東山旧岸邸から、自転車に乗って数分のところにあるのが松岡別荘陶磁器館、外務大臣を勤めた松岡洋右の別荘です。奇しくも「二キ三スケ」のうちの二人の別荘が近接しているのですね。もちろん二人は旧知の仲で、しかも血はつながっていないものの姻戚であるそうです。岸は、松岡の別荘を何度も訪れて御殿場が気に入ったとのことです。
まずは日本大百科全書(ニッポニカ)から引用します。 松岡洋右 (1880―1946)外観はハーフ・ティンバーに白壁の、瀟洒な山荘風のつくりです。それでは中を見学することにいたしましょう。館長らしきご老人がにこやかに出迎えてくれましたが、聞いてびっくり、松岡洋右の四男、志郎氏でした。一階は陶磁器の展示、二階に松岡洋右に関する品々が所狭しと並べられていました。 さて、日独伊三国同盟を結び、対米戦争への扉を開いた松岡外交をどう評価すべきなのでしょうか。『近衛文麿 教養主義的ポピュリストの悲劇』(筒井清忠 岩波現代文庫)から引用します。 いわゆる松岡外交とそれをめぐる近衛首相の態度の評価は難しいところがある。すでに述べたように三国同盟は二重の意味でナチス・ドイツの詐術にかかった外交であった。松岡・近衛でなくても引っかかったかもしれないが、やはりこの二人だったから引っかかりやすかったといえよう。そして独ソ戦の開始を見抜けずに結んだ日ソ中立条約も日米交渉の停滞も松岡の責任であった。"指導者と大衆の合作によるポピュリズム外交"、覆轍を踏まないようにしたいものです。「嫌韓」を煽る政府、政府にあおられて「嫌韓」を叫ぶ人びと、その支持を得るためにさらに「嫌韓」を煽る政府。かなり不気味な雰囲気の今だからこそ。 そしてA級戦犯に指定されて獄中で死亡した松岡洋右と、A級戦犯容疑者となるも釈放され首相となった岸信介。二人の明暗を分けたのは何だったのでしょう。やはりアメリカの*を舐めたか舐めなかったかの違いなのかな。 本日の二枚です。
by sabasaba13
| 2020-01-11 06:28
| 中部
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自己紹介
東京在住。旅行と本と音楽とテニスと古い学校と灯台と近代化遺産と棚田と鯖と猫と火の見櫓と巨木を愛す。俳号は邪想庵。
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