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所有しているカメラについて、マニアックな 分析を行う、本「カメラマニアックス」シリーズ。 シリーズ内の不定期連載として「機体別用途編」 を掲載しているが、その第3回目記事である。 今回は、「PANASONIC Gの用途」編とする。 これは、PANSONIC社のμ4/3機において、 2008年~2018年の10年間の間に発売された Gヒトケタ機、および一部ではGF、GX機の 数機種を母艦とし、そこに9種類の全く異なる 特性を持つ多種多様のレンズ群を装着し、その 事でPANASONIC G系μ4/3機体を、より広い用途 に活用する為の提案や紹介を行う記事だ。 紹介順は、G系機体の発売順とするが、装着する レンズについては、発売年は順不同である。 なお、PANASONICは正式には先頭のみ大文字の 「Panasonic」表記であるが、本(旧)ブログ では、他社名も含めての統一性を持たせる為に メーカー名は大文字表記とするケースが大半だ。 まあ、本記事では適宜「Panasonic」表記も 混在させていく。 それと「LUMIX」という、サブ名称が存在するが、 LUMIXが機種名に正式に入るかどうか?は曖昧 であり、恐らくだが、入らない名称が正式だ。 (注:曖昧な理由は、カメラのサブ名称の成り立ちが 色々とあるからだ。長くなるので今回は割愛するが、 いずれ別記事で「サブ名称」についての歴史を述べる) --- では、まず今回最初のPanasonic G カメラは、PANASONIC (LUMIX) DMC-G1 (μ4/3機) (2008年末発売、発売時実勢価格約8万円) (赤色機 中古購入価格 29,000円) (青色機 中古購入価格 11,000円) レンズは、PANASONIC G 14mm/F2.5 APPH.(H-H014) (2010年発売)を使用する。 DMC-G1は、史上初のミラーレス機として 当時、衝撃的なデビューを飾った。 ただ世間一般では、まだ「ミラーレス機って何だ?」 と、その効能も、長所短所も何もわかっていない 状態であったし、「ミラーレス機」という普遍的な 名称もまだ普及しておらず、「ミラーレス一眼レフ」 といった、「レス」と「レフ」が矛盾しているじゃん、 のような誤った呼称も、ごく普通の状態であった。 (注:ごく近年でも「レフ機」「レス機」という風 に区分をする、初級層のレビュー情報等が多い。 しかし、(デジタル)一眼レフも、ミラーレス機も それぞれ何百機種も存在する訳であり、それらを 十把一からげ的に「レフ」や「レス」で済ませて しまうのは、あまりに超ビギナー的な区分方法だ。 --- 個々の機体は大きく仕様や利用目的も変わる訳であり まあ、それらを「同じモノ」としか識別できないから その事自体が、すなわち超ビギナーな訳なのだろう。 必要とあれば、具体的な機種名を記載や想定しての 比較やレビューを行う事を推奨する) で、まだミラーレス機が、海のものとも山のものとも 判別できない時代の機体が、本機DMC-G1であるから 当然ながら、既存ユーザー層からは、様々な批判が 生じる。 比較的、的を射た意見としては、「AF性能が低い」 であるが、そうで無いものも多く・・ 「背景がボケ無い」(そんな事は装着するレンズ次第だ) 「画素数が低い」(画素数が多ければ良い写真が撮れるのか?) 「色つきボディが軟弱だ」(まずは個人の好みであろう。 あるいは、そういう市場戦略だ。他分野の商品は クルマでもケータイでも、全てが色つきである) 「ボディの色が被写体に写りこむ」(そういう事を 気にする人は、撮影アングルに留意すれば済む) ・・・などの、思い込みや、言いがかり、等の あらゆる反発意見が出て来ていた。 (注:こういうのは消費者層側の意見だとは限らない。 新しい分野の商品が出てくれば、その業界内でも、 そうした動き牽制する(足をひっぱる)為に、そうした 悪い噂(ネガティブ・キャンペーン)を拡散する措置を 実施するかも知れない。(かも、ではなくて確実だ) --- 現代のネット時代であれば、そんな情報操作は、どの 市場分野でも、当たり前のように行われている。 だから、消費者層は、自身の価値感覚をちゃんと持って 様々な商品やサービスの購買・消費行動を行わないと、 世間での虚実入り混じった噂に振りまわされるばかりだ) まあでも市場全体的な視点からすれば、このDMC-G1 および、ここから続く各社のミラーレス機は、成功を 収めた。以降、僅か10年程で、デジタル一眼レフは ほぼミラーレス機に取って変わられてしまう事になる。 近年では、(コロナ禍もあるが)デジタル一眼レフの 販売数の減少は酷いものであり、日本国内では、 1ヶ月に、僅かに4000台程度しか売れていない月 も何度もあった。 これは、例えば1つの都道府県あたりで、1ヶ月に 100台程度しか売れない事となり、1つの店舗として 考えれば、1ヶ月に1台しか売れていない、という 感じであろう。(・・これでは、厳しい商売だ) (追記:その数字は数年前のデータであり、最近では 一眼レフ販売数はさらに少ない、もはや絶滅危惧種だ) 別に一眼レフに限らず、ミラーレス機もコンパクト機 も、似たような市場縮退に悩まされている訳であり、 だから近年のカメラは、極端に(従来の3~10倍も) 値上げをしないと、メーカーや流通は、事業がやって いられない訳だ。 本機DMC-G1は、Panasonic社の公式プレスリリース によると、最初期の月産台数は6000台である。 恐らく、もっと売れたと思うので、後継機の例えば DMC-G2では月産15000台となり、低価格機の DMC-GF2やGF3では月産20000台を実現していた。 ミラーレス機の後年の販売数は、例えば2022年 1月では、国内総計で15000台程度である。 つまり、その約10年前の最盛期のGシリーズは、 たった1機種だけで、近年での国内ミラーレス機 全機種の販売台数と同等だった次第である。 市場縮退の話は、もう良い。なんだか書いている だけで可哀想になってくるし、消費者側への影響 としても、この縮退市場での新製品が、50万円、 70万円、90万円と上がっていくたびに、もう そんな高価なカメラなど、買える筈も無いから、 「カメラという趣味自体を続ける事が無理だ」 という暗い将来を予想してしまうし・・ 事実、そもそも、こういう状況であるから、 2010年代後半より、既に「マニア層」や「ハイ アマチュア層」なるものは激減してしまっている。 新製品についての、マニア層やハイアマチュア層 からの精緻なレビューや情報提供も激減したので もう誰も、新鋭カメラを買っていない状態だろう。 それを買うのは、カメラの価値感覚(コスパ感) を全く理解していないビギナー層だけであるし、 そうしたビギナー層に向けた、新製品を買わせる 為の流通レビュー記事等も「秒60コマだから凄い!」 という子供騙しの内容でしか無い(まあ、そうしか 書けない訳であって、執筆者の問題よりも、むしろ そうした付加価値しか提示できない、メーカー側の 商品企画上の問題でもある) さて、際限なく、この話は続いてしまいそうだ(汗) 一旦DMC-G1に戻る。 この史上初のミラーレス機は、マニア層にとっては 「マウントアダプターを使えば、古今東西の 各社のレンズが装着できる」という夢のカメラと なった。 そういう用法であれば、AFが遅いだの、交換レンズの ラインナップが少ないだの、背景がボケ無いだの、 あらゆる不満は消えてなくなる。 だから、本機発売後に、他のμ4/3機や、他社の 初期のミラーレス機(例:SONY NEX等)を用いた 「第二次オールドレンズブーム」が起こりかけた のだが、この用法は、レンズ知識や撮影技能が必要と される為、マニア層を超えて一般層にまでブームが 波及した訳では無い。 まあでも、そういう用法のトリガー(引き金)と なった本機DMC-G1は、そういう意味で歴史的な 価値が大変高い。 それと、あまり知られていないが、オールドレンズ を使う、という目的は、本機DMC-G1の設計時点から、 強く盛り込まれていた可能性が極めて高い。 それは、本機にはオールドレンズ使用時において 全ての「操作系」が無駄なく効率的に動作するような 絶妙な設計思想(手法)が盛り込まれているからだ。 まあこれは、恐らくはマニア層に向けた「確信犯」 であろう、企画検討時では「他社のレンズを使う」 などの話は、口にチャックをして、設計者の誰も 社内外には語らなかったに違いない。 で、今回の用法は、発売時点に近い状態を意図して 母艦のAF性能が低くても対応が可能な、小口径広角 単焦点AFレンズを使用しているが、本機DMC-G1 の使い方としては、前述のようにオールドレンズ 母艦としての用法が優れているので、個人的にも そうした用途が、後年では、ほぼ100%だ。 オールドレンズ使用時に、全く無駄の無い操作系を 何度でも体感するたびに、「良く、この機体の企画 が(社内で)通ったなあ」と、隠れた「確信犯」の 設計思想に、思わずニンマリとしてしまう次第だ。 なお、Gシリーズの操作系は、年々「家電製品化」 していき、ビギナー層には簡単に感じるだろうが ハイアマチュア層やマニア層には、高度な設定操作 を、やろうとすると、旧来機よりも、より面倒な 操作を要求されてしまうことが気がかりかも知れない。 まあ、個人的にもそういう点が気になり、後継の G機は、あまり多くを所有しておらず、かつ、最初期 のDMC-G1を、依然、仕様老朽化寿命を超えてまで 長期間愛用しているのは、そういう理由もある。 ちなみに、DMC-G1は、もう1台所有していて、両機 の識別(使用頻度、バッテリーの残量の事前判断等) の意味からも「異なる色付きボディ」を選んでいる。 まあ、要はカメラに備わる仕様、機能、性能等は 全て利用者(オーナー)が有益となるように活用 すれば良い訳だ。カメラの仕様や性能に文句ばかり つけているようでは、それは、有効活用の方法論を 自分では策定する事ができないビギナーに過ぎない。 本機DMC-G1の発売時に「色つきのカメラはダメだ」 とかいった酷評をしたのは、きっと「同じカメラを 2台購入して使い分ける」といった用法を、まるで 想定できなかったビギナー層であった事たろう。 --- さて、2つ目のシステム。 カメラは、PANASONIC (LUMIX) DMC-GF1 (μ4/3機) (2009年発売、発売時実勢価格約7万円) (中古購入価格 10,000円) レンズは、Lomography Experimental Lens Kit Wide-Angle Lens 12mm/F8 (2013年頃発売)を使用する。 DMC-GF1という機体は、簡単に言えば、前記DMC-G1 の「EVF無しバージョン」である。 もしかすると、μ4/3の試作機としては、DMC-G1 ではなく、より構造が簡単な、本機DMC-GF1で あったかも知れない(?) ただ、実用性においては、DMC-G1とDMC-GF1 では雲泥の差がある。この当時の背面モニターの 解像度(≒表示画素数)は、とても低いので、 本機DMC-GF1では、精密なMFピント合わせを要求 されるタイプのレンズ(例:マクロ、大口径、 望遠レンズ等)は、実用的には使用が出来ない。 すると、このDMC-GF1を、どう活用するか?だが、 答えは簡単であり「精密なピント合わせを要求 されないレンズ」を装着すれば良い事となる。 例えば、前述のG14/2.5などは、AFレンズで あれば選択肢の1つなるだろう。(注:G14/2.5 は、後継機DMC-GF2の、キット形態「DMC-GF2C」 での付属レンズであった次第だ) また、今回の用法のように、準パンフォーカス型 のトイレンズを装着してしまえば、DMC-GF1の本体 でのAF性能の課題は消えて、小型軽量で快適な トイカメラ的システムとして使える次第である。 このような「弱点相殺型システム」が、組めるか どうか?が、初級マニア層と中級マニア層での 境目くらいになるだろうか? まずは機体やレンズの、それぞれの長所短所を把握 しないとならないし、それがわかった上で、問題が 生じない組み合わせを想定し、さらに、それを実践 (実現)が出きるか否か? これは、基本的には マニア層で無いと出来ない措置である事は確かだ。 まあ、でもマニアというのは、そうあるべきで あろうし、世間一般が連想(や定義)をするように 「希少で高価なモノをポンと買ってしまう人達」 は、マニアとは言えないと思う(単なる好事家) また、自分が知る(又は所有する)ごく狭い範囲 の機材(や、他の市場製品でも同様)だけを 過剰なまでに信奉や愛好してしまい、「この製品 が良いのだ、これに拘るのだ!」という志向性も、 実は、マニアだとは言い難い。 まあそれは、世の中に極めて多数ある商品群の多く を知ったり入手する事は困難か不可能であるから、 自分が知っている範囲だけの比較になってしまうのは、 やむを得ない話ではあるが・・ それにしても、「これは良いものだ!」と、他の商品 を全く知らずに言われてしまうと、どうも「引いて」 しまう。仮に、「こっちの方が良いのでは?」等と 意見をしようものなら「いや、これが最高なのだ!」 等と、宗教的な迄の思い込みで反撃されたりしたら ますます、不毛で不快なやりとりになるだろうから そういう話には首を突っ込みたく無い訳だ。 本機DMC-GF1の総括だが、トイレンズ等の母艦と するのが、やはり最適であろう。オールドレンズの 母艦とする場合には、オールドレンズでは大口径の ものも多く、意外にピントはシビアなので、本機の MF性能(低解像度モニターやピーキング無し、等) では対応が困難だと思われる。 --- さて、次のPanasonic Gシステム。 カメラは、PANASONIC DMC-G5 (μ4/3機) (2012年発売、発売時実勢価格約7万円) (中古購入価格 16,000円) レンズは、Voigtlander NOKTON 42.5mm/F0.95 (変母音省略、2013年発売)を使用する。 このカメラは、NOKTON 42.5mm/F0.95 の専用母艦として購入したものである。 本シリーズは、カメラが主体となる記事の為、 レンズの購入価格は記載していないが、 このレンズの新品購入価格は約9万円であり、 持論の「カメラ対レンズ=1対4の法則」を 満たす上では、22,500円までのカメラ購入 予算しか許されない。 当時での候補カメラは、DMC-G3/G5/G6で あるが、G3はレンズとのサイズ比が小さすぎる 気がした、G6は発売直後で、まだ高価であり また、EVFの部品が変わり、G5までの144万 ドットカラー液晶から、同解像度の有機EL液晶 に、なっている。後にDMC-G6も購入する事に なるのだが、当初、店頭等で見た感じでは、 新型有機ELは、明るくなったが輪郭線の印象が やや弱い、ただしピーキング機能が初搭載されて いた。NOKTON 42.5mm/F0.95は、精密ピント 合わせの代表格のレンズであり、しかも使い こなしが非常に難しい。 NOKTONを店頭でDMC-G5やG6に装着して試す 事は出来なかったが、DMC-G6のEVF性能では たとえピーキング機能があっても、MF操作は 難しいと思い、中古相場が下落していた本機 DMC-G5をNOKTON 42.5mm/F0.95の専用母艦 としてアサインする事とした。 案の定、マッチングは良い。ただし精密ピント 合わせでは多くのケースで画面拡大表示操作 が必要となるが、DMC-G1の時代からPANASONIC 機の操作系は、AFレンズを外してMFレンズを 装着した瞬間から、AFモード選択用にアサイン されていた十字キーの左側ボタンが、自動的に MF用の「拡大開始ボタン」に切り替わる。 拡大開始を押した後、そのまま十字キーは拡大 位置の変更に使える。また、拡大表示の解除は、 シャッターボタンを半押しするだけで良い。 つまり、最小限の指動線で、カメラを構えたまま あるいはEVFを覗き込んだままで、速やかに ピント確認操作が可能となる。 かつ(DMC-G5や他のEVF搭載型のG機でも同様 だが)背面モニターはバリアングル式であり、 縦位置ローアングル撮影を、モニターを見ながら 可能とする、その際でも、十字キーは左(つまり 下となる)を押して、拡大が開始でき、勿論 その後の操作も同様だ。 つまり、EVFのみならず背面モニターの場合でも 同様に最少限の指動線で、ピント確認用の拡大 表示が効率的に行える。 MFレンズを外して、AFレンズに付け替えたら それだけで、何も操作せずに、当該ボタンは、 AFモード(AF-SやAF-C等)の変更操作の機能に 変化する。 他社機では、こういう操作は無理だ、同じ事が 出来たとしても、機体上部の拡大ボタンや 拡大解除ボタン(注:シャッター半押しでは 拡大解除されないケースが殆ど全て)を、十字 キーから離れた位置で手探りで探す事となり、 指動線に無駄が出たり、誤操作が起こったり、 あるいは、せっかく構図もピントもほぼ決めて いるのに、カメラの構えを解いて、機体上部の スイッチ・ボタンやら、背面モニター上での 仮想ファンクションキー等を見ながらタッチ 操作をする必要があったりする。 文字で書いていても理解が困難かも知れない、 実際に実機を触ってみれば、これが効率的な 操作系である事は理解できるであろう。 これは別に複雑な事では無い、MFレンズの使用に おいては、画面を拡大してピントを合わせる等 は、ごく当たり前の話だ。 また、多くのミラーレス機では、AFモードから シームレスMFで、MFモードに自動移行した際に 自動で画面拡大が出るので、それと同じ事だと 思うかも知れないが、じゃあ、そこでMFの拡大 枠を移動したり、拡大を解除して全体の構図を 確認してからシャッターを押そうとした際に、 いかに非効率的な「操作系」であるか、の比較は 誰にでも容易に理解できると思う。 こんな簡単な「操作系」の優劣の話を、何故、 新機種のレビューを行う職業評価者層やら、その 機体のオーナー等は言及しないのであろうか? 「AFで撮って、それで終わり」だから関係が無い 話なのか? それとも、こういう「操作系」という 概念自体が理解できず、「ああ、十字キーが以前 より少し大きくなったので、操作しやすいですね」 という、単純な「操作性」の話だけに、終始して しまっているかの?だ。 なお、この操作系は後年のG系列機体(例:DC-G9) でも実現できるのだが、カスタマイズ性が高まったり、 特定機能の専用操作子が新設された結果、デフォルト の工場出荷時では、この操作系になっていない。 そういう場合には、カスタマイズする事で、同じ操作系 を実現できるのだが、多大な数のファンクションキー (仮想を含め19個もある)に、撮影時設定だけで 膨大な数(70種類以上もある)の機能を、割り振る事は、 どうやったら、どんな効率的な操作系が実現できるか? などは、カメラのユーザー側で、それを考え付く事は 極めて困難であろう。 私の場合でも、DMC-G系列機での前例を知っているから DC-G9を、そうカスタマイズできた訳であり、それを 知らなければ、あれこれと、何万通りもある組み合わせ を何年も試行錯誤して設定変更を繰り返さざるを 得なかったかも知れない(汗) まあ、ある程度、お仕着せでも良いから、メーカー側 での設計時点で、使いやすいだろうと思われる操作系を 考えておいて貰いたいと思う。 他、このDMC-G5にはカメラ上前部にファンクション レバーという操作子が存在し、非純正ズームや MFレンズを装着時、これを自動的にデジタルズーム 機能に変更できる(ように設定ができる) これをしておくと、単焦点レンズの場合では、 仮想的な電動ズームレンズの感覚で使え、(MFの) ズームレンズでは、光学ズームとデジタルズームを 自由自在に並行して組み合わせた、従来には無かった 超絶的な操作性と画角自由度が実現できる。 その話は長くなるので、続くDMC-G6の所で書く。 --- では、4つ目のGシステム。 カメラは、PANASONIC DMC-G6(μ4/3機) (2013年発売、発売時実勢価格約6万7000円) (中古購入価格 23,000円) レンズは、CANON (New) FD 70-210mm/F4 (1979年頃発売)を使用する。 こちらが、少し前述した「超絶操作性」の システムである。 NFD70-210/4は、「ワンハンドズーム」である。 これは「直進式ズーム」とは微妙に構造が異なり、 *概ね1970年代~1980年代の時代のレンズで *銀塩一眼レフ用の、主にMF望遠ズームであり *ピントリングとズームリングが、一体の構造と なっていて *その多くが、ズーミングまたはピント合焦の どちらか1方の操作でしかレンズ全長が変化せず *その結果として、左手1本(ワンハンド)で ピント操作とズーミング操作の両者を 「同時並行で(素早く)行える」 と定義できるようなズームレンズだ。 ワンハンドズームと、ファンクションレバーに アサイン(割り振った)した連続デジタルズーム 機能とを組み合わせる事で・・ *画素数を最大記録画素数の1/4倍(400万画素) に留めれば、このデジタルズームは画素補間型の 画質無劣化ズームとして動作する。 *何の事前の設定操作も不要な状態で 140-840mm/F4の超望遠ズームとして使え、 フィールド(屋外)での中近距離の動植物から 遠距離被写体(野鳥等)まで、無類の焦点距離/ 被写体適合性を持つ。 *ボケ質破綻回避の為に、光学ズームでボケ質を 固定し、デジタルズームで構図を整える事が出きる。 *被写界深度を光学ズームで固定しながら、 デジタルズームで構図を整える事が出きる。 *オールド光学ズームで画質が劣化する焦点域を避け、 高画質を維持したままで、デジタルズームでの 構図変更ができる。 等の多大なメリットが生じる。 さらに、このワンハンドズームは、同時に開放F値 固定型ズームであるから、 *ズーミング操作で、シャッター速度が(ほとんど) 変動しない。 *被写界深度がズーミングと連動して変化していく為、 作画がやりやすい。 *手ブレ限界シャッター速度が、ズーミング焦点距離 と連動して比例していく為、限界点を意識しやすい。 加えて、本レンズでは、以下の利点も追加される、 *最短撮影距離は、そこそこ短く、マクロモードに 切り替える事ができ、広角端で、概ね1m弱の最短 撮影距離が得られる。その際に構図、あるいは 撮影倍率は、デジタルズームで微調整可能である。 *ボタン数回の簡単な操作で、デジタルテレコンと 併用でき、換算画角範囲は140-3360mm/F4となる。 いずれも従前の記事で書いた内容のコピーではあるが、 これらの利点は、初級中級層には理解困難だと思う。 利点がわからなけば、本システムの第一印象として 「古いズームレンズだから、良く写る筈が無い」 で終わってしまうであろう。 なお、オールドズームにワンハンド構造が多いのは、 例えば9群12枚等の構成を、概ね4つの機能別の群に 分解して設計し、第1群はフォーカシングの役割を、 第2群は変倍(ズーミング)を担当する。 第3群はピント移動の補正、第4群は結像系であり、 このような設計思想においては、個々の機能群に レンズの操作環(ピントやズーム)を連動しやすい。 又、恐らくだが開放F値固定ズームも作りやすい。 何故、このような便利な設計が廃れてしまったか?は この設計手法では、ズーミングの変動倍率が大きく なったり、撮影距離が大きく変動した際には、 諸収差が補正しきれず、画質の劣化の可能性がある ので、現代のズームレンズでは、各群が複雑に連動 して動作するような構造になったからであろう。 ただ、その点は上記の光学ズームとデジタルズームの 併用の用法により、ある程度、特定条件下での画質の 劣化や収差の発生等は回避できる。 それでもオールドレンズだからダメだ、と言うならば、 上記利点と、オールド(ズーム)レンズでの様々な 弱点回避法、すなわち・・ *周辺収差を、μ4/3機で使う事で削減する。 *高精細EVFでボケ質のプレビューと、破綻の コントロールを行う。 *絞り値等を綿密に調整し、諸収差の発生状況を ある程度確認しながら撮影を行う。 *光学ズームを特定の焦点域(例:広角端、望遠端) で使わず、画質の劣化を最小限とする。 *あまりに近接撮影に持ち込んで撮影倍率を稼ごう とはしない。 *勿論、逆光耐性に留意する。 ・・との基本技法との組み合わせが容易であり、 撮影者にスキルがあれば、それなりに画質が確保できる。 すなわち、カメラ店やリサイクル店のジャンクコーナー から拾ってきた、40年以上も前の、一見してゴミの ようなレンズが、現代の、どの高性能カメラ・レンズの システムの追従をも許さない、超絶的な高効率型撮影 マシーンに変貌する訳だ、これはなかなか痛快であろう。 上記の多大なメリットを理解できるか否か、または それを理解した上で、使いこなせるか否か?は、 あくまでユーザー側に委ねられる。 興味があるなら試してみても良いだろう、中古相場は さほど高価ではなく、2万円前後の予算で十分だ。 ただし、カメラもレンズも1点張りである、どちらか を変えた時点で、上記メリットの大半は消滅してしまう。 これぞ、究極の「弱点相殺型システム」と言えると思う。 --- さて、次のシステムも同じ機体とする。 カメラは、PANASONIC DMC-G6(μ4/3機) レンズは、KAMLAN FS 50mm/F1.1 (初期型) (2019年発売)を使用する。 台湾の瑪暢光電有限公司/Sainsonic社が設計し、 中国の「深セン」地区で製造されたレンズである。 KAMLANブランドでの写真用レンズの発売は、 これが初めてであった。 近年ではコンピューター光学設計ソフトの進歩が 凄まじい。コンピューターに要求仕様(設計仕様、 設計基準とも)を色々入れる。例えば、焦点距離は 50mmで、開放F値が1.1で・・ この項目は、 さらに、最短撮影距離やら解像力やら、歪曲収差の 度合%、レンズ枚数やら、大きさ等、いくらでも 恐らくは100以上もある事に、気づくであろう。 (注:よって、技術者では無い評論家等が、良く 「設計基準とは、レンズが、近接時に高い描写力を 発揮するか?無限遠で画質が良くなるか?の基準だ」 と言っているのは完全な「誤り」である。 設計基準には、軽く100以上の項目がある。 撮影距離基準は、多数ある内の1つの要求仕様で しかない。だから例えば百個の中の1つの、距離の話 をする際に、技術者側が「設計基準においては・・」 と説明する事は誤りでは無いが、それを聞いた記者等 が「設計基準とは距離の事だ」と勘違いをしたのだと 思われる。それが世間に広まって誤解が定着した訳だ) で、全ての要求仕様を決めて、コンピュターはレンズ の設計を開始する。出来上がったものをどう評価する かは、(多数の)設計基準にも、それらをどう扱うか (評価するか)にも大きく関連する。 例えば、「歪曲収差の設計基準」は2%まで、となって いたが、計算結果は2.1%となった、これは良いのか 悪いか? もう一度作り(設計)しなおしにするか? あるいは、「解像力の設計基準」は、無限遠で絞り F2で130LP/mmであったが、計算結果は125LP/mm しかなかった、さあどうする? やりなおしか? このへんの匙加減は、多数のレンズ設計の経験値が 無いと、「どこまでを許すか?」という判断は 難しいであろう。要求仕様、あるいは設計基準を 決める事、はたまた評価基準を設定する事、などは 初めてレンズを作る人(技術者、企画担当者等) では、相当に難しい。 さて、そんな状態で生まれて来たのが、本FS50/1.1 であろう。 「50mmで開放F1.1のレンズを作れ、 ただしコストダウンする為に5枚以下のレンズで 作れ、原材料費はXXXドルくらいだ」 無茶な要求ではあるが・・(汗) 設計者は、とりあえず要求仕様や設計基準をパソコンに 入力して計算を始める・・・ 高屈折ガラスを2枚使えば、そのスペックは実現できる 計算結果だ。ただ、解像力の性能が、とても低い。 「出来ましたが、解像力が低いです、どうしましょう?」 そんな判断になったのだろうが、ここもまた悩みどころ であっただろう。これまでレンズを売った事がなければ、 世の中で(ユーザーが)どれくらいの性能を求めて いるのか? それはわからない。 恐らくは、性能が低いままで、設計図は中国の深セン に送られ、そこで製造が行われたと思われる。 結果、「大口径ではあるが、極めて解像力が低い」 というレンズが市販されてしまった。 それが本FS50/1.1である。 私は、新規KAMLANブランドの実力値を知る為に これをすぐに新品購入していた、価格は税込みで 23,000円だったので、さほど高価でもない。 しかし、極めて低い解像感だ。私は「ちょっと、この 性能では市場に受け入れられないのではなかろうか?」 と危惧し、本レンズのレビュー記事を検索して探し 専門評価者層が、はたしてこのレンズをどう評価する のか?を、少し意地悪な感覚で情報を収集した。 「意地悪」というのは、近代でのレビュー記事は、 商品を売る為のものだから、弱点を書く事が許されて いない。 だが、このレンズは「ボケボケの写り」という大きな 弱点を持つ、さあ、どう記事を書くか? 案の定、専門評価者の人達も大苦戦だ、低解像感の 描写を「柔らかい写り」と評する人も居れば・・ そもそも、収差だらけの状態では、まともなMF操作も 出来ず、ピンボケのオンパレードとなる。 中には、途中で、もう「キレて」しまったのか? ご禁制の「悪口」を書き出してしまったレビュー記事も あった(汗) 「やはりね」と、私は納得し、この、近代稀に見る 低解像力レンズを、「どういう目的に使うべきか?」 と、用途開発を考え始めた。 「大きな弱点」とは、視点を変えれば、「物凄い特徴」 でもある。他のレンズでは追従できない領域にある訳 だから、弱点を逆用すれば、唯一無二の存在となる 可能性もある。 ただ・・ その「用途開発」は、残念ながら殆ど 進んでいない、もう少し解像感が低ければ軟焦点 描写にもなったかもしれないが、そこまで低くは無い。 絞れば解像感は高まるが、それでは開放F1.1の意味 が半減だ。 夜景のボケボケ描写? うん、それが良さそうだが、 この問題児レンズを持ってまで行くイベントでも 無いだろう・・ ちなみに、本レンズは発売後僅か3ヶ月で、後継型 のⅡ型に完全リニューアルされた。さすがにこの 性能では市場や関係者からも「これはダメだ」と 言われたのであろう。でも、たった3ヶ月で後継型 を出せる速度感は、やはり、コンピューター設計の 恩恵なのだと思う。ちなみに、そのⅡ型は相当に 複雑な光学系に変遷したが、購入はしていない。 良く写るレンズは、他にもいくらでも存在するが 悪く写るレンズの方が、現代では希少なのかも しれないからだ。 この難しい低性能レンズを、どのように用途 開発するか? その実験母艦としてDMC-G6を用い たまに持ち出しては研究している。 ただ、弱点の逆用の研究は、とても難しい、なので 「面倒なので今日は高性能レンズを持っていこう」、 と、どうしてもなってしまうので、あまり本レンズ の出番は多く無い状況だ。 --- では、6つ目のGシステム。 カメラは、PANASONIC DMC-GX7 (μ4/3機) (2013年発売、発売時実勢価格約10万3000円) (中古購入価格 29,000円) レンズは、PANASONIC LUMIX G 20mm/F1.7Ⅱ ASPH. (2013年発売)を使用する。 本機は、レンジファインダー機風の外観を持つ 左眼EVF機(対義語は、センターEVF機)である。 ここでレンジファインダー機(以下、レンジ機) の歴史を語りだすと、際限なく長くなるので、 やむなく割愛しよう。 まあ、主に銀塩時代での、1つの定番のカメラの 形態である。 銀塩時代のみならず、デジタル時代に入ってからも、 EPSON R-D1シリーズ(2004年~)や、 定番のLEICA Mシリーズ(M8、2006年~)と いった、デジタルのレンジ機(参考:一部の マニア層では「電子レンジ」という愛称を与えて いるが、あくまで俗語であり、あまり推奨できない) が発売されているが、機種数は多く無い。 ミラーレス時代に入ると、「外観がレンジ機風」 という機種が各社から発売されている。 本来のレンジ機は、光学視差式の距離計が入って いる事が条件だが、ここを無視して、外観だけが レンジ機風の機種(左眼EVF、レンズ交換可能) の例を挙げれば・・ FUJIFILM:X-Eシリーズ、X-PROシリーズ等 SONY:α7C系(注:NEX-6/7、α6000系もある) OLYMPUS:PEN-F PANASONIC:DMC-GX7シリーズ、GX8 ・・と、思っていたよりも機種数が少なかった。 EVFの無い薄型ミラーレス機は、いくらでもあるが この条件(左眼EVF、レンズ交換可能)だと、 かなり機種数は限られる。 NEXシリーズは、レンジ機風という雰囲気では 無いので、そうであれば、FUJIFILM X-E1や X-PRO1(いずれも2011年発売)が、このタイプ のミラーレス機の最初かも知れない。 その流れに続いたのが、本機DMC-GX7(2013年) である。(注:PEN-Fやα7Cは、もっと後年だ) こういうカメラのターゲット(想定購買層) は、当然ながら銀塩レンジ機の事を知っている 消費者・ユーザー層となる。 ならば、マニア層とシニア層であろう、購買層 の構成比率は勿論不明だが、恐らくだが・・ マニア層=6割、シニア層=3割、その他=1割 あたりと想像できる。 本機DMC-GX7の前機種には、DMC-GX1(2011年、 未所有)が存在した、ただしEVF(注:Panasonic 社ではLVFと呼ぶ)を搭載していない。 又、2011年時点では、他のGシリーズ機の型番は DMC-G3やDMC-GF3、DMC-GH2と、番号が進んで いた為、DMC-GX1では、古い機種だと誤解された のであろうか? 本機に至る際にGX2~GX6を 全てパスして、他シリーズと型番数字を揃えた DMC-GX7として発売された。 GX7は、他のGシリーズ機と比較して価格がやや高い。 しかし、その分、高性能(例:1/8000秒シャッター や、当時最大クラスの276万ドットEVF、内蔵 手ブレ補正機能、電子シャッター高速連写等)を 与えられている。 本機の後継機は、DMC-GX8(2015年、未所有) となった、手ブレ補正は、レンズとボディが 連動する「Dual I.S.」方式を初搭載している。 だが、発売時実勢価格は145,000円と、本機 よりも、さらに高額となった。 DMC-GX7は、しばらくGX8と併売された後、 後継機では型番の番号が進むGシリーズでの 慣習に沿わず、DMC-GX7 MK2(2016年)、 DC-GX7 MK3(2018年。注:この年より、 Gシリーズ機のDMC型番がDC型番に変更された。 また、MarkⅡ表記とMK2表記は混在している) となる。これらGX7の後継機は、価格が上がり 過ぎないよう、発売時価格を約10万円のまま キープしているが、若干のスペックダウンも 見られる。(例:1/8000秒→1/4000秒 シャッター) まあ、個人的には、DMC-GX7の性能や機能で 十分と見なしていて、後継機は購入していない。 なお、本記事執筆時点では、これらのGX7/8 シリーズ機は、全て生産完了となっている。 本機DMC-GX7の最適な用法としては、小型/薄型 のファッショナブルなデザインを生かし、 小型レンズ(AF/MF、新/旧を問わない)を装着 する事であろう。 高速シャッターや手ブレ補正を内蔵している ので、大口径のオールドレンズでもシャッター 速度オーバーになりにくく、単焦点レンズで あればオールドレンズでも手ブレ補正が有効だ。 逆に、本機に向かないレンズは、大型レンズ、 または望遠系レンズである。 第一にバランスが悪くて、システム全体の ホールディングがしにくいし、第二に前述の DMC-G5/G6の所で説明した、ファンクション レバーが廃止されてしまったので、上記DMC-G6 とワンハンドズームのような、望遠域を自在に コントロールして撮る技法に、本機DMC-GX7は 全く向いていない(不可能、とも言える) 今回の使用レンズ、G20mm/F1.7Ⅱは、薄型 (パンケーキ型)レンズである。機体とレンズ は別々に購入したのだが、本来、この両者は、 DMC-GX7Cというキット(セット)で販売されて いたのものだ。まあだから、色味もデザインも 整合性が取れているので格好やバランスは良い。 また、G20/1.7の初期型は、初期のGシリーズ での、DMC-GF1のキット(DMC-GF1C)レンズと なっていたが、そのシステムでは、AFが殆ど 合わなかったのが、本機の時代では、AFの 合焦アルゴリズム等が改善されているのだろうか? まずまずピントは合うようになり、その点でも 及第点である。(注:G20/1.7Ⅱ型をDMC-GF1 に装着してもピントは合い難いので、レンズ側の AF機構の改良では無いであろう) この組み合わせは、あまり面白味が無く、安直な システムだとも言えるかも知れないが、小旅行や 散歩撮影用途としては、小型軽量であり、なかなか 適正だ。 --- さて、次のシステムも同じ機体とする。 カメラは、PANASONIC DMC-GX7 (μ4/3機) レンズは、OLYMPUS Body Cap Lens BCL-1580 (15mm/F8)(2013年発売)を使用する。 DMC-GX7には、小型軽量のレンズがマッチングが 良いと前述した。 μ4/3システム用で、最も小型軽量なレンズが このBCL-1580である。厚さ9mm、重量22gの 玩具のようなボディキャップ型アクセサリー であるが、3群3枚トリプレット構成の本格的な 光学系を持ち、MF操作が出来、最短撮影距離は 30cmとなっている。 描写力は凡庸ではあるが、まあ、これは発売時 のOLYMPUSでは「レンズではなく、アクセサリー」 と定義していたものであるから、本格的な 撮影用途に使うものではなく、あくまでカメラ を保護するボディキャップであり、いざと なれば、そのまま撮影もできる、という用法で 使うものである。 ただ、マニア的観点から言えば、3群3枚構成 のレンズは19世紀末に英国で発明されて (=「クックのトリプレット)その後では トリプレットを改良した「テッサー」 (1902年、カールツァイス社での開発)が 約100年間も写真用レンズ構成の定番となって いた中、トリプレットも生き残り、様々な 廉価版カメラや廉価版レンズとして存在 しつづけた、という歴史が興味深い。 そして、一部の廉価版トリプレットレンズ (例:東独Meyer Optic社のTrioplan等) では、「シャボン玉ボケ」(バブルボケ。 ボケの輪郭に縁取りが発生する独特の描写) が発生する事で、中級マニア層等に人気だ。 本BCL-1580は、場合により、最も近年に 発売されたトリプレットなのかも知れない。 (注:そのMeyer Optic社は、倒産と復活を 何度も繰り返している。一応、2021年以降 また販売を再開している模様だ) で、本BCL-1580では、仕様上で(=広角、 小口径、最短撮影距離が長い)背景をボカす 事が出来ないのだが、もし、どれかの仕様が 変化していたら、シャボン玉ボケが出る ユニークなボディキャップ型レンズとなった かも知れない。 (追記:2023年に銘匠光学 TTartisan 100mm/F2.8 が。3群3枚Tripletとして発売された。別途紹介予定) なお、シャボン玉ボケをどうしても出したい のであれば、BCL-1580のマウント改造等を 無理にするよりは、オールドのトリプレット型 レンズを探して来るか、又は、新鋭現行品の 各社の「ぐるぐるボケ」レンズ(3群4枚構成 の変形ペッツヴァール型)で、上手く条件が 合えば(注:比較的、高難易度)シャボン玉 ボケを得られる場合がある。 総括だが、小型軽量が似合うDMC-GX7とは 言え、BCL-1580のレベルにまで小型のレンズ とする意味はあまり無い。 まあ、普通の純正単焦点(AF)レンズや、 オールド(MF)レンズを任意に装着するのが 良いと思う。 なお、参考まで、オールドレンズ使用時では 一眼レフ用の(MF)レンズのマウントの場合は マウントアダプターの厚みがあるので、 デザイン的なバランスは少し崩れてしまうが、 レンジ機用レンズマウント(L39/M/S/C等)の アダプターであれば、厚みはかなり薄くなる。 --- では、8つ目のGシステム。 カメラは、PANASONIC DC-G9 (μ4/3機) (2018年発売、発売時実勢価格約21万円) (中古購入価格 88,000円) レンズは、CONTAX N Planar T* 50mm/F1.4 (Nマウント版)(2001年発売)を使用する。 本機DC-G9は、カメラ市場縮退からなる 各社での高付加価値化戦略(≒値上げ)で 高価格化してしまった機体である。 初期のDMC-Gヒトケタシリーズからは、3倍 以上も高価であり、コスパが悪い。 ただまあ、高性能機である事は確かである。 特筆すべきは、高カスタマイズ性であり、 操作系を、オーナーの要求するべきレベルに かなり近づける事が可能だ。 ただ、カスタマイズ性が高すぎる様相もあり、 買ってすぐに1発で、使いやすい操作系と する事は困難であろう。 1年、いや、それ以上の期間をかけて、 少しづつ用途に応じたカスタマイズを行う 必要がある。 その他、基本性能に不足は無い。 コスパが悪い事だけが問題だが、そのせいで 本機DC-G9を、オールドレンズ実験用母艦に 使う事は、少々躊躇いがある。 つまり、空間認識AFを始めとする高機能な AF機能等は、全て無駄になってしまうからだ。 今回の用法も同様だ。「CONTAX Nシステム」 というのは、京セラが銀塩末期に社運を賭けて 挑んだ高性能なシステム(銀塩AF一眼レフ、 銀塩AF中判システム、フルサイズデジタル 一眼レフ、およびそれらの交換レンズ群)で あったのだが、様々な事情(メーカー側 のみならず、市場やユーザー側にも関連する) により、Nシステムは商業的に失敗してしまい、 その結果、2005年での京セラCONTAXの、 カメラ事業からの撤退、という悲運に繋がる。 で、そのNシステムのカメラやレンズは、 現代では全く使われていない。元々数が売れた 機材では無いし、レンズは現代のデジタル機で (アダプター等で)容易に使える状況では無い。 今回の用法では、例によって機械式絞り羽根 内蔵型アダプターだ。この場合の絞り機構は、 その位置からすると「視野絞り」となり、 光学的に効能があるレンズ内部の「開口絞り」 では無いので、単にレンズ後部からの光束を 遮って、露出を調整する効能にしか効かず、 被写界深度や収差発生条件の調整には、この 機構は、ほとんど効能が無い。 だが、だから使えないのか?という訳でもなく、 これはもう、本NP50/1.4は「使いこなしが 非常に難しいレンズだ」という風に考えて しまえば、現代の高性能ミラーレス機では、 オールドレンズや、近代のものでも活用が 難しいレンズを、その母艦の高性能でカバー できる可能性がある。 簡単な具体例を挙げれば、このシステムで 被写界深度の調整が殆どできなかったとしても デジタルズームと撮影距離を工夫して使えば、 仮想的に被写界深度を調整している状態と 近くする事は可能である。 実計算例では、許容錯乱円を(μ4/3機で あったとしても)0.033mmだと仮定し・・ 本レンズを絞り開放F1.4のまま、撮影距離 を1mとした場合、被写界深度は約3.7cmだ。 同様の絞り状態で、撮影距離を2mまで伸ばせば 被写界深度は約14.8cmまで深くなる。 ここで、1mで撮影した時と同じ構図となる ように、画質無劣化の画素補間型デジタル ズームを2倍掛ける事で、構図はほぼ同等となる。 つなわち、被写界深度を仮想的に調整している 事と等価になる。 なお、Gシリーズ機での最大記録画素数では この措置は無理であり、画質無劣化を期待する ならば、画素数を1/4倍に留めるか、または 画質が劣化しても良いならば、デジタルテレコン でこれを代用できる。 それと、上記の措置は「トリミングと等価だ」 という意見もあるかも知れないが・・ 撮影のその場で、被写界深度を仮想的に調整 している訳だから、作画上の意図を反映している。 撮影した後で、家のパソコンで画像編集している 状況では、「あ、もっと被写界深度を深めて おけば良かった」などと思っても、もう手遅れだ。 つまり、トリミング編集とデジタルズームは、 仮に結果的には同等であったとしても、撮り手の 「意識」や「意図」が撮影時に反映できるか 否か?で、全くの別物となる。 加えて言えば、例えば実用/業務撮影等で、 1日に数千枚という大量撮影を行った際には、 後編集のコスト(手間)が非常に大きくなる。 その際、撮影時に、できるだけ所望する、又は 納品時に耐えうる構図を、予め得ておく為に、 デジタルズーム等をかけて構図調整をすれば 上手くすれば、その写真は無編集(トリミング 無し)のままでも納品に耐えうる。 だから、この点でも、トリミングとデジタル ズームは、全くの別物という事になる。 ここまでの被写界深度の例は、まあ1例であり 高機能・高性能ミラーレス機であれば、様々な 課題を持つレンズの、その弱点の一部はカバー できる可能性がある訳だ。 だから、そういう高機能を持つカメラこそが 真の「オールドレンズ母艦」になりうる訳で あって、「フルサイズ機が最適だ、何故ならば オールドレンズを本来の画角で使える」とか いった、世間の初級マニア層等での常識は、 ごくごく一部、一面しか見えていない状況だ。 ちなみに、μ4/3機では、画角により増大する 類の収差(一般に、周辺収差と呼ばれる)での コマ収差(画角に比例)、像面湾曲と非点収差 (画角の二乗に比例)、歪曲収差(画角の三乗 に比例)、周辺減光(その一部の原因としては、 コサイン四乗則により、光軸に対する角度θ (=画角、と類似の原理)の四乗に比例して 輝度が減る)・・といった光学的な課題(収差) の多くを低減する事ができる。 すなわち、レンズの特性によっては、画面平均 画質を、μ4/3機では、フルサイズ機よりも 遥かに向上させる事が可能だ。 なお、レンズの特性は、自身で試写を重ねて 調べるか、または、高級レンズ等では、MTF 特性図というものが公開されているので、 それを参照しても良い。 ただ、MTF曲線が載っているようなレンズは、 高性能を誇示している訳だから、そんなレンズ で周辺収差などは、ほとんど出ない。 また、レンズ設計の専門書籍等では、古い時代 の(オールド)レンズの一部で、その特性等を 実測したグラフが載っている場合もある。 難しい光学原理はさておき、簡単に言えば、 「周辺収差が大きいオールドレンズは、 フルサイズ機ではなくμ4/3機で使うべき」 である。 この概念であれば、中級マニア層位のレベルでも、 体験的に知っている、「常識」の類であろう。 総括だが、様々な意味で「難しいレンズ」を 使うにおいて、本機DC-G9は効果的な母艦と なりうる。ただ、価格が高価な機体に安価な (又は低性能な)レンズを装着する措置は 個人的な持論では「オフサイドの法則」に より、あまり推奨できない。 --- では、今回のラストも同一機体とする。 カメラは、PANASONIC DC-G9 (μ4/3機) レンズは、LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm/ F4.0-6.3 ASPH./POWER O.I.S.(H-RS100400) (2016年発売)を使用する。 こちらは、DC-G9の性能を「オフサイド」に 抵触せずに利用するシステム形態である。 高性能なレンズだが、高価だ。 高価なのは、LEICAというブランド銘が 入っているからでもあり、別の見方をすれば、 カメラ・レンズ市場の縮退により、高性能な レンズを、より高価に売りたかったから、 LEICAという名前を借りて、それを付けた、 という、単純なブランド戦略でもある。 本来は、その手の「ブランド商品」は、私は 好まない、コスパが悪すぎるからだ。 だが、本レンズの場合は、その(借りてきた) 名前はともかく、「μ4/3機用で、400mm級の 超望遠ズームを必要とする」という理由が あったからであり、そのスペックのレンズは このレンズの購入時点では、他に存在しなかった。 (注:OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm /F5.0-6.3 ISは、2020年の発売(未所有) しかし、そちらの方が本レンズよりも、ずっと 安価であった。スペックが同等、描写力も恐らく 同等なのであれば、そちらの方がコスパが良い) 又、本レンズと本機DC-G9との組み合わせでは 「空間認識AFが使える」「MF時のピントリング の回転角を、リニアとノンリニアに切り替え可」 (注:後者の機能は、母艦のファームウェアを 2021年11月版以降にアップデート必須) ・・といった、システム全体での高性能化が 図れる。 (注:本レンズをOLYMPUS μ4/3機、例えば OM-D E-M1 MarkⅡ等に装着しても、空間認識 AFは動作しない。AF速度は、あまり高速では なく、難しい動体被写体では良く外してしまう。 こういう風に、メーカー純正同士でシステムを 組まないと性能低下する、「排他的仕様」は 個人的には非常に嫌う措置だが、しょうがない。 --- まあ、この点については、MFに切り替えれば、 OLYMPUS機でも自動ピーキング表示は可能で あるし、回転角のリニア(直線的)/ノンリニア (可変角)切り替えが使えなくても、さしたる 問題点にはならない。要は使い方次第であり、 機材の性能だけに頼らなければ良い訳だ) 総括だが、現代での各社の機材環境において、 もし、少しでも高性能が得られるシステムを 組みたければ、そのメーカーの純正カメラと 純正レンズを組み合わせない限りは無理で、 他の組み合わせでは、付加機能が使えない場合 が良くある。 ただし、あくまでそれは「高性能」ではなく 単なる「付加機能」だと考えておき、その 足りない部分は、撮影者のスキル(技能や 知識、経験等)でカバーしても良い訳だ。 別に「空間認識AF」が動作しないとしても、 MF操作に熟練すれば、空間認識AFよりもさらに 速くピントを合わせる事すら可能である。 (例:換算800mm端で、ようやく捉えられる 遠距離に飛ぶ野鳥等であれば、MFで無限遠に しておくだけで、合焦ゼロタイムで撮影が 可能となる。これは、当たり前の話だが、何故 その、当たり前をやらずに、カメラやレンズの 性能に頼ろうとするのであろうか・・・?) まあ、純正高性能システムを持っていても、 別に、それはそれで良いとは思うが、くれぐれも カメラやレンズの性能だけに頼らないようにする 事が重要だ、と、重ねて書いておく。 --- では、今回の記事はこのあたりまでで、 次回記事の内容は未定としておく。
by pchansblog2
| 2024-12-28 17:45
| 連載中:カメラマニアックスEX第二部
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