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「30歳までに結婚すれば良い」という婚活の常識を疑うべし

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新型コロナウィルス感染症は、日本の少子化を加速させる懸念があります。

厚生労働省の人口動態統計速報によると、2020年1~10月の全国婚姻数は前年同期から約13%減少しています。また、共同通信の調査では、全国計80の政令指定都市、中核市の約91%で、2020年4~6月の婚姻数が前年同期に比べ減少したとも年末に報じられました。

コロナ禍は日本における婚姻動向に大きな影響を与えているのは間違いないですが、一方で「婚活女子の普通の人の定義が『星野源みたいな容姿で年収500万円以上』である」というニュースが話題になるように、日本人の結婚観自体も変化してきているように思います。

今回は、日本における婚姻の状況について統計を用いて確認していきたいと思います。きっと我々には勝手な思い込みがあることに気付くのではないでしょうか。

 

日本の平均婚姻年齢

日本は晩婚化が進んできており、それが少子化の一因になっていると報道されているのを見たことがあるのではないでしょうか。

これは、もはや常識のようなモノになっているかもしれません。

日本における平均婚姻年齢は以下のようになっています。

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(出所 2019年人口動態調査より筆者作成、途中データがないものは戦災による資料喪失等資料不備等が理由)

この平均婚姻年齢の推移を見ると日本における晩婚化がはっきりと見えてくるように思われます。

2019年における平均婚姻年齢は、男性33.6歳、女性31.4歳となっています。尚、平均婚姻年齢は初婚者だけではなく再婚者を含む全ての婚姻のデータになります。

日本は30歳を超えてから結婚する社会になったとこのデータは示しているように思えます。

 

初婚年齢の推移

次に、初婚での婚姻年齢を確認しましょう。全体の平均婚姻年齢が上昇しているのは前述の通りですが、もしかすると高齢者の再婚が多くなり平均婚姻年齢を引き上げているというような事象があるかもしれません。

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(出所 2019年人口動態調査より筆者作成)

初婚における平均婚姻年齢もやはり晩婚化を示しています。

2019年における初婚の平均婚姻年齢は男性31.2歳、女性29.6歳となっています。

 

初婚のおける婚姻年齢のピーク

初婚における平均婚姻年齢も晩婚化を迎えてきていることが確認できました。

2019年における初婚の平均婚姻年齢は男性31.2歳、女性29.6歳です。

しかし、ここに平均の落とし穴があります。次のグラフをご覧ください。

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(出所 2019年人口動態調査より筆者作成)

このグラフは2019年における夫=初婚における婚姻年齢を年齢別に並べたものです。

このグラフを見れば分かる通り、夫=初婚における年齢別の婚姻年齢のピークは27歳です。

夫=初婚における平均婚姻年齢31.2歳は既にピークを過ぎているのです。

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(出所 2019年人口動態調査より筆者作成)

上図は、2019年に婚姻した夫=初婚における婚姻年齢の累積比率です。

50%を超えるところを婚姻のピークもしくは適齢期とすれば、29歳で50%を超えていますので、夫=初婚における婚姻年齢の中央値は28歳と29歳の間となります。

尚、夫=初婚は33歳で累積比率が70%超となっています。

では、妻はどうでしょうか。

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(出所 2019年人口動態調査より筆者作成)

このグラフで見ると分かる通り、2019年における妻=初婚における婚姻年齢のピークは26歳です。初婚の平均婚姻年齢は前述の通り女性は29.6歳ですが、それよりもピークは前に来ているのです。

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(出所 2019年人口動態調査より筆者作成)

上図は、2019年に婚姻した妻=初婚における婚姻年齢の累積比率です。

50%を超えるところを婚姻のピークもしくは適齢期とすれば、28歳で50%を超えていますので、妻=初婚における婚姻年齢の中央値は27歳(累積比率45.9%)と28歳(累積比率54.1%)の間となります。

そして妻=初婚の累積比率は31歳で70%を超えています。

初婚の男女における平均婚姻年齢と実際の中央値との間には差があることが分かるのではないでしょうか。

30歳を超えてから結婚すれば良いというのではなく、初婚の男女であれば30歳前には既に婚姻している姿こそが「日本の一般的な姿(中央値)」なのです。

 

年の差婚の動向

もう一つ日本における婚姻動向で気になるのは「年の差婚」ではないでしょうか。

年配の独身タレントがかなり年下の女性と結婚するというようなニュースをたまに見かけることもあるかもしれません。年の差婚は以前よりは増えているように感じているのではないでしょうか。

以下は初婚の夫妻における年齢差のグラフです。

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(出所 2019年人口動態調査より筆者作成)

統計上は、夫が年上の初婚夫妻は割合を低下させてきました。むしろ妻が年上という婚姻が増加してきたのです。

この5年程度は割合が一定となっていますが、夫年上が55%前後、妻年上が24%前後、夫妻同年齢が21%前後というのが日本の初婚夫妻の姿です。

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(出所 2019年人口動態調査より筆者作成)

以上のグラフは、初婚夫妻の年齢差をグラフで表したものです。

2019年の初婚夫妻の婚姻状況を見ていくと、「妻もしくは夫が1歳上+夫妻同年齢」で全体の44%を占めます。

そして、「妻もしくは夫が2歳上まで+夫妻同年齢」の婚姻は全体の58.4%と6割弱を占めます。初婚夫妻は、近い年齢同士で結婚しているのです。

妻が4歳上以上の婚姻割合は6.4%、夫が7歳以上の婚姻割合は11.2%であり、相応の年の差婚があるという表現もできるかもしれませんが、全体的に見れば年の差婚は一般的ではないということになります。

そして、夫妻の年齢差の長期推移は以下の通りです。

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(出所 2019年人口動態調査より筆者作成)

初婚のみならず再婚を含めた全婚姻においても、夫妻の年齢差は縮小してきました。

これが日本の長期的動向です。

 

所見

以上、日本における婚姻について、特に初婚の夫妻について確認してきました。

今の日本には「男性であれば30歳までは結婚を焦らなくて良い」、「女性でも30歳までに結婚すれば良い」というような「雰囲気」があるのではないでしょうか。

しかし、初婚ということに限定すると男性の結婚におけるピーク(数)は27歳(中央値は28と29歳の間)であり、女性のピーク(数)は26歳(中央値は27と28歳の間)です。

想定よりも随分早い段階で「山」が来ているのです。

婚活ということだけを考えるならば、30歳を意識するよりも早く動かなければなりません。

日本では年の差婚は少ないこともあり、30歳を迎える頃には男女とも良い「物件」が半分以下になっていると言っても良いでしょう。これが日本の現状です。

どうも婚活、婚姻という点では、日本は誤解が拡がっているように思います。