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29/05/2009

裁判例に言及する場合のサイテーションルール

 矢部善朗創価大学法科大学院教授が、次のように述べています。

 小倉弁護士は、引用しない理由として「高裁判決については,矢部教授がサイテーションをつけていないので,引用できません」と書いています。

 サイテーションというのは、判決を特定するための判決年月日等の情報のことだと思いますが、小倉弁護士は、私が判決年月日を明示しないと高裁判決を検索できないのでしょうか?

 法律専門家の間では、裁判例に言及する場合、言及する側が、判決裁判所名、判決年月日、掲載誌・号・頁を明記するのが当然の作法です(公刊された判例集、判例雑誌に未だ収録されていない場合は、「判例集未登載」等と記載するのが一般的であり、特定の判例データベースの独自収集裁判例の場合その旨明記することもしばしば行われています。)。創価大学での学内ルールがどうなっているのかは知りませんが、一般的にはそうです。

 サイテーションがなされていないことを指摘されて、「私が判決年月日を明示しないと高裁判決を検索できないのでしょうか?」などと文句を付けてくる法律専門家がいるという事実は、ある意味新鮮です。でも、よい子の皆様は真似しないで下さいね。



 で、矢部教授が引用した判決文を読む限りにおいては、高裁判決は説得力がないと思いました。少なくとも、被告人の供述が絶対に作り話であると思わせるような理由付けはできていないように思いました。まあ、無罪判決を書きたくない、被告人よりも捜査機関を常に信用していたい裁判官にあたってしまうとこのように判示されてしまうので、取調中捜査官が何を被疑者に語ったのかを確実に証拠化する「取調べ過程の全面録音・録画」は絶対に必要だとの思いを新たにしました。公明党(≒創価学会)は、今年に入ってもまだ、「取調べ過程の全面録音・録画」に反対し続けているようですが。

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