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岩の間に咲くイワツメクサ

日本アルプスに咲く”ど根性花”!岩の隙間に咲く、たくましくも奥ゆかしいイワツメクサ

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イワツメクサは日本アルプスなど亜高山帯以上の砂礫地や岩壁にひっそりと咲く高山植物。地味ですが、よく見るとかわいらしい清楚な花で、「なぜそこに?」と、思わずつぶやくような厳しい環境に咲く“ど根性花”でもあります。

今回は、イワツメクサの特徴やエピソード、似た花との違い、おすすめの観賞地を紹介します。

目次

アイキャッチ画像出典:PIXTA

岩の間に咲く日本固有種のイワツメクサ

イワツメクサ
出典:PIXTA

イワツメクサ(岩爪草 別名オオバツメクサ)は、ナデシコ科ハコベ属の多年草の高山植物。日本固有種で、本州中部と富士山、白山に分布し、海抜2500m以上のハイマツ帯より上に自生します。


高さ5~20cm。葉は細長く3cmほど。花は白色で直径約1.5cm、花期は7~9月です。花びらは10弁のように見えますが、実は5弁。1弁が2つに分かれているので10弁に見えています。

学名は「Stellaria nipponica(ステラーリア・ニッポニカ)」。Stellariaはラテン語で星に由来する言葉で、花の形が星の形のようだからです。

稜線の砂礫地に咲くイワツメクサ
出典;PIXTA(稜線の砂礫地に咲くイワツメクサ)

山頂近くの岩場や砂礫地に自生する高山植物で、夏の日本アルプスの稜線を歩くと高い確率で遭遇しますが、ちょっと地味なので、素通りしてしまうこともあります。

岩の間に咲くイワツメクサ
出典;PIXTA(岩の間に咲くイワツメクサ)

名前は岩の間に咲く”ツメクサ”というのが由来。“ツメクサ”というのは、細い葉の形を鳥の爪に見立てたものです。

里山に咲くツメクサ
出典:PIXTA(里山に咲くツメクサ)

ちなみに、単なる”ツメクサ”は里山をはじめとして、庭や道端、畑など、どこでも見ることができる花です。

北海道にはオオイワツメクサ、エゾイワツメクサが分布

北海道には、おなじナデシコ科ハコベ属のオオイワツメクサ(大岩爪草)、エゾイワツメクサ(蝦夷岩爪草)という近縁種が自生しています。

エゾイワツメクサ
出典:PIXTA(エゾイワツメクサ)

エゾイワツメクサは大雪山系の固有種、オオイワツメクサは日高山系、夕張山系の固有種で、イワツメクサより花や茎が全体的に大きく、葉が厚く、縁毛付いているのが特徴です。
イワツメクサとよく似ていますが、分布が違うので混同することはありません。

花言葉は「奥ゆかしい」 「初恋」、でも、とってもたくましい

奥ゆかしいイワツメクサ
出典:イワツメクサ

花言葉は「奥ゆかしい」と「初恋」。真っ白で小さな初々しさから「初恋」、岩陰にひっそりと咲くことから「奥ゆかしい」と付いたそうです。

岩の隙間から顔を出すイワツメクサ
出典:PIXTA

「奥ゆかしい」と言われる一方、風が吹き晒す、水分や栄養が乏しい場所に生育する姿は、奥ゆかしいというよりたくましさを感じます。

撮影:筆者

岩の間に堆積したわずかな土壌の有機物や、雨や霧の中に含まれる微量の栄養分により生育するそうです。
岩の隙間から顔を出している様は、まさに“ど根性花”そのもの。いろんな意味で見習いたいものです。

登山道に咲くイワツメクサ
出典:PIXTA

なぜ、そこに?といいたくなるような、登山道の真ん中に咲いていたりするので、踏みつけないように気をつけましょう。

似てるけど違う!イワツメクサに似た花3つ

イワツメクサが咲く付近には、パッと見には似ている花が咲いていることがあります。しかし、よく見ると違うので、迷うことはないでしょう。紹介する3つの花はどれも日本固有種です。

タカネツメクサ(高嶺爪草)

タカネツメクサ
出典:PIXTA

ナデシコ科タカネツメクサ属の多年草。花びらがはっきりと5枚で、ひとつひとつが大きめなので、一目で違いがわかります。本州中部地方と、東北地方の飯豊山に分布します。

ホソバツメクサ(細葉爪草)

ホソバツメクサ
出典:PIXTA

こちらもナデシコ科タカネツメクサ属なので、花はタカネツメクサと似ていますが、葉が細く小さいとところが違います。本州中部地方以外では、北海道に分布します。

ミヤマミミナグサ(深山耳菜草)

ミヤマミミナグサ
出典;PIXTA

ナデシコ科ミミナグサ属の多年草。花びらがたくさん割れてフサフサしているので、ちょっと豪華な花に見えます。北アルプス、南アルプス、八ヶ岳のほか、浅間山や日光の亜高山帯以上に分布します。

イワツメクサを見るならココがおすすめ

イワツメクサは標高が高い場所に限られるため、見るためには亜高山帯以上の場所に行く必要があります。しかし、比較的、見る機会が多い花でもあります。ここでは、いくつかピックアップして紹介します。

富士山(静岡県・山梨県)

富士山 富士宮ルート 富士宮口五合目
出典:PIXTA(富士山 富士宮ルート 富士宮口五合目)

富士山の富士宮口五合目(標高 約2,400m)からの富士宮ルートなどでよく見られます。

富士山のイワツメクサ
出典:PIXTA

赤茶けた溶岩やスコリア(火山噴出物)の間に生育する姿は結構シュールです。

乗鞍岳(長野県・岐阜県)

乗鞍岳畳平
出典:PIXTA(乗鞍岳畳平)

乗鞍岳登山の玄関口である、畳平(標高 約2,700メートル)周辺や、山頂までの登山道周辺に自生しています。バスターミナルからすぐの場所にも生育しているので、登山しなくても見ることができます。

木曽駒ケ岳(長野県)

夏の千畳敷カール
出典:PIXTA(夏の千畳敷カール)

たくさんの花が咲く千畳敷(標高 約2,600m)や、木曽駒ケ岳への登山道周辺で見られます。こちらもロープウェイで行くことができますので、登山する必要はありません。

白馬岳(長野県・富山県)

白馬岳への縦走路
出典:PIXTA(白馬岳への縦走路)

白馬岳山頂(標高2,932 m)直下でよく見られます。また、北アルプスらしい、雄大な稜線歩きを楽しみながら、様々な花とともに、イワツメクサを見ることができます。

北岳・間ノ岳・農鳥岳(山梨県・静岡県)

北岳山頂より 間ノ岳を臨む
出典:PIXTA(北岳山頂より 間ノ岳を臨む)

白根三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)の3000m峰を結ぶ稜線上、長く続く砂礫帯で、たくさん自生しています。

白山(石川県・岐阜県)

白山 御前峰からの展望
出典:PIXTA(白山 御前峰からの展望)

白山(標高 2,702m)は、イワツメクサ分布の西端ともいえる場所。御前峰の山頂近くの砂礫帯・岩礫帯で多く見ることができるができます。

イワツメクサに元気をもらおう!

イワツメクサに元気をもらおう!
出典:PIXTA

おそらく、好きな高山植物を聞いて、真っ先に「イワツメクサ」という人は、まずいないでしょう。それぐらい地味で目立たない花です。
今まで、なんとなく素通りしてしまっていたなら、ちょっと足を止めてよく見てみませんか?厳しい場所で健気に咲く姿に、きっと元気をもらえますよ。

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