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第108号(2024年12月号)
特集「2025年・広告の出し先」

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Web心理マーケティング入門

心理学を融合することで最適なWebマーケティングを導きだす


 はじめまして。クリエイティブホープの原田と申します。この連載では、心理学の視点からWebマーケティングを活用するための心得を解説していきたいと思います。Web心理マーケティングの重要性について説明していきたいと思います。

心理と行動作られた「何気なさ」

 私たちの「心理」は、実に多くのモノに影響をうけている。そしてその心理(感情から思考)に従って我々は行動を選択し、決定している。

 「私は周りには流されない」とか「自分の選択は自分の意志で行う」という方も数多くおられるだろう。それは大変に素晴らしいことだと思う。しかし、我々は自分の考えで何気なく行動しているようでも、実は社会生活における行動の多くはモノに左右されているのだ。

「何気ないルート」は計算され、作られている
「何気ないルート」は計算され、作られている

 例えば、スーパーや百貨店などを訪れた際、我々は何気なく商品を見て歩くことがある。確かに店員や第三者に促されてではなく、自分の何気ない意志で商品を見ながら店内を巡回している。しかし実際の所はどうであろうか? 何気なく、特別に意識することなく巡回しているそのルートは、実際は店舗側が周到に計算した設計に沿って歩を進めているのである。

 それは我々が意識的に分かるような形ではなく、実に巧妙に計算されている。例えば棚と棚の間隔が少しだけ広く作られているケースや、進ませたい方向に視野を広く開ける…などの工夫を積み重ねている。つまり、人間の心理を巧みに突いたマーケティング戦略によって、いわゆる「何気なく」は形成されているのだ。そして、店舗にある商品にもマーケティング戦略が組み込まれているのは言うまでもない。心理学を応用したマーケティング手法は数多くあるが、有名な理論の1つとしてザイオンスの法則と呼ばれるものがある。

「ザイオンスの法則」と「クチコミ」

 ザイオンスの法則を簡単に説明するならば「ある対象の認知度が上がれば、その対象の好感度は上がる」といった効果のことを指す。一般的に、人は情報に3回接する事によって、その対象を認知し、7回接する事によって、商品を手に取り、購買に結び付くといわれている。これがセブンヒッツ理論である。勿論、なんでもかんでもただ露出すれば良いというものではない。時と場所を考えなければ、逆効果にもなりえる事を追記しておこう。

接触回数と好感度の相関関係
接触回数と好感度の相関関係

 我々は、意識的にせよ、無意識的にせよ、物・人・空間・色・形・情報…その他多くのモノに影響を受け、その行動を決定している。例えば、元来本質的なPRであり、流行の「クチコミ」マーケティングなどは、まさに自分以外の他者によって影響を与えられた最たるモノであろう。現在、多くの調査会社のデータによると、商品の購買において何を参考にしたかとの設問に対し、6割から7割の購買者が「クチコミ」と回答しているのである。

 購買のモチベートの1つにクチコミという存在がある。なんとWeb向きな流れであろうか。リアルの空間では、クチコミというのは、測れない事もないが測りづらい。しかしWebの世界では、計測が可能である。ご存知の読者も多いだろうが、アメリカでは数年前から、このクチコミ・UGCを重視する潮流(またはムーヴメント?)が起こっている。いわゆる「エンゲージメント」の提唱である。エンゲージメントとは従来のリーチ×フリクエンシー=GRP重視の広告ではなく、「いかに情報を受け取ったユーザーを巻き込むのか」というユーザーとの「絆」を重視する広告指標である。

 現在の所、エンゲージメントは広告指標として、まだまだとても完成したといえるものではないが、今後はGRPと共に二本柱で広告の価値を計っていく事になるだろう。なぜなら、どちらも本質を内包する指標だからである。このクチコミにおける有用性を心理学的ワードで表すならば、「代理強化」が相応しい。

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この記事の著者

原田 学史(ハラダ タカフミ)

株式会社クリエイティブホープ 取締役CMO Webコンサルタント
中央大学卒業 1976年生まれ 神奈川県出身
大学在学中に起業し、1996年より海外からアパレル・雑貨を中心とした商材を仕入れ、国内でネット通販事業を開始。大学卒業後、現GMOインターネットに入社。現在に至るまで一貫してWeb業界に籍を置き、クラ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2008/11/19 14:25 https://markezine.jp/article/detail/5892
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