滑稽
「滑稽」とは、可笑しみがあるさま、ばかばかしくて笑えるさま、人の笑いを誘うようなおどけた様子、などを意味する表現である。文脈によっては「みっともなくて笑える」といったネガティブな意味を込めて用いられることもある。とはいえ基本的にはポジティブな評価として用いられる表現といえる。
「滑稽」の発音・読み方
「滑稽」の読み方は「こっけい」である。どちらも素直な漢字の音読みである。「滑」の音読みは「滑落(かつらく)」「滑走(かっそう)」「滑車(かっしゃ)」「平滑(へいかつ)」のように「カツ」と読まれることが多いが、「コツ」とも読むこともある。もっとも、「滑(コツ)」と読む用法は「滑稽」以外にはなかなか見当たらない。
「稽(ケイ)」は「稽古」や「荒唐無稽」などの表現にも用いられる字であるが、「考える」もしくは「引き留める」のような字義がある。
「滑稽」の語源・由来
「滑稽」は、古代中国の史書である「史記」の1篇「滑稽列伝」という篇名に由来する言葉とされる。「史記」では、「滑稽」は「饒舌だ、口が達者だ、話がうまい」といった意味の表現として用いられている。これが後世「話がおもしろい」という意味の言葉に転じたとされる。
日本でも「滑稽」という言葉そのものはかなり早くに伝わっていたとされる。江戸時代後期の頃になると「滑稽本」という読み物のジャンルも生まれた。
「滑稽」の類語
「滑稽」の類語としては「ユーモラス」「可笑しい」「ひょうきん」などが挙げられる。嘲笑のニュアンスを含む文脈では「馬鹿みたいだ」のような言い方が言い換え表現の候補に挙がる。
「滑稽」を含む熟語・言い回し
「滑稽な姿」とは
「滑稽な姿」という表現は、「風貌が珍妙である」「動作がコミカルで笑える」あるいは「みっともない言動を衆目に晒している」という意味を込めて用いられる言い回しである。「滑稽に見える」とは
「滑稽に見える」とは、言動などが滑稽であるように思われるという事であり、「ばかばかしく見える」「まるで笑いものだ」という否定的なニュアンスを込めて用いられることの多い言い回しである。「滑稽新聞」とは
「滑稽新聞」とは、明治時代に大阪で創刊された、いわゆる風刺新聞の名称である。権力や権威のあった者を厳しい筆致で咎め立て、庶民の溜飲を下げた。民からの人気は高く、発行部数は数万部にも上ったらしいが、権威叩きを旨とする内容だけに処罰を受けることも多かったという。最終的には創刊7年余りで廃刊となった。「滑稽本」とは
「滑稽本」とは、江戸時代後期に流行した読み物(基本的には小説の類)のジャンルである。登場人物の会話をメインに構成し、同時代の庶民の日常生活をユーモラスに描いた。「滑稽本」の代表的作品としては、式亭三馬の「浮世風呂」や十返舎一九の「東海道中膝栗毛」などが挙げられる。
「滑稽な夢」とは
「滑稽な夢」とは、米津玄師が「ハチ」名義でボカロPとして制作した曲のタイトルである。正式なタイトルは「Mrs.Pumpkinの滑稽な夢」であるが、「滑稽な夢」と通称されることが多い。こっ‐けい【滑稽】
滑稽
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/09 18:21 UTC 版)
滑稽(こっけい)という語は、古代中国においては『史記』滑稽列伝などで、淳于髠に代表される「弁舌に優れた人物」「弁舌に優れたさま」を指した。転じて、日本語では「笑い」「ユーモア」の同義語となり「滑稽本」などを生んだ。
古代の『楚辞』、揚雄の『法言』や、『史記』に立伝される人物の滑稽は、全て弁舌鮮やかなさまを表しており、笑いの要素は含まれていない。但し、滑稽として取り上げられた人物の中には、優孟(ゆうもう)や優旃(ゆうせん)のような俳優が含まれていた。その、おどけた、ウィットに富んだ言動が、笑いやユーモアと通じるため、後世[いつ?]、笑いやユーモアに富んださまを、滑稽と表現するように転じたものと考えられている。
関連項目
関連文献
- 栗山理一「滑稽の機構―史記と芭蕉―」『連歌俳諧研究』第30号、俳文学会、1966年。 NAID 130004963612 。
- 大室幹雄 『滑稽:古代中国の異人(ストレンジャー)たち』 評論社、1975年(のち、岩波書店〈岩波現代文庫〉、2001年12月 ISBN 4-00-600069-3(ISBN-13 978-4-00-600069-1))
外部リンク
滑稽
「滑稽」の例文・使い方・用例・文例
- 彼はその滑稽なしぐさで注目の的になった
- 私の英語は滑稽ですか?
- そんな彼の姿は滑稽です。
- そんな彼の姿は見ていて滑稽です。
- 私は彼の様子を見ていると滑稽に感じます。
- 彼の姿は見ていて滑稽です。
- 彼女は彼の様子を滑稽に感じています。
- 彼女は彼を滑稽に感じています。
- 私たちは彼の滑稽な振る舞いに笑わずにはいられなかった。
- 彼の気取った話し方がとても滑稽におもえた。
- 彼がとても滑稽な話をしたので、私たちはみんな笑った。
- 滑稽な話をしている真最中に彼に電話がかかってきたので話を中止した。
- どんなに優雅で堂々とした既存のビルも、今や、その怪物のわきでは、ちょっと滑稽にさえ見えるほど痛ましいまでに小さくなってしまうだろう。
- そのパーティーで彼の振る舞いはあまりに滑稽だったので、私は笑わずにはいられなかった。
- 崇高(なもの)から滑稽(こつけい)(なもの)へ.
- 人を滑稽に見せるようなへま
- 深刻で滑稽な大失敗
- 滑稽な様子で
- 滑稽にばかげたへまをする人
- 滑稽に下品な
品詞の分類
- >> 「滑稽」を含む用語の索引
- 滑稽のページへのリンク