豪鬼メモ

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ブロンプトンの寄せ集め軽量ツールキット

ブロンプトンでロングライドをするなら途中でパンクやその他の不具合を直せるようにするための備品を持参するべきだが、その最軽量のセットを模索してみた。短いスパナを手作りしたのが個人的に気に入っている。


ブロンプトンでフジイチ(富士山一周)を二度試みたのだが、二度ともパンクで途中撤退に追い込まれた。今までロングライド中にパンクに見舞われる頻度がそれほど高くなかったのでパンク修理セットを持参していなかったのが裏目に出た。タイヤをシュワルベマラソンレーサーからシュワルベワンに変えたのも裏目に出た。
dbmx.net
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パンクの頻度が十分に低ければ、パンクしたら撤退すればいいいやというポリシーでも良かった。しかし、耐パンクベルトが入っていないワンをつけている今はそうではない。パンクは日常茶飯事と思って対策を考えねばならない。といっても対策は単純で、パンク修理キットを持参すればよいだけだ。一般的に、パンク修理キットに含まれる道具は、空気入れとタイヤレバーとパッチとゴム糊と紙やすりと空気入れだ。チューブ自体がダメになった場合の対策としてはスペアチューブを、タイヤ自体がダメになった場合の対策としてはスペアタイヤを持ち運ぶこともある。車輪にクイックリリースを使わないブロンプトンの場合、それらに加えて15mmレンチも必要だ。パンク修理をパッチだけで済ませるなら車輪を外さなくても作業できなくはないのでレンチは不要なのだが、外した方が作業しやすい。そしてチューブやタイヤを交換するには必ず車輪を外す必要があるので、レンチが必要だ。

私としては、スペアタイヤは持ち歩かないことにする。タイヤの寿命が近くなければ、タイヤ自体がダメになる頻度はそんなに高くないし、不慮のサイドカットなどがあれば撤退で止むなしと割り切る。一方で、スペアチューブは持参する。出先でパッチ当ての作業をするのは面倒だし失敗のリスクもあるので、パンクしたらいきなりスペアチューブを使う。そのスペアチューブですらパンクした際にはパッチで頑張る。よって、15mmレンチは必須だ。

空気入れはGORIXのGX-MP66を使う。全長17.5cmで、重さは89.5gだ。私が調べた限り、100psi以上にできる携帯用空気入れの中では最軽量の部類に入る。ロードバイクのツールボトルに入るのでロードバイク用に買ったものだ。最近はUSB充電の電動空気入れも出てきているが、高い。定番かつ最軽量のCYCPLUSで95gなので、それよりは手動の方が軽い。手動だと電源残量を気にせず際限なく使えるのも良い。空気を入れる作業は手動だとかなり大変だが、使うのは出先でパンクした時だけなので、良しとする。

ちなみに、ブロンプトン純正のポンプだと60psiくらいまでしか入れられないが、このGORIXのは仕様上300psiまで行けて、実際に出先で使って100psi程度までは行けることを確認している。ピストン往復250回で60psi、500回で100psiくらいになる。後半になるほど重くなって全域でピストンできなくなってくるので、100psiにするのは相当辛い。小さい空気入れほど必要なピストン回数が増えるので、これ以上小さい空気入れは使いたくないと本気で思う。ところで、空気圧計が内蔵されていないと出先で使う際に適正空気圧にできないと思われるかもしれないが、パンク修理が目的であれば問題ない。パンクしていない方のタイヤと同じくらいの硬さになるまで空気を入れればよいからだ。1週間以上の長旅において自然に抜けた空気を補填する目的ではちょっと使いづらいだろうが、所望の空気圧における乗車時のタイヤの変形具合を覚えておけば大体なんとかなる。乗車1G状態でタイヤがほんのちょっと変形するくらいが望ましい。全く変形しないようだと空気圧が高すぎで、ブヨブヨ感を感じるくらいだと明らかに低すぎる。

タイヤレバーはTONEのCTL3を使う。こいつは3本で39gだ。シュワルベワンなどのケブラービードのタイヤは柔らかいのでタイヤレバーはなくても作業できるのだが、その他のタイヤを使うことも想定していちおう準備しておく。というかロードバイク用のを流用するだけだ。タイヤレバーの定番といえばパナレーサーのやつだが、それは3本で30gなので、若干軽いし、若干小さくできる。ただ、わざわざ買い換えるほどの違いではないので、TONEのをそのまま使う。慣れるとタイヤレバーは2本や1本でも作業できるようになるし、気合を入れれば無くてもタイヤのつけ外しは可能だが、念の為しばらくは3本で運用する。

パッチとゴム糊のセットはREMA TIP TOPを使う。日本製の割には安いからだ。パッチが6枚ついていて、全部同じ形なのが良い。S/M/Lが入っているセットだと、SとLが使いにくいので困る。あと、よくわからん海外メーカーのもやめておいた方がいい。糊が固まっていたり、ゴムが劣化していてちゃんとくっつかずに空気漏れする確率が高い。日本製なら絶対大丈夫というわけではないが、TIP TOPは比較的定番っぽいので大丈夫だろう。箱を除いた中身の合計の重さは実測で9.2gだった。

余談だが、出先でパンク修理する際の失敗の多くは、圧着と乾燥の不足にある。手順の定番は以下の通りだ。1)穴を見つける。2)紙やすりで周辺を削る。3)削った場所にゴム糊を薄く塗ってから乾燥させる。4)パッチを貼る。5)タイヤレバーの平たいところなどでパッチを押さえて圧着させる。6)パッチの表面のビニールをそっと剥がす。私が今までで学んだコツは、2で削る領域をパッチと同じか少し広めにするのと、3で糊を厚くし過ぎないことで乾燥を早めるとともに、ちゃんと乾燥するまで待つのと、5でしっかり満遍なく圧力をかけてゴムの加硫結合を確実に発生させることだ。6でビニールを剥がす際にパッチも一緒に剥がれてしまうようでは、圧着がうまくいっていない。出先での作業なので焦ってしまいがちだが、失敗してやり直すともっと時間がかかるので、休憩と思って慎重にやるべし。

15mmレンチは、TONEの薄型スパナDSTO-15にした。調べた中では、これが最軽量だ。薄型だとボルトをなめるリスクが高まるが、ホイールのボルトの締め付けトルクは30Nmくらいとそんなに大きくなくてもよいので、薄くて短いスパナで十分だ(30Nmは3.05kgfmなので、10cmのスパナなら30.5kgの荷重になる)。この製品は両端とも15mmのスパナなのだが、片方は不要なので、電動ルータで切断して軽量化した。切断前は39.5gだったが、切断後は27.9gになった。


ちなみに、普通に15mmレンチを選ぶと結構重くなる。私が持っている15mmボルト対応の工具を以下に挙げるがどれも重い。持ち運べる重さだが、パンクした時しか使わないのに無駄に100gとか増えるのは何だか釈然としない。





スペアチューブはいつものシュワルベAV4だ。重さは79gである。空気入れがフレンチバルブにも対応しているのでシュワルベSV4でも良いのだが、バルブ自体の頑丈さは米式の方が上なので、AV4にした。手動ポンプで作業すると余計な力がバルブに加わる可能性が高いので、作業中の不手際でチューブをダメにするリスクを減らしたい。また、仏式バルブは上述のGORIXの製品のような接続部を回転させてねじ込む方式の空気入れと相性が悪い。空気を入れ終わった後に接続部を外す際に回すと、仏式バルブの先端の栓のネジが同じ方向に回って緩んだり外れたりするリスクがあるからだ。ただし、出先でポンプを持っていない時に他のサイクリストにポンプを借りたいなら、仏式バルブの方がいいのかもしれない。

パンク修理道具のついでに、ちょっとした調整に必要なアーレンキー(六角レンチ)もつけよう。これもロードバイク用のを流用するが、4mmと5mmに厳選する。4mmレンチは、サドルの調整に使う(純正サドルだと5mmを使う)。ビンディングシューズのビンディングの調整や交換にも使える。米式バルブから空気を抜く際にバルブの真ん中を押すのにも4mmレンチが便利だ。5mmレンチは、チェーンリングの締め付けとブレーキパッドの位置調整に使う。欲を言えば、ディレイラーのプッシャーの調整とブレーキパッドの交換に使う2mmも欲しいし、クランクのコッタレスボルトの締め付けのために8mmも欲しいし、任意の六角ボルトを回すのにモンキーレンチも欲しいのだが、言い出すと切りがない。今まで出先で実際に2回以上使ったことのあるものに限れば、4mmと5mmレンチで十分だ。重さは2本合わせて21.1gだ。小さい六角レンチを得るには、100均とかにある六角レンチセットをバラすと良い。

以上をまとめて、ジップロックSサイズに放り込めば、ブロンプトン用パンク修理&調整キットの完成である。空気入れも入れるならジップロックMサイズにすべきだが、無理に一緒にしても仕方ない。重さは袋込みで合計280.2gだ。これくらいなら、缶ジュース一本よりも軽いわけで、カバンの底に忍ばせておいても負担感はない。

500km以上走る旅の場合、チェーンオイルとキッチン用の使い捨て不織布もキットに加えると良い。チェーンオイルは目薬の容器に移し替えると良い。高さ5cmくらいのこの容器に7割ほどオイルを入れると丁度オイル差し1回分くらいになる。満杯にしないのが大事で、使用前に振って撹拌する余地を残しておくべきだ。数百km走ってチェーンの駆動効率が落ちてきたら、不織布でチェーンを拭いてから、オイルを差して、しばらくしてからまた拭く。欲を言えばチェーンクリーナーを使いたいところだが、それは重いので割愛。オイルを差して拭くだけでも潤滑はできるし汚れもそこそこ取れる。1000km以上走るなら、目薬何本かのオイルを持っていくと良いだろう。

ブロンプトン純正ツールキットみたいにフレームのハンドル側に格納することも検討したが、なんか中途半端になるので止めた。替えチューブと空気入れはフレームに入らないので、工具だけを車体と一体化させても意味がない。純正の空気入れは車体に取り付けられるが、ちとダサい。なので、今回のセットをカバンの底に忍ばせるのがベストプラクティスだと思う。バッグを持たないでロングライドするなら、ハンドルバッグかサドルバッグをつけてそれに入れることになるかな。

このセットはチューブとスパナ以外はロードバイクと共有して使う。私はロードバイクのツールボトルにR250のスリムスーパーロングケースを使っているが、これだと輪行袋とスペアチューブと空気入れとパッチセットを全て収納できて便利だ。Pekoのお手製輪行袋の横型新軽量輪行袋だとギリギリ片面に入れられる。チューブや工具に関してはブロンプトンのセットからの詰め替え作業がちと面倒ではあるが、2分ほどでできる。

まとめ。ブロンプトンのツールキットに関しては、自分で揃えれば、パンク修理キットものが280g程度に抑えられる。ポンプと替えチューブを含んでこの重さなので、それを含まない純正ツールキットが240g程度であることからすると、かなり軽いと言える。値段も5000円程度で揃うし、ロードバイクとも共有できるので、コスパの点でも優れている。

追記:シュワルベワンでまた今日(7/13)もパンクして、今月で3回目だ。さすがにここまで続くと、信頼の置けるタイヤとは言い難い。ロングランはマラソンレーサー、街乗りはワンという使い分けをするつもりでいたが、街乗りの普段使いですらワンの耐パンク性は低すぎる。よって、普段からマラソンレーサーだけで行くことにした。ワンはいつか富士ヒルとかのイベントに参加する際の決戦用タイヤとして使うことにして、物置にしまっておこう。両輪をマラソンレーサーに付け替えて100psiにして走ってみたところ、ワンの「しっとり感」とは違うスパルタンな「がちむち感」があって、妙に懐かしく感じた。やっぱマラソンレーサーも良いな。