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日常って、微妙な差異こそ大事かなと思います。


by KATEK
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映画『マラソン』

DVDで映画『マラソン』をみた。

韓国の自閉症の少年が主人公。
忍耐力をつけさせるために,母親は息子にマラソンをやらせてきた。
10キロマラソンでは3位をとれるようになっていた。
次の目標をフルマラソンにおいたことから,話が展開していく。

母親の息子に対する愛の形が問われていく。
ジャージャー麺やチョコレートパイや,あるいは母親のほめことばをご褒美に
長いこと走ってきた息子。

さらに走らせるために,息子の学校に偶然来ていた元マラソン選手に,
指導をお願いする。
元マラソン選手は,酒酔い運転の罰として,何時間かその学校で生徒の指導を
しなければならなくなっていたきていただけだった。
無気力になっていた彼。
最初,彼はマラソンを教えることにまったく乗る気ではなく,単に時間消化の
ために引き受け,主人公の子とは向き合わなかった。

でも,無心に走りたがる主人公の姿,話が通じ合わないからこそ感じる何かに
だんだんひかれ始めた彼は,長い時間をかけた末,やっと主人公の子と
一緒に走る決心をする。

いっぽう,母親は,
そこまで育てる間に,家族を半ば失いかけていた。
父親は長いこと家に帰らないようになり,次男(健常者)は,「僕のいうことは,
今まで一度だって聴いてくれたとこがなかった」とつきつける。
そして,あることをきっかけに,自分が息子を走らせてきたことに,後悔の念を
抱き始める。自分のしてきたことがわからなくなってくる。

母親の自閉症の息子にかける愛と,元マラソン選手の主人公に向かい合い始める
までの過程が,ぐぐっと迫ってくる映画だった。

愛なんて簡単に言葉を使ってしまうが,そんなに事は簡単じゃない。
息子を捨てたくなる気持ち,お菓子で釣りながら山歩きを続けさせるほど
息子の「教育」にいれあげる気持ち,息子が死ぬまでいき続けなくてはという
必死の思い。

わたしだって,気が長いほうじゃないから,生徒との付き合いにうんざりして
もういやだって投げ出したくなることはしょっちゅうだった。
でもそれだって,たった数時間のこと。一生付き合うわけじゃない。
一生の人間関係を考えたとき,私があの母親だったらどうするか・・・

たぶん,がんを宣告されてからどう生きるかってことにもつながるものだって
気がしている。

自閉症の「烙印」を押された主人公自身のこと。
自閉症だからといって,それが彼にとってどういうものなのかは,
本当のところ,周りの人にはわからないのかもしれない。
それを,こういきさせるべきだと決めてかかることの是非。

いまのところ「部外者」のわたしには,責任をもって語ることは何一つできない
そんな気がするけれど,
ともかく映画の終わり方は,気持ちよかった。
みんなの生き方が,解放に向かった様子だったから。

あっという間の2時間。
またみながら涙が出てしまった。

考えると難しくなるけれど,今日は感動だけもらっておこう。
by KATEK | 2006-04-23 21:58