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所有している写真用レンズ等について、マニアック な分析を行う「レンズマニアックスEX」シリーズ。 今回記事は「NIKKOR 新旧 名レンズ」編と称し、 NIKON(旧:日本光学)より発売された、 銀塩時代の1950年代からデジタル時代の 2010年代の期間、およそ60年間強における NIKKOR銘の交換レンズの内、個人的に 高性能、あるいは特徴があると評価している レンズを9本選び、だいたいだが発売年代順で、 それらを紹介していく。 なお、銀塩用/デジタル用、AF/MF、フルサイズ 対応/APS-C機以下専用、等の差異は問わず、 かつ使用する母艦のメーカーもセンサーサイズ も様々となる為、これらのレンズでの本来の 画角や特性、用途等とは、必ずしも一致しない ケースもある。 また、本記事は、本シリーズ第54回記事での 「CANON 新旧 名レンズ」編に対応する主旨で ある為、必要に応じ合わせて参考にされたし。 ---- まず、今回最初のNIKKORレンズ。 レンズは、日本光学 NIKKOR-P 10.5cm/F2.5 (中古購入価格 15,000円)(以下、S105/2.5) カメラは、SONY α7S(フルサイズ機) 1953年12月発売、銀塩レンジファインダー機 NIKON Sシリーズ用のゾナー型3群5枚構成レンズだ。 レンズ上での型番表記は 「Nippon Kougaku NIKKOR-P 1:2.5 f=10.5cm」 となっている。 (注:何故、10.5cm表記で、105mm表記では無い のかは? 当時の製造公差の規格上の理由からだ。 くれぐれも「これはcm表記だから、珍しい貴重品だ」 などのつまらない理由で高額に売買しないように) レンジファインダー機用Sマウント版につき、 フランジバック長が短い。この為、近代の一眼レフには 装着ができず、オリジナルのNIKON S銀塩機あるいは COSINAのSマウント銀塩レンジファインダー機、又は デジタル機ではマウントアダプター経由で、各社の ミラーレス機に装着して使う事となる。 ミラーレス機で使用時には、実絞り(絞り込み)測光 となるので、「絞り優先AE(Aモード、AVモード等)」 で使えば良い。 簡単にSシリーズの歴史を述べておけば・・ NIKON(旧:日本光学工業)は、第二次世界大戦中では、 軍需工場として稼動していたが、1945年の終戦以降、 米国GHQ(≒進駐軍)の認可により、民生用カメラ・ レンズの製造に転換した。 その際、場合によりGHQの様々な指導(方針)が あったかも知れず、新たに展開するSシリーズの 銀塩レンジファインダー機、およびその交換レンズの 設計は、戦前のドイツCarl Zeiss社のCONTAX製品の 仕様を、ほぼ踏襲する形となった。 戦後、ドイツは東西に分断され、Carl Zeissは、その 設備の大半を、旧ソ連等の東側諸国に接収されて しまっていた。 Carl Zeiss社の優秀な光学技術が全て東側に流出して しまう(→光学兵器とされる)のを嫌った米軍により、 旧ソ連の接収直前に、Carl Zeiss社の一部の設備を、 西独側に位置するオーバーコッヘン市に急遽移送。 ここからCarl Zeiss社は、ベルリンの壁の崩壊まで、 東西の独国で並行して存在する事となる。 大戦後のどさくさの、こういう状況であるので、 戦前の独Carl Zeiss社の技術を、NIKONが真似た (又は、そうするようにと米軍から指導が入った?) 事については、権利関係とか特許とかを言い出すのは 少々野暮な話なのだろう・・ NIKON Sシリーズは、量産試作の段階(1940年代後半) では色々と品質面で苦労した模様だが、1950年代に 入ると、ようやく品質も安定。その時代から、カメラ の名称にS型番が付いた為、後年には、これらレンジ機を 総称し「Sシリーズ」と呼ばれる事となる。 1954年、西独エルンスト・ライツ(ライカ)社から Leica M3が発売。通説では「この非常に完成度の 高いカメラを見てNIKONではレンジファインダー機 でLeica等に追従するのを諦め、(銀塩)一眼レフに その開発方針を転換した」と言われている。 Sシリーズは、その後1960年ごろまで改良機の 新発売が続くが、1959年には銀塩一眼レフのNIKON F が発売されている為、このあたりでSシリーズの寿命も 尽きる。 ただ、いわゆる「NIKON党」は、いつの時代でも多い 為、これらSシリーズの一部の機種は、1960年代の 高度成長期や、2000年頃のカメラブームに乗って 再生産・復刻生産版が(高価に)発売されているが これらは「コレクター向け」となってしまい、投機的 観点でしか売買されていない(参考:復刻Sシリーズ で実際に撮影している人を、20年間以上も、ただの 1度も見かけた事が無い) さて、NIKON Sシリーズ用のレンズにはNIKKORの 名称が付与されている。NIKKOR等のレンズ名称での -ORや-ONは、慣習上での「これらは交換レンズですよ」 という接尾語であり、他社にも同様な実例が多い。 ちなみに、カメラの場合には、-CAという接尾語が 付く場合も多い(例:Leica、Konica、Yashica等) NIKONでの「NIKKOR」銘は、この頃から、高品質・ 高性能を示す為の、一種のブランド銘となっていく。 その為、1980年頃の、SERIES E(シリーズE)や 1990年代での「ニコン おもしろレンズ工房」の 交換レンズは、普及版(エントリー)レンズの為、 「NIKKOR」の名前を冠していない。 (注:「おもしろレンズ工房」ではNIKKORはおろか NIKONの名前を称する事すら許されていなかった) さて、本レンズS105/2.5であるが、Sシリーズ カメラ本体と同様、戦前の独CONTAXのレンズの コピー品である。ただし、このレンズと同等の 105mmレンズは、当時のCONTAXには無く、 まず、CONTAXのSonnar 85mm/F2を踏襲した NIKKOR版の85mm/F2が作られ、次いで、その 85mm/F2を、約23%ほどサイズ拡大設計して 作られたレンズが、本105mm/F2.5版だ。 まあつまり、戦前のSonnarのコピー版のさらに 拡大コピー版である。こういう事を繰り返すと コピー版では、どんどんと性能が劣化してしまう ように想像するかも知れないが、幸いにして、本 S105/2.5は、現代の感覚から見ても「良く写る」 レンズとなっていて、70年以上も前の当時の 世情からすれば、他社製レンズを圧倒していた事は 想像に難く無い。(→事実、85mm/F2版は、その 当時に米国のフォトジャーナリスト、D.D.ダンカン氏 (故人)に高く評価され、「NIKKOR」の名を世界に 知らしめた歴史がある。ただし、D.D.ダンカン氏が NIKKORO 85mm/F2が、ツァイスのSonnarのコピー 品である事実を、知っていたかどうか?は、現代に おいては、もう真相はわからない話だ。また、正確に いえば、Sonnar 85/2と、NIKKOR-P 85/2は、 全く同じ光学系ではなく、僅かに異なっている) Sonnar(ゾナー)構成とは、レンズ内部の貼り合わせ 面をできるだけ増やす光学系を持つ構成だ。 逆に言えば、内部のレンズとレンズの間の隙間の 枚数を減らす構成である。 何故、そんな事をするか?と言えば、その当時は レンズのコーティング(反射防止の為の薄膜)の 技術が、まだ未発達であり、1枚のレンズの表面に 空気との接触面があれば、そこで、レンズへ入る 光の何%かは反射してしまう。ただ反射するだけ ならば、たいした事は無さそうだが、複数のレンズ を通過する際に、反射のロスがどんどんと(累乗で) 蓄積され、最終的に光線透過率が激減してしまう。 また、もっとまずい事に、反射した光は、また 別の(前の)レンズの面で再反射して戻って来る。 だから、これを繰り返すと、コントラストが低い (又は、「眠い画像」「フレアっぽい」とも)画像 となってしまう。 Sonnarでは、これを嫌って、内部レンズをできるだけ 密着させ、こうした問題を起こり難くした次第だ。 「そうであれば、ずっとSonnar型レンズを作れば良い」 と思うかも知れない。 でも、実際にはそうなっていない、その理由は2つある。 第一に、Sonnar構成ではバックフォーカス(後焦点) を稼ぐ設計が難しく、レンジ機では、それが短いから 良いのだが、一眼レフではミラーボックスの長さの分 だけ、後焦点を延ばす必要があり、これは苦しい。 NIKONでは、一眼レフへの転換機に本S105/2.5を 一眼レフ用に転用したのだが、無理をした設計で あった為、後年には、レンズ構成をSonnar型から ビオメター(クセノター)型に変更している。 (他のNIKKOR105mm関連記事で、何度か紹介済み) 第二に、コーティング技術が発展していった事だ。 1970年代では、多層コーティング技術が一般化し (注:カメラ/レンズメーカーでの技術発展と 言うよりは、ガラスメーカー側の技術の進化で あった為、各カメラメーカー等は、コーティング が発達したガラスを買って来て自社製のレンズを 設計した為、この技術は、非常に短期間の間に 各社での「標準的」な仕様として定着した) Sonnarのように、レンズの接合(接着・密着)面 を減らさなくても、レンズの間に隙間を開けての 光学設計の自由度が高まった次第である。 まあだから、「Sonnarだから写りが良い!」と いったような、初級マニア的な評価は、いったい いつの、どの、Sonnar(系列)のレンズの話を しているのか? また、そのレンズ構成はどう なっていて、どういう意図を持って設計がされて いるのか? そのあたりを意識しないと評価の 意味が無い。 勿論だが、近代(1970年代後半以降)においては、 現代に至るまで、「Sonnar」は一種のブランド銘 (商品名)となっていて、「Sonnarだから・・」 (良く写る、解像感が高い、キレが良い、ボケが固い ・・等)の、名前から来る、単なる印象での思い込み 評価は、まるで意味が無い。そもそも現代における Sonnar銘レンズで純粋なSonnar構成を採用している ものは、復刻版等の特殊な設計コンセプトの場合を 除き(純粋なSonnar構成のレンズは)存在しない。 本S105/2.5の総括だが、70年前のレンズとは思えない 程に良く写る。勿論、逆光耐性やボケ質等の課題は 存在するが、それもまた、オリジナルのSonnar構成の 実力値の片鱗を見る、という研究的視点では役に立つ レンズであろう。 なお、私は比較的安価に本レンズを購入しているが この時代のNIKKOR Sマウントレンズの大半は、 希少につき「コレクター層向けの非常に高価」な 中古相場になっているケースが多い。 あまりに高額なのであれば、実用的コスパは最悪と なってしまうので注意されたし。 ---- さて、次のレンズ。 レンズは、NIKON NIKKOR-S Auto 35mm/F2.8 (中古購入価格 5,000円) カメラは、NIKON Df (フルサイズ機) 本レンズには初期型と後期型のバリエーションがある。 恐らく本レンズは後期型であり、1960年代頃?に発売 のNIKON FマウントMF単焦点準広角レンズである。 (なお、初期型とは光学系が異なる模様) 「非Ai仕様」と、一般に呼ばれるタイプなので 現代のカメラで使う事には注意点がある。 まず、NIKONのデジタル一眼レフで使う場合では 基本的に、NIKON Df以外の機体には装着できない。 装着できない、というのは物理的には、キチキチで (部品干渉とかがありながら)装着は出来るだろうが 故障等の危険性がある。仮に上手く装着できる機体で あっても、近代のNIKON機は全てAi機構対応又は 電子的絞り制御であるから、非Ai仕様のレンズでは 露出が狂ってしまい、全く実用的では無い。 (注:装着ができた場合、何枚も露出を変えて撮って、 たまたま合うもの選ぶという試行錯誤は可能である) NIKON Dfで使う場合でも、露出合わせは面倒な操作性 (レンズの絞りを手動調整した後、Df側の電子ダイヤル を廻して、同じ値になるまで調整して撮る)が必要で これも、あまり実用的とは言えない状況だ。 又、銀塩NIKON一眼レフでも、およそ1970年代前半 迄の機種でないと、非Aiレンズを使える機体は無い。 NIKON FEやNIKON F4等、一部の銀塩一眼レフでは 非Aiレンズも一応装着できるが、前述のNIKON Df 以上に繁雑な操作性となり、これも実用性は無い。 他社の一部の一眼レフ(例:EOS EFマウント)を 母艦とするならば、F→EOS等のマウントアダプター を使え、この場合は実絞り(絞込み)測光で使用が 容易だ。 また、ほぼ全てのミラーレス機では、Fマウント用 のアダプターが利用可能であるので、その場合でも 実絞り(絞込み)測光で使えば良い。 という訳で、本来NIKON Dfで、非Aiレンズを使う のは、あまり実用面では効率的とは言えないのだが 銀塩機ライク(似ている)な趣味的な志向性にのみ 使えるシステムである。 で、本レンズの描写力的な実用性は低い。 さすがに、かなりのオールドレンズだからである。 ただ、「オールドレンズだから、めちゃめちゃに 性能が低い」という訳でもなく、趣味撮影においては 実用範囲。そして偶然でも、撮影者が意図した場合でも、 Lo-Fi(≒低画質)描写となった場合には、それも又 映像表現の一種としては有効であろう。 総括としては、無理をして必死に探したり、高額に 入手する類のレンズでは無いが、まあ、参考まで。 ---- では、3本目のレンズ。 レンズは、NIKON NIKKOR-H Auto 50mm/F2 (中古購入価格 5,000円相当) カメラは、FUJIFILM X-T1 (APS-C機) 1964年発売のMF小口径標準レンズ。 これも同様に非Ai仕様のレンズにつき、簡便には 現代のミラーレス機にアダプター経由で装着する事が 実用的である。 特に、フルサイズ機では無く、APS-C機以下のセンサー のミラーレス機を用いるならば、この時代のNIKKORに ありがちな周辺収差を低減する上でも有益である。 本レンズ(50mm/F2)にはレンズ構成やコーティング の異なるバージョンがいくつかある。比較対象となる レンズは未所有なので詳細の言及は避けるが、恐らく 大きく描写傾向も異なると思われる。 型番の微妙な差異(S、Hや、Cという文字)で、その バージョンは見分ける事ができる。 本レンズは、H、つまり6番目のアルファベットだから 6枚構成版であり、Cナシ、つまり多層コーティングでは 無く、単層コーティング版である。 中古(流通)市場全般、または一般マニア層の間では、 「Cナシとは、カラーフィルム用ではなく、モノクロ フィルム用の時代のレンズだから、それを買った 場合には、モノクロ(白黒)フィルムで撮らなければ ならない」 という、ちょっと誤解した解釈が広まっている。 正確には「Cナシ」は、単層コーティングのバージョン だから、多層コーティング版に比べ、少し前述した ような、レンズの内面反射による光線透過率の低下が 起こりやすい。という課題がある。 ただ、常に「コントラストが低い」描写になるのか? と言えば、そんな事も無く、被写体または光源の 状況次第であり、この事が実用性を低める大きな原因 にはならない。 例えば、後年にデジタル時代に入ってからもCOSINA社 では、あえて「単層コーティング版」のレンズを、 多層コーティング版と合わせて新発売し、単層版は 「オールドレンズっぽい描写力」が得られるという マニアックな商品企画となっていた事もある。 ただし、1970年代からは、カラーフィルムの一般層 への普及が進んだ時代でもある。 その時代において、「多層コーティング化」と合わせ 「自社内の交換レンズ群の間で、カラーバランスを 統一・共通化していく」という試みが各社で行われた 事も、また事実である。 つまり、それ以前の1960年代までのレンズでは、 レンズの設計次第において、光線波長(≒色)毎の 特性や収差補正において、レンズの機種毎のバラツキが あった事は確かであろう。 でも、それはあくまで「レンズ毎のバラツキ」である為 例えば、NIKKOR 50mm/F2とNIKKOR 35mm/F2.8 を同時に持ち出して、撮影中にレンズ交換をしたら、 カラーフィルムでは、少し色味が違って撮れるように 感じたのかも知れない。 しかし、NIKKOR 50mm/F2だけを持って撮っていれば たとえカラーフィルムでも、違和感は絶対に無かった であろう。この事が、何も「Cナシ版は、モノクロ フィルムで撮らなければならない」という要素には 直結しない。 ましてや現代のミラーレス機である。例えば今回 母艦としているFUJIFILM X-T1(や、他のX機)には 優秀な「フィルムシミュレーション」機能が搭載 されている。銀塩時代のように、「フィルム1本」 どころか、撮影の1枚毎に、フィルムの種類を変えて (シミュレーションして)撮る事も可能であり、加えて フィルムシミュレーション・ブラケット機能を用いれば 1回のシャッターレリーズで3種類の異なるフィルム風 描写を用いた写真を同時に撮る事も可能である。 まあつまり、現代のデジタル時代では、写真の発色は、 レンズの責任でもなければ、銀塩DPE店の責任でもない。 あくまで撮り手自身が、デジタルカメラの設定を自在に 行って、撮り手の必要な色彩表現にマッチした、または 単純には撮り手の好む発色に調整して撮影する必要性が ある。(勿論だが、後編集(アフターレタッチ)も 自由自在であろう) いつまでも、「このカメラは色味が気に入らない」とか 「このレンズはモノクロ用だから、カラー撮影はダメだ」 とかと言っていたら、全然、おかしな考え方となって しまっているので、くれぐれも要注意だ。 本レンズの総括だが、「Cナシでモノクロ用」の通説は 誤りであり、問題なくカラー撮影が可能である。 NIKKORの標準レンズでも、大口径版(F1.4版)は、 代々(1960年代~1990年代)のものでは、多少のクセ があり、それが好みに合わない場合も多いであろう。 (個人的には、好みに合わないので、何本かの NIKKOR大口径標準を手放してしまっている) それに対して、小口径版の標準(1960年代~ 1970年代であればF2版。1980年代~2010年代で あればF1.8版)は、比較的、設計コンセプトにおける 描写傾向のバランスが良く、クセが少ない為、 (参考:NIKKORは、報道や学術分野で主に好まれて 使われた為、多くの銀塩用NIKKORでは、解像力重視で ボケ質が悪い特徴があった。 これはつまり「被写体が、くっきり、はっきり写って いて欲しい」という撮影分野であった為に、そうした 特徴を意図的に作っていたわけだ。それはそれで、 個性的なのかも知れないが、被写体の制限が強く、 その汎用性を損なってしまう(撮りたい物が自由に 取れない)事もあり、なかなか難しいレンズだ) ・・・(特性が異なる為)、個人的には好みとなって いて、各時代のNIKKOR標準レンズは、小口径版を主に 収集・実用とする事としている。 ---- さて、4本目のレンズ。 レンズは、NIKON Ai Micro-NIKKOR 55mm/F3.5 (中古購入価格 9,000円)(以下、Ai55/3.5) カメラは、SONY NEX-7 (APS-C機) 1977年発売のMF標準1/2倍マクロ。 この時代のNIKKORからは、「Ai」仕様であり、 その後の時代の、多くのMF/AF銀塩NIKON一眼レフ、 およびデジタルのNIKON一眼レフ上級機に装着可能で ある。 勿論、マウントアダプター経由で、近代のほぼ全ての ミラーレス機、および一部の他社デジタル一眼レフ でも使用可能だ。 さて、このAi55/3.5は、私が「平面マクロ」と 呼んでいるカテゴリーでの典型的なレンズである。 この当時、1970年代では、まだ「コピー機」は、 オフィスや研究機関等で普及していた時代では無い。 なので、大事な資料等は、コピーでは無く、写真による 「複写」で、その映像を保管(アーカイブ)していた。 だから、主に平面である「資料」を、くっきり/はっきり 歪みが無く、写す事が、この時代のマクロレンズでは 必須な特性であった。 (注:NIKONでは、マクロではなく「マイクロ」と呼ぶ。 語源的・意味的には「マイクロ」の方が正しいと思うが 他社の全てが「マクロ」と称してしまっている中では、 まるで「それでも地球は廻っている」と、ただ1人 地動説を貫いたガリレオ・ガリレオのような雰囲気だ。 ただ、そのNIKONの「マイクロ」表記も、レンズにより Micro/MICRO/Micro-等の記法が混在し、一貫性が無い) で、「平面マクロ」特性は、使える被写体が限られて いる為、コピー機普及以降の1980年代からは、各社の マクロレンズでは、そういう平面特性には特化せず、 より汎用的な用途に向く(例えば、ボケ質にも配慮 している)に、変化していく。 NIKKORの場合は、急に特性を変化させると、旧来の マイクロのオーナー層から「新型では解像感が減った」 等のクレームになるからかもしれず、銀塩時代を通じて 1990年代位までの標準(60mm級)マイクロは、 若干なりとも「平面マクロ」特性を残していて、 シャープに写るが、ボケが固い印象が強い。 以降、デジタル時代ではNIKKORのマイクロレンズの 新製品展開は鈍化しているのだが、2011年に発売 されたDX Micro 40/2.8は、1990年代のAiAF60/2.8 の「平面マクロ」描写傾向を引き継ぐ、現状では 最後の一眼レフ用標準マイクロレンズとなっている。 銀塩時代では「平面マクロ」は、クセが強すぎて 被写体制限も厳しく、あまり好まないタイプのレンズ であり、それら(他社製品でも多い)を入手しては すぐに処分してしまう事が続いたが、近年、2010年代 以降のミラーレス機時代では、高精細EVF等を用いて 撮影前に、ある程度のボケの状況も確認できるように なった為、ボケ質等の課題は減少し、逆に、こうした 「平面マクロ」特性は「個性的で面白い」と感じるよう になった。 まあなので、銀塩時代に一旦手放していた、各社の 「平面マクロ」を、また再購入したケースもいくつか あった次第であり、このAi55/3.5も、そのケースと なっている。 総括だが、典型的な「平面マクロ」とは、どういう ものであるか?を理解したい研究用途においては、 本レンズは欠かせない。 これ以降のF2.8版 (または/および焦点距離も60mmに変更されている) においては、本レンズ程の強い「平面マクロ」特性は 持たせていないので、研究用途であれば、必ずしも 新しいものを入手する必要性は(比較用の場合を除き) 少ないと思われる。 ---- では、次のレンズ。 レンズは、NIKON Ai NIKKOR 85mm/F1.4 S (中古購入価格 60,000円)(以下、Ai85/1.4) カメラは、NIKON D2H (APS-C機) 1981年頃に発売されたMF大口径中望遠レンズ。 勿論だが、既に「Ai仕様」となっている時代だ。 型番の最後の「S」は、概ね「自動絞り」機構を 表し、1980年代以降のNIKON機(一眼レフ)での シャッター優先AEやプログラムAE(注:初期での ”瞬間絞り込み測光”もある)にも対応する。 (注1:つまり、カメラ側から絞り値を自動操作 するという意味であるから、現代の機材環境で これを、絞込み(絞り優先)AEで用いる場合。 Sが付いているか否かの差異は無関係である) (注2:S仕様は、初期マルチパターン測光の NIKON銀塩一眼レフでの露出精度向上の効能が あるとされている。ただ、当時のマルチパターン 測光での原理上、距離エンコーダーを含むタイプ (後年のD仕様レンズ)の方が、顕著な露出精度向上 効果があると思われ、S仕様での効能は懐疑的だ。 場合により、新型レンズを売る為の方便かも知れず、 1980年代の銀塩機は、今時では、殆ど使う事も ないだろうから、あまり、そこ(露出精度)を 気にする必要は無いと思う) (注3:S仕様か否か?に関わらず、NIKON製デジタル 一眼レフの上位機種では、こうしたAi型レンズを 「レンズ情報手動設定」機能により使う事が出来る) そうした「S仕様であるか無いか」等は、枝葉末節 とも言える。その意味は、この時代において、 一部のNIKKORの描写特性が、ガラリと変化した事が NIKKORの歴史上では、もっと重要だ。 少し前述してきたように、1960年代~1970年代の NIKKORの多くは、「解像力」を、主眼とした設計 コンセプトである。それは、特定の被写体分野、 例えば、報道や学術、医療、工業等においては、 被写体が、はっきりと写っている事が望ましい為 そういう分野に向けて、NIKKORが作られて来た という歴史が大きい。 だが、時代が進めば、ライバル他社等でもNIKKOR の特性に対抗し、または全く異なる特性を持たせて より被写体汎用性を高くしたり、その結果として 他分野(例:芸術、広告宣伝、人物、自然撮影等) の撮影に向くレンズの特性を進歩させていく。 他社製品が、NIKON(NIKKOR)が手を出しにくい分野 での市場シェアを高めていく状況になれば、NIKON でも、その分野でも活用が出来るレンズを手がけて いく事は必須となるだろう。 そうして出来上がったと思われるレンズは、私の 所有範囲では、主に1980年前後の大口径中望遠等 の5本が存在する、具体的には・・ 1977年:Ai NIKKOR 135mm/F2 1980年:Ai NIKKOR 50mm/F1.8(系列) 1981年:Ai NIKKOR 105mm/F1.8S 1981年:Ai NIKKOR 85mm/F1.4S(本レンズ) 1981年:Ai NIKKOR ED 180mm/F2.8S となっていて、50mm/F1.8を除く他の4本は 旧ブログでの *レンズマニアックス第69回「Ai NIKKOR大口径望遠」 編の記事で、紹介および詳しく説明をしている。 これらの(特に望遠系)NIKKORレンズは、旧来の NIKKORとは、まったく別の特性であり、解像感を あまり重視しておらず、良く言えば「ボケ質等を 含めたバランスが良い」、悪く言えば「あまり シャープさを感じ難い」描写傾向となっている。 まあ、本Ai85/1.4の場合では、ここまでの話に加え、 もう少しだけ、関連する市場の歴史がある。 それは1975年にYASHICA CONTAXから発売された Planar T* 85mm/F1.4の存在であり、そのレンズは 市場において「神格化」されるまでの好評価が得られ、 いっきに人気レンズとなっていた次第だ。 だが、Planar 85/1.4は、その仕様上、非常に使い こなしが難しいという弱点があり、撮影条件が上手く 決まれば、爆発的な高描写力を発揮できるのだが・・ 多くの場合、その条件を整える事は難しく、大半の 写真が「ボツ」となってしまう。例えば野球で言えば 「三振か? ホームランか?」という類のレンズだ。 本Ai85/1.4はPlanar 85/1.4同等のスペックであり レンズ構成も類似しているが、Planar 85/1.4に あった「使い難さ」は、格段に改善されてはいる。 だから、十分にPlanar 85/1.4の「実用的な対抗馬」 には、なった筈なのだが・・ 生憎、これまでのNIKKORでの「シャープな写り」とは 対極的な特性である事から、はたして、このレンズが どこまでの市場やユーザー層からの高(好)評価を 得る事ができたか?は、さだかでは無い。 場合により「これまでのNIKKORよりも、ボケボケの 写りだ」と嫌うユーザー層も多かったのではなかろうか? そうこうしているうちに、1985年には、MINOLTAの α-7000が発売、この「αショック」は、これまでの MF時代のような、微妙なレンズ特性の差の方向性を模索 する事よりも・・ 「ともかく、カメラもレンズも全て AF化する事」が、各メーカーでの、最優先開発事項と なってしまった。 だから、少し前述したような、この1980年代前半での NIKKORの「特性変更」や「他被写体分野での展開」は、 うやむやとなり、以降の時代では「AFか? 古いMFか?」 という話でしか、市場やユーザー層は判断基準を持てず、 AFレンズであれば、そのAFの合焦精度や合焦速度だけが 取り出さされ、「描写傾向の微妙な差異」等については 殆ど語られなくなった。 ただ、カメラのAF化のフィーバーも、バブル経済期の 崩壊(1990年代初頭)とともに、沈静化してしまい、 新鋭カメラやレンズが売れない時代が1990年代前半 を通じて続く。まあ、バブル崩壊、あるいは阪神淡路 大震災(1995年)の世情であれば、「新型カメラ等を 買っている状況では無い」と消費者の多くが思う次第だ。 以降、市場は空前の「第一次中古カメラブーム」の 時代に突入する(1996年頃~2002年頃) この時代の前半期には、古今東西の、ありとあらゆる (中古)カメラやレンズが流通し、同時にカメラや レンズの知識は、ユーザー層全般で高まったものの、 本レンズのような、細かい描写特性の変遷に着目する ようなユーザー層は現れず、むしろ消費者の動向は、 「有名な機材」や「希少な機材」に向いていく事となる。 中古ブームの後半期には、これは一大「投機市場」と なってしまい、「珍しい機材を高額で転売する」という いわゆる「カメラ・バブル」の時代となってしまった。 それが終焉したのは、デジタル時代(2000年代前半) になってからである。(参考:近年、コロナ禍以降の 2020年代も、同様に、カメラバブルである) 結局、この銀塩MF時代末期(1980年代前半)の頃の 前述したような、特性の変化したNIKKORについては、 その後のどの時代においても、あまり注目される事が なく、人気が無かったりするし、そもそも短期間だけ 販売された、比較的高額なレンズであるから、あまり 中古品が多く出回っている訳でも無い。 投機的措置が加わっている場合も、微妙ながらあり、 これはつまり「不条理に高額」なケースもあるという 事だ。 これらは「ボケボケのNIKKOR」と、旧来のNIKKORと 比べて評価できる要素も無きにしもあらず、であるから、 ただ単に、これら製品群の出自も特徴も知らずして、 「希少な(見た事が無い)レンズだ」という観点から、 高額相場を受け入れて購入してしまうと、その、だいぶ 「NIKKORらしさが無い」特性は「なんじゃこりゃ?」と 初級マニア層等におては、理解不能なものとなってしまう 事であろう。 個性的なNIKKORであり、研究目的には最適であり、 実用性もさほど低くは無い、だけど、これらは 「NIKON(NIKKOR)らしさは無い」と、何度でも繰り返し 注意点として挙げておく。 ---- さて、6本目のレンズ。 レンズは、NIKON Ai Micro-NIKKOR 105mm/F4 (中古購入価格 8,000円)(以下、Ai105/4) カメラは、PANASONIC DC-G9 (μ4/3機) 1977年発売のMF小口径中望遠1/2倍マクロレンズ。 「平面マクロ」を続けて紹介したくなかった為に 後廻しにしたが、これは前述の「1980年代前半の NIKKOR特性変更」の以前の時代の「平面マクロ」だ。 「3群5枚ヘリアー型」という、極めてクラッシックな 光学系を、何故か採用している。 もともと、この光学系は、1900年という古い時代に、 旧フォクトレンダー社(当時、ドイツ)により開発 されたものであり、その数年前に英国で発明された 3群3枚トリプレット型構成の改良版である。 また、独カールツァイス社でも、ヘリアーの数年後に トリプレット型を改良した、テッサー(Tessar) 3群4枚レンズを開発していて、こちらの方がヘリアー (Heliar)よりも製造が容易であり、描写力も大差が 無かった事から、Tessarは、その特許が切れた時代 から各社のレンズにおいて「定番」の構成となる。 旧フォクトレンダー社ですら、ヘリアーではなく テッサー構成のスコパー(Skopar)を販売するように なったのは、ある意味「屈辱」であったかも知れない。 まあでも、ヘリアーは中大判レンズ用としては若干は 使われたのだが、レンジファインダー機や一眼レフ用 には、ほとんど採用例が無い。 少し前述した「Sonnarが一眼レフ用に向かない」と 同様に、ヘリアー型レンズも、小型機に搭載できない 何らかの技術的な問題点が存在していたのだろう。 そんなこんなで、殆ど一眼レフ用でのヘリアー構成の レンズは存在しないのだが、このAi105/4(および その特殊版のベローズ仕様、さらに、それのOEM版の kONICA版AR105/4)は、極めて希少なヘリアー型 構成採用レンズである。 (参考:近代のCOSINA社による、フォクトレンダー 銘でのレンジ機用のレンズには、数機種の、純粋な ヘリアー型、またはヘリアー改型構成のレンズ製品が 存在している。だが、いずれもクラッシック/ビンテージ と呼ばれる製品群であり、近代的な光学性能(描写力) を高めた設計コンセプトのレンズでは無い) (追記:COSINA社の純粋Heliar構成の50mm/F3.5は 近年に生産完了となった。 これにより、本記事掲載時点で世の中に純粋Heliar構成 (3群5枚)を持つ現行製品レンズは存在しなくなった) まあでも、本Ai105/4は、その奇妙な出自に反して 極めてシャープな描写特性を持つレンズであり、 半世紀近くも前に作られたオールドレンズで ありながらも、一部の現代マクロレンズよりも 明らかに解像感が高い。 (注:本記事執筆後に、1970年代での中望遠 マクロに各社で計4系統のHeliar構成マクロが存在 する事がわかり、全てを入手して比較してみたが、 他社製品は、本Ai105/4やKONICA AR105/4程の 高い解像感を持つ訳ではないことがわかった) 「平面マクロ」、または「カリカリマクロ」とも 言える特性であるが、そのシャープさは、2000年代 のSIGMA EXシリーズマクロ(参考:その一部は 「カミソリマクロ」とも言われてはいたが、 EX50/2.8、EX70/2.8、EX105/2.8、EX150/2.8 の、いずれもが「カミソリマクロ」的である。 なお、残るEX180mm/3.5は未所有だが、恐らくは 同等の設計思想であろう)・・(EXマクロよりも) さらにシャープであり、あえて言うならば 本Ai105/4は「日本刀マクロ」のような雰囲気だ。 しかし、何故か、本レンズの描写特性については 昔から現代に至るまで、好評価が見られない。 近年、本レンズを同時代のNIKON F2 Photomic A (1977年)に装着して、フィルム撮影を行ってみた。 その際に、本レンズが、当時に評価されなかった 理由の1つを見つける事ができた。 それは、開放F4のレンズの場合、当時のNIKON F2系 のファインダーやスクリーンの性能では、マイクロ プリズムやスプリットが翳ってしまい、全く ピント位置がわからなくなってしまうのだ。 当時の単焦点レンズはF1.4~F2級の大口径レンズ が一般的であったから、カメラのスクリーンも そうした口径比に合わせて調整されていたのだろう。 開放F4では、お話にもならないMF性能である。 加えて、近接露光倍数→(1+撮影倍率)x(1+撮影倍率) も掛かるわけだから、見かけ上での開放F値はさらに 暗くなり、手持ち撮影で、この銀塩システムを扱う のは至難の業で、達人レベルが要求されてしまう。 先年、このF2やF3の時代を実際に過していた、シニア のベテラン層(元プロラボ勤務だったそうだ)と 知り合い、良く、この時代のカメラやレンズの話をした。 その際、氏が言うには「Ai NIKKOR 105mmは、 F4版は不人気であり、皆、F2.8版(1984年~) を志向していた」との話であった。 私は「いやあ、F4版もF2.8版も持っていますが、 両者は全然違うレンズとも言える特性ですよ。 F4版は、カリッカリにシャープに写る特徴があり、 F2.8版は、そうではなく、バランス重視型です。 シャープさを求めるならば、F4版が良いですよ」 と答えたのだが・・・ 後年に、銀塩撮影を実際に行ってみて痛感した。 シニア氏の持つ、NIKON F2やF3では、この Ai105/4は、使いこなす事自体が、まず相当に 困難であり、F2.8版の方がはるかに容易であろう。 であれば、F4版では、通常の撮影スキルであれば、 撮った写真は「全滅」に近い状況となってしまう。 F2.8版の方が、ちゃんとまとも撮れる確率が高い為、 初級中級層、あるいは上級層や実践派マニア層に 至るまでF2.8版の方を好んだのかも知れない訳だ。 さて、でも、それは銀塩時代での話だ。 デジタル時代において、高性能(高感度)の 一眼レフや、暗くならない高精細のEVFを持つ ミラーレス機においては、本Ai105/4の銀塩時代 での弱点(まとも使えない)は、完全に解消できる。 不人気レンズであった為、現代での中古相場も激安 である本Ai105/4は、コスパ評価も極めて高くなり、 近年での個人的な、「お気に入りNIKKOR」の 筆頭格となっている次第である。 ---- では、7本目のレンズ。 レンズは、NIKON Ai AF NIKKOR 85mm/F1.8D (中古購入価格 23,000円)(以下、AiAF85/1.8) カメラは、NIKON D500 (APS-C機) 1994年発売のAF(小口径)中望遠レンズ。 D型(距離エンコーダー)対応品であり、 これは、現在の合焦距離をレンズ側からカメラ側 に伝える機構であるから(注:数ビット程度の グレイコード型の接点(銀紙)がレンズ内部に あり、そのヘリコイド位置での接点からの数ビット の距離データを、カメラ側に伝える) カメラ側での、フラッシュ(NIKONでは「スピード ライト」と呼ぶ)での、距離に関わる調光精度を 高めたり、3Dマルチパターン測光では、より正確な 距離情報から測光データベースを参照できる為 露出精度が高まる特徴がある。 ただし、フラッシュも使わず、露出設定も 撮影者がある程度の主体性を求めて、自分で調整 して決定するのであれば、このD型の効能は、何も 得られない。逆に言えば、そうした撮影技法に おいては、D型か否か?は、どうでも良い話となり、 さらにNIKON製(AF/デジタル)一眼レフを使わず ミラーレス機にD型NIKKORを装着する場合では そもそもD型と非D(S型等と呼ばれる)の差異は 全く無い。 なんで、こんな事を書いているか?と言えば、 D型レンズが登場した1990年代前半頃において または、その後の中古カメラブームの時代に おいては、初級マニア層やNIKON党の間で 「新型のD型レンズに買い換えたら、良く写る ようになった」と、必ずしも正確な情報とは 言えない噂が蔓延していた状況があったからだ。 カメラ(レンズ)市場縮退期(1992年~1998年 頃、いわゆる「アフターバブル」の時代)の 話であるから、D型レンズの企画意図の一部には 「目新しい新機能を謳い、新製品を高額に売る」 が、当然あった事であろう。 (→近年での「プレミアム値上げ」と同等。 値上げをしたい為に、余計な機能/素材等を入れる) だが、旧型(S型)と全く同じ光学系のD型を 高価に買う(または、わざわざ買い換える)等の 措置は個人的には好まなかったため、D型レンズの 効能が良く理解できた後では、それを「指名買い」 する事は行わなかった。 しかしながら、勿論だが、旧型とD型の違い以上に 大きな差異となるのは、レンズ固有の設計思想だ。 一例として、私は、MF時代のAi85/4(S)(前述) は好みであった為、AF時代には、AiAF85/1.4(D) を購入していた、しかし、そのレンズは高額な上に、 MF時代のものとは全く光学系が異なり、まあ若干は 近代的ではあったが、全然好みに合わない描写特性 であったので、それを知人のマニアに譲渡してしまい、 スペック的にはダウングレードだが本AiAF85/1.8D に買い換えた次第であった。 ダウングレード(≒高価な商品を手放し、安価な ものに買い換える)は、当初、マニア的視点では 屈辱的な要素もあったのだが、本レンズを手にして 長期に渡って使ってみると、本AiAF85/1.8が、 F1.4版よりも、遥かに歩留まりが良い(つまり、 高い確率で成功写真が撮れ、安全性が高い)事が 最大の長所として認識され、以降ではデジタル時代 に入ってからも、冠婚葬祭等での実用(業務)人物 撮影において本AiAF85/1.8Dは大活躍する事となる。 「小口径で安価なレンズなのに、実用性が高い」 という事に気づいた私は、本レンズ以降においては 「小口径版は安物の低性能レンズだ」などという事は、 一切思わなくなったし、場合により、同じメーカーの 同じ時代の同じ焦点距離のレンズで大口径版と小口径版 を同時に保有する事も厭わなくなった。何故ならば、 「それらは、全然別の特性を持ち、全く違う用途に 使われるレンズだ」という事が良く認識できたからだ。 現代において、本AiAF85/1.8Dを指名買いする必要は 無いであろう、ただし、それは「後継型(例:AF-S NIKKOR 85m/F1.8G、2012年、未所有)が存在する から」という理由では無い。 2010年代後半からではSIGMA 85mm/F1.4 ARTや、 TAMRON SP85mm/F1.8といった近代的な高描写力 の85mmレンズが出ているからであり、それらの、 私が言うところの「2016年断層以降」の新鋭レンズは 旧来(~2015年)のレンズ光学系とは、まさしく 「次元の違う」写りをする。 よって、85mmレンズを実用(業務)人物撮影用途 に使うならば、それらの新鋭レンズの方が効果的だ。 何も、わざわざ古い時代のレンズを使う意味は無い。 ただまあ、趣味撮影全般においては「85mmレンズを フルサイズ機につけてポートレートを撮る」といった 固定的な概念による用法には一切、拘る必要は無い訳 だから、好きな母艦(センサーサイズもまちまち)に、 好みのレンズを装着して、何でも好きなものを撮れば 良い次第である。 ---- さて、次のレンズ。 レンズは、NIKON AF-S DX NIKKOR 35mm/F1.8G (中古購入価格 18,000円)(以下、DX35/1.8) カメラは、NIKON D300 (APS-C機) 2009年に発売されたAPS-C機(DXフォーマット)用 準広角(標準画角)AFレンズ。 こちらはNIKONとしては珍しい「エントリーレンズ」だ。 これはつまり「お試し版レンズ」の事であり、何らかの 性能制限(本レンズでは、APS-C機専用である事)を 掛けたレンズを安価な価格で販売し、特にビギナー層 をターゲットとする。 ビギナー層が持つキットレンズ(主に標準ズーム)より も高描写表現力であったり小型軽量である、こうした 「お試し版レンズ」を入手したユーザーは、その長所を 知り、以降、さらにNIKKORのレンズを追加で買って もらったり、あるいは「もうNIKONのレンズが何本も 揃ったから」という理由でCANONや他社の一眼レフや ミラーレス機に乗り換えることを抑制する。という 「囲い込み」戦略を実現する為のレンズ(群)だ。 市場の一部では「シンデレラレンズ」と呼ばれる場合も あるが、それは、このビジネスモデルが女性消費者層に おける化粧品や食品等で良く浸透している為、女性層は この「お試し版」戦略を十分に理解している。なので 「お試し版に手を出すと、後で高い商品を買わされる」 と言った不安がある訳だから、そういう事を意識させない 為に別の名称を冠したのであろう。 また、同じく市場の一部では「撒き餌(え)レンズ」 とも呼ばれる事もあるが、この呼び方は、この ビジネスモデルの全容を説明しているものでは無いし そもそも、レンズを「餌(えさ)」扱いでは、蔑称で あるので、こちらの呼称は、完全に非推奨である。 で、NIKONにおける「エントリーレンズ」戦略は 歴史的には、3回しか行われていない。 最初は、1980年前後での「SERIES E」である。 これは、1970年代ではインフレ(物価高騰)が 激しく、カメラやレンズが高価になりすぎて消費者層 が買えなくなってしまった世情への対策の商品だ。 当初、廉価版機NIKON EM(1980年、未所有) と合わせ、主に海外(米国)等への展開を意識して 作られたレンズだが、国内他社が同等の廉価版機 (例:RICOH XR500、MINOLTA X-7、OLYMPUS OM10 →全て所有していたが、現在では未所有となっている) を販売し、ビジネス的にも成功しているのを見て、 NIKON EMやSERIES Eレンズも国内発売が開始された。 ただ、NIKONは基本的にブランド型(高付加価値型)の メーカーであるから、SERIES Eレンズには、NIKKOR の名称を付ける事は許されず、NIKON LENS銘である。 また、性能(仕様的)差別化により多層コーティング も施されておらず、一部は単層コーティング仕様だ。 なので、NIKON EMおよびSERIES Eレンズは、 「NIKONと言えば、高級機」を求める国内消費者層の ニーズにはマッチせず、あまり売れたシステムでは無い。 (→まあでも、個人的には、むしろ好みだ。 旧ブログ:特殊レンズ超マニアック第79回 「NIKON SERIES E」編を参照) 続く1990年代、バブル崩壊や阪神淡路大震災の 世情を受け、銀塩一眼レフカメラが売れなくなった。 その時、NIKONでは「ニコン おもしろレンズ工房」 (旧ブログ:特殊レンズ超マニアック第13回 「ニコン おもしろレンズ工房」編を参照) を発売、限定生産品だが、後に再生産もされた。 こちらのレンズは、SERIES Eよりもさらに、 性能制限が厳しく、「NIKON」の名を製品に冠する 事も許されず、ユーザーは付属している「NIKON」と 印刷されたシールを自分でレンズに貼って使う事となった。 「そんなにNIKONやNIKKORの名前は、偉いのか?!」と むしろ、ユーザー層からのメーカー側の思想に対する ”反発心”が強くなるばかりの逸話である。 続く2010年前後、スマホやミラーレス機の急激な 台頭により、NIKON製一眼レフの販売数の今後の低迷が 予想された。今度は、NIKONでは先手を売って、この 時代に、優秀なエントリーレンズを数本発売する 企画を行った。 2009年:AF-S DX NIKKOR 35mm/F1.8G(本レンズ) 2011年:AF-S DX Micro NIKKOR 40mm/F2.8G(紹介済み) の2本が主力であるが・・ 場合により 2009年:AF-S DX Micro-NIKKOR 85mm/F3.5G ED VR(未所有)も、やや高価だが、エントリー レンズの一種と言えるかも知れない。 で、この時代の「エントリーレンズ」は、それまでの NIKONでの戦略のような、酷い「性能的・仕様的差別化」 は掛けられていない。さすがに時代も進み、1つは 低性能なレンズには、市場からの評価も厳しくなる事、 さらには、「NIKKORだから、凄い、偉い」といった ブランド戦略も、もはや通用する時代でもないからだ。 仕様的な差別化は、たった1つ「APS-C機専用レンズ」 である事だ。他の性能、品質、その他全般において これらの「エントリーレンズ」は、通常のNIKKORに 対しても全く見劣りしない。 コストダウン要素はもう1つあり、銀塩時代からの 定番レンズの設計を、縮小コピーして、小改良する という「ジェネリック設計」を用いている事だ。 これは2010年代後半からの、格安中国製レンズで は多く見られる設計手法であり、銀塩時代の定番 レンズの設計をAPS-C機等用に縮小設計する事で 設計や評価、製造に関わる手間を大幅に省略して、 結果的にコストダウンに繋がる。 (参考関連記事:旧ブログ *特殊レンズ・スーパーマニアックス第64回 「ジェネリック・レンズ」編) 本DX35/1.8では、あからさまにそれを行って いる訳では無いが、恐らくは銀塩時代での 50mm/F1.8の縮小設計+非球面レンズによる改良、 という感じだし・・ もう1本のDX40/2.8も、 AiAF(MICRO)60/2.8を参考とした様相が強い。 まあつまり、設計コストも若干ながら低減でき、 これは製品のコストダウンにも繋がる。 そして、昔からある定番レンズの「ジェネリック」 であるから、「ジェネリック薬品」の場合と同様に 「最新の薬効成分が入っている訳では無いが、 十分に効き、しかも安価だ」というユーザー メリットを、本DX35/1.8では得る事ができる。 私の場合では、基本的に「各社エントリーレンズは、 コスパが良い為、全て買うべし」という方針と なっているので、例えば本シリーズでの従前の記事 第42回~第44回「シンデレラレンズ」編では、 多数の所有エントリーレンズを紹介済みだ。 (注:「ジェネリックレンズ」は、正確に言えば 「エントリーレンズ」では無い。ジェネリックの 場合、縮小設計をした元となったレンズ光学系の 特性や性能が低い場合、その弱点を縮小コピー先の レンズでも引き継いでしまう。 だから、値段は安価でも、性能はレンズによりけり であり、あまり保証されないから、中には安価でも コスパが悪く評価されてしまった「ジェネリック」も 色々と存在する次第だ) ---- では、今回ラストのNIKKORレンズ。 レンズは、NIKON AF-S NIKKOR 105mm/F1.4E ED (中古購入価格 148,000円) (以下、AF-S105/1.4) カメラは、NIKON D5300(APS-C機) 2016年に発売された、高付加価値仕様(=三次元的 ハイファイ)大口径AF単焦点中望遠レンズ。 初級機に装着しているのは、全体のシステム重量の 低減の目的と、母艦D5300は「ピクセルピッチが 狭いローパスレス機」である為、高性能レンズとの 相性が良く、つまりレンズ側の仕様や性能を鑑みた 「弱点相殺型システム」の構築を意識しているからだ。 発売当初は「105mmで開放F1.4」というスペックに 目が行ったレンズではある。 当時では、他にこのクラスのレンズは存在していない。 長所は、全般的な高描写力、かつ、解像感だけを 高めたカリカリ描写の特性にはせず、ボケ質等にも 十分に配慮した高性能レンズである事だ。 短所は、まずカメラ・レンズ市場の縮退を受けた 結果の企画である為、最初から高額に販売する前提で 設計されたレンズだと思われ、かなり割高感を感じて しまう。そのくせ、コストダウンを狙った製品なので ベテラン層や一部のマニア層等が嫌う「Made in China」 製品となっているし、外装仕上げもプラスチッキーで 高級感が無い(ただし、軽量化には役立っているだろう) また、本レンズ等で謳う「三次元的ハイファイ」は、 その具体的な効能を把握する事は困難であり、 「どこが三次元ハイファイ? どこが優れているの?」と 常に疑問を持ちながら使う事となってしまう事が、 大きな課題であろう。 「三次元ハイファイ」は、単なる設計コンセプトで あるから、そこは、本来は意識する必要は無い。 (参考記事:旧ブログ *レンズマニアックス第63回「三次元的ハイファイ」 編の記事で詳しく説明をしている) 肝心なのは、「特定の用途において高性能や高効率が 得られ、他では代替のできないレンズに成り得るか?」 という部分であろう。 だが、そういう観点においても、実のところ、この AF-S105/1.4に、そういう独自の用途は思いつかない。 本(旧)ブログの用語で言えば「用途開発が難しい」 レンズとなってしまっていて、「いったいこのレンズで 何をどう撮るべきか?」の研究が、使用開始後、何年も 経つのに、一向に進んでいない(汗) 「それでは、何で、この記事で紹介しているのか?」 という事となってしまう。本記事ではNIKKORの 名レンズを取り上げていることになるからだ。 まあ実は、本レンズの購入は、個人的な研究テーマ である「NIKKOR 105mmのコンプリート計画」が元に なっている。つまり、この個人的研究を行っていた時点 (2010年代後半頃)において、NIKORの各種105mmの レンズの各光学系を全部揃える(10種類ある)という 事で、それらを入手し、比較し、歴史を知り、世情や 他社製品とも比較する、というテーマがあったからだ。 だから、本来、個人的な好みのNIKKOR 105mmは、 本記事に登場した、S105/2.5やAi105/4であるのだが、 それでは読者層に対するエビデンス(証拠)が弱い。 中には「より高価な、より新しい、NIKKOR 105mmも 存在するのに、何で、そんな昔の、値段も安い105mm が良いと評価できるのか?」という、極めて単純な 思考法を持ってしまう人も居るだろうからだ。 だったら、このAF-S105mm/F1.4が、Zマウント 以前のNIKKOR105mmの中では最も高価で最も新しい いわば「最高峰」のレンズである。 これも、ちゃんと買って評価している訳だから、 「古いNIKKORしか見ていない」という事にはならない。 まあ、そういう理由の他にも、「最高クラスのレンズ というのものは、いったい、どの程度の性能なのか?」 そこを体感または理解せず、安価なレンズばかりを 比較してばかりいても、そこもあまり意味が無い。 高性能なレンズから、低性能なレンズまで、多くを 知らない限り、「このレンズは、どのレベル(位置) のものなのか?」という評価感覚が身に付かないからだ。 だが、その高性能というものは、単なる値段の高さと イコールではない。そこは絶対に理解しておくべき点だ。 値段が高いものには理由がある。例えば、生産数が 少ないから、ブランド銘が付いているから、はたまた 高いものを売らないと儲からないから、といった理由 も非常に大きく、そこでの値段と性能は比例しない。 また、ユーザーの用法や目的にも強く依存する。 値段やら描写力とは無関係に、ある種の極めて強い 特徴を持つレンズ製品があれば、それは、その特定の 用途において、唯一無二の、他では代替不能なレンズ となり、それは通常、極めて個人評価点が高くなる。 逆に、いくら最強の描写力を持つレンズであっても 具体例としては大きく重く高価な「三重苦レンズ」で あったならば、それは高評価は望めない。 本AF-S105/1.4は、ほぼ「三重苦レンズ」の状況 であるから、個人的には好まず、あまり特徴的な 用途も見当たらないから、総合的には「中の上」 程度の評価ランクのレンズでしかない。 ただまあ、ユーザーによっては、ぴったりの用途も あるかも知れない。 具体例としては、近年のコロナ禍により、近接した 人物撮影は「ソーシャル・ディスタンス」の概念の 普及により、厳しくなってきている世情の中で、 今までの「パーゴイチヨン」(85mm/F1.4の俗称) よりも、僅かに遠くから撮れる本105mm/F1.4は、 それは新しく人物撮影上での定番レンズと成りえる かも知れない訳だ。 コロナ禍以降、個人的には実務的な人物撮影を全く 行っていない、あるとしてもイベント等でのスナップ なので、そこでは大口径中望遠レンズは必要は無い。 だから、本レンズが新たなポートレート用レンズの 定番に成りえるか否かは、正直わからない(汗) でも、そういう用途があるユーザーの場合では、 それを試してみるのも、意味があるのではなかろうか? 総括だが、「名レンズ」と言うものは、「誰かが、そう 言った」「誰かが決めた」という出自では有り得ないと 思っている。レンズをどう評価するかは、ユーザー個々の レンズの用途・用法や技能、機材環境等に強く依存する。 だから、個々に自分なりの評価感覚を持って、レンズの 良し悪しを判断しなければならない。 ごく簡単に言えば、個人(ユーザー)評価が高いレンズは、 多数のレンズを所有していた場合でも、比較的優先的に それを様々なシーンに持ち出して使う事となるだろう。 そういう状況になっていれば、そのレンズの仕様や性能 や価格は無関係であり、それはそのオーナーにとっての 「名レンズ」となる訳だ。 (参考:「銘玉/銘レンズ」という表記は、私は使わない。 「銘」とは、主に”ブランド”等を表すものだからだ。 世間では、なんだか”伝統工芸品みたいで価値がある” とい投機的観点で使われているように感じてしまう) 私が付けているレンズ個人評価点等は、その個人的な用途に おける「名レンズ度」を、単に点数化しているのに過ぎない。 まあつまり「ユーザーの数だけ、名レンズは存在する」 と言っても過言では無い。 よって、「誰かが良いと言ったから、買う」という風に、 レンズ又は他の市場分野の商品やサービス等を購入する という購買論理では、それでは自分自身でモノの価値を 判断する術(すべ)を持たない、各分野でのビギナーと なってしまう。そうならないように、自分なりの価値 感覚を高めて行くことが本筋ではなかろうか・・? --- では、今回の記事はこのあたりまでで、 次回記事の内容は未定としておく。 #
by pchansblog2
| 2025-01-04 19:47
| 連載中:レンズマニアックスEX第三部
本シリーズ記事は、「写真用(等)の交換レンズ に興味を持ち、それを収集したり実用とする趣味」 つまり、俗称「レンズグルメ」の趣味への「入門編」 であり、入門層/ビギナー層等を対象とした説明内容 にしている。 その際、初級層等が疑問に思うだろう事を、1人の 仮想人格、「ビギナーのB君」の質問内容に集約し、 本シリーズ記事を「仮想問答」の形式としている。 今回第20回目は「TRIPLETの系譜」編とする。 TRIPLET(Triplet、トリプレット)の話は、追々 説明していくとし、その歴史に関連する所有レンズ を10本取り上げ、それらを順次紹介していく。 個々のレンズそのものの話よりも、20世紀初頭の 光学設計技術の発展史のような内容となる。 なお、本記事は、この第一部での最終回とする。 では始めよう、まず最初のTRIPLETレンズ。 レンズは、Meyer Optik Goerlitz DOMIPLAN 50mm/F2.8 (注:原語綴りの変母音は省略) (中古購入価格 7,000円) カメラは、SONY α7(フルサイズ機) 詳細不明。恐らくは、1960年代~1970年代頃に 東独にて生産されたMF小口径標準レンズ。 3群3枚、トリプレット型構成である。 More #
by pchansblog2
| 2024-12-30 21:03
| 完了:レンズグルメ入門編第一部
所有しているカメラについて、マニアックな 分析を行う、本「カメラマニアックス」シリーズ。 シリーズ内の不定期連載として「機体別用途編」 を掲載しているが、その第3回目記事である。 今回は、「PANASONIC Gの用途」編とする。 これは、PANSONIC社のμ4/3機において、 2008年~2018年の10年間の間に発売された Gヒトケタ機、および一部ではGF、GX機の 数機種を母艦とし、そこに9種類の全く異なる 特性を持つ多種多様のレンズ群を装着し、その 事でPANASONIC G系μ4/3機体を、より広い用途 に活用する為の提案や紹介を行う記事だ。 紹介順は、G系機体の発売順とするが、装着する レンズについては、発売年は順不同である。 なお、PANASONICは正式には先頭のみ大文字の 「Panasonic」表記であるが、本(旧)ブログ では、他社名も含めての統一性を持たせる為に メーカー名は大文字表記とするケースが大半だ。 まあ、本記事では適宜「Panasonic」表記も 混在させていく。 それと「LUMIX」という、サブ名称が存在するが、 LUMIXが機種名に正式に入るかどうか?は曖昧 であり、恐らくだが、入らない名称が正式だ。 (注:曖昧な理由は、カメラのサブ名称の成り立ちが 色々とあるからだ。長くなるので今回は割愛するが、 いずれ別記事で「サブ名称」についての歴史を述べる) --- では、まず今回最初のPanasonic G カメラは、PANASONIC (LUMIX) DMC-G1 (μ4/3機) (2008年末発売、発売時実勢価格約8万円) (赤色機 中古購入価格 29,000円) (青色機 中古購入価格 11,000円) レンズは、PANASONIC G 14mm/F2.5 APPH.(H-H014) (2010年発売)を使用する。 More #
by pchansblog2
| 2024-12-28 17:45
| 連載中:カメラマニアックスEX第二部
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