豪鬼メモ

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ブロンプトンにシュワルベワンを導入

ブロンプトンで使えるハイエンドなタイヤと名高いシュワルベワンをついに導入した。こいつは明らかに軽くて速い。ついでに、リムテープを廃止してVeloplugsを導入した。これも軽量化に一役買っている。

シュワルベワン導入

渋峠やらチバイチやらミウイチやら、ロングライドをやたらしていたところ、案の定パンクした。パンクくらいなら面倒だがパッチを当てれば良い話なのだが、タイヤをよく見るとサイドウォールに裂け目ができていた。これはもうタイヤを交換するしかない。耐久性に定評のあるシュワルベマランソンレーサーが3000kmも行かずに駄目になるとは珍しい。

サイドウォールが損傷するケースはいくつか考えられる。摩耗とサイドカットだ。サイドウォールの摩耗は、空気圧が低いほど進行しやすい。重力や衝撃でタイヤが撓む度合いが大きくなるからだ。サイドカットに関しては、段差や亀裂などに浅い角度で乗り上げると起こりやすい。今回は両方の複合のような気がする。峠の下り坂での温度上昇で破裂しないように空気圧を低めにしていたのと、舗装状況が良くない田舎の幹線道路を走り回ったのが仇になったのだろう。とはいえ、どちらも自転車旅には避けて通れない事象なので、仕方ないとしか言いようがない。

私は定期的にヤフオクやメルカリを巡回して良さげなタイヤをストックしておくことにしているのだが、特にシュワルベのマラソンレーサーとワンを狙っている。そして、ワンとマラソンレーサーが両方手元にある場合には、ワンは勿体無いからマラソンレーサーの方から投入する。結果としてワンが3つも手元にあるので、ついに使うことにした。

下記の動画によると、マラソンレーサーが265gでワンが180gなので、前後合わせて170gの差になる。タイヤの加速時には移動と回転の両方の運動量を発生させるから、その2倍の340gの運動量が節約できることになる。登坂抵抗は純粋に170g分だけ軽くなる。それよりもっと重要なのは、100W入力での巡航時の転がり抵抗はマラソンレーサーは46Wでワンが36Wだということだ、100Wの入力で12Wも抵抗が違うというのが事実であれば、どんな鈍感野郎でも気づくほどに乗り味が軽くなるはずだ。
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タイヤ装着とVeloplugs

そんな期待を持ちつつ、とりあえず装着作業に入る。その前に、以前導入したシュワルベのポリエステル製リムテープを剥がして、Velocity社のVeloplugs(ベロプラグ)をスポーク穴のカバーとして設置した。頑丈なリムテープにしても数ヶ月でスポーク穴の部分が凹んできて内部破裂の確率が上がっていくので、根本的に頑丈なカバーを使うのは良い考えだ。Veloplugsは400psi(70気圧)まで耐えるらしく、経年劣化もほぼしないので、一度つけてしまえばメンテナンスフリーになる。しかも1個0.2gなので、28穴のリムだと5.6gになり、純正のバンド式のリムテープよりもかなり軽い。シュワルベのリムテープとはほぼ同等だ。なお、Veloplugsはスポーク穴の大きさによって黄色と赤があるのだが、ブロンプトン純正のホイールには黄色が適正らしい。なのに私は赤を買ってしまった。穴がガバガバで落ちやすいので、接着剤をほんのり塗ってくっつけてしまうことにした。



Veloplugsは国内だと店頭で売っている場所はないっぽいが、いくつかの自転車店が通販で扱っている。私はブロンプトンのパーツを検索するとよく出てくるCYCLETECH-IKDで注文した。60個買ったので1320円で、送料はクロネコゆうパケットの385円で済むので、合計1705円。メールで見積もりしてから銀行振り込みすればすぐ送ってくれる。60個注文したのに気を利かせて61個入っていた。ありがたいのだが、そのせいでちょっと混乱した。60個のうちの28*2個を使ったのだから余りは4個になるはずが、タイヤを装着後に5個余っていたのに気づき、つけ忘れがあるのではないかと焦ってまたタイヤを付け直す羽目になってしまった。事前に自分で数えておけば良かったというだけの話だが。

チューブは相変わらずSchwalbeの4AV 16x1.35(349)を使っている。これは細めのチューブなので、Shwalbe Kojak(16x1.25)などの細めのタイヤにも使えるが、16x1-1/3(16x1.33)や16x1.5などの太めのタイヤで使うとゴムが多少伸びた状態で運用することになるために、パンクや内部破裂に強いとは言えない。私が使っているタイヤShwalbe Marathon Racerは16x1-1/3なので、この点はちょいと不安でもある。IRC(井上ゴム)から16x1-3/8(16x1.37)の太めかつ肉厚のチューブも出ているのでそちらにしようかとも思ったが、その分だけ重くなるのでやめた。Veloplugsにすることでスポーク穴の凹みの弱点からは解放されるので、薄めのチューブでも内部破裂の心配は少なくなったと期待している。狭義のパンク(puncture)である外部からの穿孔パンクに関しては、チューブが多少厚くても耐えられないので、チューブを厚くする意味はそんなにないと思っている。

装着作業で気づくのは、ワンのビードはやたら柔らかいので、タイヤレバーなしで脱着できるということだ。つまりロングライドでタイヤレバーを持っていかなくても良くなる。チューブと15mmレンチと空気入れだけでパンクの対応ができるということだ。ビードが柔らかいとタイヤ自体も折り畳んで携帯できるので、スペアを持っていけばサイドカットにも対応できることになる。

ワンを装着して空気を入れてみたところ、特徴的な丸い断面にすぐ気づいた。真ん丸と言っていいくらい、ふっくらしている。これは衝撃がない状態での接地面積を減らして路面抵抗を減らす効果があるのだろう。ただ、しばらく乗っているとトレッドが摩耗してきて峰の部分は扁平になってしまうので、この最善の状態を維持できるのは数百kmくらいという話もある。どちらにせよワンの耐久性はコジャックと同等くらいらしいので、2000kmも走ったらボロボロにはなりそうだ。高い消耗品である。ハイオクのエンジンを回すよりも罪悪感的なものは強いかな。

前後輪とも設置するとこんな感じになる。サイドウォールのタンカラーが格好いい。本来は黒でまとめたい気持ちもあったのだが、中古で買う以上贅沢は言えない。2000kmだけのお楽しみということで、たまには違う色のタイヤを使ってみるのも新鮮で良いかと思う。

試乗と乗り心地

肝心の走りこごちだが、巷の評判に違わず、誰でも気づく程度に良くなる。12Wの違いがあるかどうかはわからないが、とにかく漕ぎ出しが軽く、スピードに乗った後の伸びもよい。ところで、私が幹線道路を走る場合には、白線の塗装部分の上にタイヤを乗せて走ることが多い。そうすると若干だが路面抵抗が減って楽に走れる。それと似たような効果が、ワンを装着すると得られる。小さい凹凸ならばタイヤが吸収してくれるので、まるでツルツルの塗装部分の上を走っているような感じになる。そしてワンでツルツルな塗装部分の上を走っている時は、まるで700cのロードバイクのタイヤに乗っているような滑らかさを感じるようになる。別の例えをするなら、オーディオやデジカメのデータにローパスフィルタをかけたように、高周波成分を取り去ってくれる。段差などで生まれる低周波の振動は除去できないが、アスファルトの粒の間の隙間くらいの凹凸であれば、それがあたかも存在しなかったように振動を消してくれて、滑らかな乗車感覚になる。もちろん、軽量化されていることで加速性能も良くなっている。これは、良いものだ。

ワンの適正空気圧は65psiから100psiということだが、私は90psiくらいで運用することにした。摩耗を低減するには空気圧が高い方が良いが、そうすると内部破裂が怖い。しかしVeloplugsのおかげで内部破裂がしにくくなると仮定すると、上限付近にしても良さそうだ。とはいえモチモチの乗り心地を堪能するには100psiでは勿体無い気がするので、間をとって90psiにした。

走行性能は申し分ないが、耐久性は低いと評判なのがワンである。定価9818円、両輪で2万円弱もするお大尽なタイヤを履いていると、できるだけ不整地や悪路には行かないようにしとかせこいことを考えてしまう自分がいる。コスパを考えるとロングライダーにとっては決して良いとは言えない。とはいえ、ハイエンドタイヤの乗り心地を実際に堪能できるのは貴重な体験だ。早晩に摩耗してしまうだろうし、次にいつ使うチャンスがあるかはわからないが。この心地よさを存分に味わおうと思った。なお、最近だとシュワルベワンよりも高いシュワルベアルモーションというのが出ていて、転がり抵抗が低い割に耐摩耗性と耐パンク性がシュワルベマラソン並みにあるとのことだ。しかし、そいつは一本で税込11000円もする。

私がタイヤのサイドウォールの摩耗を引き起こしてしまう原因として思い当たるのは、街で見かける以下のような歩道への段差を乗り越える際に、浅い角度で侵入しがちなことだ。幹線道路を走っている際に大回りして角度を稼ぐことは危険なのでできない。よって、浅い角度で乗り越えるしかない。転倒したくはないので前輪だけジャンプさせて段差の上に乗るのだが、後輪を持ち上げる余裕がないことが多いので、後輪は浅い角度で段差に接して、ドリフト気味にサイドウォールを擦りながら段差を乗り越えることになる。結果として後輪のサイドウォールが摩耗して、限界を越えるとサイドカットが発生してしまう。ワンのような高いタイヤを履いている間は、サイドウォールの摩耗で寿命が早まるのはもったいない。よって、たとえ渋滞していても、段差を超えて歩道乗り上げをするのは控えよう。

ロングライドでの教訓

ロングライドでの使用感を試すべく。フジイチ(富士山一周)に乗り出した。自走して御殿場まで行って1泊してから、富士五湖を巡りつつ富士山を一周して帰ってくる計画だ。当初の計画ではフジイチとイズイチを同時にやる長旅の予定だったので寝袋やらも持って荷物がめっちゃ重くなっていた。それでも重さを感じさせないような走りができるあたり、ワンの乗り心地はとても良いと言える。路面のひび割れなどに起因する手や尻にくる衝撃をかなり和らげてくれるので、その点ではロングライドに有利だと思った。実際、初日に御殿場に着いた時に疲れが思ったほどではなかったので、ワンいいなと思った。

問題はここからだ。御殿場から山中湖に向かう途中で道を間違えて、ふじあざみラインの激坂を登っていた。12%の急坂がずっと続く鬼のようなコースなのだが、10kmほど登ったところで流石におかしいと気づいて、折り返して2kmほど下った時のことである。「パキン」と金属音にも似た高音の破裂音がしたと思ったら、後輪がパンクしていた。



調べてみると、タイヤのサイドウォールが擦り切れていた(写真は家で撮影)。いわゆるサイドカットなのだが、鋭利な傷口ではなく、なんか擦り切れたような感じだ。パンクが発生した時には道の端でも段差でもなく、特に障害物のない場所を走っていたので、その場所で一撃で切れたとは考えづらい。下り坂のブレーキの摩擦熱で膨張した空気圧に耐えられなくなってバーストしたのだろう。

私はパンク修理キットを持ち歩かない主義なので、パンクしたら最寄りの自転車屋まで輪行して対処しようと思っていたのだが、サイドカットの場合はパンク修理キットでは対処できない。スペアチューブを入れたとしてもまたすぐに同じ場所でバーストするのでダメだ。工具とスペアチューブとスペアタイヤの全てを持ち歩かなくてはいけない。いずれにせよ、どれも持っていかなかったので、今回は撤退するしかない。旅に失敗はつきものであり、エジソンに倣って、致命的でない失敗は経験値になるのでむしろ得だと思うようにしている私だが、それでも撤退は悔しい気分になる。しかも、ふじあざみラインの真ん中くらいまで来ていたので、酷暑の中、10km以上押し歩きして下山する羽目になった。下りで押し歩きする様は、途中ですれ違うサイクリスト達にも不思議に思われただろう。



つか、たった200kmしか乗っていないのに、サイドウォールの摩耗でバーストするとは不可解だ。ワンの耐摩耗性が低いと言われるにしても、ここまで弱かったらリコールものだろう。と、ここで立ち止まって考えるに、前につけていたマラソンレーサーもサイドウォールの摩耗で引退していた。違う製品で同じ症状が続けて出るということは、悪いのは自転車の方ではなかろうか。で、双方の共通点を探ったところ、両方ともサイドウォールがリムと接する部分が裂けている。つまり、リムと接触する部分に問題があるのではないか。しかし、リムを精査してみても、変形もなければ、バリのようなものもない。歩道への乗り上げも控えていたので関係ないはずだ。そして、最終的に思い当たったのは、ブレーキパッドである。リムだけで取り付けた状態でブレーキパッドパッドをよく見ると、車軸側に寄っていて、タイヤ側に飛び出している。多分、こいつが犯人だ。何らかの理由でパッドの位置が変わってしまっていたのだろう。強めにブレーキをかけるとタイヤを強く挟んでサイドウォールを擦ってしまっていたのだと思う。そうだとすれば、どんなタイヤでもサイドウォールは摩耗してしまうだろう。こんなことのせいでタイヤ2本とチューブ2本と旅の途中撤退という大きな代償を払う羽目になったが、この教訓が得られたのは良かったということにしておこう。何でつまづくかなんて事前には分からないものだ。

てことで、ワンのサイドウォールがとりわけ弱いわけじゃないと思う。耐久性に関しては、ちゃんとした設定でしばらく運用してみないとわからない。幸にして3個目のワンが手元にあるので、それをつけて引き続き様子を見よう。今回の旅の顛末については別ブログにも書いた。
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まとめ

ブロンプトンにシュワルベワンを導入したところ、軽い力で高速に走れるようになった。劇的に変わるというわけではないが、確実に体感できる程度に路面抵抗が減って乗り味が良くなる。また、Veloplugsを導入して、メンテナンス性を向上させるとともに、高めの空気圧でも安心して運用できるようにした。ワンの走行性能はとても良いが、ブレーキパッドの整備ミスのせいで駄目にしてしまった。耐久性に関しては引き続き運用してから判断する。