2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

展覧会「アンフォルメルとは何か?」

岩波書店のPR誌「図書」4月号の裏表紙にブリジストン美術館の広告が載っている。「アンフォルメルとは何か?」、副題が「20世紀フランス絵画の挑戦:モネ、セザンヌ、ピカソを超えて」というもの。会期は4月29日から7月6日とある。これは楽しみだ。 不意…

藤岡靖洋「コルトレーン」が文句なくすばらしい!

藤岡靖洋「コルトレーン」(岩波新書)を読む。副題が「ジャズの殉教者」。コルトレーンの来日公演から始まるが、言葉が弾んでいるかのようだ。著者の高まりが真っ直ぐに伝わってくる。コルトレーンへの深い愛情がよく分かる。コルトレーンの詳細な伝記が綴…

春の植物、東京スカイツリー

大きな災害がまだ全く収束する兆しも示さないのに、植物はいつもの春を連れてくる。 ベランダのスミレ ベランダのイタドリ、イタドリは春の赤い芽生えが一番きれいだ 近所の小さな植物園のヒメリュウキンカ 団地の庭に咲いていたオオキバナカタバミ これはス…

中公新書の「江戸の思想史」を読む

田尻祐一郎「江戸の思想史」(中公新書)を読んだ。新書に江戸時代の思想史が取り上げられるのは久しぶりではないか。これが手際よくまとめられている。主要な思想家たちを網羅して遺漏がない。江戸時代の思想家たちの見取り図がよく分かる。240ページほどの…

女優沖山秀子の訃報

3月26日の朝日新聞に、女優沖山秀子の訃報が掲載された。21日不整脈で亡くなったという。65歳だった。死亡を伝える記事から、 映画「神々の深き欲望」でデビューし、「どですかでん」「赤目四十八瀧心中未遂」などに出演。歌手として「ダンチョネ節」を歌っ…

美術評論家たちの死

今月3人の美術評論家が亡くなった。中原佑介さん(3月3日、79歳)、瀬木慎一さん(3月15日、80歳)、鷹見明彦さん(3月23日、55歳)、わずか3週間で3人が亡くなった。昨年5月には針生一郎さんも84歳で亡くなっている(5月26日)。 中原佑介さんは講…

加藤周一の小説「幻想薔薇都市」を読みかえして・補遺

加藤周一「幻想薔薇都市」(岩波書店)を読んだ感想の補遺を記す。インドのボンベイを舞台にした短編「華麗なポルノまたは……」は日本人の青年がボンベイの金持ちの夫人に誘惑されて激しい一夜を過ごす話だ。加藤はこの短編の大分をエロチックな描写に当てて…

加藤周一の小説「幻想薔薇都市」を読みかえして

加藤周一の短篇集「幻想薔薇都市」(岩波書店)を読む。これは1994年に「シリーズ旅の本箱」の1冊として発行されたものだが、最初に新潮社のPR誌「波」に連載され、その後1973年に新潮社から単行本で発行された。私は雑誌と新潮社版とこの岩波書店版と3回…

「ドナルド・キーン自伝」が良かった

「ドナルド・キーン自伝」(中公文庫)がとても良かった。ドナルド・キーンは9歳の時、貿易の仕事をしていた父親に無理を言ってヨーロッパへの出張に連れて行ってもらった。フランスで英語が通じない経験をして、外国語を学ばなければいけないことに気づい…

佐多稲子「灰色の午後」を読んで

佐多稲子「灰色の午後」(講談社文芸文庫)を読んだ。裏表紙の惹句から、 突然に出現した女の存在に崩壊し出した作家夫婦の危機。反動化し戦争に向う困難な時代に、共に立ち向かうはずの折江の夫が、逆に女で家を出ようとする。 取り乱し、媚び、たじろぐ女…

春の花

今日は春分の日だ。あいにくと雨だが、昨日近所の小さな植物園ではさまざまな花が咲いていた。 トサミズキ チョウセンレンギョウ ユキヤナギ アセビ クリスマスローズ これらのほか、ボケ、シュンラン、ウメ、ユキワリイチゲなどが咲いていた。 ベランダのス…

横浜美術館の高嶺格展「とおくてよくみえない」を見た

私が東北関東大地震に横浜の桜木町で遭遇したのは、その日横浜美術館へ高嶺格展を見に行ったからだった。見終わって美術館を出て10分経たないうちに地震が起こったのだった。見る前でなく見た後だったのが不幸中のわずかな幸いだった。 高嶺格はここ数年の間…

竹中労「鞍馬天狗のおじさんは」が面白い

竹中労の「鞍馬天狗のおじさんは」(ちくま文庫)がとても面白い。副題が「聞書アラカン一代」で、戦前から戦後にかけて大ヒットした映画「鞍馬天狗」を演じた大スター嵐寛寿郎への聞書をまとめたものだ。アラカンはサイレント時代から戦後までチャンバラ映…

セレスタミンという特効薬

先日の東北関東大地震の時、桜木町から国道沿いを数時間かけて歩いて帰宅し、花粉症の眼がお岩さんのように炎症を起こしたことはここに書いた。そして眼科医で処方されたセレスタミンの服用によって劇的に治癒したことも。セレスタミンは1日3回、2日分を…

やっと見つかった山本弘「黒い鳥」

山本弘に「黒い鳥」という作品があった。たしか30号の油彩だった。日本アンデパンダン展へ出品したと聞いた記憶がある。1968年8月の飯田市中央公民館で開いた個展にも展示されていた。当時アメリカの熱い夏と言われた黒人暴動を描いたのだと言う。いや暴動…

影山由佳個展「Around」が興味深い

銀座7丁目のペッパーズギャラリーで影山由佳個展「Around」が開かれている(3月19日まで)。影山は1986年東京都生まれ、2010年に多摩美術大学美術学部を卒業している。昨年表参道画廊で画廊選抜二人展を開いているが個展は初めてだ。 影山は抽象画を描いて…

東北関東大地震に桜木町で遭遇した

3月11日は所沢の防衛医科大学病院でジストニアの治療を受けた後、横浜のみなとみらいへ行き、横浜美術館で高嶺格展を見た。美術館を出て六本木の国立新美術館へシュールレアリスム展を見に行こうと桜木町駅へ向かっていて、ランドマークタワーを通っていた…

私がもてた話

少し知っている女性画家から小さなヴァレンタインのチョコレートが送られてきた。娘に見せると、父さん、その女の人に気があると思っちゃいけないよという。そんなこと思わないよ。父さん、もてないから誤解するんじゃないかって教えてあげたんだよ。 娘の言…

蜂屋未来の作品の魅力

京橋のアートスペース羅針盤で「セックスは女」という妖しいタイトルの美術展が開かれている(3月12日まで)。 思わせぶりなタイトルは本当は「性別は女」くらいの意味だろう。武蔵野美術大学教授の内田あぐりが推薦する女性作家たちが作品を発表している。…

キンポウゲ科の花2種

早春に咲くキンポウゲ科の花2種が、近くの小さな植物園で咲いていた。満開を迎えた福寿草とユキワリイチゲだ。 満開の福寿草 ユキワリイチゲ

抽象画が復活するのか!?

以前、K'sギャラリーでの上田泰江展を紹介したエントリーに「フランス在住」というハンドルネームの方からコメントが付けられた。 野見山氏を検索していて辿り着きました。 こんなに良い作品が評価されていないのは理解できませんね。 先日パリのFRANCIS BAR…

「日本の鶯−−堀口大學聞書き」を読んで

関容子「日本の鶯−−堀口大學聞書き」(岩波現代文庫)を読んだ。詩人堀口大學に関容子がインタビューしてそれをまとめている。雑誌「短歌」に連載したものだという。1980年に角川書店から単行本として出版され、1984年に講談社文庫になった。そして昨年末、…

なびす画廊の「田淵安一 遺作展-1-」は必見

銀座のなびす画廊で「田淵安一 遺作展-1-」が開かれている(3月12日まで)。田淵安一は1921年山口県下関に生まれた。学徒動員で海兵団に入隊し、終戦後東京大学文学部美術史科に入学、同大学院を経て、1951年に金山泰喜、関口俊吾とともにフランスに渡り、…

嵐山光三郎「文士の舌」がおもしろい

嵐山光三郎の「文士の舌」(新潮社)を楽しく読んだ。これは森鴎外から開高健まで24人の文学者を取り上げ、彼らが通った料理屋を取材して紹介している。あわせてその好んだ料理も具体的に示している。嵐山は以前「文人悪食」「文人暴食」という2冊の文学者…

浅田次郎「鉄道員(ぽっぽや)」の読後感

1997年の直木賞は浅田次郎の「鉄道員」と篠田節子の「女たちのジハード」が選ばれた。井上ひさしがその選評を書いている。「井上ひさし全選評」(白水社)より 「鉄道員(ぽっぽや)」には八つの短編が収められているが、うち四つは大傑作であり、のこる四つ…

ギャラリイKの中野友美子展「carpet and tatami-beri」の不思議な展示

東京京橋のギャラリイKの中野友美子展で不思議なインスタレーションが展示されている(3月5日まで)。 床に黒い帯状の長方形が置かれている。作家に材質を問うと、畳縁(たたみべり)に何かを塗って底に鉛の板を貼り付けているという。結界みたいだと言う…

ギャラリーQの遠藤智子展が興味深い

銀座1丁目のギャラリーQで遠藤智子展が開かれている(3月5日まで)。遠藤は1985年神奈川県生まれ、現在多摩美術大学大学院でテキスタイルデザイン研究領域に学んでいる。染色を学んできているのだ。それで作品も染色の技法で作っている。刷毛を使って染料…

女子高生が電車で着替えたり、毛を剃ったりしているそうだ

朝日新聞の「声」欄に2月20日と27日にそれぞれ、「女子高生 電車内で着替えた」と「女子高生、電車内で毛剃った」という投書が載った。 JRの電車内で、あり得ない光景を目撃しました。ほぼ満員の車内に乗り込んできた学校帰りらしい2人の女子高生が、空い…

ツタバウンランの花と満開の福寿草

先週末、勝どきの新島橋の先の倉庫の植え込みでツタバウンランが咲いているのを見た。ゴマノハグサ科の帰化植物だ。原産地は地中海地方、日本へは観賞用として大正時代に導入されたというが、私は35年ほどまえ虎の門の狭い植え込みで初めて見た。銀座でもビ…