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第108号(2024年12月号)
特集「2025年・広告の出し先」

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MarkeZine BOOKS(マーケジン・ブックス)は、激動の時代を生き抜くビジネスパーソンに向けた、マーケティング分野の新しい定番書シリーズです。

書評

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特集:TikTok×マーケティングの最前線

“TikTok売れ”の実態とポテンシャル。狙って起こすために必要なことは?

 “TikTok売れ”の言葉に代表されるように、TikTokのマーケティングツールとしての側面に注目が集まっている。しかし現場のマーケターに話を聞くと「うまく使いこなせていない」という声が聞こえてくることも。このギャップはなぜ生まれているのだろうか。TikTokも含めたマーケティングの企画・支援を行う3人に、その実情をうかがった。

※本記事は、2022年7月25日刊行の定期誌『MarkeZine』79号に掲載したものです。

TikTokは“売れ”のきっかけを作るツール

──“TikTok売れ”に注目が集まっていますが、最前線で活動されている皆さんはどのような実感をお持ちですか?

森:“TikTok売れ”は、TikTokに投稿すればただちに売れるという意味ではありません。TikTokの強みは他のプラットフォームに比べてフォロワーがいなくてもバズりやすいという点で、私は認知を取りにいくツールと捉えています。

 たとえば弊社が過去に手掛けた事例では、アカウント開設直後に投稿した動画の再生数が、20万回に達したことがありました。フォロワーがほとんどいない段階にもかかわらず、です。こうしたバズを起こせるのは、TikTokのアルゴリズムが新規ユーザーからのリアクションを重視する仕組みだからだと思います。“フォロワー至上主義”と言われることもあるInstagramとは、真逆の特徴をもっています。

 一方、コンバージョンレートの観点からお話しすると、同じ再生数であればTikTokよりもInstagramやYouTubeといったプラットフォームのほうが、パフォーマンスが高いケースが多いです。これは視聴態度の違いによるもので、Instagramのリールでは主にフォローしているアカウントのものが再生されるため、ユーザーの集中度合いが高く、TikTokは流し見するユーザーが多い傾向があります。

Pien株式会社 代表取締役CEO/株式会社VAZ founder 森泰輝(もり・たいき)氏 アジアを代表する30歳以下のリーダー「Forbes Asia Under30」Media,Marketing&Advertising部門選出。2015年にVAZを創業、ヒカル、ラファエル、スカイピースなど数百万登録数を誇るトップYouTuberを輩出し国内最大級のYouTuber事務所に成長させる。現在はPienを創業し専門家インフルエンサー領域のD2C事業と大手企業向けのSNSのアドバイザリー事業を軸にしている。自著に『「ダメな自分」でも武器になる』(扶桑社)。
Pien株式会社 代表取締役CEO/株式会社VAZ founder 森泰輝(もり・たいき)氏
アジアを代表する30歳以下のリーダー「Forbes Asia Under30」Media,Marketing&Advertising部門選出。2015年にVAZを創業、ヒカル、ラファエル、スカイピースなど数百万登録数を誇るトップYouTuberを輩出し国内最大級のYouTuber事務所に成長させる。現在はPienを創業し専門家インフルエンサー領域のD2C事業と大手企業向けのSNSのアドバイザリー事業を軸にしている。自著に『「ダメな自分」でも武器になる』(扶桑社)。

今瀧:今のお話の通り、潜在顧客にアプローチするとき、TikTokは強い味方になります。TikTokで商品を認知したことをきっかけに、様々なプラットフォームに書かれているレビューを見に行き、購入に至るというジャーニーが典型的です。TikTokは確かに売れの“きっかけ”としての役割を果たしていますが、他のプラットフォームとの掛け合わせが重要で、TikTokのみで完結しているケースは本当にわずかです。

僕と私と株式会社 代表取締役 今瀧 健登(いまたき・けんと)氏 僕と私と株式会社代表取締役/一般社団法人 Z世代代表/Z世代の企画屋。1997年生まれ。Z世代へのマーケティング・企画UXを専門とし、ネイルサロン「KANGOL NAIL」、食べられるお茶「咲茶」などを企画するヒットメーカー。Z世代代表として多数のメディアに出演し、
僕と私と株式会社 代表取締役 今瀧 健登(いまたき・けんと)氏
僕と私と株式会社代表取締役/一般社団法人 Z世代代表/Z世代の企画屋。1997年生まれ。Z世代へのマーケティング・企画UXを専門とし、ネイルサロン「KANGOL NAIL」、食べられるお茶「咲茶」などを企画するヒットメーカー。Z世代代表として多数のメディアに出演し、"サウナ採用"などのユニークな働き方を提案するZ世代経営者。

田中:認知と獲得を同じ動画で達成できると考えている方も多いのですが、ここにも誤解があるのではないかと思います。TikTokのアルゴリズムではコンバージョンを重視してしまうと再生数が伸びなくなってしまい、バズが起こりにくくなります。

 そのため、TikTokでは商品のベネフィットを動画フォーマットを活かす形で表現し、認知を獲得するために活用する。その上でTikTokの外にCVのための導線を用意していく、というのが現時点での最適解です。森さんも、TikTokのフィードでバズらせたあと、ファン向けに作ったLINE公式アカウントやInstagramアカウントに誘導し、ユーザーの熱量を高めながら、コンバージョンにつなげていますよね。

株式会社HADO 代表 田中大雅(たなか・たいが)氏 97年生のZ世代企業家。慶応SFC在学中に“22世紀に残るマーケティングのスタンダードを作る”というミッションのもと、HADOを設立。感情の導線を描く広告クリエイティブの制作を強みとし、主にD2CブランドのTikTokマーケティング支援を行う。業界最大手スキンケアD2Cブランドの2021年度の販売実績において1位を取るなど、短尺動画広告の可能性を開拓している。
株式会社HADO 代表 田中大雅(たなか・たいが)氏
97年生のZ世代企業家。慶応SFC在学中に“22世紀に残るマーケティングのスタンダードを作る”というミッションのもと、HADOを設立。感情の導線を描く広告クリエイティブの制作を強みとし、主にD2CブランドのTikTokマーケティング支援を行う。業界最大手スキンケアD2Cブランドの2021年度の販売実績において1位を取るなど、短尺動画広告の可能性を開拓している。

森:はい。TikTokを観て興味を持ち検索してくれたユーザーに向けて、先回りしてInstagramなどでUGCを作っておくことも大切です。TikTokはまだまだ検索文化が弱いので、他のプラットフォームにも受け皿を用意するようにしています。

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この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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