つづき
PC強制終了に泣く
— AOKI Takashige (@aochan_0119) 2020年11月17日
悲劇により一部データが消し飛んでしまった.
保存先やツールは考えものですな.
文量が少なくなったので,ダイジェストということにポジティブにリフレーミング.
ドイツ文学
概要
引き続きガリレイの生涯を扱った.
科学者と宗教家の二面性を持つ教皇を着替えという物理的行為に並行させて,セリフから宗教へ態度を変えていく描写があった.
第13景ではガリレイの異端審問を弟子が待つシーンであり,学説の撤回により弟子らが激情へ駆られる.続く第14景は時間が経ってアンドレアがガリレイを訪れ学説撤回の是非を問う.そこでガリレイが賢く立ち回っていることを知る.最後はアンドレアがそこらの子供に科学的姿勢を説き,孫弟子が生まれたかのようなところで幕を閉じた.
感想
第12景の新しい時代への変化というものに,昨今のAIブームや未来のシンギュラリティが強く当てはまると感じた.現在でも仕事がなくなるという言説に様々な立場や主張があり面白い.ただこうした変化によって,力仕事や単純作業が減り,人間の生活において仕事に対する余暇の割合が増加し,豊かな社会を築いてきたのだと思う.これは後半の科学の進展と同質なことに回帰するのも本作の面白いところとも思う.
また異端審問のシーンでは暴力と理性のシーンが,筆者の戦中の経験が影響しているようにも感じた.さらに,ここでガリレイを描写せず,外の弟子を見せることはコンセプトの異化効果をより効果的に発揮し,観客に客観性を促すように感じる.
「英雄を必要とする国が不幸だ」。
この作品の説明で特に面白いと思ったのは,手法としての異化効果だ.
今ではアニメにも取り入れられたりしているが,当時は斬新だったらしくパイオニアとのことだ.
「主人公に共感できない」っていうコメントがけっこう出てきて気づいたのは、けっこう多くの人が主人公に共感しようとしているのだった。私はもうそんなふうに文学を読まないので、完全に忘れていた。
— 橋本陽介 (@qiaoyang915) 2020年11月17日
共感する必要はですね、全然ないんです。
科学的態度の促進としては留学のテーマにも重なるところはある.
純粋に科学を説くのではなく,エンタメを通してというのは難しいだろうが有効性が高いと思う.
スペイン文学
この講義がオムニバス形式なのは,以前の記事にも書いたとおりだが,そうなるといろんな個性の先生が講義を取り仕切るわけだ.
そこでこの先生は結構尖っていた.
元は文学ではなくスペイン語の専門で,延長線上としてこの講義の機会にめぐまれたとのこと.
彼はラテンアメリカ系の文化にも心酔しているようで,文学を含む歌などの文化や政治の関連性を扱った.
以下に記すコメントシートもそういったテーマが設定された.
とはいえ,そもそも文学をそれほど嗜んでいない状態で受講してしまっているので書けることは限られた.
映画やアニメ・ゲームのサブカルチャーとの関連でもいい:彼自身が詳しくないので助けになるとのことで,私の知る限りのオタク知識で簡単に考察した.
歌と政治
日本や自分の知る範囲で歌と政治の関連はあまり想起されない.
ただ強いて挙げるのなら,有名ではあるが,2019年の紅白歌合戦で氷川きよしがジェンダーレスを暗喩したことや,星野源やゴールデンボンバーがコロナ自粛を歌によって訴えたことが近いように感じる.
ただ最近は平和なこともあってか,文化的にむしろ政治が忌避されているように感じる.芸能にイデオロギーを持ち込まない風潮を感じる.先日の米大統領戦ではレディーガガがバイデンの応援をしたと聞いたが個人的には違和感があった.
むしろ革命などをエンタメとして昇華して消費している.
フレーズを引用する意味
ガールズアンドパンツァーは戦車をモチーフにした作品で,劇中に軍歌・行進曲のオマージュが頻用される.ただ元の曲のテンポがアップなこともあり,面白く仕上がっていると感じる.椎名林檎のNIPPONの冒頭も万歳をフレーと読ませて戦時を想起させるが,現代風にカッコよくアレンジしている.声優・歌手の上坂すみれはロシア愛好家として知られ,自身の作品にもそうしたロシア革命的エッセンスが加えられている.一般にこうした考えは忌避されがちだが,そうした抑圧的な雰囲気へのアンチテーゼと自己実現が内包されているように感じる.
アニメ「輪るピングドラム」のノルニルという曲も,作品がオウム事件を元に作られており影響を受けている.こちらは上述の肯定的立場と異なり,反テロ的な雰囲気になっている.悲劇的脚本なため,例えば「革命」という歌詞も意味を変え,運命的な悲劇を予感的に綴る.
ガルシア・マルケス
彼は文学家だがメディアミックスにも関心を持っていたようで,作品の多くも映画化などがされている.そうした経験を通じて短編集が再編されることもあった.ただ再編の過程で,前述のメディアとの変化が生まれたりもしたらしい.このあたりは興味を持てば,深堀りできそうだ.
文系論文
こんなに詳しいのは,もちろん講義の説明もあるが,先生が論文を提示してくれたためだ.実際,ゴリゴリの文系の論文を拝見するのは,リベラルアーツを重視する大学の修士学生でありながら初めてのことだった.
理系と構成から文体まで違くて非常に驚いた.理系であれば,様々な仮定やデータに基づき,既往研究などのモデルに当てはめながら実験や計算を行って考察する.序章に既往研究のレビューの章がある.あとこの文体で思ったのは,査読入っているのかなという簡単な疑問.
元が言語よりということで,原文の単語のニュアンスを細かく考察しているのも感心した.ぶっちゃけ母国語でも長い文章の細かい単語に注意を払うのは難しいし,外国語となれば更に難しいことはいうまでもない.そういえば,バイトの同僚の友人に中国語の漢文?の研究をしている人もいたが,辞典を持ち歩いていて大変そうだった.
文系はそこまでロジカルを詰められるとも限らず,端々に主観的なニュアンスも散見されるのが面白かった.確かに文学の解釈は,極論十人十色だ.そこで普遍性,説得力をもたせるために,引用が用いられる.理系論文の本章ではあまり見かけない形だ.あるいはここでは研究に至った筆者の経緯が日記のように記されている.理系論文の動機は社会課題であるから,そこも大きな違いだ.ただ文系といっても,経済学ではもう少し理系に近いのだろうなと,これまで読んだ本などから夢想する.
『十二の遍歴の奇譚集』にこめられた三つのオマージュ --ガルシア=マルケスと映画・政治・詩作--
せっかくなので読んだ論文のCiNiiなどのリンクを共有しようかとも思って検索したら,この人想像以上に面白い人だった.世界的なチェスプレイヤーでありながら,語学・文学に造詣が深いとは...
藤井聡太四段はじめ伝統的ゲームの強者って,そのゲームの頭の良さは当然ながら,外でも頭が切れるんですかね?
スペイン語を通して視野を広げてもらいたい | リベラルアーツ研究教育院 News | 東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院
閑話休題.本筋に戻ろう.
といってもコメントシートの記憶をたどりながら,文理の論文の違いを考えていて割と語りきってしまった感もある.
序文と歴史を見ると矛盾もあったりするらしい.そのあたりはちょっとフィクションなのだろう.
ラ・サンタは娘の死体がきれいで聖人認定してもらおうと教皇に掛け合う父親こそが聖人ではないかという話らしい.
あるいはマリーア・ドゥス・プラゼーリスは,死期を夢で悟ったおばあちゃんヒロインだったが,それは実は青年との初恋を示唆するものだったというオチらしい.
夢を貸しますも題に夢とあるように掴みどころがないあっけなさがある.
ただ考察してみると,各所に先人を意識したエッセンスや表現があったりする.
それは前述のような単語や構成,人物・性格など多様だ.
また上記のあらすじが進む中でも,登場人物が政治的な意見を持っていたりで,社会背景に裏打ちされたと思われる風刺的エッセンスもあるらしい.
他地域(他の先生の講義)との考察
社会的な問題との関連や提起としては,前回にも書いた存在の耐えられない軽さは近しいものがあるかもしれないと思った.
ドイツがすべての回でガリレイの生涯を扱ったのは深堀りできたが,幅をもたせられなかったのはやや残念だった.
こうした方向性として,ナチスの関連はやはり見たいところだった.読み物として我が闘争を勧めるのは,しばしば見られるし.前節にも書いたように,反戦疲れもある実感だ.ただ両者を見るのも重要に思え,アンネの日記も未読なので読みたい.あるいは映像作品で手早く消化するのもいいかもしれない.
読んでいて思われた読者もいるかもしれないが,私はおそらくネオネチの気質がある.歴史的失態を把握しているが,ナチスの体制すべては批判できないのではないかとも思うのだ.戦争まではプロバガンダで巧妙に支持を得たし,軍事が主流だっただろうが科学立国も進んだりしたわけで.
ゆえに全てを否定するのではなく,有機的な勉強が必要だと思う.そういう意味で映画帰ってきたヒトラーは現代のタブーへの問題提起として絶妙だった.ヒトラーのコスプレへのドイツ国民の等身大のリアクションは,雑多なエンタメとは一線を画す魅力があった.またいわゆる総統閣下シリーズのワンシーンを盛り込んでいるのも,皮肉でありながらエンタメとして文学的文脈として面白かったと思うのだ.
Vtuber
都合,話がやや飛んでしまうのだが,昨今の日本のエンタメも佳境か.
1年前くらいのVtuberケリンは勢いがあってよかったが,最近はしおらしかった.ただ久しぶりにニコニコ動画を開いて彼の動画を見たら,勢いを取り戻していて非常に面白かった.
意図的に最近は避けていたけど,こんなことも書いていた.
Hololiveは中国ファンのアレルギー的反応から,現地ライバーを含め撤退することになってしまった.非常に残念だ.炎上による日本メンバーもだったが,それ以上に現地ライバーを同情せずにはいられない.私の立場は時間を通して冷静になって変化していて,運営会社が悪いというよりファンのコミュニティが悪い印象だ.ただこれも一部のノイジーマイノリティなのかなとも思っている.本質的には上記の彼の動画にあるように中国共産党が台湾などを認めないからなのだが.
ただ社長自ら海外進出に攻勢を強める姿勢も見られているのはいいことだと思うし,実際以下の動画とかも面白い.リスニングの勉強にもなるし.
この文脈でこれを示すと,いかにも対立煽りになってしまうが,本意ではないことを記しておく.ただこの動画がコンテンツとして面白く,その中で私と同じ意見が述べられているのが溜飲が下がる.ただ先述のように私自身ネオナチ気味ではという自覚もあるので,他山の石以て玉を攻むべし.
総統閣下がファシズムを肯定したライバーに言及するようです - ニコニコ動画
Vtuberは拡大したが,未だ一般の世俗からは隔壁されている.生主のノリで炎上が耐えないので,法人との案件も進みにくいのではと邪推する.魂は無敵に近いが.
Vチューバー、雑談で1億円 投げ銭世界トップ3独占 :日本経済新聞
とすれば,炎上する人は業界にとって邪魔だ.勝手に燃えるのは構わないが,間接的に迷惑をかけていると思う.これはどこかで聞いた話だが,Youtuberのイメージがいいのはかのヒカキンの人柄や態度に依るところが大きいだろうとある.確かにヒカキンがレジェンドとしてヒカキンたりうるのはそこだろう.同じメンツをはじめしゃちょーやヒカルは張れない.ハイブランドが皆好きなように,心理的な影響が絡む中で,イメージ・ブランドの力は計り知れない.Vtuberにはこれが大きな課題だろうし,現状ではそれを邪魔する勢力のインプレッションが高すぎると思うのだ.
すっかりおまけで話が飛んでしまった.前半に述べた文学は学術的考察の対象たりうる文化だが,今のエンタメ,とりわけYoutube,Vtuberは文化たりうるだろうか.今後に期待だ.
スペインの担当が歌とかそっちよりで,自分の話したいテーマにしてしまったなと最後に反省するところでもある.