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斎藤美奈子が紹介する高齢者差別

斎藤美奈子が高齢者差別について紹介している。(『ちくま』2024年12月号) 高齢者差別の原因は、大きく二つあるように思われる。第一の原因は、個人差が無視され、すべてが年齢で一律に判断される傾向だ。(中略)第二の原因は、生産性を重んじる資本主義社…

ドクツルタケの恐ろしい毒性

長野県でドクツルタケを食べた人が亡くなった。ドクツルタケとドクササコの毒性について、渡辺隆次「きのこの絵本」(ちくま文庫)より引用する。 ■ドクツルタケ 俗に猛毒御三家といわれるテングタケ科のドクツルタケ、シロタマゴテングタケ、タマゴテングタ…

山本文緒『無人島のふたり』を読む

山本文緒『無人島のふたり』(新潮社)を読む。作家である山本文緒が2021年4月膵臓がんと診断され、そのとき既にステージ4bだった。治療法はなく、抗がん剤で進行を遅らせることしか手立てはなかった。抗がん剤治療は地獄だった。山本は医師やカウンセラー…

ブログ休み

白内障の手術を受けました。 ブログはしばらく休みます。

南天子画廊の岡崎乾二郎展を見る

東京京橋の南天子画廊で岡崎乾二郎展「頭のうえを何かが」が開かれた(12月23日まで)。これは出版記念展と題されていて、『頭のうえを何かが』(ナナロク社)という岡崎乾二郎の新刊出版に合わせた個展だった。 画廊に展示されている絵を見て驚いた。ほとん…

コロナ罹病記

先日コロナに罹病した。ガンサバイバーのためか後期高齢者のためか、それともそれらの複合か、コロナが重症化した。39.4度の高熱を発し、食欲もなく水も飲めなくなって、急に筋肉が利かなくなりほとんど自由を失った。室内のトイレまで普通15歩で行かれると…

コロナ罹患

しばらくブログを休みます。

西加奈子『くもをさがす』を読む

西加奈子『くもをさがす』(河出書房新社)を読む。4月30日初版発行で、4日後の5月4日付でもう3刷となっているベストセラーだ。カナダに滞在していた西加奈子が乳がんと診察される。ステージ2Bだった。リンパ節に転移しており、抗がん剤治療を経て両乳…

御徒町の黒焼屋

東京御徒町にイモリなどの黒焼の店がある。以前から黒焼というのはどんな効用があるのか不思議に思っていた。それが最近読んだ鶴見俊輔『日本の地下水』(編集グループSURE)に載っていた。鶴見が『江戸っ子百話』というガリ版雑誌を紹介している。 ……ふだん…

木村敏『異常の構造』を読む

木村敏『異常の構造』(講談社学術文庫)を読む。本書は50年前に講談社現代新書として発行されていたもの。木村は本書で精神分裂病(現在の呼称では「統合失調症」)について分析している。統合失調症を単なる精神障害の病気として扱うのではなく、それが人…

J. D. ゼトゥン『延びすぎた寿命』を読む

J. D. ゼトゥン『延びすぎた寿命』(河出書房新社)を読む。副題が「健康の歴史と未来」。著者はフランスの医学部教授。人間の寿命と疾病の関係を研究している。先史時代から工業化以前まで人間の健康状態は平均してかなり悪かった。その平均寿命は世界の大…

死ぬ前に誰に会いたいか

先日友人二人とzoomで雑談した。その時一人の友人がいよいよ死ぬとなったらぜひ会いに来てくれと言った。私はそんな状態では誰とも会いたくないから来ないでくれ、もし最後の別れをするなら元気なうちに会いに来てくれと言った。 その友人は元気で当分死とは…

阪本良弘『がんと外科医』を読む

阪本良弘『がんと外科医』(岩波新書)を読む。先月読んだ坂井律子『〈いのち〉とがん』(岩波新書)の著者坂井の主治医をして膵がんの手術を担当した外科医の著書だ。阪本は肝胆膵外科の専門医。(肝胆膵とは肝臓・胆管・膵臓の略称)。肝胆膵外科とは何か…

坂井律子『〈いのち〉とがん』を読む

坂井律子『〈いのち〉とがん』(岩波新書)を読む。副題が「患者となって考えたこと」。坂井はNHKのプロデューサーとして活躍していた2016年、突然膵臓がんだと診断される。東大病院の肝胆膵外科に入院する。手術時間8時間、膵臓のがんはすべて取り切ること…

高見順『死の淵より』を読む

高見順『死の淵より』(講談社文芸文庫)を読む。1963年(昭和38年)、高見順は食道がんと診断され、手術を受ける。翌年6月、再度入院し手術を受ける。詩集「死の淵より」を発表する。これによって野間文芸賞受賞。12月入院し手術を受ける。翌1965年3月、ま…

澤宮優『イップス』を読む

澤宮優『イップス』(角川新書)を読む。副題が「難病を乗り越えたアスリートたち」で、プロ野球選手やプロゴルファーなど「突如アスリートを襲い、選手生命を脅かす難病とされてきた“イップス”。長く原因はメンタルにあるとされてきたが、実は脳にあった! …

尿道カテーテルのやり方

今冬病を得て病院への入退院を繰り返した。処方された薬の副作用で頑固な便秘になった。それに伴い排尿困難に陥った。お医者さんが、便秘の便が尿道を圧迫しているのだと診断し、尿道カテーテルを使うように看護士さんに指示した。 尿道カテーテルはペニスの…

河野裕子『歌集 蝉声』を読む

河野裕子『歌集 蝉声』(青磁社)を読む。河野は2010年8月12日、乳がんのため64歳で亡くなった。本書は夫の歌人永田和宏とやはり歌人の息子と娘の永田淳、永田紅の3人が没後編集して出版したもの。第1部が雑誌に2009年4月に発表したものから、2010年8月号に…

高橋三千綱『作家がガンになって試みたこと』を再録する、その他

2年前に本書をブログに紹介した。ここにそれを再録する。 ・ 高橋三千綱『作家がガンになって試みたこと』(岩波書店)を読む。高橋が岩波書店のPR誌『図書』に2017年4月号から1年間連載したもの。途中から連載を読み始め、単行本になって通して読んだ。現在…

中川恵一『医者にがんと言われたら最初に読む本』を読む

中川恵一『医者にがんと言われたら最初に読む本』(エクスナレッジ)を読む。著者は東大医学部准教授、放射線治療部門長。放射線治療の専門家だから、特定のがん部門の医者ではない。つまりがん一般についてニュートラルに語れるということだろう。 本書のタ…

ピアニスト、レオン・フライシャーが亡くなった

レオン・フライシャーが亡くなったと朝日新聞に報じられていた(8月4日)。 フライシャーはアメリカのピアニスト、8月2日、92歳で亡くなった。 記事に「30代で筋肉が収縮する難病となり、長年にわたって左手で演奏を続け、指揮、教育に活動の場を広げた」と…

シランさび病

連休の頃は団地の花壇にシラン(紫蘭)の花が満開だった。いまは葉が生い茂っている。その葉の一部に黄色い汚れのようなものが目立っている。何だろう。近づいて見ればシランさび病だった。かなり蔓延している。 さび病菌によって起こるさび病は種々あるが、…

新型コロナウイルスで入院中の渡辺一誠さんの手記

新型コロナウイルス感染で入院中の渡辺一誠さんの手記がすごい。 https://forbesjapan.com/articles/detail/33415 これを読んで本当に外出は控えようという気持ちになった。 入院したら2週間はかかるらしいから。

ジル・ボルト・テイラー『奇跡の脳』を読む

ジル・ボルト・テイラー『奇跡の脳』(新潮文庫)を読む。気鋭の神経解剖学者が37歳で脳卒中で倒れる。発病直後から科学者として自分の症状を見つめ病状の進展から手術、リハビリの経過を追い、脳卒中の影響を患者側から詳しく描いた稀有な書。 ある朝目覚め…

7本指で演奏するピアニスト

朝日新聞のコラム「ひと」欄に「7本指のピアニスト 西川悟平さん(40)」という記事が紹介されていた(8月19日)。渡世の義理を何度も欠いて、指を3本も詰められたのかと思ったら、左手は病気で指が2本しか使えないというものだった。 左手は、親指と人さし…

佐藤正午もアスペルガー症候群?

佐藤正午『書くインタビュー1』(小学館文庫)は、インタビュアー東根ユミが聞き手になって、長期間メールのみで佐藤の小説の書き方について質問回答を続けている。その中に「件名:マンホールの蓋」という佐藤からのメールがある。 (……)コンビニからレジ…

エイズの感染力についての誤解

永井するみ『枯れ蔵』(新潮社)は間違いの多いミステリだった。ほとんどでたらめと言ってもいいほどだった。その中のエイズに関する記述が感染力が強いという誤解を与えるものだった。 冒頭エイズ患者の黒人にレイプされるシーンがなぜかあるが、これを死刑…

朝日新聞の「悩みのるつぼ」から

朝日新聞の身の上相談「悩みのるつぼ」に「気が利かないと言われ続け」ている22歳の男性からの相談が載っている(7月20日)。 今春大学を卒業し、社会人になった22歳の男性です。(中略)/昔から気が利かないと親に言われ続けています。誰も口に出しては言…

グレン・グールドは局所性ジストニアだったのか?

青柳いづみこ『グレン・グールド』(筑摩書房)に、グールドが局所性ジストニアだったかも知れないとの記述が出てくる。 もっとも、グールドの右手の動きが左手より劣っていたかというとそんなことはない。各指は完全に分離・独立しており、中指、薬指、小指…

劇作家サラ・ケインの病気

鴎座フリンジ企画で演じられた『洗い清められ』の作者はイギリス人の劇作家サラ・ケインだ。サラを紹介する芝居のパンフレットより、 サラ・ケイン(Sarah Kane) イギリス人作家。1971年エセックス州生まれ。プリストル大学を首席で卒業後、バーミンガム大…