進化の不思議その2

 先週、進化の不思議について書いた。たとえば、痛みという体がどうかなっているぞという信号や血液の凝固、免疫なんかの仕組みが放っておいたらできてしまったというのはなんとも不思議だ、という話だ。

 年をとるといろいろと体に不具合が出てくる。筋力は落ちるし、代謝は落ちるし、目は老眼になるし(これは目のレンズの筋力の低下だ)、骨ももろくなる。これらはおおよそ全ての人が体験することだ。あとは人によって心臓が悪くなったり、肝機能が落ちたり、脳の血管が脆くなったり詰まったりする。だいたいにおいて、年をとるということは低下方面に向かうのであって、年寄りの会話に体の不具合の話が増えるのは当然ではある。

 こうしたことを後ろ向きにとらえるのはまあ、普通だが、しかし捉えようによっては人間の体という実によくできた仕組みがだんだんと機能しなくなっていくわけで、むしろ今まで機能していたほうがすごいことなんじゃないかとも言える。

 おれも年取って、あちこち不具合が多くなった。しかし、今まで具合がよかったほうが進化という視点で見れば見事だったとも言える。ダメになっていくのではなくて、元々のほうに戻ってきているのだ。

 負け惜しみに聞こえる? (昭和天皇の声で)あ、そう。

あ、そう。

File:Aso taro 20160622.jpg - Wikimedia Commons