塵理論
グレッグ・イーガンの「順列都市」が今年の1月に再販になり、もともと持っていたので再販とは関係無いかもしれませんが、順列都市を読み直しました。これに架空の塵理論というのが出てくるのですが、それとよく似たものを読んだことがあったのを思い出しました。「一般相対性理論の直感的方法」という本のあとがきに書かれていたものです。ちなみに作者は長沼伸一郎という人で、「物理数学の直感的方法」という本も書いています。「物理数学〜」は改訂版になって売っていますが、「一般相対性理論〜」の方は売っていないし、アマゾンに登録されてすらいません。
いまここで,シェイクスピア全集のある部分を,マルクスの「資本論」の同じ長さのある部分と比較することを考える。この部分は書かれている内容は両者で全く異なるが,ただアルファベット26文字の出てくる頻度は全部同じだとしよう。そしてこの部分の文字の総数がN個であったとする。
ここでN次元空間を考えて,それらN個の文字がその空間内にばらまかれている状態を考える。この時のばらまき方は,その二次元平面への射影がちょうど先程のシェイクスピア全集の一部になるようになっているとする。
しかしもちろん射影のやり方は一通りではない。他にもいろいろなパターンの射影が存在し,それぞれにおいて平面上の射影された文字の配列は異なる。そして「資本論」の側と文字の頻度が同じならば,射影したときにちょうど「資本論」になるような角度というものはどこかに必ず存在するはずなのである。
すなわちシェイクスピア全集は実はもともとN次元空間の本なのであり,これは見る角度を変えると「資本論」にな化けてしまうという「統一理論」は立派に成立することになる。
この文は、やたらと次元を増やすことに対する戒めとして書かれているのですが、そのまま塵理論の説明としても使えそうな気がします。
しかし、「一般相対性理論の直感的方法」が売っていないのは残念です。SFではスティーヴン・バクスターの「時間的無限大」も再読したいのですが、これも絶版です。2000円以上出せばアマゾンのマーケットプレイスで手に入りますが…。
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