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2013年の UX トレンド
UX マガジンが寄稿者などに 2013年の UX トレンドを募って、各人のコメントとともにまとめています。
- ダメな UX がメインストリームに
- QuantifiedSelf – “ライフログ”機器の浸透
- コンテキストを意識したコンピューティング – Google Now, Yahoo の Aviate など
- モノのインターネット(Internet of Things / IoT) − あらゆるモノがインターネットに繋がっている
- モノのインターネットの成長 – KickStarter や IndieGoGo を使ったキャンペーンでの成功例
- モノのインターネットの失望
- 新しいTypography
- タッチスクリーンデバイスの流行
- コンテンツのキュレーション
- Pinterest 化
- モバイル・ファースト
- フラット・デザイン
- 新しい経営幹部職 – Chief Customer (experience) Officer
- Smartphone を使った“Beaconing(かがり火/信号誘導)”
2012 年の UX トレンドはどうだったのかと思って調べてみたところいくつかの記事を見つけました。
昨年から言われているものの進化形態(UX デザインの重要性、Web Typography の進化、マルチスクリーンデザイン、タッチインターフェイス)、昨年言われていたものが具体的になったもの(IoT)があります。フラットデザインは 2012年にはあまり話題にはなっていませんでしたが、2013年になって急速に普及しましたね。
オリジナルの記事では、各項目に短い解説がついていますので、面白そうなもの、説明が必要そうなものをいくつか抜き出してみましょう。
ダメな UX がメインストリームに – Joseph Dickerson
2014年1月1日にアメリカではオバマ政権による国民皆保険制度がスタートしました。そのスタートは順調だったとは言えません。政治的な駆け引きもその理由の一つですが、登録用の web サイトが全く持ってダメダメだったのです。アメリカ市民は、2013年10月1日にオープンした healthcare.gov を使って健康保険の検索、登録などができる予定だったのですが、開設当初はサイトに繋がることすらままなりませんでした。それに加えて UX 上の使いにくさ、というのが主流メディアに取り上げられたことというのが著者の興味を引いたようです。
Pinterest 化 – Hana Schank
「かなりの web サイトが、Pinterest みたい –テキストの代わりに大きな写真、そしてナビゲーションは隅っこに追いやる形– になりはじめた。」foodgawker, Coursera, Everplaces, Airbnb などが挙げられて「なんでどの web サイトも大きな写真を箱に入れたみたいなインターフェイスなんだ?と数年後に疑問に思うことだろう」と閉めています。
Smartphone を使った“Beaconinig(かがり火/信号誘導)” – THE MEME
「GPS では伝えきれない近距離の位置誘導のために Smartphone ユーザはデバイスの光を使って信号を送っている。」著者は例として最近日本でもサービスが始まって話題の Uber のユーザインタラクションを挙げています。Uber の利用者側にも、サービス提供者側の車にもこれといった識別方法がないためどちらもスマートフォンを見せ合うといった方法でコミュニケーションしている、としています。Beaconing (かがり火)というのはちょっと誇張にかなと思いますが、似たような行動をとることはあるようにも思います。
その他、モノのインターネットに関する視点は面白いと思いました。2014年の UX 動向を知るためにも元記事を読んでみてください。
Bitcoin: 中国では盛大に規制、米国では車を買う人が
Tech 系のニュースで Bitcoin の名前を聞かない日はほとんど内くらい話題をさらっていますね。
中国では中国人民銀行が Bitcoin 保有に関するガイドラインを発表しました。
思ったより包括的な内容→1.Bitcoinを市場で通貨として使用しない 2.金融機関の取扱禁止 3.サイトの登録制と違法サイト遮断 4.マネーロンダリング防止のため本人確認義務 5. 国民への投資教育 / “中国人民银行等五部委…” http://t.co/6eUlDJRAQs
— 楠 正憲 (@masanork) December 6, 2013
PBOC Addresses Bitcoin, TGB Measures China’s Behind-the-Scenes Interest
PBOC = People Back Of China, TGB は掲載 web の名前です。記事によれば Bitcoin の急激な値上がりはチャイナマネーによるもの。今回の人民銀行による規制はアメリカのとった対応に則ったもので、禁止ではなく規制だとしています。その他、国別 Bitcoin クライアントソフトのダウンロード数、Node 数など多角的な分析がなされています。
一方アメリカでは Bitcoin を利用して、大人気の高級電気自動車 Tesla Model S を買った人がいるようです。
We just sold our very first vehicle with Bitcoin as legal tender!
全く関係の無い2つの事象ですがなんとなく両大国を象徴しているような気がしますね。Bitcoin 狂想曲は何処まで続くのでしょう。
そういえば記事にも登場している Mt. Gox は日本のベンチャー企業ですが、Magic The Gathering のオンラインカード交換所として始まったと Wikipedia にはあります。本当だとしたら史上最高の pivot ですね。
変な日本語 in the web: 東海道
やってきました変な日本語 in the web。第三回は Ruby on rails 界あるいは JavaScript MVC 界でのテックセレブ Yefuda Katzの新プロダクト『東海道』です。彼が Mac OS X での Ruby on Rails のインストールを簡単にしたい、という Kickstarter を立ち上げていたのはソーシャルメディアを通じて聞いていたものの、私自身は Ruby な人ではないので正直スルーしておりました。$25,000 のゴール設定で3月に始まったこのキャンペーンは、終了の5月の段階で 739人から $51,220 とゴールの2倍以上集めて成功しています。
キャンペーン開始の2週間後にプロジェクト名とその由来が発表、それによると東海道新幹線から来ているそうです。8月に発表されたアップデートによれば内容は:
- 静的コンパイルのバイナリビルドの Ruby
- ログ/アラート UI
- Rail 3 用のリモートノティフィケーション
- Puma Express との統合
- コード品質ツールとの統合
- バイナリビルド使用時の Bundler との問題解決と Heroku へのデプロイ
- 著名な Gem のバイナリビルド統合
と手堅い感じです。Github にあるプロジェクトページでは成果があまり見られないようですが、Google Plus 上にはスクリーンショットがあがっています。UI に関するアンケートもあがっているので、意見のある人は是非そちらに。
UI を見る限り Rails をエンジンにした IDE というのが目指すところなんでしょうか。Yefuda Katz のこれまでの実績を見れば期待していいでしょう。
Online-to-offline 分野で生き残るのは誰か?
オンラインスタートアップの今後のトレンドという意味で非常に面白い記事を読んだので紹介します。
Who Will Win the Fast Growing Online-to-Offline Sector?
ローカルで行われる取引を web につなげる、というサービスが今日の web 経済で最も成長の早い分野として急浮上している。消費者が(毎日の生活で使う)サービスを見つける/支払う方法を変え、現実に存在する数百億円規模の地方経済に入り込もうという、Online-to-offline 分野のスタートアップの話を聞かない日はない。今日、車を洗う、タクシーを呼ぶ、家事手伝い、宿泊先を探すといったオンラインのマーケットプレイスがある。各スタートアップは自らのやり方で web と現実世界をつなげている。私はこの数年この分野を綿密に眺めてきて、いくつかの長期的な成功を導く要素をあげてみたい。
続けて以下の5点について語っています。
- 先行者より支払い指向
- 水平分業 vs 垂直統合
- P2P マーケットプレイスの場合は特異な在庫形態
- 閉じた市場はよりよい経験を生み出す
- 需要に基づいた新しい市場
非常に簡単な英語です。是非読んでみてください。
この記事の中で何度か出てくる AirBnB は特に Y-Combinator の Ramen-profitable を地で行って、最近は $3-4 billion という evaluation が聞こえています。実際僕自身何度も AirBnB は利用していますし、アメリカの大きな街ならかなり available でホテルより安いし気楽という感じがします。
Facebook の IPO の失敗(?)後、スタートアップについては将来性より収益性ということが特に多く語られています。『ローカルで消費される市場は数百兆円の規模』という数字の根拠が無いような気もしますが、ZocDoc, Uber (New York だと GroundLink かな)UrbanSitter などは友人たちとの会話によくでてくる、リアリティのあるスタートアップです。本文中で言及されているスタートアップを以下にあげておきます。
- DogVacay: 犬を預ける
- Cherry – The carwash that comes to you!: 洗車
- Getaround – Peer-to-peer car sharing and local car rental: カーシェア
- Uber: リムジンを呼ぶ
- UrbanSitter | Find babysitters through friends: ベビーシッター
- Wedding Planning / Weddingful: 結婚式
- Find a Doctor – Reviews & Ratings | Book Online Instantly – ZocDoc: 医療サービス
- Vacation rentals, private rooms, sublets by the night – Accommodations on Airbnb: P2P宿泊施設
- Postmates: ローカル宅配
- Housekeeper.com: 家事手伝い
- Angie’s List: あらゆるサービス
- Task & Errand Service By Awesome, Trustworthy People | TaskRabbit: P2Pあらゆる雑用
- Done: P2Pあらゆる雑用
- zaarly: P2Pあらゆる雑用
- Craig’s list: 3行広告
GitHub スピードの秘訣
みんな大好き GitHub のスタッフ blog で『Github は如何にして速いままでいられるか』という記事が出ていました。内製のツールなどが screenshot 付きで紹介されています。
しかしツールの見栄えの良さにちょっとくらくらしますね。Web な startup だとよくありがちな Staff モードの SQL query log や、call graph。Graphite や statsd を使ったグラフを大型モニタに映し出すのがNew York の startup では流行って(いるような気がし)ますが、ここまでビジュアル的によく出来たものは見たことがないです。
結論としてはまとまっていませんが、一言でいえば『メトリックス大事』ということでしょうか。皆さんの会社では、パフォーマンス・ダッシュボードはちゃんと作ってますか?
一番笑えるパイチャートを頼む
QA サイトの Quora で、笑えるネタ質問があったので紹介します。
What are the most hilarious pie charts?
同性愛結婚その後:
- 同性愛者が結婚する
- ロシアが攻めてくる
- 最後の審判が始まる
- 家族崩壊
- 氷床崩壊
カトリック的な家族感が一部で根強く残るアメリカでは同性愛結婚に関しては大きな議論の対象でした。オバマ大統領が同性愛結婚支持に回った事にまつわる世論の大騒ぎをネタにしたパイチャートが堂々の一位です。
Rick Astley は絶対:
- 君をあきらめない
- 君を失望させない
- 君を裏切らない
- 君を泣かせない
- 君と別れない
- 君に嘘をついて傷つけない
Rickroll で一斉を風靡した Rick Astley の歌詞をネタにしたものですね。状態遷移図でも見たことがある気がするんですが、これは歌詞の出現率も表しているんでしょう(適当)。
Meat Loaf が愛のためにする事:
- なんでも
- アレ
これも歌がネタですね。Meat Loaf の大ヒットシングル I’d Do Anything for Love (But I Won’t Do That)愛にアレはいらないのです。Wikipedia には『アレ』とは何かに関する議論があります(棒読み)。邦題は『愛に全てを捧ぐ』。
日本:
- 日本
ほとんど意味が分かりませんが、日本国旗はパイチャートで書けるよ!という事でしょうか。バングラディシュもかけそうだな、と思ったら、ちゃんと登場しています(おそらくコメントに関して down vote を受けているのででデフォルトでは見えません)。正確に日本国旗を描く時は、朱の色指定だけでなく、白地のアスペクト比、円の比率に関して規定があるので、これは日本国旗としては正しくないですね。日本人としてはコメント欄に突撃すべきところでしょうか。
- パイの食べた部分
- パイの食べてない部分
おいしそうですね。
パックマンに似てる百分率
- パックマンに似てる
- パックマンに似てない
パックマンの口は動くので、これは正確じゃないですね。
Quora は、ネタ質問だけでなく、シリアスな質問にも回答の質の高さで評判があります。巡回先の一つにどうぞ。
IT業界とニューヨーク市
A-Listers では New York の話題を繰り返し書いてきていますが、New York 市で一番の産業と言えば、おそらく金融で、その次がメディアでしょう。五月の第三週、インターネット関連のメディアが一同に会する Internet Week NY というお祭りがありました。最終日の 21日は Webby Award の授賞式もありました。ソーシャルメディアが全盛のこの頃では、お祭りごとの相対的な存在感がやや薄らいで来たような気もしますが、ドッグイヤーなインターネットでは 16年も続けば大御所ですね。
ファッションショーや映画など Made in NY キャンペーンを見た事はありませんか?New York 市が街の魅力の紹介と産業の育成の両方を業界と一緒になって取り組んでいるものです。最近ではそのインターネット版とでも言えるようなキャンペーンもやっていて、Digital Jobs なんてのはインターネットを仕事とする我々には嬉しいサイトですね。最新の成果として eBay も New York 市に新しいオフィスを作るようです。
そんな中、New York ローカルな startup に在籍した Jeff Atwood 氏(stackoverflow で有名な Fog Creek の co-founder)が、以前の記事でチラッとお伝えした New York 市長 Mike Bloomberg 氏の2012年の抱負: プログラミングを学ぶことに関して賛否両論なブログ記事を書いてやや炎上していました。
New York 市のテックコミュニティへのリップサービスであろうとはしつつも、もし市長の仕事をこなすために、JavaScript を書かなきゃいけないとしたら何かが根本的に間違ってる、という主張を、自身の過去のエントリを引きつつ高らかに語っています。政治家にはもっと他にすることがある、ある朝起きてたら凄腕 Java プログラマーになっていた Mike Bloomberg が市長職をよりよく出来る理由なんてない!と。
Bloomberg 市長の抱負は、その tweet 自体にも含まれていますが明らかに http://codeyear.com/ のキャンペーンの一環です。女性の IT 業界への参加を促す活動を始め、産業人口の増加は産業自体の強化につながる訳ですから、いいことなんじゃないでしょうかね?
変な日本語 in the web: 鉄棒.org
変な日本語シリーズ第二回は、Motorola Mobility(Google 傘下)がお送りする、JavaScript Tech Community 鉄棒.org です。
明後日の方向を向いたブランド名もさることながら、ど真ん中のプロダクト名: Ninja ですよ!しかも内容は昔の Flash の雰囲気をモダンなフロントエンド(HTML5 / JavaScript / CSS3)で実現し、Google Chrome App として実装。
Ninja とそれを実現している JavaScript フレームワークの Montage を中心にした、open-source community を立ち上げたいみたいですね。サイトの構造やドキュメントにはまだちぐはぐな部分があったりしますが、Github 上でかなり活発に開発は行われています。
このサイトが人気になったら、今後は job requirement に tetsubo experience とか書かれるようになるんでしょうか?日本体操協会は今から英語で FAQ ページを作るか、ドメイン紛争の準備すべきではないでしょうか。何れにしても目が離せません!
New York 市は公衆電話を公衆 Wifi へ。
New York 市は公衆電話を無料の公衆 Wifi スポットにしていく、パイロットプログラムを開始すると発表しました。まずは Manhattan に 7ヶ所、Brooklyn に 2ヶ所、Queens に 1ヶ所、合計 10ヶ所から。徐々に拡大していく計画だそうです。正確な場所は Press release を参照してください。
NYC GOV – The City today announced a pilot program to add…
アメリカではしばらく前から Starbucks や McDonald’s で無料の Wifi が提供されていました。Grand Central 駅近くの Bryant Park では長らく Google が無料の公衆 Wifi をやっていましたし、市内に無数にある独立系の Cafe でも最近 Wifi は普通に無料で使えています。旅行者にとっても、New Yorker にしても、無料のネットワークは非常に助かります。
New York 市のデジタル関連の市報は Tumblr にあるんですね…
via NYC is turning payphones into free WiFi hotspots: 10 kiosks launch today
Apple というブランドと顔
Apple の成長は目覚ましいものがあります。アナリストの Horace Dediu は Apple の販売員増加について数字と販売戦略を絡めて語っています。
iPhone が発売されてこの5年間で、直営店の数は 172 から 361 に増え、35,852 もの販売員を雇いました。2007年の第一四半期には平均 37人だった各店舗の従業員数も、5 年後の 2012 年の第一四半期には、177 人に増えています。多くの数字がこのエントリには登場しますが、面白いのは、販売員の増加割合は、アップルストアの訪問客の増加割合より多く、また各販売員が顧客と話す時間は増加している、という事です。
私の知る限り、これはテック系としては非常に珍しい。ほとんどのテック企業では、全く正反対の事を模索してきた:煩雑な販売手順とサポートの手間を手順化して、「付加価値付け」を、(自社ではなく)他人である販売業者に任せる、ということ。
This is, as far as I know, a unique relationship for a technology company. If anything, most technology companies have sought the exact opposite: to put others’ faces in front of customers–to break the messy process of sales and support down into pieces to be outsourced to “value adding” resellers.
私は Harvard Business Review に転載されていたエントリ: Why is Apple Hiring So Many Retail Employees?(タイトルがやや釣り気味)を最初に読んで結論がないと思いましたが、ブランド、という観点に注目すると、非常に面白いと思います。販売員も Apple というブランドを構成する一部なんですね。コメント欄で給料の話なども出ています。
via Why is Apple Hiring So Many Retail Employees? via The face and the brand