決められた位置の手前で回送列車が停止か 田園都市線、再開見通せず
5日午後11時4分ごろ、川崎市高津区の東急田園都市線梶が谷駅近くの線路で、停車していた回送列車に走ってきた普通列車が衝突し、回送列車の一部が脱線した。乗客と乗員にけがはなかった。田園都市線は渋谷―鷺沼間で6日の始発から運転を見合わせ、午後1時30分現在、全線での運転再開の目途は立っていない。国の運輸安全委員会は鉄道事故にあたるとして、6日から調査官を派遣した。
東急電鉄によると、事故は引き込み線に回送列車(10両編成)を入れる作業中に起きた。回送列車が規定の位置まで入らず停車していたところに、別の線路から梶が谷駅に入ろうとした中央林間発渋谷行き普通列車(10両編成、乗客149人)が衝突。衝撃で、回送列車の最後尾の車両の一部が脱線したという。
東急電鉄から報告を受けた国土交通省によると、回送列車の乗員は見習い運転士、運転士、車掌の3人。回送列車は留置線に入る際、オーバーランを防止する信号が作動し、決められた停止位置より手前で止まった。見習い運転士はブレーキを解除して所定の位置まで進もうとしたが、衝突を避けるため周囲に異常を知らせる「防護無線」を受信したため、そのまま停止していた。
普通列車の運転士は、本来と違う位置で停止している回送列車に気づいて非常ブレーキをかけたが、間に合わず衝突したという。
オーバーラン防止の信号が出た原因は分かっておらず、運輸安全委員会が事故の原因を詳しく調べる。
東急電鉄によると、田園都市線は6日始発から渋谷―鷺沼間で運転を見合わせ、鷺沼―中央林間間で大幅に本数を減らして折り返し運転している。田園都市線と一部の列車が直通運転している大井町線も、大井町―二子玉川間で大幅に本数を減らして折り返し運転している。
田園都市線と東京メトロ半蔵門線との直通運転も取りやめており、東京メトロによると、半蔵門線の列車は渋谷で折り返して運転する。
駅に到着直前「ガガガガガ」
当時、普通列車の前方車両に乗っていた会社員女性(20)は取材に、「梶が谷駅に到着するアナウンスが流れた直後に、突然ガガガガガという何かにぶつかったようなすごい音がきこえた」と話した。乗客の一人が窓をあけ、外を見ると、衝突した二つの列車がぴったりとくっついているのが見えたという。
普通列車の最前車両は梶が谷駅のホームに達していたため、乗客は車掌らの誘導で最前車両のドアからホームに出た。
女性は「いきなりのことで驚いた。すぐに誘導してもらえて助かった」と話した。
始発から運転見合わせ、通勤通学を直撃
田園都市線は衝突事故の影響…