「スマートおむつ」に犬型ロボや眼鏡型端末…エイジテック、高齢化進む先進国で商機
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【ラスベガス(米ネバダ州)=坂下結子、奈良橋大輔】米ラスベガスで開催されている世界最大級のテクノロジー展示会「CES」で、高齢者の身体機能の衰えや障害をサポートする技術が注目を集めている。「エイジテック」と呼ばれる技術で、先進国を中心に高齢化が進む中、市場拡大が期待されている。
介護負担軽減
「旭化成エレクトロニクス」(東京)は、排尿を検知する「スマートおむつ」を出展した。おむつに取り付けた導電性素材が尿に反応して発電し、その電力でおむつに取り付けた水分量を読み取るシステムを動かして、タブレットなどの端末に通知する。
おむつを早く交換でき、介護する人、される人双方の負担軽減につながる。グレッグ・ラウズ米支社長は「高度なセンシング技術とエイジテックは相性がよく、収益の柱の一つになり得る」と述べた。
電子部品大手のTDKは、高齢者や視覚障害者の歩行をサポートする「スマート
新興企業
スタートアップ(新興企業)の出展も目立つ。米国の高齢者団体「AARP」のブースには新興企業約25社の製品が並んだ。「ザンダー」は、会話の内容を文字に起こし、字幕のように表示する眼鏡型端末を披露した。耳が遠くなったお年寄りや難聴者のコミュニケーションに役立つ。
「エイジレスイノベーション」は、犬や猫の形をしたロボットを紹介。触ると首をかしげたり鳴いたりして、高齢者の孤独感を和らげるという。
大阪大発の「エルシオ」(京都市)は、自動でピントを調整するスマートグラスを出展した。白内障や老眼でも、複数の眼鏡を持ち歩く必要がない。
市場拡大
エイジテックが注目される背景には、世界で急速に進む高齢化がある。日本では、65歳以上の高齢者の割合が2023年10月時点で29%に達している。国連の推計によると、世界でも高齢者の割合は23年に10%となり、50年には16%に増える見通しだ。
市場も拡大が見込まれる。調査会社のBCCリサーチは、高齢者のケアサービスと支援機器を合わせた世界の市場規模が、24年の137兆円から29年には173兆円になると推計している。
日本貿易振興機構(ジェトロ)の担当者は「高齢化先進国である日本の企業の製品は現実的な課題に即したものが多く、海外で注目されている」と話す。