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人体の進化は今も続いている。前腕に3本目の動脈を持つ人が増えている

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「唯一、生き残るのは変化できるものである」これは進化論の父チャールズ・ダーウィンのセリフだ。だから喜ぼう。私たち人類は今この瞬間も変化している。

 『Journal of Anatomy』(20年9月10日付)に掲載された研究によると、前腕に動脈が3本ある人が増えているという。この事実は、私たちがまだ独自の進化を遂げていることを示す証拠と考えられるそうだ。

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胎児だけが持っていた正中動脈を持つ大人が増えている

 母親のお腹の中にいる胎児の前腕には、大人にはない動脈が存在する。それが「正中動脈」だ。

 ところがお腹の中で成長するにつれて、「橈骨(とうこつ)動脈」と「尺骨(しゃっこつ)動脈」が発達し、やがて正中動脈にとって代わる。だからほとんどの大人の動脈は2本で、正中動脈がない。

 ところがオーストラリア、フリンダース大学のテガン・ルーカス博士らが、解剖学の文献の調査とあわせて、研究用に提供された献体を解剖して調べてみたところ、現在ではオーストラリア人の3分の1が正中動脈を持っていることが明らかになったのだという。

 そうした人たちは通常ある2本の動脈にくわえて正中動脈まであるために、前腕に3本の動脈が走っているということになる。

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credit:Prof. Dr. Hab. Maciej Henneberg, University of Zurich

2100年までにほぼ全員が3本の動脈を持つ可能性

 ルーカス博士によると、1880年半ば生まれの人で正中動脈を持っていたのは、およそ10%程度だった。だが20世紀後半に生まれた人たちでは、30%ほどに増えていたのだ。現在24歳以下の人の約3人に1人が正中動脈を持っていることになる。

 さらに現在のペースが続くのならば、2100年までにほとんどの人たちの前腕に3本の動脈が走っているようになると考えられるという。

 比較的短期間のうちに大幅に増加しており、このことから現代人が過去250年間のどの時点よりも、速く進化していることがうかがえるそうだ。

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photo by Pixabay

なぜ動脈の数に変化が起きているのか?

 その原因としては、正中動脈の発達をうながす遺伝子の変異や妊娠している母親の健康といったことが考えられるとのことだ。

 また、ただ興味深いだけでなく、正中動脈を他の部位に移植できるなど、実用的なメリットもあるそうだ。

人体の変化は他にも

 ちなみに人体の中で変化しているのは腕の動脈だけではない。

 親知らずがない人の増加、足の骨の2か所以上で見られる異常な結合の増加、潜在性二分脊椎(胎児の背骨の一部がうまく形成されず、脊髄が漏れてしまう病気)の増加、最下甲状腺動脈(大動脈弓から枝分かれした血管)の消滅、種子骨(膝関節の後ろ側にある骨)の消滅など、私たちの体は知らず知らずのうちに変化しているようだ。

 人間はもともと尻尾を持っていて、それが退化したと言われているが、将来的に復活することもあるのだろうか?ちょっと尻尾が欲しいので期待しちゃったりもするのだが、私の世代ではまだ無理かな。

References:Forearm artery reveals human evolution continues – News / More And More Humans Are Growing an Extra Artery, Showing We’re Still Evolving / written by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント 66件

コメントを書く

  1. ボク、親知らずが普通に生えちゃった、4本全部。
    痛くも痒くもない。

    「お前は原始人かー!」ってなってる。

    1. ※1
      オレも―w
      ちなみに妻は歯列矯正のために上下合わせて 4 本抜いてるからオレよりも 8 本も歯が少なくて、オレの口の中を見ると「歯がいっぱい」って笑い転げる。く、悔しくなんかないんだからねw

      しかし動脈が増えたほうが良い生活習慣とか何かありそうなもんだけど、原因はないのかな。人種とか住んでいる地方とかいろいろ分析の広がりを期待したい

    2. ※1
      ちゃんと堅いものを食べて顎が成長しているから健康体。
      親知らずがないのなら別にしても、横を向いている親知らずなんて生活環境そのモノに問題があると思うけどな。(笑)

      1. ※14
        親しらずの生える向きなんていろんな要因あるだろ
        生活環境だけだと思ってんの?

        1. ※22
          多分、生活環境が悪くて横向きに生えたって言いたいんじゃなくて、生活の質が悪くなるよねって言いたいんだと思う。

      2. ※14
        日本人は、もともと体質的に、縄文系と弥生系の遺伝の出方で
        顎の広さと歯の大きさがチグハグになると、
        隙間が空いたすきっ歯になったり
        逆に狭いスペースで押されて八重歯や横向きになったりしやすい
        と聞いたことがある。

        1. ※48
          自分は細面で顔はかなり小さい方、顎も小さいのだけど
          親知らずがきれーに真っ直ぐ4本生えてる
          どうやって生えてきたのか不思議だ

        2. ※48
          縄文人は歯が小さく、弥生人は歯が大きいんだよね。
          江戸時代にはうりざね顔が流行して、
          特に将軍家はどんどん正妻の顔が細長くなって歯の病気に苦しんだ。

  2. 盲腸(虫垂)や耳を動かす筋肉、手首に走っている筋なんかも進化(退化)してるよね(痕跡器官というらしい)

    特に腕の筋は2本あるらしいけど、片方を除去しても全く問題がないらしい(ので、移植手術によく使われるとのこと)

    人類だって生物であるし、しかもたった数百年で劇的に環境が変わった以上、これからも様々な変化が起きて当然だよね

    1. ※2
      俺は耳を動かせるぞーい。
      しかも、生まれつき動かせた訳じゃなく
      知人に動かせる人がいて、いいなぁ~と思い
      中学生のころ練習してたら、2年ほどで動くようになった。

      経験から言って、これ、痕跡器官じゃなく
      本気で練習すれば 今でも多くの人は
      動かせるようになるんじゃないかと思う。
      「利き手の反対で箸を使える人(キレイに魚をむしれるレベル)」
      という人は少ないけど(特に右利きでは稀)、
      そういう機能が備わってないのかといえば、利き手の負傷などで
      切羽詰まって必要に迫られれば、たちまち上達するようなもんで。

  3. そのうち猫耳でも生えて来るのか
    見たいような見たくないような

    1. ※4
      それが必要な人にはきっと生えてくるさ!
      おっさんでもな!

    1. ※5
      自分も親知らずはないです。これって進化というより,もともと親知らずの生えないヒトがいるのかもしれません。というのも,元からヒトだったヒトと,おサルからヒトになったヒトがいるって話をどこかで聞いたことがあって,それは歯の生え方で類推される云々。今のヒトは混血を繰り返して,たまに先祖帰りで親知らずが生えないとか。そいうえば,ホクロから毛が生えてるのは,おサルさんの黒っぽい肌と体毛が部分的に先祖帰りしてるしてるからだそうですが。いやホントかどうかわかりませんよ。与太話レベルの長文失礼しました。

      1. >>28
        元からヒトだったヒトと猿からヒトになったヒト……??
        類人猿との共通祖先からいろんなヒト属が生まれて、少し混血もしながら最後に残ったのがホモサピエンスだよ

  4. 「私の世代では」というか、自身が変化するわけじゃないですよ。

  5. 親だったかばあちゃんだったかが尻尾ある人見た事あるって言ってたな

      1. ※16
        尾骨が尻尾のように少し出っ張っている人はまれにいる。ただ、殆どの場合は極短いものなで服を着てるとわからない程度(過去の記録では6~10センチの完全な尻尾状になってた人もいたとか)。この出っ張りは中に骨が入ってるからぶつけると、とても痛いらしい。

  6. 多分、特に有利でも不利でもない中立的な変異が広まってるだけじゃないかなぁ。

    1. ※9

      俺もそう思う。
      そもそも進化って、そうした中立的な変異がまず1家系の中で生まれてから子孫を増やしていって変異が定着するプロセスを踏み、その中で生存に不利な変異が死滅して環境に適応した変異が残存するというのが定説のはず。親知らずの件もそうだけど、血縁関係のない多くの個体が同時多発的に変異して定着するというのは考えにくいし、ましてやそれが生存に有利・不利だったりするというのもまず無い。

  7. その進化を遂げるということは、その環境により適しているから残っていったってことだろ?
    3本あることで何のメリットが?
    もしかするとメリットにより残ったのではなく近年の環境の変化(温暖化とか化学物質の摂取とかそんな感じの原因)により、体が何らかの異常を起こして本来体から消えるものが消えないという可能性もあると思うのだけど。

    1. ※10
      >その環境により適しているから残っていったってことだろ?

      不利でなければ、たまたま生き残って増えることもあるんですよ。
      それが※9の言う「中立な突然変異」。
      「遺伝的浮動」とか、知らない人多いので、興味があったら調べてみるといいですよ。

      1. ※32
        でもそれだと人口増加で数は増えこそすれ、例えそれが優性だったとしてもたった3・4世代で30%まで増えるか?という疑問がある。
        もしかすると遺伝子の変化じゃなく、「空気が汚れると鼻毛が伸びる」みたいな体に元々ある機能が環境変化に反応してるだけなのかもしれないけど。

        1. ※39
          自分も咄嗟に、
          「20世紀後半からって、全身を動かす第一次産業より
          デスクワークで書類を筆記したりキーボードを叩いたり
          手先に仕事量が集中する人類が増えていって、
          血流量を確保するために太いまま残ったんでは?」
          とか思った。

        2. ※39
          確かにそれが真実に近いような気がする。
          人間が観測した進化の例としてオオシモフリエダシャクという蛾の話がある。それは産業革命前までは木の樹皮色に近い白い蛾の方が多かったのが、産業革命後に木の表面へ煤煙で黒く汚れるようになると黒い蛾の方が多くなった。
          つまりこれが環境によって個体群の生残や淘汰があったから生物が進化したという代表例だ。
          それに対して腕の中の動脈が二本になったり三本になったりしたら子孫が残せなくなったとか生き残りやすくなったとか、そういう適者生存・淘汰が無いのであれば、それは進化とは言えず体質の変化でしかないと思う。
          逆に、例えば乳製品を摂取しても腹を壊しにくいとか、海藻を食べても消化できるようになるというのは進化と言えるかもしれない。食品が合わなくて死ぬことは古代や中世では普通にある事だったし、それで食品が合う体質の人間が生き残って子孫を残せば、それは適者生存・淘汰の一典型だからだ。

  8. 人間に尻尾が出来たとしても、モフモフのかわいい尻尾じゃなくて、ハダカデバネズミみたいな肌色の細長い突起になりそうでな…

  9. 素人目線でなんだけど、進化って本来はポケモンのように同一個体で起きるものではなく(あれは正確には変態って言うらしいね)環境に適した個体が繁栄した結果、以前の個体と体の構造が変わってることを言うんだっけ?
    って事はこの記事の「3本目の動脈を持つ人たち」ってのは何かしら現在の環境に適応してるってことかな?母子共に栄養・健康状態が良いことで動脈が増えて有益な時代になってる…って事…?よく分かんないや(投げやり)

  10. これはネオテニーだと思う、それが選抜で残る利点がないもの(進化≒環境圧、適応とはそういうこと)。
    そのうち頭蓋骨が結合しない人とか出てくるだろう、頭蓋による制限が減るから、高度な知能を得られるんだ、ただ打撲に弱いので常時ヘルメットがいるかも(なお早期結合は障害が出ます)。

    脊椎二分はねー堕胎だよ、残念ながら(進化じゃなくて淘汰、品種改良)。
    いま胎児診断が進んでるからこれとかダウン症、あるいは結合とか簡単にわかる。
    その結果だよ、そういう子供は生まれてこない、だから人為的な圧力。
    胎児診断が進んでない、そうだなインド辺りと比較して見ればわかるはず。

  11. 普通にいろんなパターンの人間が生まれてきて
    それが有利に働いて生存競争に勝ち残ったものだけが子孫を残していけるだけ
    奇形だ難病だ障碍者だってのは勝手な判断
    全部戦略的にできてる

    1. ※17
      そう思ったわ
      だからこれは近年の栄養事情が人体に影響を与えたレベルのものだと思った
      前腕の動脈が3本あることで生殖にどれだけ有利なのか分からんが

  12. 大した外的要因もないのに遺伝子の伝播以外でってのがよく分からない

  13. 私も現在進行形で頭頂部の体毛が生えなくなる進化を遂げています

  14. ちなみに、一度失った器官は2度と復活しない。
    例えば鳥は大昔に歯を失ったため、歯のように見える物を持つ種は全て、嘴が変化したもの。
    だから人間は尾っぽは2度と生えず、尾のような役割の器官ができたとしてもそれはお尻の皮膚が変化したものになる。

    1. ※24
      まだしっぽの骨ありますよ。著しく退化してますけど尾骨という名前でね。

      ※27
      増えたり減ったりはないかもですけど、例えばいつも霧が立ち込めてるとか何かの理由で赤外領域のほうが便利になったら人間の目も大型化して赤外方向に感受性が増すかもしれない。あるいは ※19 のいうように猫耳を持つ人間もできるかも……ま、普通は耳たぶが大型化するとか向きを変えやすくするとかになるけどね。でも科学の力はこれらが弱くても強化できる方向に進んでるから、耳たぶは大きい必要がなく耳の穴だけになるかも?目は遠くを見る必要もなく近視が進んで小さい目になるかも?まぁ100年じゃそんなにかわらないと思うけどね。今回の記事を読んだりすると揺らぐわw

  15. 進化ってその生物の突然変異が子孫を残す事でその変異を受け継ぐイメージだったけど、こんなにジワジワ変わってくんだな

  16. 骨や筋の話が多いが、万が一センサー的な器官が増えたり減ったりし始めたら
    同じ人間とは思えなくなりそうで怖い
    猫耳生えて非常に聴力の発達した集団ができたら、生活や文化は相当変わると思うし…

  17. 人間に尻尾が生えるとして、カンガルーみたいに実用的な尻尾なら良いけど、猿の尻尾の無毛バージョンみたいなのを想像するとそれはもう息子スティックなのでは

  18. 蜂や蟻、ミミズやゴキブリ
    昆虫類はなぜ進化が終わって
    完成形態なんだろう。
    サイズ的にも地球に優しい。
    もしかしたら地球に後から
    入ったのは我々、脊椎動物の方か。

  19. リソース(栄養)の節約としてなくなっていったものが栄養が豊富な現代になり
    復活してきたのか

  20. 選択圧にしては速すぎる。
    胎児期の母体の栄養状態とかの問題じゃないの?

  21. 消すコストよりも残したままのほうがリソース割かなくていいんだろう
    退化してるのに残ったままの部分は消すのにコストがかかるわりに
    あってもべつに生きるのに不便ないからだし

  22. 血管は組織の酸素不足に反応して成長するから母体の健康状態が悪かったかなんかで胎児が低酸素状態になり本来退化するべき血管が使われ続ける羽目になった可能性

  23. 変化するにしても早すぎませんかね。
    昔のデータが不正確という可能性を疑いたくもあります。

  24. その正中動脈があると、どんなメリットがあるのかを知りたいのですが。

  25. 血管増えるのもいいけど、採血してもらいやすい血管にならないかなぁ
    両腕試されるのって、地味につらいよね

  26. なんか、ググってみると
    国によって差異はあるけど人種によって差は出ないみたいなデータのある論文もあるから、
    これ胎児の時の母体の食生活とかによるものなのかもな。

  27. 本来「胎内での不十分な発達」は生存上で不利に働くはずだが、人類は医療をはじめとした科学技術を発達させたため不利にならなかった。

    こうした傾向は近代以降に特に顕著となったために正中動脈が残る個体が増えた、ってのはどう?

    つまり自然淘汰の結果じゃなくて、科学技術の成果。

  28. 尻尾や副乳がある人はたまにいるよね。

    親の高齢化(男女ともに子どもをつくる年齢が上がっている)とか、昔なら助からなかった軽度の奇形の赤ちゃんが助かるようになったとかも関係してるのかな。

  29. 動脈が多いということは、手への酸素供給がより高効率で可能だということで、
    つまり、手の運動性能が決め手になるたぐいのスポーツは、オーストラリア人が強いっつうことなのかね。

  30. ほんとはさ、トラ猫とかお馬さんとか狐とか柴犬とかの素敵なお尻尾が良いけど絶対無理だよね…

    いずれにせよ毛が生えるかどうかはとても気になる所。毛があるなら刈り込んだり、色を変えたり、アクセサリー付けたり出来るからね!

    それから長さもとても重要。60cmくらいあると色々お役立ちっぽい気がするし、でも10cm未満のしっぽも役には立たないけどそれはそれで可愛い。
    色々悩ましいねー。

  31. 今の人間にしっぽが生えても、毛の生えてないネズミのしっぽみたいになるだけじゃないか

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