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株の値動きを伝える証券会社の株価ボード=神戸市中央区三宮町1(撮影・赤松沙和)
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神戸新聞NEXT
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 日経平均株価が高騰している。5月以降、バブル経済崩壊後の最高値を更新し続け、今月16日には東京株式市場の終値で3万3700円台と約33年ぶりの高水準に達した。株式市場で何が起こっているのか。日本経済は長い停滞のトンネルを抜け、光に向かうのか。株主以外にも恩恵はあるのか。現場で聞いた。

 ■海外投資家がけん引

 21日、神戸・ポートアイランドの神戸国際展示場前。神戸製鋼所(神戸市中央区)の株主総会に向かう男性会社員(35)=千葉県=の表情は、明るかった。

 1年前から10種ほどの株で運用を始めたところ、「商社株がすごくいい」という。大手商社株は2020年、米カリスマ投資家ウォーレン・バフェット氏が取得を公表。今春にはさらなる買い増し意欲を表明し、それが海外投資家層を中心に日本株への安心感を与え、株高をけん引したとされる。購入のタイミングが良く、神鋼株も購入時の2倍に値上がりした。男性は「どこまで伸びるか楽しみ」と会場へ急いだ。

 一方、神戸・三宮の野村証券神戸支店前。「30年ほど前から株式投資をしてきましたが…」と、高齢女性(81)=神戸市中央区=がため息をついた。保有株の価格は購入時の水準に戻らず、「全体では、まだまだマイナス」。高値更新に期待はあるが「これまでたくさん失敗しましたから」と首を左右に振った。

 とはいえ、株式投資に関心を持つ人は増えている。神戸ハーバーランドでオフィスに急ぐ女性会社員(36)=西宮市=は「給料は上がるどころか下がっている。不労所得でどうにかするしかない。ママ友の間でもその話で持ちきり」という。

 ■米中より底堅い景気

 日経平均株価が初めて3万円を突破したのは1988年。翌89年に3万8915円と史上最高値を記録したが、90年代に入り、バブル経済が崩壊した。その後20年にわたって下落傾向が続き、2009年に7054円と、最高値から82%もの下落をみた。

 デフレ脱却を目指す経済政策「アベノミクス」や金融緩和策「黒田バズーカ」が海外投資家に日本株買いを促し、2万円台を回復したのは15年のことだ。

 ここに来て株高が進む理由を、日本総合研究所の後藤俊平研究員は大きく二つ挙げる。一つは日本の景気が米中より底堅いこと。「日銀が金融緩和を続けており、利上げを進める欧米よりリスクが少ないとみて、海外投資家が買いに動いた」とする。

 もう一つは、地政学的リスクから中国を避ける動きが広がったことだ。「その動きの中で日本が注目された」。日本株は企業の資産価値に対して割安で、円安の今、海外投資家にはメリットが大きい。

 ■上昇トレンド「この先何十年」

 今後の株価について「私の読みではミニバブルはあるにせよ、上昇トレンドはこれから何十年と続く」と、地場証券会社、光証券(神戸市中央区)の森中寛社長。「世界を駆け巡る国際資本に組み入れられ、日本はもう一度経済成長を遂げる」との見方を示す。

 持たざる個人に恩恵はあるか。日本総研の後藤氏は「経済が活性化すれば、いずれ賃上げなどに企業の資金が充てられる。従業員にも回り回って還元される」と話している。(まとめ・西井由比子)

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