陸上などの女子選手が競技会場で性的な意図で写真を撮影されたり、SNSに淫らな文章や画像拡散されたりする被害拡大を受け、日本オリンピック委員会(JOC)が対策に乗り出した。狙われる女子アスリートたち。盗撮まがいの悪質行為は、これまで黙認されていた形となっていたが、いよいよメスが入りそうだ。
現役女子選手が「盗撮被害」で日本陸連にSOS
事態が動いたのは今年8月。複数の現役女子選手から日本陸上競技連盟のアスリート委員会へ相談したことがきっかけ。
JOCは選手の環境を守るべく各競技団体へ実態把握のヒアリングを実施。日本スポーツ協会や全国高等学校体育連盟などとも連携を目指し、連名で被害防止の声明文を出すなど具体策の検討に入った。
女子選手が盗撮被害にあうことは今に始まったことではない。成人雑誌に写真が掲載されたりすることは昔からあったが、インターネットやSNS、スマホの普及により、写真撮影や投稿が誰でも気軽にできるようになったことで、その被害は増加の一途をたどっている。
特に狙われやすいのが陸上競技。さまざまな競技が一同に集まりやすい上、スタジアムも広いことで怪しまれずに撮影することができる。
また、一昔前と違い、競技ユニフォームの露出度が高いことも影響しているかもしれない。
女子選手のユニフォームの露出度が高いワケ
そもそもなぜ、女子の陸上選手のユニフォームは「過激」になってしまったのか?
かつてはランニングシャツとランニングパンツが主流だったが、いつの間にか水着のビキニのようなへそ出しスタイルが当たり前となっている。
もともとは「女性は胸のふくらみがあるため、その下にできる空間の空気抵抗を減らす」という理由からセパレートタイプのユニフォームが誕生した。より記録を狙いたい世界のトップアスリートたちが着用するようになり、広まったとされている。
しかし、オリンピックで活躍するようなトップアスリートならともかく、高校生や大学生の女子が着用する理由は別のところにあるらしい。
強い外国人選手たちが着るようになれば、「セパレートタイプのユニフォームはかっこよい」となる。すると、それを着用する女子選手たちが出てきて、どんどんマネをするようになった。
セパレートタイプのユニフォームを着る選手が増えてくれば、それが主流化し、必然的に「ランニングシャツ&パンツのユニフォームはダサイ」ということになる。
その風潮はジュニア世代にまで浸透し、今では中学生の女子選手ですら、セパレートタイプのユニフォームを着用するようになったのである。