乗り物疲れ

 昨日は大阪に出張だった。

 新横浜から新大阪までおおよそ二時間くらいなのだが、それでもなんだか疲れる。新幹線のなかで仕事しようとしたのだが、パソコンに文字を打っているうちになんだか酔ってきて、よしにしてしまった。

 たった二時間でどうしてこう疲れるのかと思うのだが、ひとつには揺れがあるかもしれない。のぞみは結構なスピードで走るから、案外と揺れる。揺れが体にじわじわと響いて、虚弱なおれは疲れてしまうらしい。行きはそれほどでもないのだが、帰りが疲れるのは一日の疲労も加わってだろうか。

 二時間程度で愚痴を言ってしまったが、新幹線のなかった昔の人は大変だったろうと思う。谷崎潤一郎の「台所太平記」に鹿児島出身の女中さんの話が出てきて、戦前から戦後すぐくらいまで、鹿児島から大阪、京都まではほぼ二十四時間くらいかかり、しかも汽車のなかでは立ち詰めだったと書いてあったと思う。おれにはとても無理だ。

 無理といえば、外国に行く飛行機も苦手で、ヨーロッパなら十数時間。ずっと座っているのはなんとも苦痛である。シベリア(まだロシア上空が飛べた頃)あたりで「ここでいいから、もう降ろしてくれ!」と言いたくなる。

 電車に乗るのが好き、飛行機に乗るのが好き、という人もいるのだろうけど、おれはどうも乗り物で長時間(大阪で二時間程度だけど)過ごすのが嫌なようである。まあ、二十四時間も汽車に揺られるような時代にうまれなかっただけ、マシとしようか。

 

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