人気ブログランキング | 話題のタグを見る

国民の命差出す戦争動員 米国の国益守る鉄砲玉に 集団的自衛権行使強行へ  長周新聞

国民の命差出す戦争動員 米国の国益守る鉄砲玉に 集団的自衛権行使強行へ  長周新聞 2014年5月21日付
http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/kokuminnoinotisasidasusensoudouin.html

 安倍自民党政府が、改憲ではなく憲法解釈の変更を閣議決定することによって、集団的自衛権行使に道を開こうと強行突破をはかっている。首相みずからパネルを用いた会見では、米艦船に女子どもが乗船している等等の空想世界を披露し、「我々はこの船が攻撃されるのを黙って見ていてよいのか」などと持論を展開。「国民の命と暮らしを守るため」に、若者が血を流すであろう戦争に武力参戦するのだという矛盾した「解釈」を何度もくり返した。守るのは「国民の命」ではなく米国の国益であり、そのために日本人が地球の裏側まで肉弾戦に駆り出される。戦後六九年にわたって屈辱的な従属状態が強いられ、富はみな米国に食い物にされただけでなく、その海外権益を守るために命を差し出さなければならないところまできた。60年「安保」斗争をはるかに上回る規模で、売国政治との全面的な大衆斗争を挑まなければならない情勢が到来している。
 

60年安保上回る斗争迫られる

 「福島は完全にコントロールされている」と発言したり、選挙前にはTPP反対といっていたのが参加表明したり、戦犯を奉っている靖国神社に参拝して「不戦の誓いをした」といったり、口先でいうこととその言動が意味することはいつも逆で、国民をペテンにかけていく政治が恥も外聞もなくやられている。今回の会見で際立ったのも「国民の命と暮らしを守るために」武力参戦を可能にするというもので、人人が唖然とするような相矛盾することを平然といってのける点に特徴がある。「お粗末」で片付けられないのは、こうした米国傀儡政府のエージェントが背後勢力に支えられて調子付き、米国の国益を守るための戦争に日本人の命を差し出し、戦争に放り込もうとしているからである。

 集団的自衛権の行使は自衛隊の武力参戦に道を開くもので、「アメリカのために死んでこい」というものである。日本列島を不沈空母といった中曽根や安倍晋三がその実行者として取り立てられ、歴史的に改憲なり解釈変更を試みてきた関係にほかならない。90年代のイラク戦争において「日本は同盟国なのだからカネだけではなく血の犠牲も払え」と要求したのがアメリカで、2000年代の戦闘では当時の小泉政府によって自衛隊がイラクに派遣され、実際上は米軍の下請軍隊としての部分運用が始まっている。アフリカ、中東、ウクライナをはじめとした欧州でも米国の軍事的な力が弱まっているなかで、その権益を死守するための軍事動員が求められ、属国に改憲を迫ってきたのが米国である。安倍政府に対しても、アーミテージ元国務副長官を筆頭にした米国側の戦争狂たちが、ことある事に指示を出してきた関係だ。

 日本にとって国益になるようなことは何一つなく、せいぜい「海外ボランティアに出かけている若者が武装勢力に襲われるかもしれない」「そのなかにお子さんやお孫さんがおられるかもしれない」という空想しか語ることができない。イラク人質事件のさいにあれほど「自己責任だ!」「政府に迷惑をかけてけしからん」といっていたはずの連中が、今度は「国民の命を守る!」「憲法が国民の命を守らなくてよいといっているとは思わない」というのだから、「国民の命」についても解釈はいかようにもできることをあらわしている。


生きてゆけぬ収奪政治 「国民守る」のペテン

 むしろ「国民の命を守る」という安倍晋三なり自民党政府が、そのような政治を実行しているか?である。 原発汚染や津波にさらされた東北の被災地は3年も経過しながら放置され、復興がまともに進まない。「花が咲く♪」と歌っている間に、ゼネコン利権のあだ花だけが咲いている始末である。大企業が法人減税される一方で中小企業には課税強化する方針をうち出したり、消費税で国民負担に転嫁したり、医療・福祉予算は限界まで切り捨てられ、労働分野では解雇特区や非正規雇用の具体化が竹中平蔵の采配で次次とうち出される。大企業はみな海外移転して、そのうえ外国人労働者を導入しようとしたり、国民が生きていけない政治ばかりが実行されている。

国民の命差出す戦争動員 米国の国益守る鉄砲玉に 集団的自衛権行使強行へ  長周新聞_c0139575_20332510.jpg


 それが証拠に人口は急激に減少し、人口すなわち国民の命の数は数十年後には半減するとか、地方都市では若年女性がいなくなって半数の自治体が消滅するとかの予想が真顔で論じられ、よその先進国では考えられないような衰退を招いている。戦争をするといっても人口が減って肉弾要員すらいない社会、TPPによってさらに食料すら自給できない社会にして、最終的には米国の盾になる戦争にみずから突っ込み、日本列島が標的にされても構わないという「後は野となれ山となれ」の無責任な植民地的社会運営がやられている。海外に出かけている日本人、米艦船に乗船している女子どもを守るといいながら、一方で圧倒的多数の日本人は生きていけないまで貧困にさらされ、ミサイル攻撃を受けかねないのだから、身勝手な「解釈」や屁理屈もいい加減にしなければならない。

 「積極的平和主義」は、イラクやアフガン、さらに中国や北朝鮮との関係を見ても、米軍や自衛隊に戦争をしかけられる国国にとっては決して「平和」ではない。かつて日中戦争、太平洋戦争に突き進んださいも、「アジアの平和のため」といって大東亜共栄圏や八紘一宇のスローガンを叫び、中国大陸への全面的な侵略を進めた。 「平和」の捉え方も勝手なもので、「国際平和のため」「世界の警察官として」「イラクに大量破壊兵器がある」等等、難癖をつけては侵攻していくアメリカがもっともその模範を示している。「戦争を早く終わらせるために原爆を投下した」などは、戦争犯罪人が平和主義者のように振る舞っていく最たる欺瞞で、その後の対日占領のインチキとも連なっている。

 「集団的自衛権」といっても、アメリカは第2次大戦後に一度として攻撃されたことはない。逆に他国の侵攻ばかりくり返してきた。自衛権を行使しなければならなかったのはベトナムにしても中東各国にしても侵攻された国国であった。さらにアメリカが1度でも日本のために血を流したり、防衛したことがあるか? も曖昧にすることはできない。原爆を投げつけ、全国空襲で無辜の命を奪い、血みどろの戦争によって日本を単独占領してから69年がたった。戦後は朝鮮戦争やベトナム戦争など、日本の米軍基地から侵略戦争に出撃し、日本側も銃後の手伝いに動員されてきた。世界覇権のためのアジアにおける重要な軍事拠点であり、「日本を守るため」に原爆を投げつけたり、居座ってきたわけではないことは、その後の歴史の全過程が証明している。経済や金融の世界を見ただけでも収奪されっ放しで、「核の傘」の下で溜め込んだ日本企業の利益は、株主である外資がみな海の向こうに持っていったり紙屑同然の米国債を大量に買わされたり、日米同盟が対等でないことは多くの人人が知るところとなった。

国民の命差出す戦争動員 米国の国益守る鉄砲玉に 集団的自衛権行使強行へ  長周新聞_c0139575_20324399.jpg


市場原理行詰まり暴走 オール米国派の国会

 翼賛化した国会では「改憲しなければ認められない」といって、公明党がさも反発するような素振りをしつつ「議論を尽くして改憲せよ」というインチキで批判世論を煙に巻いている。維新の会やみんなの党といった第二自民党勢力、民主党も含めた野党の主要政党も手続き論に収斂させて実質賛成になびき、国会内だけ見ると何の抵抗力もない状況で、安倍暴走政治がまかり通っている。最近ではみんなの党の関係者が訪米したさいに、米政府高官から「集団的自衛権の行使を歓迎する」と褒められて帰ってきた。

 「(立憲主義について)王権が絶対権力を持っていた時代の主流的考え方だ」「(憲法解釈の)最高の責任者は私だ。政府答弁に私が責任を持って、その上で私たちは選挙で国民の審判を受ける。審判を受けるのは内閣法制局長官ではない。私だ」と主張する者が首相をやり、石破茂・自民党幹事長になると「『国家の独立の為だ、出動せよ』といわれた時に、いや行くと死ぬかも知れないし、行きたくないという人がいないという保証はどこにもない。だから国防軍になったらそれに従えと。従わなければ最高刑がある国なら死刑。無期懲役なら無期懲役。懲役300年なら懲役300年。そんな目に逢うなら出動しようかとなる」(自衛隊を国防軍にした後、軍法会議を設置することを求めて)という発言もしてきた。命を守ろうとする者には懲役300年なり死刑をくらわせようと考えてきた者たちが、今さら「平和」や「国民の命」を語ったり、憲法を超越したような気になって、その時時で好きなことを主張している。 終いには「アメリカの若者が血を流している時に、日本の若者は何もしないでよいのか」というまでになった。オマエが勝手に流してこい!といわれて然るべきで、日本の若者が米国の国益のため、海外権益をむさぼっている大企業や国際金融資本のために血を流さなければならない理由などない。

 大企業や金融資本の利潤追求のためには、世の中がどうなってもかまわないという市場原理社会の結末が戦争である。資本主義社会が行き詰まっているもとで、破壊によって相対的安定期をつくり出していった第2次大戦前後の経験とも酷似した情勢があらわれている。国民の生命や日本社会の未来に無責任をやる売国奴たちが、米国の後ろ盾があれば何でもできると思い上がって、日本人を鉄砲玉として差し出そうとしている。売国と亡国の政治に立ち向かう、反米愛国の巨大な政治斗争を巻き起こすことが急務の課題となっている。




イルミナティはNWOを進めるために米国を作り出した  By Henry Makow, Ph.D.
http://satehate.exblog.jp/14301764/

米国は「クラウン」の金融植民地である  By Henry Makow Ph.D.
http://satehate.exblog.jp/12159349

イルミナティ銀行家たちが第一次世界大戦を開始させた  by Henry Makow Ph.D.
http://satehate.exblog.jp/15874410/

銀行ギャングたちは、如何にしてアメリカに第二次世界大戦参戦を強いたか  By Henry Makow Ph.D.
http://satehate.exblog.jp/13590054

空襲警報もならなかった + バイオハザード 6
http://satehate.exblog.jp/18269263/

自国の支配層によって三たびも“核の人体実験”に投げ込まれた日本国民 あっしら
http://satehate.exblog.jp/16704685/


集団自衛権行使容認に血道を上げる安倍自民党の狂気:われら日本人の国富のみならず命まで求める勢力が背後に取り憑いていると知れ! 2014/5/28(水) 午後 2:57
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/33707953.html

集団自衛権問題でもたつく安倍政権支持率底上げのための北朝鮮拉致被害者の利用工作にだまされるな:日本に取り憑くステルス勢力の企む極東戦略の変更に気付け! 2014/5/30(金) 午後 3:140
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/33715287.html

 いずれにしても、米戦争屋のダブルスタンダード、ジキルとハイド、二枚舌を読み取らないと、日本は彼らの手のひらで踊らされて、戦前同様の戦争国家にさせられ、気が付いたら中国あるいは北朝鮮と戦争させられる破目に陥ることになります。

 われら日本国民は、米戦争屋に踊らさされる愚かな日本支配層の尻馬に乗らないよう十分、警戒すべきです。



# by oninomae | 2014-05-31 20:14 | 戦争詐欺・紛争

 

下山事件 最後の証言 2

柴田哲孝著『下山事件 最後の証言』(後篇) 影絵 2009年12月24日
http://silhouette.livedoor.biz/archives/51470412.html

中篇につづき、柴田哲孝著『下山事件 最後の証言』から引用(要約)しながら、わたしの感想を述べます。


映像作家・森達也

柴田哲孝は映画監督・井筒和幸に下山事件について話したところ、テレビのドキュメンタリーのほうがいいとの理由で映像作家を名乗る森達也を紹介された。柴田哲孝が森達也と最初に会ったのは、1994年の春頃。同年秋頃、森達也を介して初めて斎藤茂男と会う。

2004年新潮社から刊行された『下山事件(シモヤマ・ケース)』で、森達也が柴田哲孝の母親の証言を捏造したことを、本書で柴田哲孝は指摘している。(p.400~p.403)


柴田昇からの情報

単行本『下山事件 最後の証言』の刊行から半年後、祖父の末弟・柴田旬の次男である昇から電話があった。犯行に使われた亜細亜産業の車・ナッシュ47型らしい写真がうちにあり、ナンバーまで写っているという。亡き大叔父・旬は180センチを超える長身で、彫りが深い顔立ちをし、ダンディーな人だった。

柴田哲孝が昇の家を訪ねると、旬の妻と三男が待っていた。宏と旬は不思議な兄弟で、家族にも知られたくない話がある時には、英語を使っていた。大叔父・旬の仕事は表向きは通訳で、GHQのショーの司会も英語でこなしていた。旬の妻は、背が高かったし、外人みたいな顔なので、仕事じゃない時にも進駐軍専用列車に乗っていた、と証言。押し入れから取り出した古い大きなアルバムに、外国車の写真はあったが、生前、大叔父・旬のお気に入りだったというナンバーの写った写真は剥ぎ取られていた。残る2枚の写真をアルバムごと借り出し、専門家に鑑定してもらうと、ナッシュ47型に酷似しているが、1946~7年に作られた、クライスラーの「プリムス・デラックス・4ドアセダン」だった。

旬はこう推論する。
あの写真の車が下山事件に使われたので、親父はナンバーの写っている写真だけを処分した。洗足の家が下山事件総裁の家に近かったのも偶然ではなく、7月5日の事件当日、親父があの車で尾行した。下山総裁が外人みたいな男に囲まれていたという記事の、その男は親父だ。


祖母・文子の死

柴田哲孝の祖母・文子が1995年8月に89歳で他界。ひと月ほどたったある日、母・菱子とともに遺品の整理をした。押し入れの奥にあった古い手提げ金庫には鍵がかかっていた。

箪笥のなかにあった鍵の束から1本ずつ金庫の鍵穴に差し込んでゆくと、何本目かの鍵が合致した。ぎっしりと詰まった書類の一番底に分厚い封筒があり、「亜細亜産業」関連の品々が保管されていた。上海での活動を示す紙幣、昭和18年から24年にかけての亜細亜産業の辞令・給与明細など。

小さな箱がひとつ入っていて、中から数個の宝石が出てきた。蒼白になった母は、宝石のことも、祖父・宏が上海に行っていたことも知らなかった。

祖父・宏のアルバムには昭和17から18年の12月にかけて、長い空白がある。下山事件で暗躍した男たちは、上海の経歴を持っている。矢板玄、児玉誉士夫、長光捷治、里見甫、真木一英、村井恵、田中清玄、三浦義一、関山義人、そして柴田宏。

昭和40年頃、変装が得意な祖父・宏が頬に含み綿を入れ、見馴れない眼鏡をかけて哲孝と弟を追いかけ回していた。ふたりの叫び声を聞きつけた祖母は祖父に掴みかかり、眼鏡をむしり取り泣き伏した。祖父は下山事件当時49歳で身長は175センチ。下山総裁とほぼ同じ。

五反野南町の末広旅館の長島フクの証言が、下山総裁の自殺説の論拠とされた。が、柴田哲孝の母・菱子の記憶によると、長島フクから柴田宏に年賀状が来ていた。亜細亜産業が下山事件に関与していたなら、長島フクの偽証が明らかになる。末広旅館に立ち寄ったという下山総裁の替え玉は、変装した柴田宏だったのか?


柴田喬の証言

柴田哲孝は20年ぶりにジャズピアニストだった大叔父・喬(たかし)を訪ねる。亜細亜産業で3年間事務員をしていた柴田八重子の元夫で、祖父・宏の弟。当時、80代なかばだが、若くみえる。

宏は7人きょうだいで、長男。あとは長女・和子、次女・寿恵子、次男・潔、三男・喬、四男・慶。

喬の話によると、宏が上海にいたのは昭和17年頃で、喬や潔と上海租界の同じ部屋に住んでいたこともあった。その頃から宏は矢板玄といっしょに仕事をしていた。三菱商事の軍事物質の調達。喬も上海で矢板玄と知り合った。真木一英という殺し屋は矢板玄と柴田宏の仲間。

戦後、喬の妻・八重子が亜細亜産業に勤めていたので、喬も行ったことはある。勤めないかと誘われたが、断った。あんなおっかない会社にはいられない。兄貴もよくいたと思う。

矢板玄は生ゴムや油を密輸していたといったが、喬の証言によると、亜細亜産業は麻薬を密輸していた。下山事件は亜細亜産業が仕組んで、ライカビルに連れ込んだ。殺害の実行犯として喬があげた名は、ひとりは日本人で、もうひとりはキャノン機関の日系二世の将校。


飯島進の証言

大叔母・寿恵子が1998年の年末に倒れ、恵比寿の厚生病院に入院する。病院への見舞い帰りの夫・飯島に、柴田哲孝は斎藤茂男を紹介する。恵比寿駅前の居酒屋で、飯島は台湾義勇軍の一件でも下山総裁と関わりがあったと証言。斎藤茂男が下山事件に話を向けても、飯島はまったく乗らなかった。

飯島との話を終えて、柴田哲孝と斎藤茂男は喫茶店に席を移した。斎藤茂男はそろそろ腹を割って話しませんか、真実が知りたいだけなんですよ、わたしにはもう時間がないんです……と訴える。とくにキャノンについての情報を斎藤茂男は聞きたい様子。このとき柴田哲孝は「時間がない」という言葉の真意を知らなかった。柴田哲孝は、ここだけの話で、メモを取らないことを条件に、約2時間、知りうる限りのことを斎藤茂男に話した。斎藤茂男はそれらを噛みしめるように聞く一方で、積極的に自分の知識や意見を返してきた。

柴田哲孝は、下山総裁の拉致はキャノン機関の権限内の行動で、犯行グループにとっての保険であり、キャノン主犯説を主張しているのはCIAだという。ふたりは、キャノンはスケープゴードにされたという共通認識をもつ。

その夜の斎藤茂男はいかにも楽しそうだった。「下山病患者に効く薬は下山事件に関する情報だ」という斎藤茂男にとって、きわめて有効な薬だったにちがいない。

1999年5月7日、大叔母・寿美子が74歳で逝く。3週間後の5月28日、斎藤茂男も71歳で逝く。

2000年の年が明けてまもなく、柴田哲孝は大叔父・飯島進から誘われた。
「おまえの知りたいこと、何でも教えてやるよ」
子どものいない飯島は世田谷区駒沢の広い邸宅でひとりで暮らし、見る影もないほど憔悴していた。毒でもあおるように顔をしかめながら酒を飲みつづける飯島は、明らかに妻・寿美子の後を追いたがっている。

飯島の話では、下山総裁 の首謀者は「×某」で、実行犯グループと目される亜細亜産業のサロンの主要メンバーの一人。G2のウィロビーやキャノン中佐とも密接に交友していた人物。下山総裁を「裏切り者」と呼び「殺してバラバラにしてやる」と公言。運輸省鉄道総局時代からその利権に深く食い込み、小千谷の発電所の入札やその他の公共工事の中止で莫大な損失を被った人物でもあり、松川事件でも関与が噂された。殺害現場にいた二人の実名は、以前に柴田喬から聞いた人物と同一で、キャノン機関のMという二世の将校と、一人の日本人。替え玉に関しても、飯島は一人の人物の名前を挙げた。

最後に、「ジイ君は関わってたのかな……」という柴田哲孝の問いに、飯島はこたえた。
「兄貴は人を殺せるような人間じゃないよ。矢板さんもね。二人は利用されたんだと思うよ」
そして小さな声で呟く。
「みんな逝っちまった……。残っているのはおれだけだ」


〔参照〕

下山事件資料館
http://members.ytv.home.ne.jp/shimoyamania/

ぴゅあ☆ぴゅあ1949:下山事件
http://blog.livedoor.jp/k_guncontrol/archives/cat_10021654.html


【追記  2010/01/16】

妻の寿恵子が亜細亜産業について語るのをいやがっていた飯島進がここまでの証言をしたということは、柴田哲孝のジャーナリストとしての姿勢・力量に打たれたからだろう。飯島進以外の生き証人として、下山事件の実行犯のひとりだと目されるビクター・松井(元キャノン機関員)がいる。朝日新聞の記者・諸永裕司は、「週間朝日」を担当していたときにアメリカに飛び、ビクター・松井のインタビューに成功する。それが記されている諸永裕司著『葬られた夏――追跡 下山事件』について、近日中にアップする予定である。文庫本の解説を柴田哲孝が記している。



ついでに

下山事件:白洲次郎との3日前の謎の宴席(西銀座・出井、いづゐ) つぶやき館 2012/10/31 10:27
http://madonna-elegance.at.webry.info/201210/article_27.html

下山事件はかっては他殺説、自殺説という文脈で常に論じられてきたが、自殺説は論外であって、誰が何の目的で行なったかの正確な究明の段階に現在はある。

 下山事件は今まで数多くの本が出版されてきたが、結局、自殺説主張は事件究明の妨害目的であって論じる以前の愚説であってもう価値はゼロである。

 近年、出版された「下山事件・最後の証言」柴田哲孝は事件関係者の子孫による決定版というべき内容でこの本を越える下山事件についての本はない。

 柴田氏の驚異的な調査で実行犯もほぼ特定されている。

 ◆柴田氏が下山事件追求に乗り出したのは、戦前、満州諜報機関の残党による「亜細亜産業」が下山事件に深く関わっている、との情報を入手したことに始まった。別名「Y機関」と呼ばれ、三越に近い室町三丁目の「ライカビル」にそのアジトがあった。

 その三階には「サロン」と呼ばれる奇妙な部屋があって旧日本軍の諜報機関員、右翼関係者、政財界の大物連中、米軍関係者が集まっていた。

 柴田氏がY機関の総帥だった矢板玄氏を訪問した際、矢板氏は「他殺ですよ」とこともなげに言った。

 なお付言すれば松本清張流のGHQ陰謀暗殺説は的外れであって、GHQにすれば「三鷹事件」、「松川事件」で十分であって下山事件は根本的に全く異質の事件である。

 ここで柴田氏は警察当局が隠蔽してきた重要な事実を記述している

 ◆1949年7月2日夜、西銀座の「出井(いづゐ)」という料亭にある政財界の大物と同席していた。

 その翌日、初代フジテレビ社長の水野成夫氏に下山総裁は「俺は殺されるかもしれない」と語った。

 ・・・・・では「出井」で下山総裁と同席していた大物とは、・・・・。

 柴田氏は「吉田首相やGHQにも強い発言力もあって日本の電力事業(東北電力)に強い影響力を持った」、・・・・Sと言っている。

 もうここまで書けばSが白洲次郎であることは明らかで、・・・・・。 

 東北電力が下山事件を考える際、最終のキーポイントになるわけである。

 下山事件の一ヶ月前、6月3日にGHQから国内電源開発への巨額資金投入が示されていた。

 この巨額資金で東北本線電化を行なえば国鉄に莫大な見返り利権が生じることになる、わけであった。

 ここで下山総裁は東北本線総電化には反対で国鉄内合理化を第一の手段と考えていた。

 wikipdiaの白洲次郎にも書いているが

 ◆白洲次郎は、なぜ常軌を逸脱の奢侈を極めた贅沢な生活が可能だったのか?

 要職にあっても、その収入であのような生活は不可能である。

 その金の出所はいまだ説明がつかない。広畑製鉄所を英国系企業に売却を図って巨額手数料を得ようとし、反対の後日、富士製鉄社長の永野に半殺しの目にあった、・・・・くらいだから。


 2000年以降、

 ◆ マッカーサーに「天皇をないがしろにするな」と権柄ずくに言い放ったという わけで

 明治維新後の「勤皇いい人」と同じ趣旨、文脈で

 白洲次郎、いい人、気骨ある偉人、という手放しの賞賛がなされている、・・・・

 心底、私はこのような白洲次郎賛美には苦笑せざるを得ない。

 しかし、要するに

 それまで白洲次郎は「決して語ってはいけない、触れてはならない」人物だった。

 戦前の近衛文麿の側近で戦後の闇のフィクサー的活動の人物で(表向きの東北電力は一面でしかない)誰も触れてはならない、危険な人物扱いだった。

 柴田氏のさらなる究明を期待したいところだ。



岸信介とCIA オフイス・マツナガ 2007年10月13日
http://officematsunaga.livedoor.biz/archives/50454697.html

・・・重要なのは、岸信介が児玉誉士夫と並んで、CIAが日本政府をコントロールするためにリクルートした最も有力なエージェントと指摘していることである。そのために、CIAは岸に巨額の金を注いだと指摘している。

 つまり、安倍前首相がもっとも敬愛する祖父、岸信介はあの無謀な戦争を指揮した戦犯であるだけでなく、売国の政治家だったことが改めて裏付けられたことになる。岸は1952年7月、追放解除者を集めて、自主憲法制定を旗印に日本再建連盟を結成する。 

 自主憲法とはなにか。       
 あの悲惨な戦争体験から13年しかたっていない時期に岸信介首相(当時)はこんな発言をしている。朝日新聞の縮刷版によると、1958年10月15日付の夕刊の1面に、「憲法9条廃止の時」という記事が載っている。米国NBCの記者のインタビューに、岸は「日本国憲法は現在海外派兵を禁じているので、改正されなければならない」「憲法九条を廃止すべき時は到来した」と言明している。 これが自主憲法の中身である。安倍前首相のいう「戦後レジームからの脱却」も、これと同じである。まさに、自衛隊を米軍の身代わりとして海外で戦争させようというものにほかならない。米国の長年の願望である。 

なぜ、鬼畜米英と叫んだ戦争指導者が、米国の手先になったのか。その秘密を解くカギが最近発売された完全版『下山事件 最後の証言』(柴田哲孝著、祥伝社文庫)にある。

柴田氏の祖父(柴田宏氏)が勤めていた亜細亜産業の社長で戦前の特務機関である矢板機関の矢板玄(くろし)氏の証言に、その秘密が書かれている。以下、矢板証言の注目部分を引用する。

〈岸を釈放したウィロビー〉

 (佐藤栄作は、兄岸信介の件で来たのではないか。岸信介を巣鴨プリズンから出したのは、矢板さんだと聞いているが)

 「そうだ。そんなことがあったな。だけど、岸を助けたのがおれだというのはちょっと大袈裟だ。確かに佐藤が相談に来たことはあるし、ウィロビーに口は利いた。岸は役に立つ男だから、殺すなとね。しかし、本当に岸を助けたのは白洲次郎と矢次一夫、後はカーンだよ。アメリカ側だって最初から岸を殺す気はなかったけどな」

 注=東条内閣の閣僚で、戦争指導者の一人であり、A級戦犯容疑者として逮捕された岸の釈放については、昨年9月22日付「赤旗」の「まど」欄が、「GHQ連合国軍総司令部のウィロビー少将率いるG2(参謀部第二部)の『釈放せよ』との勧告があった」ことを紹介している。ウィロビーは、直轄の情報機関として、キャノン機関や戦後も暗躍した矢板機関を持っていた。


白洲次郎のプリンシプルとは? by 鬼塚英昭 原爆ホロコーストへの道
http://satehate.exblog.jp/9332877/

500票束のバーコード付き票が全く管理されていないことの証明  小野寺光一 + 『目ン無い千鳥』
http://satehate.exblog.jp/21175393/

映画 「2012」の隠された象徴的な意味 By VC (完訳版) 1
http://satehate.exblog.jp/17977702/

映画 「2012」の隠された象徴的な意味 By VC (完訳版) 2
http://satehate.exblog.jp/17977850/



http://kinnikuking.blog81.fc2.com/blog-entry-1075.html



自民党、移民の大量受け入れを本格的に検討へ!外国人参政権もセットで!移民の失職後は税金で対応!
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-2693.html

# by oninomae | 2014-05-30 19:51

 

下山事件 最後の証言 1

以前から載せたいと思っていた影絵さんの記事抜粋転載

柴田哲孝著『下山事件 最後の証言』(前篇) 2009年12月23日
http://silhouette.livedoor.biz/archives/51470393.html

前略

下山事件 最後の証言 1_c0139575_21591477.jpg

●柴田哲孝著『下山事件 最後の証言』

圧倒的におもしろく、幾度も読みかえした。重くて切れのよい文体に魅了された。会話の部分が活写されているので、小説を書けるひとだと思った。人間を立体的に描いているので、愉しめるのである。のちに知ったが、やはり小説も書いている。アウトドア派で多才である。

本書はおもしろく読めるが、いざblogに書くとなると意外とむずかしい。文庫版で602ページという分厚い本に盛りこまれた緻密な内容と、下山事件の奥深さがその理由だ。加えて、パソコンにむかってキーを打ちはじめると、猛烈な睡魔に襲われて作業をつづけることができない、という日々の連続だった。下山事件には魔物が棲んでいるのかもしれない。

以下、本書から印象的な箇所を引用(要約)しながらわたしの感想を述べる。


祖父・柴田宏は下山事件にかかわっていた

柴田哲孝の祖父・柴田宏(ゆたか)は1970年7月1日、69歳で他界。柴田哲孝が幼いころから異常なくらい慕っていた祖父は、スポーツ万能で、近所の少年たちとともに「ジイ君」と呼ばれ、英雄だった。

柴田哲孝は1991年7月、祖父の23回忌の法要で、大叔母・飯島寿恵子から祖父が下山事件にかかわっていたと知らされる。この日から柴田哲孝は下山事件という迷宮に足を踏み入れた。そこには幼いころから慕っていた祖父のべつの顔を知りたい、という欲望も含まれていた。

祖父・柴田宏は昭和18年から24年の夏まで、矢板玄の経営する亜細亜産業の役員だった。

祖父の妹・寿恵子も昭和23年の春まで、数年間、事務員として勤めていた。亜細亜産業は絶対に身内からしか事務員を雇わなかった。寿美子も入る時、業務内容に関しては多言しないという念書を入れている。あの会社は下山さん以外にも殺されたとか、消されたという噂はいくらでもあったので怖い、という寿美子を根気よくなだめ、説得して、柴田哲孝は寿美子の口を開かせてゆく。

寿美子の話によると、亜細亜産業は戦後、機関車の部品を東武鉄道や国鉄に納めていた。

元々矢板玄の実家は材木商だったらしいから材木も扱っていたが、ほとんどは南洋材(ラワン材)で、柴田宏が担当してインドネシアから輸入し、それを使って家具を作っていた。家具の半分はGHQに納め、あとの半分は家具屋やデパートでも売っていた。三越には大きな家具売り場があって、そこに亜細亜産業のコーナーがあった。(下山総裁は失踪当日の午前10時頃に三越3階の家具売り場で姿を目撃されている) 

亜細亜産業は大量の雑油の配給を国から配給されていて、年間に「ドラム缶で数10本の単位」だった。大半は他の工場などに横流ししていた。(下山総裁の衣服には大量のヌカ油が染み込んでいた)

亜細亜産業では染料も扱っていた。いつも見本が置いてあった。(下山総裁の衣類や靴などから塩基性の染料の粉が検出された)

亜細亜産業がGHQと取り引きがあったのは、「大砲の弾の部品」などの鉄工製品、家具、材木、樹脂製品などで、GHQからは砂糖を買っていた。

ライカビルは異次元の空間だった。終戦後の物資が欠乏していた頃、本物の日本酒、高級ウイスキー、外国タバコなどが並んでいた。3階のサロンに出入りしていたのは亜細亜産業の社員でも一部の重役だけで、柴田宏もその一人だった。異常なほど羽振りの良かった亜細亜産業は、昭和23年頃になって急に景気が悪くなりはじめた。

1991年当時、柴田哲孝はライカビルはすでに取り壊されたものと思い込んでいたが、数年後、当時、週間朝日の記者・諸永祐司が探し出した。諸永に誘われ、柴田哲孝はライカビルに足を運んだ。昔から三越の南口と室町3丁目は地下道で結ばれていたので、それを通れば、ほとんど人目に触れずに行くことができた。(下山総裁は大西運転手に見られずに、三越の南口からライカビルに行くことができた)

ライカビルは5階建ての細長いビルである。

下山事件 最後の証言 1_c0139575_225465.jpg


正面に蛇腹式ドアの古いエレベーターがあり、右手には木の手摺りの階段がある。亜細亜産業のオフィスがあった2階は、英国式のパブになっていた。サロンがあった3階は、麻雀屋になっていた。4階はごく普通の会社のオフィスになっていた。昭和24年当時、4階には三浦義一主宰の「国策社」の事務所が看板を掲げ、「日本金銀運営会」という事務所があった。

帰りはエレベーターに乗り、2階のパブに寄った。柴田哲孝は諸永祐司と混んだ店の窓際の小さなテーブルに座り、かつてこの場所に現存した亜細亜産業時代のオフィスを空想する。

(つづく)


柴田哲孝著『下山事件 最後の証言』(中篇) 2009年12月23日
http://silhouette.livedoor.biz/archives/51470404.html

前篇につづき、柴田哲孝著『下山事件 最後の証言』から引用(要約)しながら、わたしの感想を述べます。

亜細亜産業総帥・矢板玄の証言

本書の圧巻は矢板玄(くろし)と柴田哲孝が対峙する場面だ。矢板玄は亜細亜産業と称する貿易会社の総帥で、下山総裁が消息を絶った三越本店に近い東京・日本橋室町にあるライカビルに本拠地があった。

柴田宏は亜細亜産業の幹部で、宏の妹・寿恵子と宏の弟・喬(たかし)の妻の八重子は、事務員として勤務していた。柴田哲孝の母・菱子は、下山事件発生当時は14歳で吉祥女子中等部2年生。学校の帰りに頻繁に亜細亜産業に遊びに行った。矢板玄は菱子をずいぶん可愛がってくれた。背が高くて、かっこよかったし、いい人だった。

矢板玄の家族と社員とで旅行に行ったこともあり、矢板玄の息子たちと何度か遊んだことがある。菱子が行くのは父・宏のいた2階の事務所だけ。宏に「3階にはお化けがでる」といわれていた。ひとり娘として父・宏に慈しまれた菱子は、仕事が終わるのを待って、よくデートした。天ぷらを食べたり、銀ブラして買い物したり。三越にも歩いて5分もかからなかった。菱子が父・宏がGHQの仕事をしているの知ったのは昭和22年。

恐ろしくて矢板玄に会えなかったジャーナリスが多いなか、1963(昭和38)年、斎藤茂男は三菱化成時代の矢板玄を訪ねたが、一蹴された。柴田哲孝は大叔父・飯島進(寿美子の夫)に、「矢板玄に会いに行くのだけはやめろ」といわれていた。飯島進の父・亀太郎は外務省の役人で、柴田哲孝の曾祖父・柴田震の同僚。飯島進は戦時中に三菱商船の子会社「第一壮美」を起業したが、昭和29年の「造船疑獄事件」のあおりを受けて倒産。亜細亜産業の矢板玄とも親しかった。

  #

栃木県矢板市役所の中庭に矢板武(玄の曾祖父)の銅像がある。

柴田哲孝が住民課で矢板玄を捜していると伝えると、慌てた様子で市長室に案内された。市長は矢板玄を「先生」と呼び、緊張した面持ちで玄の家に電話をし、来客がある旨伝える。市長に電話にでるようにいわれた柴田哲孝は、亜細亜産業でお世話になった柴田宏の孫だと告げる。矢板玄に、家は市役所の目のまえなので、いまから来いといわれる。これまで仕事で数百人にインタビューしてきた柴田哲孝の信念は「一対一が基本」。

矢板家の屋敷に到着し、案内された10畳ほどの部屋で、柴田哲孝は矢板玄にいきなり抜き身の刀を突きつけられる。鬼の形相で圧力をかけてくる矢板に、柴田哲孝は動揺しなかった。矢板玄は急に大笑いし、「おまえは確かに柴田さんの孫だ。あの人も豪胆な人だったからな」。身長は180センチ以上あり、鍛えあげられた筋肉をもつ矢板玄の第一印象は、戦国時代の武将。サンルームに移動してからの矢板玄は、上機嫌で饒舌だった。当時、78歳の矢板玄は毎朝、庭で木刀の素振りを欠かさない。

柴田哲孝は、自分がジャーナリストであること、祖父の過去と亜細亜産業に興味をもっていることを断り、メモをとることに許しを求めた。矢板玄はその度胸のよさが気に入り、「柴田さんより自分のことを書いたほうが面白いぞ」と大笑いする。

  #

柴田宏は元々関東軍の特務機関の将校だった。英語が話せて頭がいい奴がいると聞いて、亜細亜産業に来てもらうことにした。ジャワに工場を建てることになり、柴田宏は英語ができたので、そこの責任者の一人として行ってもらった。ほんとうの任務はスパイ。軍の情報を収集したり、宣伝ビラを作ってばらまいたりというプロパガンダ。

矢板玄は横浜高等工業学校(現・横浜国立大学)を出て、代議士・迫水久常の紹介で昭和電工に入った。森社長に頼んで大陸に行かせてもらい、満鉄をやっていた。退屈なので、軍属になり、上海に矢板機関を作った。矢板機関での仕事は陸軍の物資調達、金集め。ごっそり金を儲け、日本に帰って亜細亜産業を作った。

児玉誉士夫は親父・玄蕃の仲間じゃ一番下っぱで、組んで仕事はしたが、騙されてばかりだった。児玉は仲間の水田光義を殺している。自分でそういってたから間違いない。絶対に信用できない奴。児玉は日本人じゃない。

矢板玄の後見人は三浦義一と東条英機。亜細亜産業の業務内容はひとことでいうと軍需産業で、パルプは一部。日本に帰ってから工場を次々に買収して、生産部門を作った。工場は北千住や小菅、パルプは王子や十条にあった。陸軍省の工場の中にあった。工場の名前は、「亜細亜産業生産部」。(下山事件は、誘拐現場の三越周辺から轢断現場の五反野まで、すべて亜細亜産業の領域内で起きたことになる)

戦後は千葉に、千葉銀行から取り上げた旭缶詰というのもあった。(旭缶詰とは、矢板玄が元千葉銀行頭取・古荘四郎彦の戦犯容疑をもみ消した際、謝礼として譲り受けた「旭缶詰会社」のこと)

矢板玄は元々鉄道の電気技師で、昭和電工に入ったのも満鉄をやりたかったから。亜細亜産業時代にも配電盤のコイルとかパンタグラフとか、いろいろなものを作っていた。矢板家は鉄道一家。曾じいさん(12代目・矢板武)は鉄道会社の役員で、いまの国鉄の東北本線や日光線の元になった。東武伊勢崎線も親父・玄蕃が作ったみたいなもの。親父は東武の大株主の一人だったから出資もしたが、ほんとうに線路をひいて作った。

満州事変当時、関東軍の最大の任務は満鉄の敷設と延長だった。親父・玄蕃が指揮してその訓練をやらせた。軍隊が訓練で敷いた線路を東武が買い上げた。

  #

矢板玄の親父・玄蕃と三浦義一が、大蔵省の迫水久常と組んで金銀運営会をやっていて、その事務所がライカビルの4階にあった。戦時中に国が国民から供出させた貴金属を潰して金の延べ棒にしたものが、4階の床下に百本以上あった。指輪からはずしたダイヤモンドや宝石もごっそりあった。ダイヤ以外の宝石は小遣いとして使い、ダイヤは別にとっておいた。粉にして大砲の砲身を磨くので貴重だった。終戦後、親父・玄蕃のところに山ほど残ったダイヤに、児玉誉士夫が大陸から持ち帰ったダイヤを混ぜた。

悪いほうをウィロビー(GHQのG2のチャールズ・ウィロビー少佐)に持っていって、いいほうを黒磯の山中に埋め、あとで児玉誉士夫と山分けにした。ダイヤモンドは山から掘り出して少しずつ売ったが、児玉が巣鴨刑務所でGHQの奴らにしゃべり、ウィロビーにもだいぶ持っていかれた。

児玉誉士夫はA級戦犯ではなく、アメリカの策略だった。児玉はダイヤ・プラチナ・ウランを隠し持っていたので、A級戦犯で逮捕しておき、物資の隠し場所を吐けば、命は助ける。ウィロビーは、当時の金で数億円のダイヤをアメリカに持って帰ったはずだ。

金とダイヤモンドを、戦後は政治に使った。吉田茂内閣の政治資金。吉田はその金を使ってGHQによる公職追放を逃れて首相になった。岸信介の内閣までほとんどその金が使われた。

ライカビルは都心の一等地にあったし、集まりやすかった。金の臭いもするし。あの頃の日本を作った梁山泊。右翼関係者では、三浦義一、田中清玄、関山義人、児玉誉士夫、笹川良一、赤尾敏。共産党の伊東律。社会党の西尾末広。よく来ていたのは白洲次郎、迫水久常。政治家では吉田茂、岸信介、佐藤栄作。

吉田内閣を作ったのは親父・玄蕃と三浦義一。佐藤栄作を代議士にしたのも三浦義一。

三浦義一と白洲次郎は蜜月の仲だった。柴田宏と白洲次郎も仲が良かった。

矢板玄が最初にウィロビーと会ったのは、三浦義一の紹介。三浦は英語が得意ではなく、ウィロビーに会うときには通訳がわりに矢板玄が連れていかれた。矢板玄は英語・フランス語が話せた。柴田宏が行ったこともある。

そのうちウィロビーに気に入られて、いろいろ相談されるようになった。三浦義一はとてつもない大物で、ウィロビー、マッカーサー、吉田茂、財界の大物たちは、なにか問題がもちあがると三浦義一に挨拶に行った。

  #

キャノン機関のボス・ジャック・キャノン中佐に関しては、1971年、ジャーナリストの平塚柾緒(まさお)が、ルイジアナ州の自宅を訪ね、日本人として初の単独インタビューに成功した。1977年、NHKが制作したドキュメンタリー番組「キャノンの証言」のなかで、キャノンは人脈を明かしたが、それらの人物はキャノンとの関係を訊ねられると、当惑したり否定した。本郷ハウスでキャノンとともに写った写真が残っている白洲次郎も、付き合いを認めていない。

1981年、66歳のキャノンは自宅のガレージで射殺体で発見され、自殺他殺不明のまま事件は迷宮入りとなった。

矢板玄がキャノンと知り合ったのは昭和22年頃。最初は麹町の沢田ハウスで会った。(キャノンが本郷の岩崎別邸にキャノン機関を開設したのは、昭和23年3月) 麹町も本郷も沢田美喜が厚意でウィロビーに貸した。

白洲次郎がキャノンていう面白い奴がいるといってきたが、なかなか紹介してくれないので、岩崎のお嬢さん(沢田美喜)に間に入ってもらった。美喜さんにいわせれば、キャノンなんかただの腕白坊主。(斎藤茂男によると、沢田美喜が運営する孤児院エリザベス・サンダース・ホームはCIAの支部。美喜の私設秘書・真木一英は殺し屋)

矢板玄とキャノン中佐は親友だった。対等で、反共という目的で結ばれたファミリーだった。柴田宏はキャノンのお気に入りだった。日本人のエージェントは、ほとんど矢板玄がキャノンに紹介した。長光捷治、里見甫(はじめ)、阪田誠盛、伊東律、鍋山貞親、田中清玄など。(里見甫はアヘン密売のエキスパートで、G2時代のキャノンはヘロイン中毒)

亜細亜産業はキャノンと組んで密輸をやっていた。キャノンは金がなかった。G2から莫大な工作資金が出ていたというのは嘘で、足りない分は自分で工面した。むしろキャノンが稼いだ金をウィロビーに上納していた。買った中古の漁船の管理を矢板玄がやり、警察と話をつけるのはキャノンの役目。利益は完全に折半。日本から北朝鮮に日用雑貨や古い工作機械なんかを持っていって、情報収集をやる。帰りに中国や東南アジアを回って、生ゴムやペニシリン、油などを買ってくる。朝鮮や中国で、スパイになりそうなのを探して連れてくる。それをキャノンが教育して送り返した。みんな殺されたが……。

キャノンは自殺するような人間じゃない。殺されたんだ。KGB(ソ連国家保安委員会)に殺されたと思う。キャノンの部下は、CIAにやられたといっていたが……。キャノンはほんとうにいい奴だった。

昭和24年の春頃、ライカビルの事務所を朝鮮人に襲われたことがあった。黒磯から堀り出したダイヤを事務所に置いてあるのがばれた。矢板玄と林武と柴田宏の3人だけだった。銃は1丁しかなく、相手は7~8人。ドアをはさんで睨み合いになった。しかたなくキャノンに電話したら、本郷から5分で飛んできた。部下を連れて、両手にコルトを構えて、階段を駆けあがってきた。まるで騎兵隊みたいだった。

  #

昭和疑獄事件は三者の利害が完全に一致した。吉田は芦田内閣を潰したかった。ウィロビー(G2)はケージスを追放したかった。矢板玄たちは昭電の森さんに恩があった。最初に計画を練ったのはウィロビーと吉田と白洲次郎で、矢板玄と斎藤昇(国警長官)が動いた。

キャノンは全部知っていたが、直接はからんでいない。荒っぽいことが専門で、頭を使うことはあまり得意ではない。

ケージスが新聞社や警察に圧力をかけてきたので、ハリー・カーンのつてを使ってアメリカの新聞社に情報を流したのが柴田宏だった。あの頃、柴田宏は顔が割れていなかったし、英語がうまかった。英語といえば、白洲次郎か柴田宏だった。それに柴田宏はいかにも紳士だから、外人記者はみんな柴田宏を信用していた。

  #

柴田哲孝が下山事件に触れると、矢板玄の形相が変わり、生きる仁王像のようになった。

追い込まれた柴田哲孝は、メモを取っていたノートを閉じた。矢板玄は口数が少なくなり、下山総裁とは面識があり、自殺ではなく他殺、共産党勢力の犯行ではないことを認めた。

祖父が亜細亜産業時代(昭和18年から24年の夏まで)のことを克明に日記に残していた、と告げると、矢板玄は狼狽し、ほんの一瞬で10年の老いを重ねたようにも見えた。そして突然、大声で笑いだし、「困ったもんだな、柴田さんは。そんなものを残していたのか」。
関係者も生きているので、おれが生きているうちは書かないと約束しろ、と矢板玄はいう。
柴田哲孝は、矢板玄が生きているうちは書かないと約束する。

矢板玄は柴田哲孝を長屋門まで送った。肩に大きな手を置き、「また遊びに来い、今日は、楽しかった」。しかしこの直後、驚いたことに矢板玄は脳梗塞を患い、痴呆になる。屋敷から姿を消し、1998年5月、83歳で逝く。柴田哲孝との対面から5年後である。

  #

柴田哲孝は書斎のデスクの引き出しにあった日記を何度も見ている。小学生の頃、祖父のまえで日記帳を開いたが、意味は理解できなかった。そのとき祖父は、「この日記はおまえにやる。大人になって、英語がわかるようになったら、読んでみろ」といった。祖父・宏の書斎には膨大な書類が残されていた。英語で書かれた6冊の日記帳、数十年分の書簡など。祖父の死の直後、それらを祖母・文子は知人に託して焼却させた。

祖父・柴田宏が発表する目的ではなく克明な日記を書き、膨大な書類を保存していたのは、ジャーナリスト魂だとわたしは思う。柴田哲孝が祖父の秘密を暴くことで、結婚に失敗したあと女手ひとつで自分と弟を育ててきた母を傷つけることになる。それがわかっていても、下山事件の真相を知りたいという衝動を抑えることができない。ジャーナリスト魂という最大の共通項が、ふたりにはある。

本書によると、矢板玄は英語の日記が焼却されていることは知らないし、柴田哲孝がすでに日記を読んでいるととらえている。これはわたしの妄想だが、矢板玄にとって柴田宏が書いた日記帳は、想像を絶するほどの脅威だったのではないだろうか。痴呆というのは自己防衛ではないのか。仮病ではなく、ほんとうにそうなっているのである。真剣を突きつけた矢板玄は、徒手空拳でたちむかった柴田哲孝との「真剣勝負」に破れたのではないか。試そうとした人間が試された、ともいえる。それは柴田宏の日記を公表するなといわず、「おれが生きているうちは書かないと約束しろ」といった矢板玄の発言にあらわれている。柴田哲孝は矢板玄の変貌を聞いてショックを受け、「老い」だと記しているが、柴田哲孝との対決がなければ、矢板玄は元気でもっと長生きしていたように、わたしには思える。

(つづく)


おまけ

学校はバカを量産するのが目的か  投稿者:Legacy of Ashesの管理人 投稿日:2014年 5月28日(水)10時51分27秒
http://6707.teacup.com/gamenotatsujinn/bbs/2723

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/gmo-e681.html

・・・日々大本営広報部の記事を読んでいてさえ、売国与党、日本を「ドレイもん」にして、「どこでも派兵ドア」を作れるよう、憲法破壊容認を推進するつもりであることはわかる。

# by oninomae | 2014-05-29 21:46

 

ネオナチの暴力が国中に蔓延、軍や親衛隊の東南部制圧作戦が進む中、オリガルヒ当選の無意味 櫻井J

ネオナチの暴力が国中に蔓延、軍や親衛隊の東南部制圧作戦が進む中、オリガルヒ当選の無意味 櫻井ジャーナル 2014.05.26
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201405260000/

 ウクライナの大統領選は「チョコレート王」のペトロ・ポロシェンコの勝利で終わりそうだ。この人物は「オレンジ革命」で巨万の富を築いたユダヤ系のオリガルヒ(一種の政商)のひとりで、オデッサの虐殺で黒幕的な役割を果たしたとされるイホール・コロモイスキーやパイプライン業界に君臨するロンドン在住のビクトル・ピンチュクと同様、ネオ・ナチを金銭面から支援してきた。「ユダヤ系」とはいうものの、この3名、ユダヤ系住民を代表しているわけではなく、ウクライナのネオ・ナチが信奉しているステファン・バンデラを支持している。

 本ブログでは何度も書いてきたが、バンデラは1930年代にOUN(ウクライナ民族主義者機構)に所属、反ポーランド、反ロシアを主張していた活動家。OUNはアンドレイ・メルニクが率いていたが、その方針に飽き足らない攻撃的グループがバンデラを中心に形成される。一般にOUN-Bとも呼ばれている。この一派をイギリスの対外情報機関MI-6のフィンランド支局長だったハリー・カーが雇った。

 1941年6月にドイツはソ連に向かって進軍を開始、ウクライナも占領した。「バルバロッサ作戦」だ。OUN-Bもリボフへ入り、独断でウクライナの独立を宣言する。

 占領軍は数時間のうちにユダヤ人、知識人、ロシア人、コミュニストなど「新秩序」の障害になると考えられていた人々の虐殺を始め、リボフでは数週の間に7000名人以上が殺害され、その周辺地域ではOUN-Bによって数万人が虐殺されたとする推計がある。(Russ Bellant, “Old Nazis, the New Right and the Reagan Administration”, Political Research Associates, 1988)また、ドイツ軍に占領されていた時期、ウクライナに住んでいたユダヤ人90万人が行方不明になったとも言われている。(Christopher Simpson, “Blowback”, Weidenfeld & Nicloson, 1988/クリストファー・シンプソン著、松尾弌之訳『冷戦に憑かれた亡者たち』時事通信社、1994年)

 その一方、OUN-Bが独断でウクライナの独立を宣言したわけだが、その残虐さもあり、暴走を懸念したナチスの親衛隊はOUN-BやOUN-Mのメンバーを拘束していく。このときにOUN-Bの主要メンバーたちは特別待遇で拘束されていたと言われ、本気で虐殺を懸念したのかどうかは疑問。1943年になるとOUN-Bの戦闘員はUPA(ウクライナ反乱軍)として活動しはじめ、「反ボルシェビキ戦線」を設立する。

 大戦後、この組織はABN(反ボルシェビキ国家連合)へと発展、APACL(アジア人民反共連盟、後にアジア太平洋反共連盟に改名)とともにWACL(世界反共連盟)の母体になった。WACLはCIAの別働隊として活動することになる。ただ、ウクライナではソ連がチェコスロバキアやポーランドと共同してOUN-Bの掃討作戦を実施、一掃されてしまった。そのOUN-Bを「西側」は今、復活させている。

 オレンジ革命後に不公正な手段で巨万の富を築いたという点ではユリア・ティモシェンコも同様だ。2007年12月から10年3月までウクライナの首相を務めているが、その間、08年には投機家のジョージ・ソロスからのアドバイスに基づく政策を実行すると発言、後に「祖国」なる政党をつくった人物だ。ネオコンのビクトリア・ヌランド国務次官補が高く評価、クーデター政権で首相代行になったアルセニー・ヤツェニュク、アレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行も「祖国」に所属している。

 投票日の前日、アメリカの「オブザーバー・グループ」を率いているマデリーン・オルブライト元国務長官と会談している。アメリカ支配層から最も好かれている候補者だが、ウクライナではその悪事が広く知られているため、さすがに選挙では惨敗した。

 実は、投票の直前に投票システムがハッキングされたと言われている。クーデター政権に反発しているのは東部や南部の住民だけでなく、軍、情報機関、治安機関の内部にもいるようで、電話の盗聴などもリークされてきた。そうしたグループのひとつ、「サイバーベルクト」がハッキングしたようだ。(クーデター政権側は否定しているが。)

 外部からアクセスできるということじたい、選挙システムとしては問題。ハッキングの理由は、システムを機能不全にして手作業で開票させ、不正しにくくすることにあったという。投票率を高く見せるために小細工しているようだが、投票内容の操作はハッキングで難しくなったようだ。

 このシステムを開発したのはアメリカを拠点とするSOEソフトウェアーなる会社。NSAとコンピュータ関連企業との関係を考えると、アメリカ政府が選挙結果を操作しようとしていた可能性は否定できない。

 何しろ、ジョージ・W・ブッシュを当選させた2000年の大統領選以降、アメリカの選挙は操作されている疑いが濃厚。コンピュータ化が推進され、操作はますます容易になっている。勿論、日本でもそうした噂が流れている。


 ところで、ティモシェンコを励ましたオルブライトは国務長官の時代、1998年にユーゴスラビアの空爆支持を表明、99年にNATOはユーゴスラビアを先制攻撃した。ズビグネフ・ブレジンスキーの教え子だとうこともあり、東ヨーロッパ、特にウクライナの制圧に熱心。

ネオナチの暴力が国中に蔓延、軍や親衛隊の東南部制圧作戦が進む中、オリガルヒ当選の無意味 櫻井J_c0139575_20594095.jpg

ネオナチの暴力が国中に蔓延、軍や親衛隊の東南部制圧作戦が進む中、オリガルヒ当選の無意味 櫻井J_c0139575_21212312.jpg

ネオナチの暴力が国中に蔓延、軍や親衛隊の東南部制圧作戦が進む中、オリガルヒ当選の無意味 櫻井J_c0139575_2164495.jpg

バラク・オバマ政権で国家安全保障問題担当の大統領補佐官に指名されたスーザン・ライスの師でもある。つまり、アメリカの体制転覆プロジェクトの中枢にいるひとりだ。

 ちなみに、オルブライトの父親はチェコスロバキアの元外交官で、アメリカへ亡命してデンバー大学で教鞭を執っている。そのときの教え子の中にコンドリーサ・ライス、つまりジョージ・W・ブッシュ政権で国務長官を務めた人物がいる。ふたりのライスをオルブライト親子はつないでいる。

 日本のマスコミなどは「親EU派」、あるいは「親欧米派」の候補が勝ったとはしゃいでいるが、「西側」の意に沿わない候補は排除され、言うことを聞かない人物は襲撃されてきた。そのひとりがオレグ・ツァレフ。4月14日にテレビ局を出たところを襲われた様子などがインターネットで流れている。(映像1映像2)こうした状況はクーデターの最中から続いている。

 ところで、当選したポロシェンコのカネ儲けはソ連時代の終わり、マネーロンダリングから始まったという。ソ連消滅後はロシアと同じように犯罪組織や政府の中枢と手を組むことで国民の資産を略奪、ポロシェンコの場合は武器、売春、麻薬などに手を出していたと伝えられている。

 女性を稼ぎに利用していたという点ではロシアのオリガルヒ、ミハイル・ホドルコフスキーと似ている。この人物もソ連時代にカネ儲けを始めているのだ。コムソモール(全ソ連邦レーニン共産主義青年同盟)の指導者だった時代、1989年にロシアの若い女性を西側の金持ちに「モデル」として売り飛ばしていた疑いが持たれている。出国ビザを取得するため、KGB(国家保安委員会)の人脈を使っていたという。

 古今東西、怪しげな商売をしている連中はカネが貯まると銀行を欲しがる。ホドルコフスキーはメナテプ銀行を設立するが、その腐敗ぶりは有名で、CIAも「世界で最も腐敗した銀行のひとつ」と表現していた。(The Village Voice, September 7, 1998)そして1995年、ホドルコフスキーはユーコスという石油会社を買収、中小の石油会社を呑み込んでいく。

 犯罪組織や政府の中枢と手を組み、不公正な手段で国民の資産を略奪、庶民を食い物にする連中を西側の政府やメディアは「民主化勢力」と表現、「善玉」に仕立て上げる。自分たちと同じことをしている仲間だということだろう。


ナチスの手口で独裁政治確立目指す安倍政権 植草一秀 2014年5月26日 (月)
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-e9cd.html

2013年7月29日、安倍晋三内閣の副総理である麻生太郎氏は都内で開かれた会合でこう述べた

「ナチス政権下のドイツでは、憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わってナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気づかないで変わった。あの手口、学んだらどうかね」

安倍晋三氏は日本国憲法の解釈変更を強行しようとしているが、憲法解釈変更というより、憲法破壊行為である。

安倍晋三氏は、本来、憲法改定の意向を有している。

日本国憲法をどのように改定しようとしているのかは、自民党が提示した日本国憲法改正草案見れば分かる

改正ではなく改定であり、まったく別の新しい憲法を制定しようとするものである。

しかし、憲法改定のハードルは高い。

第96条が、改定要件を厳しく定めているからである。

そこで安倍晋三氏は、憲法改定のハードルを高く設定している第96条の改定を先行させようとした。

衆参両院で過半数の賛成を得れば、憲法改定を発議できるように、96条の改定を目論んだのである。

しかし、当然のことながら、安倍氏のこの目論見に対して、厳しい反発が一斉に噴出した。

安倍晋三氏は「立憲主義」という考え方を理解していなかったのだと思われるが、権力の暴走を防ぐため、憲法改定のハードルは通常、高く設定されている。

「硬性憲法」としているのが一般的である。

安倍氏の96条改定の目論見は粉砕された。

96条の改定が難しいとなると、憲法を全面的に書き換えて、別の憲法に作り替えることは容易なことではなくなる。

安倍政権与党は衆院で3分の2議席を確保しているが、参院では3分の2に届かない。

憲法改定は容易なことではないのだ。

この現実に気付いた安倍晋三氏がいま推進しているのか、憲法の条文を変えずに、「解釈」を変えてしまうという道である。

「道」とは言っても「正道」ではない。

「邪道」である。「蛇の道」の「蛇道」と言ってもよい。

その解釈変更も、正当な解釈を用いるというならまだ分かる。

しかし、逆立ちしても成り立ちようのない解釈を、「新解釈」として打ち出すというのだから、この政権はもはや「狂気の政権」というより他にない。

ここで登場するのが「ナチスの手口」である。

ナチスはワイマール憲法という、当時の世界では最も先進的との評価を受ける憲法が存在するなかで登場し、実質的にこの憲法を無力化、無効化していった。

「ナチス政権下のドイツでは、憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わってナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気づかないで変わった。あの手口、学んだらどうかね」

という発言の意味は不明な部分も多くある。

「ナチス憲法」というものが実在しないからである。

ヒトラーが政権を樹立して「全権委任法」を成立させ、ナチ党ヒトラーによる独裁が始動した。

これによりワイマール憲法は無力化され、ヒトラーのナチ党による一党独裁政治が始動したのである。

つまり、麻生氏発言は、実質的な独裁体制を構築して、現行憲法を実質無効化してしまう手法として、「ナチスの手口」に学んではどうかと提案したものと受け取ることができる。

そして、いま、安倍晋三氏が進めようとしているのは、これに近い。

憲法改定を正面から論じれば、強い反対論が噴出してしまうだろう。

衆参両院での3分の2以上の賛成を得て憲法改定を発議することも容易でない。

その現実を踏まえるなら、衆参多数勢力を確保する政権が、「憲法解釈」を変えてしまい、実質的に現行憲法を無力化してしまうことがよいのではないか。

実質的な憲法改定になる。

このような考えで、安倍氏が動いているように見える。

ドイツで、ワイマール憲法が実質無力化された直接の契機は、ヒトラー政権が1933年に全権委任法を成立させたことによる。

1932年に発生した(引用者蛇足:発生させた)国会炎上事件を利用して、共産党、社会民主党を無力化し、中間勢力を取り込んで、ヒトラー政権が全権委任法を成立させた。

ネオナチの暴力が国中に蔓延、軍や親衛隊の東南部制圧作戦が進む中、オリガルヒ当選の無意味 櫻井J_c0139575_23243888.jpg


これにより、ドイツの議会政治は実質的に終焉し、ナチ党の独裁が始動し、人類史上最悪の時代に突入していったのである。

全権委任法に対して反対したのは社会民主党だけだった。中央党、ドイツ人民党などの中間勢力も、ヒトラー政権の強権運営の脅威に晒されて、全権委任法の成立に賛成していった。

5月23日に開かれたシンポジウムで、弁護士で前衆議院議員の辻恵氏がいまの日本の状況と1933年のドイツの状況が重なることを指摘した。

一強多弱と表現される政治情勢のなかで、中間勢力が安倍自民党に引き込まれれば、安倍晋三独裁政治が出現してしまうことに、強い警鐘を鳴らしたのである。

辻氏は、集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更を絶対に阻止する政治勢力を結集し、これを安倍政権与党に対峙する政治勢力として強大化することが必要であるとの見解を示した。

まったく同感である。

日本はいま、歴史的に最も重要な変節点に差し掛かっている。


ネオナチの暴力が国中に蔓延、軍や親衛隊の東南部制圧作戦が進む中、オリガルヒ当選の無意味 櫻井J_c0139575_1145139.jpg


# by oninomae | 2014-05-27 20:28 | 政治詐欺・政治紛争

 

集団的自衛権で日本は拡大版NATOに組み込まれ、その「秘密部隊」を暴力集団が提供することに 櫻井J

集団的自衛権で日本は拡大版NATOに組み込まれ、その「秘密部隊」を暴力集団が提供することに 櫻井ジャーナル 2014.05.19
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201405190000/

 集団的自衛権とはアメリカの戦争に加わることを意味する。そのアメリカがEUを支配し、戦争を遂行する組織としているNATO。この軍事同盟をアメリカは現在、世界展開しようとしている。つまり、日本は拡大版NATOに組み込まれる。日本国憲法は交戦権を認めず、自衛隊に裁判権はない。そこで軍隊としては不完全なのだが、憲法など意に介していないのが安倍晋三政権である。

 アメリカの支配層がNATOを拡大している目的は、「唯一の超大国」としてアメリカが全世界を支配する「新秩序」を建設することにある。そのアメリカを「オリガルヒ」として支配しようとしているのが「国境なき巨大資本」であり、巨大資本が全世界を支配する仕組みが作られようとしている。その作業に日本も参加するということだ。アメリカ資本の思い通りにならないロシア、中国、イランを封じ込め、窒息させるのが基本戦略だが、一気に軍事侵攻で破壊しようという動きも見せている。

 強硬路線の中心にはネオコン(親イスラエル派)がいるのだが、そうした方向へ進もうとする大きな原因はアメリカの経済的な衰退が著しいことにある。現在、アメリカを中心とする支配システムは経済的にBRIC(ブラジル、ロシア、インド、中国)やSCO(上海協力機構、または上海合作組織/中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン)に押されている。

 SCOにはインド、イラン、パキスタン、モンゴルがオブザーバーとして参加、関係を強めているほか、ラテン・アメリカのベネズエラなどアメリカ資本からの独立を目指している国々とも友好的な関係を築いてきた。アメリカなど「西側」はリビアを破壊し、自立を目指していたアフリカを再支配しようとしているが、このまま再植民地化できるかどうかは不明だ。

 日本が拡大版NATOに加わるということは、グラディオのような「秘密部隊」を組織する可能性が高いということでもある。その下には暴力グループが編成される。アメリカはシチリアを支配するためにマフィアを使い、イタリアを含むNATO各国では「右翼」を暴力装置として保護してきた。ウクライナのネオ・ナチにもそうしたグループが含まれている可能性が高い。(これは本ブログでも何度か書いている。)

集団的自衛権で日本は拡大版NATOに組み込まれ、その「秘密部隊」を暴力集団が提供することに 櫻井J_c0139575_313757.jpg

集団的自衛権で日本は拡大版NATOに組み込まれ、その「秘密部隊」を暴力集団が提供することに 櫻井J_c0139575_10493032.jpg


 日本でも似たようなことが試みられている。日本が降伏してから6年後、朝鮮戦争が勃発した翌年にあたる1951年に当時の法務総裁(後の法務大臣)、木村篤太郎が左翼/労働運動を押さえ込むことを目的に、「反共抜刀隊」という構想を打ち出して博徒やテキ屋を組織化していったのである。この構想は挫折してしまうが、広域暴力団、いわゆる「ヤクザ」を生み出すことになった。日本の「右翼」が暴力団とつながっている理由のひとつはここにある。

 その当時、支配層が最も恐れたのは物流が止まること。海運の比重が圧倒的に大きかったため、港でストライキが起こって物資の流れが滞ることをどうしても防ぎたかった。そして1952年に「港湾荷役協議会」が創設され、会長に就任したのが山口組の田岡一雄組長だ。その後、山口組が神戸港の荷役を管理することになる。東の重要港、横浜港を担当することになったのが藤木企業の藤木幸太郎だ。

 後に広域暴力団と警察の関係は深まり、溝口敦によると、「山口組最高幹部」は「関東勢は警察と深いらしいですわ」と前置きしたうえで、「警視庁の十七階に何があるか知らしまへんけど、よく行くいうてました。月に一回くらいは刑事部長や四課長と会うようなこと大っぴらにいいますな」と語ったという。(溝口敦著『ドキュメント 五代目山口組』三一書房、1990年)

 アンダーグラウンドの世界の秩序を維持するために警察が広域暴力団を利用してきたことも否定できない。この本を出した後、溝口は襲われて負傷する。ある暴力団関係者によると、溝口は暴力団を取材していながら、暴力団から金を受け取らないジャーナリスト。信用できると言っていた。

 1980年代になると暴力団の世界も変化、経済活動が重視されるようになり、「指を詰める」というようなことは流行らなくなる。マスコミにも「企業舎弟」という名称が登場するようになった。

 おそらく、巨大企業と暴力団との関係を近づけた一因は「地上げ」にある。巨大企業では「財テク」がはやり、銀行も生産活動から投機へ融資をシフトしていった時代で、欧米企業の日本進出でオフィスが不足するということが語られていたが、不動産投機としての側面があった。

 地上げでは居住者を追い出すという作業が必要になるが、短期間で買い上げようとすれば暴力的な手法を使うことになる。手を汚さずに儲けたい大企業は暴力団、あるいはそれに準ずるグループを使うことなる。資金は事情を知っている銀行が出す。いわば「カネ儲けの三角関係」だ。この仕組みを伊丹十三は自身が監督した映画「マルサの女2」(1988年公開)に取り入れている。

 その後、伊丹は暴力団に揺すられるホテルを舞台にした映画「ミンボーの女」を監督、1992年5月16日に公開されたが、その6日後に山口組系後藤組の組員に襲撃されて負傷した

 日本の犯罪集団は昔から芸能の世界と関係が深いが、それだけでなく、ベンチャー・キャピタルの分野に進出しているようだ。正体を隠して成長を見込める新興企業などへ投資、「表世界」を浸食しているという。東電福島第一原発事故の処理に絡んでさらに暴力団と大企業の癒着が進んだとも言われている。「裏」と「表」が渾然一体となってきている。今後、拡大版NATOに日本が組み込まれたなら、こうした暴力集団が「秘密部隊」の実働部隊を提供することになる可能性が高いだろう


関連

恐るべし:新世界秩序ファシストの血統 By Henry Makow Ph.D.  
http://satehate.exblog.jp/12319321/

イスラエル:暗黒の源流  ジャボチンスキーとユダヤ・ファシズム 11
http://satehate.exblog.jp/21852694/

イスラエル:暗黒の源流  ジャボチンスキーとユダヤ・ファシズム 7b
http://satehate.exblog.jp/21801848/

シンクタンク人脈が進めるアジアの友好破壊工作 by 広瀬隆 他
http://satehate.exblog.jp/9960880/

偽装右翼ネオコン アメリカン・エンタープライズ研究所
http://satehate.exblog.jp/18957089/

奴隷商人ネオコン・イルミナティ テロ 戦争 TPP 奴隷間引き 奴隷支配
http://satehate.exblog.jp/18963652/

シオニストたちは米国をもうひとつ別の世界戦争に押しやっている by Henry Makow Ph.D
http://satehate.exblog.jp/17442007/



「現役キャリア官僚「うちの上層部はもう、戦争を覚悟しており、その方向へ進もうとしている」:山崎 雅弘氏」 2014/5/19
http://sun.ap.teacup.com/souun/14215.html

https://twitter.com/mas__yamazaki


現役キャリア官僚

「うちの上層部はもう、戦争を覚悟しており、その方向へ進もうとしている」「一部の人は儲かるから」

「省内を見ても、他省を見ても、懸念している人間はたくさんいる。でも、上の方は戦争の方向へ進む気でいる」
(岩上安身/IWJ)http://bit.ly/1lwmPmp ・・・


集団的自衛権で日本は拡大版NATOに組み込まれ、その「秘密部隊」を暴力集団が提供することに 櫻井J_c0139575_1931259.jpg



214 Words Warning the National Collapse  New! 2014/05/19 00:05
http://alisonn.blog106.fc2.com/blog-entry-504.html

「略奪者のロジック3 - 国家崩壊を警告する214の言葉たち - 」(電子版)を上梓いたしました。

コンテンツは昨年の9月から11月までの記事を土台とし、危機を多方面から捉えながら、さらなる考察と検証を重ねたものです。編集の都合上、過去4作品と重複する記述が散見されますので、情報のギャザリングを主眼とされるのであれば購入する必要はないでしょう。しかしながら、新たな認知的枠組みを獲得することに重きを置くのであれば、あるいは倦怠に一鞭与える何かを求めるのであれば、もしくは錯乱の内圧が亢進する社会において有力な抗毒素を欲するのであれば、十分に価値を認めて頂けるのではないかと存じます。

響堂雪乃を左翼の言論者だと断定する連中が多いのですが、おそらく彼らは根本的な理解力を欠いているだけではなく、アウへーベン(止揚)という語彙すら持たないわけです。僕は民族社会と国家経済の護持という点において極右であるし、労働権と福祉権の敬重という点においては極左であるし、そもそも投資グループが各国議会の上部構造として君臨する世界において、イデオロギーの単純な二分法など全くナンセンスであり不成立と言えるでしょう。

右傾の論壇誌が竹中平蔵の詭弁を全面掲載しているとおり、市場原理主義の体系ではナショナリズムが植民地の装置として機能するのであり、つまり民族主義者すら外国勢力の手駒に成り下がるのです。このような前提において、本書はセクトおよび党派の一切を超越するのであり、脅威に直面する我々の生存だけを純粋枠(価値規範)とするのであり、すなわち超現実を洞察し、虚構世界を粉砕するテクストに他なりません。

なお今後は紙書籍化やアマゾンでの配信も予定されておりますが、そもそも自分自身がこの先も無事であるという保障すらもなく、今の段階で確定的なことは何も申し上げることができません。現実として我々はすでに禁圧の時代を生きているのです。

Cover.png

価格700円。購入は http://p.booklog.jp/book/85135 より。

*pdf、epub対応。iPadやスマフォによる閲覧、Kindleへの送信も可能。アマゾン、楽天での取り扱いは約1ヶ月後となります。

(まえがきより)

国家崩壊が俄かに現実味を帯びている。

結局これまで主張してきたとおり、3.11以降の政策群は「大規模災害の混乱に乗じ、平時では実現困難な改革を一挙に推進する」というショック・ドクトリンだったわけだ。換言するならば「近代国家が衰退し帝国へ主権が転位していく、一種の中世が回帰したとも指摘される現代的文脈」であり「国際資本は国境など無視しながら、世界を諸国家ではなく諸コミュニティへと変容させる」ということであり、我々は仮説が実説となる現場を目撃しているのだと思う。

すなわちニホンという城壁国家は多国籍企業軍に包囲され滅亡寸前でありながら、政治家、官吏、マスコミが既得権益を担保として侵略者を怒涛の如く入城させ、国民の諸権利、経済市場、公共資本の一切を献上し、植民地における中間支配者として君臨しようと画策しているわけだ。

政治科学でも社会科学でもImplication(行為がもたらす結果)という概念があり、それは早い話し「その結果としてどうなるか」という定理に他ならない。支配勢力が邁進する新自由主義というイデオロギーは、人間の自由ではなく資本の自由を絶対とするイズムであるのだから、それの実践は間違いなく福祉国家と人間的合法性の解体をもたらすだろう。すなわち荒廃世界(ディストピア)の現出はもはや必然的帰結なのである。

その前提において労働法の改正などは日本版「コード・ノワール(奴隷法)」として捉えるべきである。もともと日本の労働慣行は不確実性を最小化するよう設計され、終身雇用、年功序列、系列化、規制など競争回避的な制度とともに共生的な社会システムを構築していたのだが、それは特区構想によって完全に粉砕されることになるのだ。すなわち「特区」とはあからさまに現代の「租界(外国人が跋扈する治外法権区域)」であるにもかかわらず、メディアによって精神解体された我々は、それが植民地世界の象徴であるという認識すらかなわないのだ。

かつてイギリスの名門大学では「エコノミック・ジオグラフィー(経済地理学)」の教授職が最高の権威とされていたのだが、それはターゲット(被侵略民族)の文化や社会を分析し、植民地統治の手法を策定するポストであり、すなわち欧米社会においては搾取を最効率化する方法論がアカデミズムとして確立されているのである。あらためてバラエティ番組やスポーツ中継による愚民化とは、そのような研究機関(シンクタンク)において周到に立案された「意識の収奪プログラム」であると理解しなくてはならない。かくして我々が陥ったモボクラシー(反知識主義)とは、対外戦略の所産であり、テロリズムの結実なのである。

シリーズ三作目となる本書はグローバリゼーションを主題とし、政治科学、社会科学、歴史科学、さらには認知心理学などの視点から多面的に検証を試みた次第だ。すなわちマルチ・テクスチャ(複数の領野からの考察)によって論理を精緻化し、実証主義を貫きながら、より説明力の高い仮説を提唱することができたのではないかと考えている。

我々の社会において政治・経済という学問領域は権威の粉飾に利用され、むしろ難解であることが美質であるかのような風潮のなかで腐朽しているのだけれど、「金と暴力」という視点から洞察すれば、それは赤裸々な構造を顕すのである。つまるところ本質はアカデミズムの領域には無く、むしろパンキッシュ(野卑的)な本音と悪辣な現実の中に潜むのであり、本書で掲げた214の言葉たちは理性ではなく直感による覚醒を可能にするのだと思う。バラモンの経典が教えるとおり「言葉だけが未来のてがかり」であり、我々は知的衝撃波によって五感の全面を覆いつくした虚構を破壊できるのだ。


セシル・ローズとロスチャイルド設立の円卓会議の目的は国つぶし by ジョン・コールマン
http://satehate.exblog.jp/11525438/

勝者が歴史の本を書く:無視された英帝国によるホロコースト by David Rothscum
http://satehate.exblog.jp/15354976/

カバリストの教義は世界の出来事を説明している by Henry Makow Ph.D
http://satehate.exblog.jp/16433196/

映画「メトロポリス」のオカルト象徴主義とポップカルチャーにおけるその重要性 By Vigilant 1
http://satehate.exblog.jp/15742061/

国土安全保障省曰く、現金の使用はテロであり得る By Keelan Balderson
http://satehate.exblog.jp/15833835/

飢餓は一つの政治的武器として使用される by David Rothscum 1
http://satehate.exblog.jp/14312467/


Solo Fascism Ver.0.2 New! 2014/05/19 00:05
http://alisonn.blog106.fc2.com/blog-entry-505.html

6月1日よりブログ・マガジン「独りファシズム Ver.0.2」を開始いたします。

昨年のブログ閉鎖から6ヶ月が経過し、この間におきましては再開を望む多くの声を頂きながら、電脳言論に復帰することは全く考えておりませんでした。

しかしながら、第5作目の出版に際し驚くべき筋から「弁護士見解」として40数箇所に及ぶ削除を求められ、さらには過去の作品に遡り賠償請求すら示唆されているとおり、いずれの選択肢においても、つまり言論を抑制しようがしまいが、僕はSLAP(戦略的イヤガラセによりダメージを与える)訴訟の「圧」から逃れられないようです。編集者とも協議を重ねましたが、拙著はいずれも出典を明記し、著作権などに抵触する箇所もなく、また信用毀損に該当する表現もありません。

「言論から退くことにより、かえって身を危うくする」と警告されたとおり、自らこのような事態を招いたのかもしれませんが、「どちらみち訴訟沙汰や収監によって身動きできなくなる」のであれば、識域のタブーに触れた者として、残された間に出来る限りの文言を綴り、省察の痕跡を遺しておきたいと考えるに至った次第です。

一般ブログを再開することも検討しましたが、「特定秘密保護法」とは本質として軍事立法であり、電脳空間のみならず社会現場の全領域で情報統制が加速する中、不特定多数を対象とする自由言論はもはや成立不可能です。昨年末にA日新聞社よりブログ閉鎖に関わる取材を受けたところ、僕の言説は全文にわたり不掲載の措置を取られたのであり、それの意味するところはもはや説明するまでもないでしょう。

有料化に対する批判や拒絶が圧倒的でしょうが、むしろそれにより読者を少数に絞り込み、非公共的な言論空間を運営することが狙いとなります。100人どころか30人にも満たない成員となるかもしれませんが、社会的影響力の低減によって「安全」が担保されるのであり、地下の力は無定形で不屈なのであり、抑圧によって進化し拘束によって開花するのであり、文字を書く者に絶望はないのであり、深沈たる激情を共有する異端者たちに向き合いながら、「私信」として論を展開していく所存です。

その前提におきまして、このようなコミュニティが今後も継続可能であり続けるのか、それとも禁圧により抹消されるのか、動静は「坑道のカナリア」のように時代空気を触知するメルクマールとなるのかもしれません。


アメリカ政府高官が今年末までに集団的自衛権の成立を要望!ラッセル次官補「安倍総理大臣の取り組みを歓迎し、支持する」
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-2602.html

大阪市水道民営化は市民の命の水を腐らせ、格差社会の底辺層は料金高騰で水道を止められる その1 2014年5月21日 (水)
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2014/05/post-4705.html



# by oninomae | 2014-05-19 21:26 | 戦争詐欺・紛争