ブルガーコフ『犬の心臓・運命の卵』を読む

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 ブルガーコフ『犬の心臓・運命の卵』(新潮文庫)を読む。「Star Classics―名作新訳コレクション―」の1冊。このシリーズではグレアム・グリーン『情事の終り』も良かった。
 ブルガーコフはソ連の作家だが長くソ連内では発禁だったという。ソ連の民主化ペレストロイカによってようやく発行され、『巨匠とマルガリータ』はベストセラーになり、ガルシア=マルケスはブルガーコフを師とあおいで20世紀最大の作家とみなしたという。
 「犬の心臓」は、死んだ男の睾丸と脳下垂体を移植された野良犬が人間になって、様々な不行跡を行うというもの。人間になった犬は下品で好色でずるくてどうしようもない。これは革命によって権利を得たプロレタリアートへの風刺以外に読めそうもない。
 「運命の卵」は、偶然発見された赤い光線を浴びた卵から孵化した両生類や爬虫類が、異常に大きく成長し繁殖力も旺盛になって暴れるという、これまたロシア革命を風刺したような物語。ブルガーコフがよくスターリンの逆鱗に触れずに処刑されなかったと思う。
 どちらも1920年代の作品で、ブルガーコフは1940年に亡くなっている。

犬の心臓・運命の卵 (新潮文庫)

犬の心臓・運命の卵 (新潮文庫)