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2種類のACアダプターを分解しました


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その昔、携帯ゲーム機が乾電池で動いていた頃、電池切れの心配から解放してくれる夢の機械がありました。

それは、アダプターです。

アダプターさえあれば、何時間でも何十時間でも遊べたものです。

当時は、アダプターが何をするものか、中がどうなっているかなんて知りません。ただ、黒くて重い夢の機械なのです。

さて、当時のアダプターを知っている人は、最近のアダプターが小さく軽くなったことに気づきませんか。

ACアダプター

アダプターは、一般的にはAC-DCコンバーターを指します。つまり、コンセントの交流を、より低電圧の直流に変換するわけです。

ズバリ、昔のアダプターが重い原因は、内部に使われている変圧器 (トランス) です。

変圧器は、鉄のやつ (鉄心) に銅線を巻くのが、基本的な構造です。

※鉄の密度は7.87 (g/cm3)、銅の密度は8.96 (g/cm3) です。例えば、縦・横・高さがそれぞれ5cmの変圧器は、1kgもあるクソ重いキューブなわけです。(同じ体積の水なら125g)

で、昔のアダプターは、そういうクソみたいに重い変圧器を使っていました。

と言いつつ、最近のアダプターにも変圧器は使われています。

ですが、非常に小さく軽いです。なぜでしょう。

それは、変圧器に入力する電流の周波数の違いです。

周波数を高くすると、変圧器を小さくできるのです。

今回、新旧2種類のアダプターを分解しました。

新旧と言っても、古いほうが2000年製、新しいのが2001年製です。おおむね、この時代から新しいタイプが増えてきました。

ACアダプターのケース

ACアダプターのケース

サイズはほとんど同じです。 (はかり) がなく、重さは測れませんが、古いほう (左) が重かったです。(すでに分解後なので)

ACアダプター

新しいやつのほうが容量が大きいです。そんでもって軽いです 。

中身の比較

それぞれ、左側が古いタイプ、右側が新しいタイプです。

ACアダプター

↑奥が電源側 (プラグとコンセント)、手前が負荷側 (テレビとゲーム機) です。

ACアダプター

↑電源側から。

ACアダプター

↑負荷側から。

ACアダプター

↑裏面。

それぞれのアダプターをもう少し詳しく見てみます。

古いほう

古いほうのアダプターには、特に名前がありません。無理やりつけるなら、“変圧器とダイオードのやつ” とかでしょうか。

ACアダプター

  • 入力電圧:100V・AC
  • 容量 (皮相電力):38VA
  • 出力電圧:13.5V・DC
  • 出力電流:2A
  • ポータブルテレビ用

太字が、比較するうえで特に重要な要素です。

容量 (VA:ボルトアンペア) や出力電流 (A:アンペア) が大きなアダプターは、変圧器なども大きいです。

さて、写真の黄色い四角が変圧器です。鉄心に銅線が巻いてあります。

このタイプは、コンセントの周波数 (50Hz (ヘルツ) または60Hz) のまま変圧器にインプットします。

  1. コンセント→
  2. 変圧器で電圧を下げる
  3. ダイオードで整流 (直流化)
  4. コンデンサーで平滑化
  5. →負荷へ

変圧器は、ふつう、直流では使えないので、交流のうちに降圧します。

で、低い周波数なので、大きな変圧器が必要になります。

スイッチング電源

新しいほうにはスイッチング電源という名前があります。

半導体を用いて、1秒間に数万〜数百万回のオンオフを繰り返します。これがスイッチングです。

ACアダプター

  • 入力電圧:100V・AC
  • 容量 (皮相電力):91VA
  • 出力電圧:12V・DC
  • 出力電流:3.25A
  • ゲームキューブ用

こちらのほうが、古いほうより容量が大きいです。

  1. コンセント→
  2. ダイオードで整流
  3. コンデンサーで平滑化
  4. 半導体でスイッチング (数万〜数百万Hz)
  5. 変圧器で降圧
  6. ダイオードで整流
  7. 平滑化
  8. →負荷へ

詳しくは別の記事に書くとして、今回は変圧器の小ささに注目してほしいです。

こちらも、黄色いのが変圧器です。周波数が非常に高いので、変圧器は小さくできるのです。

※スイッチング電源には、高周波用の変圧器 (高周波トランス) が使われます。鉄心は、鉄ではなく、フェライトなどです。これは、一般的な変圧器のケイ素鋼板よりも軽いです。

しかし、そんなスイッチング電源にも弱点があります。それは電磁的なノイズです。

高速でスイッチングするため、ノイズが多く発生します。

ですから、ラジカセなどのオーディオ機器は、古いタイプのアダプターを使うことが多いです。(ノイズフィルターを持つスイッチング電源もあります。高いです。)

貴重な資源を無駄にするわけにはいかないので、分解したアダプターは、スタッフがおいしくいただきました(笑)

閲覧ありがとうございました。

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プロフィール

しゅう

Author:しゅう
1991年北海道三笠市生まれ。プロフィール

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