米マイクロソフト(MS)が、人工知能(AI)や、多様な機器を通信でつなぐモノのインターネット(IoT)の開発支援拠点を8~9月にも、神戸市内に開設することが分かった。日本では初の拠点で、世界で5カ所目となる。神戸市や、川崎重工業(神戸市中央区)などの企業グループと連携。大企業だけでなく、中小企業やスタートアップ(新興企業)、教育機関へも門戸を開き、デジタルトランスフォーメーション(DX)につながる技術・ソフトの開発を支援する。
米本社などで運営する「AI Co-Innovation Labs」(共創ラボ)の新拠点として、神戸商工貿易センタービル(同市中央区)内に開設する。MSのエンジニア5人程度が常駐し、利用企業のIoT技術やAI搭載ソフトに関する開発を、試作品段階まで支援する。
ラボのサイトでは、教育分野や製造業、製薬業界などでの開発事例を紹介。例えば、英BBC放送は、自社の番組内容をデータ化し、10代の学生の質問にAIが答える教育ソフトを開発したという。またMSは、対話型AI「チャットGPT」を手がける米オープンAIの技術を取り入れたAIサービスも展開しており、ラボではこのサービスも活用できる。
新拠点の整備費用は神戸市の外郭団体「神戸商工貿易センター」や川重などが負担し、運営費は企業グループやMSが拠出。利用には別途料金を支払う場合があるが、地元の高専や大学、中小企業に特化した無料の利用枠も設けられる予定。地元企業のDX推進や、複数社での共同開発を通じた神戸への企業誘致が期待できる。
神戸市は2016年、米シリコンバレーの投資ファンドと起業家支援で連携し、19年にはシリコンバレーオフィスを開設してスタートアップやIT企業の誘致・進出を図ってきた。また、川重は22年ごろからMSと連携して産業用の仮想空間の開発を進めている。
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