諭吉佳作/menが贈る、極上のクリスマス・アルバム──その創作のスタイルについて語る
諭吉佳作/menが、最新EP『With Regard to Christmas』をリリース。今作はタイトルからわかる通り、クリスマスに関する楽曲で構成されたコンセプトEP。荘厳なストリングスに包まれた「CHRISTMASAFTERNOON」やサンタクロースの視点でストーリーを描いた「GOOD JOb」など、「クリスマス」をテーマに諭吉佳作/menならではの唯一無二の世界観を描いた作品が収録されている。諭吉佳作/menは、今作をどのようにして作り上げたのか。その創作のスタイルに迫った。
クリスマスがテーマのコンセプトEP!
INTERVIEW : 諭吉佳作/men
諭吉佳作/menの配信限定アルバム『With Regard to Christmas』はクリスマス・アルバム。……とさらっと書いたものの、これまでアブストラクトな世界を生みだしてきた諭吉佳作/menが、明確なテーマを設定したアルバムを制作したことに驚いた。しかも、歌詞も明確にクリスマスをテーマにしており、楽曲によっては生のストリングスまで響く。特にクリスマスに思い入れがないと語る諭吉佳作/menから、なぜ突然クリスマス・アルバムが届けられたのかを聞いた。
インタヴュー&文 : 宗像明将
好きだったグループに曲を書くって、とんでもないことじゃないですか
──K-POPのSTAYCの日本デビューショーケースを見にいっていましたね。諭吉さんにとってK-POPの魅力とは何でしょうか?
諭吉佳作/men(以下、諭吉) : おお、そういうことが話題になると思いませんでした(笑)。もともとK-POPに限らず、ずっとアイドルを職業にしている人自体がすごい好きなんです。K-POPは、どう考えてもスケールがちょっとでかすぎるから、もう何を見ても圧倒されるっていうのがあって。やっぱりヴォーカルの技術もダンスの技術も高いですし、音楽が何より素晴らしくて。最近よく考えるのは、たとえば自国のアイドルを見て育つという場合に、日本に生まれるのと韓国に生まれるのでは、「アイドル」っていうものへの印象が結構違うんじゃないかなっていうことなんです。
──アイドルといえば、でんぱ組.incに「形而上学的、魔法」(2019年)を楽曲提供する前にお会いしたときは、まだ15歳でしたね。幕張メッセ公演にゲスト出演したライヴ(2019年12月8日)も見ていましたが、あの頃はどういう感覚でしたか?
諭吉 : あまり事態を認識しないまま進んでいてる感じがあって。お部屋で自分で曲を作ってネットに投稿してみたいな時期だったので、ずっとひとりでやってるっていう感覚が強くて。自分以外の人に歌ってもらうっていうのは初めだったので、それを考えて作る経験ももちろん初めてでしたし、もともと大好きだったグループですし、すごく新鮮で「うわー、すごいことが起こっているな」っていうのがありつつ、よくわかってないみたいな。自分の体が動いているので、とりあえず乗っかっておくみたいな感じで、その状況自体は俯瞰で把握できていたかわからなくて。
──プレッシャーは特に感じてらっしゃらなかったんですか?
諭吉 : 自分がもともと好きだったグループに曲を書くって、とんでもないことじゃないですか。だって、そのグループは自分の要素が1ミリも含まれていない状態で好きだったのに、「そこに関わってしまうってどんな状態だ?」ってすごく思って。「すっごく嬉しい」っていう気持ちと、「いいんだろうか?」っていう気持ちがあって。でも、作りはじめてからは、もう状況に身を任せるような感覚が強かったです。
──最近はどういうものを聴いてるんですか?
諭吉 : K-POPを聴くことが多くなりつつ、中国語だったり、英語だったり、台湾語だったりみたいな音楽をよく聴いてますね。
──ちなみに日本でよく聴いてるアーティストってどなたですか?
諭吉 : 今、Apple Musicで最近ダウンロードしたやつを見てますけど、「ピタゴラスイッチ うたのCD」が出てきますね(笑)。
──しかもApple Musicでダウンロードする派なんですね。音楽を聴くときの環境はどんなものでしょうか?
諭吉 : 腰を据えて音楽聴くってなったら、CDを買ったらCDを聴きますし、もしくはiPhoneをブルートゥースでプレイヤーにつないで聴くこともあります。まぁ、やっぱり外に出たりして、スマホでイヤホンをつけてっていうのが割合で言ったら多いです。
──CDは何で再生しているんですか?
諭吉 : 正直、それもあんまり詳しくはわかってなくて(笑)。そのCDプレイヤーも、あんまり音質が気に入ってなくて。
──現在の制作環境はどんなものでしょうか?
諭吉 : MacBookでソフトはLogicです。2019年にライヴで使いはじめて、9月から楽曲制作、ってWikipediaに書いてあります(笑)。
──本人がWikipediaを参照しているんですね。
諭吉 : 自分がツイートしたこととかをまとめてくれてるんですよね。
──最近は、1日をどういう風に過ごしてるんですか?
諭吉 : もちろん音楽を作ってる時間もあるし、その間の時間は本当にボーッとしてたり、音楽を聴きながら散歩してたり、ただYouTubeを垂れ流してるけど別に見てないみたいな状態だったり。「一応なんかしてるけど、別に何もしてない」みたいな時間はすごく多いです。良くないですよね、本当に家の周りに何もないので、できることが散歩ぐらいしかなくて。