2種類のACアダプターを分解しました
- 2022/03/26
- 21:15
この記事は、広告を含む場合があります。
その昔、携帯ゲーム機が乾電池で動いていた頃、電池切れの心配から解放してくれる夢の機械がありました。
それは、アダプターです。
アダプターさえあれば、何時間でも何十時間でも遊べたものです。
当時は、アダプターが何をするものか、中がどうなっているかなんて知りません。ただ、黒くて重い夢の機械なのです。
さて、当時のアダプターを知っている人は、最近のアダプターが小さく軽くなったことに気づきませんか。
アダプターは、一般的にはAC-DCコンバーターを指します。つまり、コンセントの交流を、より低電圧の直流に変換するわけです。
ズバリ、昔のアダプターが重い原因は、内部に使われている変圧器 (トランス) です。
変圧器は、鉄のやつ (鉄心) に銅線を巻くのが、基本的な構造です。
※鉄の密度は7.87 (g/cm3)、銅の密度は8.96 (g/cm3) です。例えば、縦・横・高さがそれぞれ5cmの変圧器は、1kgもあるクソ重いキューブなわけです。(同じ体積の水なら125g)
で、昔のアダプターは、そういうクソみたいに重い変圧器を使っていました。
と言いつつ、最近のアダプターにも変圧器は使われています。
ですが、非常に小さく軽いです。なぜでしょう。
それは、変圧器に入力する電流の周波数の違いです。
周波数を高くすると、変圧器を小さくできるのです。
今回、新旧2種類のアダプターを分解しました。
新旧と言っても、古いほうが2000年製、新しいのが2001年製です。おおむね、この時代から新しいタイプが増えてきました。
サイズはほとんど同じです。
新しいやつのほうが容量が大きいです。そんでもって軽いです 。
中身の比較
それぞれ、左側が古いタイプ、右側が新しいタイプです。
↑奥が電源側 (プラグとコンセント)、手前が負荷側 (テレビとゲーム機) です。
↑電源側から。
↑負荷側から。
↑裏面。
それぞれのアダプターをもう少し詳しく見てみます。
古いほう
古いほうのアダプターには、特に名前がありません。無理やりつけるなら、“変圧器とダイオードのやつ” とかでしょうか。
- 入力電圧:100V・AC
- 容量 (皮相電力):38VA
- 出力電圧:13.5V・DC
- 出力電流:2A
- ポータブルテレビ用
太字が、比較するうえで特に重要な要素です。
容量 (VA:ボルトアンペア) や出力電流 (A:アンペア) が大きなアダプターは、変圧器なども大きいです。
さて、写真の黄色い四角が変圧器です。鉄心に銅線が巻いてあります。
このタイプは、コンセントの周波数 (50
- コンセント→
- 変圧器で電圧を下げる
- ダイオードで整流 (直流化)
- コンデンサーで平滑化
- →負荷へ
変圧器は、ふつう、直流では使えないので、交流のうちに降圧します。
で、低い周波数なので、大きな変圧器が必要になります。
スイッチング電源
新しいほうにはスイッチング電源という名前があります。
半導体を用いて、1秒間に数万〜数百万回のオンオフを繰り返します。これがスイッチングです。
- 入力電圧:100V・AC
- 容量 (皮相電力):91VA
- 出力電圧:12V・DC
- 出力電流:3.25A
- ゲームキューブ用
こちらのほうが、古いほうより容量が大きいです。
- コンセント→
- ダイオードで整流
- コンデンサーで平滑化
- 半導体でスイッチング (数万〜数百万Hz)
- 変圧器で降圧
- ダイオードで整流
- 平滑化
- →負荷へ
詳しくは別の記事に書くとして、今回は変圧器の小ささに注目してほしいです。
こちらも、黄色いのが変圧器です。周波数が非常に高いので、変圧器は小さくできるのです。
※スイッチング電源には、高周波用の変圧器 (高周波トランス) が使われます。鉄心は、鉄ではなく、フェライトなどです。これは、一般的な変圧器のケイ素鋼板よりも軽いです。
しかし、そんなスイッチング電源にも弱点があります。それは電磁的なノイズです。
高速でスイッチングするため、ノイズが多く発生します。
ですから、ラジカセなどのオーディオ機器は、古いタイプのアダプターを使うことが多いです。(ノイズフィルターを持つスイッチング電源もあります。高いです。)
貴重な資源を無駄にするわけにはいかないので、分解したアダプターは、スタッフがおいしくいただきました(笑)
閲覧ありがとうございました。
- 関連記事
-
- 洗濯機故障・・・修理! 2018/01/26
- 携帯ラジオのイヤホンジャックを修理しました 2022/03/07
- 電験の勉強を始めました 2022/11/20