2025-04-01

フジテレビ第三者委員会 調査報告書中居氏の性暴力

大小さまざまなメディアが「フジテレビ第三者委員会調査報告書」を受けて記事を発表している。

その中で、第三者委員会中居氏による性暴力認定したと報じている記事がある。しかし、「なぜフジテレビの社内ガバナンス人権への取り組みを問う第三者委員会が、中居氏の性暴力認定するのか?」と疑問を持ち、報告書を読んでみた。

https://www.fujitv.co.jp/company/news/250331_3.pdf

報告書は十分に調査されており、事実裏付け考察もなされている。ただし、結論として確かに第三者委員会は「性暴力認定」しているものの、それは世間一般想像する認定より緩い内容であった。

報告書では以下のように記述されている。

P26 2 本事案に関する認定

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委員会への調査委嘱事項は「本事案への当社の関わり」「本事案を認識してから現在までの当社の事後対応」であり、当該事実を詳細に事実認定調査報告書記載することを目的とするものではないと判断したことから女性Aの人権及びプライバシー尊重し、女性Aから同意が得られた範囲調査報告書事実記載した。

(中略)

本事案そのものについては、女性A及び中居氏は双方に対して守秘義務があることから委員会中居氏及び女性Aからヒアリングを行うことができなかったため、具体的な行為態様については明らかでない部分がある。

(中略)

その結果、当委員会は、2023年6月2日女性Aが中居氏のマンションの部屋に入ってから退室するまでの間に起きたこと(本事案)について、女性Aが中居氏によって性暴力による被害を受けたもの認定した。

(中略)

このように、「性暴力」には「同意のない性的行為」が広く含まれており、「性を使った暴力全般意味する。

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報告書のP26,27を読むことを推奨するが、要点をまとめると以下のような内容である

フジテレビ問題を論じるにあたり、中居氏の性暴力の有無が重要であり、調査必要だった。

・実際の性暴力の具体的内容は不明だが、女性Aの示談前の相談内容と心身の症状を考慮すると、何らかの性的人権侵害が発生したと判断するのが妥当であるとされた。

・本報告書は、女性Aの人権およびプライバシー尊重し、女性Aから同意が得られた範囲事実記載している。

まり、「第三者委員会としては詳細は記述しないが、中居氏の件は状況を鑑みて何らかの性暴力があったと判断する」という認定であった。

ただし、「性暴力」の定義は極めて広義であり、以下のように示されている。

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「性暴力」とは「強制力を用いたあらゆる性的行為性的行為を求める試み、望まない性的発言や誘い、売春、その他個人の性に向けられた行為をいい、被害者との関係性を問わず

家庭や職場を含むあらゆる環境で起こり得るものである。また、この定義における「強制力」とは、有形力に限らず、心理的威圧、ゆすり、その他脅しが含まれもので、その強制力の程度は問題とならない。

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この定義に従えば、「家に呼んだ時点で性暴力に該当する可能性がある」という解釈も成り立ちうる。

報告書には、呼び出しの経緯や方法に関する事実調査の内容が記載されているものの、いわゆる世間が考える「性暴力」に該当する具体的な行為には触れられていない。そのため、これをもって「第三者委員会中居氏の性暴力認定」と報道するのは適切なのか疑問である

もし中居氏の性暴力報道するのであれば、メディア真剣取材事実検証を行い、慎重に報じるべきである第三者委員会の性暴力認定定義が広く、詳細な事実には触れられていないため、「中居氏の問題」としては何も言っていないに等しい。それを切り取って報道するのは、事実曲解であり、報道の質の低さを露呈している。

また、この第三者委員会報告書には、中居氏に対する「怒り」がにじんでいるように感じられる。これは、おそらく「女性Aの人権およびプライバシー尊重し、同意が得られた範囲記載した」という制約の下では語られていない、より詳細な事実委員会が把握しているためではないかと推測する。

報道機関には、このブラックボックスを「中居氏の問題」として解明し、同様の被害が二度と発生しないよう努めてもらいたい。

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