龍山文化とは? わかりやすく解説

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りゅうざん‐ぶんか〔‐ブンクワ〕【竜山文化】

読み方:りゅうざんぶんか

中国黄河中・下流域栄えた新石器時代晩期文化。仰韶(ぎょうしょう)文化・大汶口(だいぶんこう)文化次いで興ったもので、黒陶使用特徴とする。最初に発見され城子崖遺跡がある山東省竜山鎮にちなむ命名ロンシャン文化


龍山文化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/16 02:13 UTC 版)

卵殻陶でできた高柄坏。山東省諸城市呈子遺跡から1976年に出土した龍山文化の陶器

龍山文化(りゅうざんぶんか、龙山文化拼音: Lóngshān wénhuà: ロンシャン・ウェンフア, 紀元前3000年頃-紀元前2000年頃)は、中国北部(華北)の黄河中流から下流にかけて広がる新石器時代後期の文化である。黒陶が発達したことから黒陶文化ともいう。

概要

龍山文化は、中原龍山文化(河南龍山文化陝西龍山文化)および山東龍山文化に分かれている。山東龍山文化は黄河下流を中心に存在した大汶口文化に続いて現れており、河南龍山文化は黄河中流に存在した仰韶文化に続いて登場している。龍山文化は黄河流域のそれまで異なった文化が栄えていた地域に広がっただけでなく、長江流域など後に漢民族の文化が栄える地域一帯に影響を及ぼした。

黒陶と都市の発達

卵殻陶でできた高柄杯。山東龍山文化の出土品
鬹(き)、三本脚の調理器。山東龍山文化の出土品
龍山文化の範囲

龍山文化は、山東省東部の章丘県龍山鎮にある城子崖で1928年城子崖遺跡が出土し、1930年以降本格的に発掘されたことから来ている。龍山文化の特徴は、高温で焼いた灰陶・黒陶を中心にした陶器の技術の高さにあり、器の薄さが均一であることからろくろが使われていたと見られる。特に卵殻陶と呼ばれるものは、器を卵の殻のようになるまで(0.5 - 1mm)薄くした黒陶の陶器で、さらに磨きをかけて黒光りさせるか精細な文様を彫り込んだものである。これは黄河流域のみならず長江流域や中国の南部海岸付近でも発見されており、龍山文化の広がりを示している。一方で長江中流域の屈家嶺文化も灰陶・黒陶を特徴とする文化で河南省付近にまで影響を広げており、龍山文化が長江付近の文化の影響を受けた可能性もある。

陶器の生産の効率の上昇は、出土する陶器の数や種類が前の文化に比べ増大したことにもみられ、、鬹、高柄杯など、調理器や食器として使われた多様な黒陶・灰陶の陶器が出土している。

陶器のほか、石包丁など石器や骨器などの武器や道具、ヒスイなどの玉なども出土している。龍山文化の後期には青銅器も出現しており、代・代(あるいは殷の前にあったとされる代)の青銅器時代に入る過渡期であったと考えられる。

龍山文化の社会に現れた大きな変化は、都市の出現である。初期の住居は竪穴建物であったが、やがて柱や壁を建てた家屋が出現した。また土を突き固めた城壁が出土しており、特に山西省襄汾県の陶寺郷の南で発見された陝西龍山文化の遺跡・陶寺遺跡紀元前2500年 - 紀元前1900年)は龍山文化の都市遺跡の中でも最大級のものであった。

農業や手工業の発達も特徴である。陝西省の渭河周辺では農業と牧畜業が仰韶文化の時期に比べ大きく発展している。コメの栽培も始まっており、カイコを育てる養蚕業の存在と小規模な絹織物の生産の開始も確認されている。

動物の肩胛骨を使った占いや巫術も始まっており、宗教も出現していたとみられる。農業などの発達により、社会の生産に余剰が生まれ、私有財産が出現し社会の階層化が進み、父権制社会や階級社会が誕生した。

中国の新石器時代の人口は、龍山文化で一つのピークに達したが龍山文化の末期には人口は激減した。同時に墳墓の副葬品から高品質の卵殻陶・黒陶なども見られなくなった。

龍山文化の区分

龍山文化の前期は紀元前3000年から紀元前2600年ごろで、紀元前2600年ごろから紀元前2000年ごろが後期とされている[1] 。また龍山文化は黄河流域の地形に合わせて、中原の河南龍山文化、渭河沿いの陝西龍山文化、黄河最下流の山東龍山文化など地域ごとにさまざまに分化しており、特に後期になると分化が明確になる。渭河沿いは後にシルクロードと呼ばれる西域への交易路の起点であり、中国の歴史の中心の一つとなった。

脚注

  1. ^ Kwang-chih Chang, "The Formation of Chinese Civilization: An Archaeological Perspective", 2005, Yale University Press, 384 pages ISBN 0300093829

関連項目

外部リンク


龍山文化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 05:49 UTC 版)

黄河文明」の記事における「龍山文化」の解説

龍山文化(紀元前2500年?~紀元前2000年?)は中国中央研究院歴史語言研究所によって1930年山東省章丘県龍山鎮で発見され黒陶黒色土器)や灰陶特色とする文化黒陶薄手精巧に作られ黒色土器で、製作にはロクロ使用されていた。焼成温度は約1000度以上。 後期には銅器鋳造行なっていた。中原龍山文化(陝西龍山文化・晋南豫西龍山文化・河南龍山文化)と山東龍山文化とに分かれる中原龍山文化は仰韶後期文化継承し灰陶主流。骨を灼いてひび割れを見る占卜この頃始まったとされている。山東龍山文化は大汶口文化継承しており、黒陶主流

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「龍山文化」を含む「黄河文明」の記事については、「黄河文明」の概要を参照ください。

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