そんなにニッポン、ニッポンと騒がなくてもいいのではないか

 ニッポン・バンザイ論とでも言うべきものがあって、ことさらにニッポンは素晴らしいと言いつのる。日本料理は素晴らしい、歌舞伎は素晴らしい、俳句は素晴らしい、歴史にはこんな偉人がいた、そんな国に生まれて誇らしい、おお見よ、我らニッポン人と鼻高々になる。

 その割には外国からの評価ということを気にかけて、外国人がニッポンは素晴らしいと言っているのを見聞きすると有頂天になる。YouTubeにはその手の動画がわんさかある。「世界が驚愕!日本の〜」などと大袈裟なタイトルをつけながら、その世界とはアメリカかせいぜいヨーロッパの大国だけだったりする。

 なんだか、鏡を見てニヤついている人、世間の評判をやたらと気にする人みたいで、みっともないとまでは言わないが、あまり様子のいいものではない。他人の手柄で自分まで高まったような気持ちになるのは、わからんでもないが、少々セコい感じもする。

 おれも和食は好きだし、歌舞音曲もいいものはいいと思う。日本建築も好きだし、日本の文芸、話芸に好きなものは多い。しかし、それは生まれてから育った風土のおかげで慣れ親しんでいるからというところが大きく、エチオピアに生まれたらエチオピアの文化や風俗が好きになるだろうし、コロンビアに生まれたらコロンビアの文化や風俗が好きになるだろうし、アメリカに生まれたらアメリカの文化や風俗が好きになるだろうし、モンゴルに生まれたらモンゴルの文化や風俗が好きになるだろうと思う。

 一言で言えば、ニッポン人であるということに対して自意識過剰な人が多いんではないか、とそう思うよね。世界は広いし、いろいろといいものがある。内ばかり見てヨロコんでいうのもなんだかなー、と思うのだ。