被団協と自公政権

 日本原水爆被害者団体協議会(被団協)がノーベル平和賞を受賞するという嬉しいニュースが報道される一方、自公政権による被爆者切り捨てに関しての報道はほんどありません。『東京新聞』(24.9.11)の社説を引用します。

<社説> 「被爆者」は一部 広島判決からの後退だ

 被爆体験者訴訟の長崎地裁判決は、「被爆者」の認定で原告を分断した。先に、より緩やかに認定した広島高裁判決との違いも際立つ。国は、裁判によらずとも、速やかに被害者救済に動いてほしい。
 爆心地から半径12キロ圏内で長崎原爆に遭ったが、国の援護区域外だったため「被爆者」の認定を受けられなかった「被爆体験者」の44人が、長崎県と長崎市に被爆者健康手帳の交付を求めた訴訟で、同地裁は15人を被爆者と認定、手帳交付を命じたが、残り29人の訴えは退けた。
 判決は、12キロ圏内でも、旧長崎市より東側の、当時三つの村だった区域では放射性物質を含む「黒い雨」が降った事実が認められるとし、この区域内にいた15人はいずれも、2022年に運用が始まった被爆者認定の新基準が定める11疾病のどれかを発症したと認定した。広島の「黒い雨訴訟」を機にできた基準だが、判決は「(広島で認められた地域と)同一条件、同一事情下にあるのは明らか」と踏み込み、救済の理由とした。
 一方、旧3村以外にいた29人については訴えを認めず、同じ原告で明暗が分かれた。原告側が重要な被爆の根拠としていた米国調査団の報告書を「測定手法の精度が低かった」とし「放射性降下物の証拠は存在しない」と断じた。
 広島高裁では21年、国が定めた援護区域外の原告84人全員が被爆者に認定された経緯がある(国は上告を断念)。放射能被害が生じると「否定できない事情」に置かれていたことを立証できれば十分とした同判決に対し、長崎地裁判決が、原告側に、放射能の影響について「高度の蓋然性」を伴う証明を求めた点は、明確な「後退」と言わざるを得ない。
 米軍の原爆投下により、今なお深刻な後遺症に苦しむ人が数多くいる惨状に広島、長崎の違いはない。今回の原告団長、岩永千代子さん(88)も、9歳で閃光と爆風を浴び、歯茎からの出血や顔の腫れ、甲状腺の異常などに苦しめられてきたが、旧3村の外で原爆に遭ったため、今回、被爆者と認定されなかった。
 原爆投下から79年。この8月、長崎で被爆体験者に会った際、岸田文雄首相は、具体的な救済解決への調整を厚生労働相に指示したはずだ。被害者たちは高齢化している。ただちに救済に動かねばならない。

 政府が定めたエリアにいなければ、どんな症状が発生しても救済しないということですね。呆れて物も言えません。自分たちの裏金に関しては貪欲なくせに、被爆者救済のための財政支出はできるだけ減らそうとする、何と冷酷で冷血な政府なのでしょう。
 「核戦争起こすな、核兵器なくせ」「原爆被害に国家補償を」の二大要求を掲げる被団協。その二つの要求を冷たく踏みにじる自公政権。そう安易に祝辞など述べないでいただきたい、石破首相。
 核兵器禁止条約に調印する気も、締約国会議にオブザーバー参加する気も、被爆者への真っ当な国家補償をする気もない自由民主党と公明党。いよいよ迫った衆議院議員選挙における投票の参考にぜひしましょう。

by sabasaba13 | 2024-10-14 17:00 | 鶏肋 | Comments(0)
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