニングが「ヴィーナス・アンド・マース~ロック・ショウ」とかやったらたまらんやろなぁ。
170427 Tokyo Dome Paul McCartney Letting Go


 ラス前で一気呵成に畳み掛ける「バースデー」も最高だ。2015武道館の時もこの曲で会場全体が異様なくらいに盛り上がっていたが、アウト・ゼア・ツアー時の「ヘルター・スケルター」よりもこっちの方がイケイケでノリやすいので、アンコールにピッタリの名選曲だと思う。この日に観に行けた人がホンマに羨ましいわ。
170427 Tokyo Dome Paul McCartney Birthday

Budokan April 25, 2017 The Movie / Paul McCartney

2017-06-12 | Paul McCartney
 この1ヶ月ほど、“ポール日本公演ブート祭り” みたいな感じで一人盛り上がっている。先週あたりからIEM(イヤモニ)のSBD録音盤やIEMをAUD録音とミックスしたいわゆるひとつのマトリクス盤がぼちぼち出始めてきてはいるが、ガチのAUD録音盤と映像DVD/BD-Rに関しては主要各メーカーほぼ出揃った感がある。ファンとしては嬉しい悲鳴だが、私の財布も同時に悲鳴を上げている(>_<)
 今回のジャパン・ツアー、セトリを見れば前回前々回とそれほど大きな変化はないのだが、「エイト・デイズ・ア・ウィーク」→「マジカル・ミステリー・ツアー」→「ハード・デイズ・ナイト」と変わったオープニング曲や毎回ファンが楽しみにしている “ハツ コーカイ”曲など、注目ポイントは少なくない。私は残念ながら今回のライヴには参戦出来なかったので、2013年や2015年のように“行った日のブート全部集めるもんね”というワケにはいかない。そこでとりあえず映像作品に絞ってライヴの全体像を把握することにした。
 まずは2017年最初のステージとなる4/25の武道館公演だが、最初に買ったのはNEMOという未知のレーベルから出たBD-R + DVD-R + CD-R 3点セット。これはライヴから数日とたたないうちにヤフオクに出ていたもので、レーベル名といい(笑)美辞麗句を散りばめたメーカー・インフォといい胡散臭さ満点だったが、一日でも早くポール武道館公演を観てみたいという好奇心には勝てず落札。BD-Rの映像自体は確かにHDクオリティで綺麗なモノだったが、1曲終わるごとに画面が真っ暗になるというアホバカ編集は完全に興醒めで、最後まで観るのに苦痛すら伴うクソゴミ盤だった。唯一の救いは付属のCD-Rの音質が予想よりも良かったことぐらいか... やっぱり知らんレーベルに手ぇ出したらアカンね。
 NEMOのリベンジにと買ったのがNANKER RECORDのBD-Rだ。このレーベルは前回の来日時に武道館や京セラの映像をクロース・ショットとステージ・ショットの2種類ずつ出しており、そのどれもが私的にはかなり満足のいく出来だったので今回も大丈夫だろうと考えて購入。ヤフー・カード新規入会特典の5,000ポイントのおかげでたったの1,000円で買えたのが嬉しい(^.^)
 映像はこのレーベルらしくアリーナ・ショットとスタンド・ショットの2種類のディスクが用意されているが見ものは当然アリーナ・ショットの方だ。時々前の人の頭が映り込む箇所はあるものの、NEMOのような不快な編集はされていないので安心してポールに見入ることができる。例のSGTコスプレ軍団が登場する場面では連中を避けてポールだけを映しているが、これって肖像権か何かの問題なんかな? まぁどうせこのチャプターはスキップボタンで飛ばすのでどーでもエエけど。
 ということでGWの頃はNANKERのBD-Rで一応満足していたのだが、5月の半ばにワンダーラストHPの新着情報で見たピカデリーDVDのサンプル映像にビックリ(゜o゜)  オーディエンス・ショットとしてはこれ以上は望めないんじゃないかと思えるくらいポールのアップ連発で、コレを買わずに何を買う?というレベルの衝撃的な映像だ。こんな神映像DVDが1枚3,600円、4公演全部買っても15,000円でお釣りがくるのだからホンマにありがたい。
 届いた盤は全編がサンプル映像通りの超クロース・ショットで、ポール・ファンならその一挙手一投足に目が釘付けになること間違いなし。これまでもピカデリーの来日公演DVDはほとんど全て買ってきたが、手ブレがひどくて酔いそうになった2013年盤や至近距離まであと一歩迫りきれずに寸止め状態だった2015年盤に比べ、今回の2017年盤は手ブレ白とび極少で至近距離ショット満載の見事な映像作品に仕上がっているのだ。
 この盤はアリーナから2台、スタンドから1台という3カメラ・ミックスの編集になっているので、ポールがステージ中央に立とうが、ステージ右手でピアノに向かって歌おうがカメラを切り替えて最適なアングルからライヴを楽しめるところがいい(^.^)  1カメだとどうしても単調な映像になってしまうし、角度によってはライトの加減でポールの顔が白光りしてしまうのが避けられないからだ。この3カメ体制ひとつをとっても有象無象の他メーカーとは激しく一線を画しているし、SGTコスプレ軍団のシーンがバッサリとカットされているのも嬉しい。武道館公演最大の汚点と言うべきこの小っ恥ずかしいだけの「ファン・オン・ステージ」をキレイさっぱりカットしたピカデリーはファンがブートに何を求めているかをよく分かってるなぁと感心させられた。
【額の汗までクッキリ】

【ナンジャコリャァア!】

【ツギノ キョクハ...】

【お約束の ETタッチ】

【モウソロソロ...】


 音声の方は別の音源をシンクロさせてあるとのことだが、ブラビアを核とするウチのAVシステムでは申し分のないド迫力サウンドが楽しめた。中でも私が一番気に入っているのは「ラヴ・ミー・ドゥ」で、会場全体が一体となった手拍子が武道館独特の音響効果と相まって絶妙なマッタリ感を生んでおり、この曲の新たな魅力に気付かせてくれた私的ベスト・ヴァージョンだ。
 これだけ完成度の高い映像作品なので欲を言えばブルーレイで出してほしかったところだが、贅沢を言い出したらキリがない。そういうワケで、ピカデリー・サーカス・レーベルが “ポールのスペシャリスト” としてのメンツをかけてリリースした “映像良し、編集良し、音声良し” のこのライヴDVDは4・25武道館を体験できなかった私にとってはかけがえのない1枚なのだ。
Paul McCartney / Love Me Do 25 April 2017 Nippon Budokan TOKYO JAPAN

Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band [Anniversary Super Deluxe Edition]

2017-06-04 | The Beatles
 「サージェント・ペパーズ」の50周年記念スーパーデラックス・エディションが届いた。4月の初めにアマゾンで予約し、その後は各国盤LPやらポールの来日公演ブートやらで頭が一杯だったので5月の末に発送連絡メールがきた時は “あぁそういえば「ペパーズ」予約してたなぁ...” ぐらいの軽い気持ちだったのだが、実際に届いたアマゾンの段ボールを手にしてビックリ... めちゃくちゃデカくて重いやん...(>_<)  「ウイングス・オーヴァー・アメリカ」のボックス・セットを彷彿とさせるスーパーヘビー級のパッケージだ。CD4枚+BD+DVDの計6枚組で、毎度のことながらブックレットやら何やらの付属物をゴテゴテ付けて15,000円オーバーというファンの足元を見た姑息なボッタクリ商法には正直ウンザリだが、まぁこればっかりはどうしようもない。
The Beatles – Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band – Anniversary Edition Trailer


 ストーンズの「サタニック・マジェスティーズ」みたいな3Dスリップケースからマスターテープの写真付きボックスを引き抜いて(←日常聴きの邪魔になるこういう面倒くさい作りはハッキリ言って大嫌い。無意味な所に金をかけずにその分値段を下げろよと思ってしまう...)中を見るとポスターやらブックレットやらハードカヴァーの豪華本やらが入っている。LPジャケットを模したゲートフォールド・カヴァーの中に薄っぺらい紙ジャケを差し込むようになっていて肝心のCDやBDはその中に収められているが、実用性無視の取り出しにくい作りなので紙ジャケ6枚を引き抜いてCD棚・DVD棚に並べている。
 CDはディスク1が「サージェント・ペパーズ」のニュー・ステレオ・ミックス、ディスク2と3が収録曲の未発表アーリー・テイク、そしてディスク4がニュー・モノラル・ミックスということで、イの一番にターンテーブルに乗せるのは当然ディスク1の最新リミックスだ。プレイボタンを押すと例の観衆のざわめきのSEに続いてヘヴィーなギターが唸りを上げるのだが、これがもうめちゃくちゃパワフルな音でビックリ(゜o゜)  ポールのベースがゴツゴツした岩のような引き締まった音で音楽の根底を支え、ユンケルでも飲んでパワーアップしたかのようなリンゴのダイナミックなドラミングの一打一打がズシリ、ズシリとまるで軍隊の行進のように響く。音像がまるで万華鏡のように3次元的にパァ~ッと広がって眼前に屹立するのだからまたらない(≧▽≦)  とても50年前の録音とは思えない瑞々しいサウンドである。冒頭の空耳 “ポールのアホ!” もめっちゃクリアーに聞こえて思わず笑ってしまう(^.^)
 ビートルズのリミックスと言えば賛否両論喧しかった「イエロー・サブマリン・ソングトラック」が思い浮かぶが、この2017リミックスはハッキリ言って次元が違う。ジャイルズ・マーティンへのインタビューによると、今回のリミックスは “ビートルズが渾身の力を込めて制作したモノ・ヴァージョンをステレオにする作業” であり、そのせいかヴォーカルが中央寄りに移されて各楽器の定位もオリジナル・ステレオ・ミックスとは変えられているのだが、最新のテクノロジーを駆使して「ペパーズ」の根底に脈打つ熱いライヴ感を見事に表現しているところが何よりも素晴らしい。音の細部まで徹底的に磨き上げ、丹念に作り込んだ今回のニュー・リミックス... 音圧が高くブライト&クリアーなサウンドで聴く “スリー・ディメンション” な「ペパーズ」は圧巻だ。とにかく可能な限りの大音量で音の洪水の中に身を投げ出すようにして聴くと、その凄さが実感できると思う。
 ディスク2と3の未発表アーリー・テイクは結構興味深いものが多く、 “へぇ~、この曲って元々こんな感じやったんか...” という驚きや発見が多々あったが、この手の未発表テイクはあくまでも interesting な音源であって所詮は未完成品。私的には決して日常聴きするようなものではない。というか、ディスク1の衝撃が大きすぎてどうしてもそっちばっかり聴いてしまうというのが正直なところだ。
 ディスク4のニュー・モノラル・ミックスは、ディスク1の直後に聴くと幻滅するので要注意(笑)  私はそれをやってしまって “何じゃいこの味気ないサウンドは...” 状態に陥ったので日を改めて、2009モノ・ミックスと同時再生してプリアンプのスイッチを切り替えながら聴き比べを敢行してみたが、ウチのシステムでは2017ミックスの方が少しクリアーかなという程度で、普通に聴く分にはその違いはほとんど分からないレベルだった。興味本位でUKモノラル1stプレス盤も聴いてみたが、やっぱりアナログの音は全然違いますな(^.^)  ということで私の「ペパーズ」は今後、モノラルはUKオリジナル盤、ステレオはこのセットのディスク1がスタンダードになりそうだ。
 BDに収録のハイレゾ音源に関しては再生環境がないので何とも言えない。まぁそのうち5.1chサラウンドにハマる時が来るかもしれないのでそれまでのお楽しみに取っておくとしよう。「メイキング・オブ・サージェント・ペパーズ」に関しては、ブートDVD-Rで持ってはいたものの、やはりオフィシャルのクリアーな音と映像は別格だ。内容については以前このブログで取り上げたのでここには書かないが、故ジョージ・マーティンが「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」(テイク1)を流しながらジョンの “シュガー・プラム・フェアリー♪” というカウントに聴き入る時に見せる何とも言えない優しげな表情が最高に好きだ。
 イギリスでは今回の「サージェント・ペパーズ」が1週間で37,000セットを売り上げてチャート1位になり、“50年ぶりのチャート1位返り咲き”という新記録を打ち立てたという。いやはやまったくもう、ビートルズのアーティスト・パワーは凄いとしか言いようがない。この勢いに乗って来年あたり「ホワイト・アルバム・ボックス」出してくれへんかなぁ... というか、ジャイルズには是非とも偉大なる父親の衣鉢を継いでもらって「リヴォルヴァー」や「ラバー・ソウル」といった他のアルバムもどんどんリミックスしてほしいものだ。
【行列】ビートルズファン