[時代の証言者]キッチンから幸せ 平野レミ<24>鍋開発「ベンツ3台分」
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料理の仕事の撮影で、台所が食材や茶わんであふれるようになります。そうなると困るのが、フライパンの蓋の置き場。大きいので台所が狭くなるのです。
立てて置けるフライパンの蓋を探したけれど見つからない。私のために作ってくれる工場はないかと思っていたら、1999年(平成11年)ごろに新潟の「オダジマ」という会社から電話がありました。
《金属加工が盛んな新潟県燕市にある「オダジマ」は、フライパンの蓋や蒸し器など調理雑貨の製造会社。安価な輸入品に対抗するため、新商品の開発に乗り出していた》
当時の社長でいまは会長の小田島直人さんに会って話を聞くと、蓋を立てて置けるようにできるというのです。そして「レミさんの理想の鍋があるなら、うちの工場で作りたい。良いアイデアはありませんか」。驚いてしまって、神様が私の願いを
当時の日本のフライパンは、深さ5センチほどの浅型でした。でも、私が使っていたドイツ製の鍋は、深型で煮物だけでなく、炒めたり焼いたりするのにも使えて便利でした。だから、8センチと深型にして、フライパンを振って炒め物をしても、食材が鍋の外に飛んでいかないよう底に微妙なカーブをつけてもらいました。