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活字の話
 先日、新聞用の活字鋳造機が、今年の「機械遺産」として選定されました。


 当時の活字とは鉛で出来た一文字ずつのハンコのこと。新聞は組んだ活字を一度紙版に写し、溶けた鉛を鋳造して半円筒状の鉛版を作り、輪転機にセットして刷っていました。なので新聞社の工場には、必ず大量の鉛が鋳造できる溶解炉が併設されていたんです。

 それを日本で初めて写真植字に変えたのが佐賀新聞。活字は印画紙に。1968年当時のキャッチコピーは「ネクタイ締めて新聞作り」。それでもまだ活字は工場にありました。

 それから半世紀、新聞の活字はPCのフォントに。私の入社後だけでも13平、L字、G字、A字と文字は大きくなり、今はユニバーサルデザインに配慮した字形を使っています。またPCやスマホに配信される新聞記事は、ブラウザのフォントで表示され、拡大縮小も自在。活字はデザイナーに、そして読み手に解放されたのです。

 文字を読む文化がある限り、活字は常に進化し続ける。その進化に対応し続けなければ、次は新聞自体が「遺産」になってしまう、かもしれませんね(^^)

by nekotekikaku | 2018-08-03 13:57 | @新聞屋
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