絶景はあんまり可愛くなくて、話しても特に面白いわけでもなく、付き合うメリットがあまりない相手ではあったが、飛び抜けた欠点があるとは思えなかった
いや、一つあったか。からかわれるとすぐに親にチクり、親は親ですぐに先生に報告するという特徴があった
その特徴もあって、クラスの男子の何らかの言動が彼女のかんに障り、親を通じて学校に連絡が行き、当該男子がHRで謝罪するというイベントが起きた
クラスの大多数と絶景が決定的に決別したのはこのタイミングだったと思う
絶景と親しくしようものなら「そっち側の人間か」と思われかねないので、ほとんどの中立的な人間は絶景を避けた
絶景自身に、逆境を無視してでも付き合いたいと思えるようなチャームポイントがなかったのも致命的だった
クラスで一番性格のいい女子が彼女を少し構ってやったところ、絶景は彼女に付きまとうようになった
当然、性格のいい女子は他の女子からも人気なので、すぐに救出されたが
そこから「絶景に構うと付きまとわれる」という経験則が広がり、決定的に絶景は避けられるようになった
しかし避けられているだけなのでチクりは通じない
かくして増田たちは絶景を空気のように扱う1年間を過ごしたのであった
あの時の空気感は忘れようがない
比較的優しくて温厚で善良な同級生さえ絶景のことは視野に入れないようにしていた、あの生温く気まずい空気
あの経験をしてふと思った。ブスと無キャは何かで秀でなければならない
趣味でもいい運動でも勉強でもいい、とにかく「この人の話を聞きたい」と思われる何者かにならなければ、無視されるいじめから脱却することはできないのだ