神宿、メンバーそれぞれが抱くファンへの想い──名曲“君といる”に散りばめられた言葉たち
2021年9月26日にぴあアリーナMMで開催した7周年ライヴ〈WE ARE KAMIYADO〉を大成功を収め、次の歴史を歩み出した5人組アイドル・グループ、神宿。その7周年ライヴ終演後、エンドロールとともに流れた最新楽曲“君といる”は、実はアリーナ公演直前に行われたインタヴューをもとに作られたものでした。彼女たちは、舁夫(神宿ファンの総称)に対して、どのような想いを抱いているのか。メンバーそれぞれに同じ質問をぶつけながら、その気持ちを探りました。“君といる”の歌詞と照らし合わせて、ご覧ください。
7周年ライヴのエンドロールで流れた楽曲“君といる”
INTERVIEW :神宿
インタヴュー&文:真貝聡
撮影: 飛鳥井里奈
INTERVIEW :一ノ瀬みか
──一ノ瀬さんのファンって、どういう人が多いですか?
一ノ瀬 : 私に似てオタク気質なんですよ。仕事以外はずっとアイドルのことだけを考えている方もいますし、音楽が好きで音楽を突き詰めている方とか、絵が好きだったり英語が好きだったり。そうやってひとつのことに熱中している方が多いです。
──「同じ髪型にしよう」とか「同じ洋服を身につけよう」など外見が似るのはわかるんですけど、気質が似るのはどうしてだと思います?
一ノ瀬 : 類は友を呼ぶみたいなことじゃないですかね。私もそうだけど変わってる人が多いですね。
──いつからそういう傾向が生まれたのでしょう?
一ノ瀬 : 最初からですね。結成当時からすごく熱狂的な方が多くて、とにかく熱がすごいんですよ。
──そんなファンの皆さんは、一ノ瀬さんのことをどんな目で見ていると思いますか?
一ノ瀬 : んー、やっぱり変わってると思われているんじゃないですかね?あとは意外と子供だなって思われてそう(笑)。
──大人で常識人な印象がありますけど。
一ノ瀬 : そうですよ!まさにそれ!表向きはそっちなんだけど、赤舁夫には素を見せることが多いから「意外と子供っぽいな」と思われてそう(笑)。メンバーと一緒にいるところを見たら、子供に見えるのかもしれないです。
──ライヴ中、特典会、ネット上などでファンの方から言われて嬉しかった言葉はなんですか?
一ノ瀬 : 嬉しかったことはいっぱいあるんですよね。神宿ってここ2年間くらいで色が変わったじゃないですか。音楽性もそうだし、見た目も変わってきたなかで、久々にライヴを観た方が「成長したね」と言ってくださったのが嬉しかったです。私たちはステージを作り上げるために平日を全て使って、毎日コツコツ練習をした成果を、2時間のステージに収めるわけですよ。そのために命を削るじゃないけど、そこに全てを懸けているんです。その積み重ねを見た上で「成長したね」という言葉は本物だと思っていて、それは素直に嬉しかった。こんなに見た目も楽曲も変わったのに、「違う方向に行ったね」じゃなくて「成長した」という言葉は励みになりましたね。
──特典会はどうですか?
一ノ瀬 : 「みかちんのおかげで頑張る力が湧いた」という言葉を聞くだけで、すごく嬉しい気持ちになる。私たちアイドルができることって、皆さんの人生を少しだけ幸せにして、少しだけ後押しすることしかできないと思うんですよ。にも関わらず特典会で「エールを送ってください」と言われて「頑張れ!」と言ったら「ありがとうございます!できる気がします!」というやり取りをすることがあって。そういうコミュニケーション自体がすごく嬉しい。今の時代、大変なことも多いじゃないですか。その中で自分の頑張れる方法を見つけ出しながら、みんなも一生懸命生きてるわけで。それを素直に応援したいし、背中を押したいと思うから「みかちんのおかげで頑張れる!」と言われるとすごく嬉しいです。
──YouTubeとかSNSとか、ネット上でファンから言われて嬉しかった言葉はあります?
一ノ瀬 : ふたつあります。ひとつは歌の動画を上げたときに、外国の方から「アメージング!」とか「ビューティフル!」と反応をもらえたんです。言語や国境の壁を越えて、色んな方に私の歌が届いてることが嬉しかったです。あとは、みんなの作品に対する考察がすごい興味深くて。SNSとかYouTubeの良いところって、神宿を知らない人とか楽曲だけが好きな人とか色んな人が共存していることだと思うんです。色んな方が考察に混ざって「この歌詞にはこういう意味がある」とか「このMVの画角にはこういう狙いがある」とか、神宿のファン歴に関係なく一緒になってみんなが話している様子を見ると本当に嬉しいし、ネットならではの面白みだなと思います。
──実際に、鋭い意見もあるんですか。
一ノ瀬 : あるんですよ。それこそ赤舁夫は熱中しやすいタイプが多いので、すごい細かいところまで見てくださるんですよ。“Outro:Lion”(※一ノ瀬のソロ曲で、本人が作詞をしている)の歌詞の考察とかかなり鋭いところまで突いていて、沢山のメッセージをいただくんですよ。それをニヤニヤしながら読んでます。
──最初に言っていた、物事を突き詰める一ノ瀬ファンの傾向が表れてますね。
一ノ瀬 : そうなんですよ。
──逆に、ファンの声で悩んだり反省したことはありますか?
一ノ瀬 : 私は、常に笑顔やポジティブを届けたいと思っているけど、そうじゃない部分も赤舁夫のみんなは見ようとしてくれるんですよ。
──「元気だよ! と言ってるけど、なんか疲れてそうだな。大丈夫だろうか?」みたいな。
一ノ瀬 : そうそう。「辛いときはちゃんと言って! 」とよく言われるんです。私がずっと笑顔でいたりすると不安になっちゃうファンの方もいるみたいです。だから「辛いときはちゃんと言って! 大丈夫? 無理しないで!」とすごい言われる(笑)。だから私も「ちゃんと言うようにするね」と返してます。
──表面以外のところも見ようとするんですね。
一ノ瀬 : そうそう。すごい汲み取ってくれるんですよ。「特典会で待ってる時間、すごく寂しそうだったけど大丈夫?」とか「ライヴのとき、足が辛そうだったけど大丈夫? 靴のサイズが合ってないんじゃないの?」とか。私は基本こういう感じで笑顔なんだけど、裏側を心配されることが多いです。
──ファンのおかげで変われたことはあります?
一ノ瀬 : 私自身、思い悩むことがたくさんあって。一人で考え込んじゃうこともあるし、家で反省会をしちゃうこともあるし、次の日に仕事へ行くのが辛いときもあるんですよ。「嫌だな。人と会いたくないな」というときに、ライヴや特典会でみんなが「みかちん、会いたかったよ!」と言ってくれると頑張ろうって思える。変わったというか暗い気持ちになりそうなとき、いつでも救ってくれるのはファンのみんなだなってしみじみ感じます。
──そんな一ノ瀬さんが、いまファンの皆さんに伝えたいことってなんでしょう?
一ノ瀬 : いつもそばに居るよって伝えたい。いまは会えない時間がすごく多いし、神宿のことを愛してくださっている方が気持ちを直接伝えられないことがあるかもしれないけど、私はみんなの心のそばにいたいと思っているし、ずっといるよと伝えたい。私自身、孤独を感じたときにはみんなの存在に助けられた。だからこそ恩返しをしたいし、みんなが辛いときには私を思い出してほしい。なので「みんなのそばに居る」という気持ちは強調して伝えたいです。
──一ノ瀬さんにとって、ファンはどういう存在でしょう?
一ノ瀬 : すごくありきたりになっちゃうかもしれないけど、あらゆることの源ですね。私の元気の源だし、ライヴや特典会はみんながいないとできないからこそ、私たちが頑張れる場があるのはみんなのおかげだし、ファンの存在は神宿が7年活動する上での源でもある。それはいまライヴに来てくださる方だけじゃなくて、今まで出会った方全員がそうです。
──先日のインタヴューでも聞きましたけど、改めていまの一ノ瀬さんが目指しているアイドル像はなんですか。
一ノ瀬 : ポジティブな存在であり続けたい。笑顔を届けられる存在でずっとありたいなと思います。ときには闇の中から背中を押してあげられる存在でありたいですね。