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2021-02-01 (Mon) 05:11

『尾崎放哉選句集』情景が目に浮かぶ自由律俳句

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種田山頭火の随筆や俳句を読んでいたら、
山頭火と同じく「自由律俳句」の尾崎放哉も読みたくなりました。
『尾崎放哉選句集』です。



青空文庫版ですが、珍しく、
青空文庫サイト側による「まえがき」があります。
尾崎放哉の俳句はものすごくたくさんあるから、
この選句集はほんの一部であること。そして、

若い人々に読まれることを願い、
できるだけ平明なものに絞った。


とありました……。
若くないわたしが読みました、すみません。

まあいいじゃあーりませんか(チャーリー浜っぽく)。

この選句集は尾崎放哉が句作を始めた中学時代から
年代順に並んでいます。
中学・高校時代は、ごく普通の俳句やなあという印象です。

水打つて静かな家や夏やなぎ


ちゃんと五七調だー(そこに感動)。
放哉が社会人になり結婚した後くらいから、
独特の俳句になっていきます。

エリートだった放哉ですが、
会社勤めは性に合わず、仕事をやめ、離婚し、
最後は廃寺のようなところでひっそりと亡くなりました。

咳をしてもひとり


この句のように、孤独を感じさせる句がいくつもありました。
けれど、逆に「ひとりっていいよね」と感じる句もいくつもありました。

雪は晴れたる子供等の声に火が当る


ねそべつて書いて居る手紙を鶏に覗かれる


たつた一人になりきつて夕空


何か求むる心海へ放つ


心をまとめる鉛筆とがらす


犬よちぎれるほど尾をふつてくれる


あらしがすつかり青空にしてしまつた


窓あけた笑ひ顔だ



平明な句が選ばれているとあって、
読めばぱっと情景が浮かんでくるほどわかりやすい。

そしてどこかしら、自分ひとりの場所を、
清々しく感じているようにも読めました。
何か求むる心海へ放つ なんて、俳句というより
名言に入れた方がいいんじゃないかとすら思います。


教科書だけで知ったように思っていたものを、
改めて読んでみると、今頃になって感じ入るものがあります。
今日から2月。
心を海に向かって開放!の気分で始めていきたいです。


ここで挙げた俳句は、あくまでもわたしがいいなと思ったものです。
たくさんある句の中で、皆さんにとっての「ベスト放哉」を
見つけてみるのも楽しいのではないでしょうか♪




こちらからならすぐ読めます→尾崎放哉選句集

最終更新日 : 2021-02-01