気遣いのないやつ

 どうも道徳・説教じみて申し訳ないのだが、世の中には気遣いのないやつというのがいて、まわりに迷惑をかけて平然としている。

 その一にクチャクチャ噛む音を立てて物を食うやつというのがいる。飯屋でたまたま隣にこういうやつがいると災難で、クッチャクッチャ口の中で食べ物を噛み、混ぜ合わせている音を聞きながら自分のものを食べる羽目になる。なんとはなしに隣のやつの口の中を目にする(耳にする)ようで、げんなりする。

 まあ、これは気遣いがないというより、自分でもクチャクチャ立てている音に気づかないか、気にしていないのかもしれない。

 その二に電車や飯屋のカウンター(飯屋ばかりだな、話が)で自分の隣の席に荷物を置いて平然としているやつがいる。空いているならまだいいのだが、混んでいる電車なんかで平然と二人分の席を占領しているやつを見ると、「コイツは何を考えているのであろうか?」なんぞと思うのだが、まあ、何も考えていないのであろう。

 その三にクルマのクラクションを鳴らし続けるやつ。ビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー、なんぞとクラクションのボタンを押し続けて、平和なまちの静寂をぶち壊して平気でいる。おそらく、前に駐車しているクルマが邪魔か迷惑で、運転手、出てこい、と抗議しているのであろうが、クラクション鳴らしているお前が迷惑である。しかし、これこそ、まわりに気遣いのないやつであるから、自分がまわりに与えている不快感には無頓着でいる。

 気遣いのないやつはある意味、楽だろうな、と思う。物を考えずに生きていられるから。しかし、自分がそういうやつになりたいかというと、いやだな。いやだ、いやだ。