太田純さんの日本語Rogueオリジナル版をやりたい

 Rogueというゲームを知ってるだろうか。1980年にBSD UNIX上で開発された最初期のコンピューターロールプレイングゲームである。cursesというテキスト画面制御ライブラリを使い、主人公の移動がHJKLキーで左、下、上、右、viテキストエディタと同じである。なのでこれはviの練習用とか言われてた。どうももっと単純な話で、当時のコンピューターを操作する端末にはカーソルキーがなく、HJKLのキーに上下左右の矢印がプリントされてたので、エディタのカーソル移動もRogueの上下左右移動もHJKLを使ったらしいのだが………

 

 このゲームはダンジョン探索RPGであり、ゲームを始めるたびに乱数でダンジョンを生成していた。のちの「不思議なダンジョン」シリーズはRogueをゲーム機用にリファインしたものだ。

 

 で、Rogueのオリジナル版はBSD UNIXと一緒に配布された。そのせいで初期に普及したBSD UNIXにはこのゲームがもれなくついてきた。DECのVAX11で動いていた初期のパソコン通信ホストであるASCII NETではユーザーがこのRogueを遊ぶことができた。ただしメッセージが完全に英語だったので、本当に楽しく遊べた人はそれほど多くなかったと思うが。僕も1980年代当時、これを遊んですぐ死んで「なんだこれは」と思った物である。

 

 さて、このRogue、ソースコードは非公開だった。作者達はIBM-PCなどのパソコン用にRogueを移植して商売をはじめた。一方、ソースをもらえなかったBSDはOSの改良をするうちRogueの配布をしなくなる。でもBSDユーザーはRogueの魅力にはまってたので、そのうちフリーでRogueを実装しようという人が現れる。ソースがないのでゲームの動作を見て一から再実装されたのがRogue Clone。このバージョンアップ版 Rogue Clone II のメッセージを日本語化したのがリコーの太田純さんだ。太田さんのMS-DOS版「日本語ローグ・クローン2」がパソコン通信を通じて大ヒット。これはエスケープシーケンスを使用した着色もなされていた。壁がシアンなのが特徴である。

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MS-DOS版は64ビットWindowsで動かないので、Win32版。

 

ちなみに僕はMacOS Xにこの日本語版を移植したことがある。

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PPC Carbon版だけど、Intel向けにコンパイルすればいまでも動くんだろうか………

いろいろあって手元にソースもバイナリも残ってないのだけど、今でもインターネットアーカイブからダウンロードできるっぽい

https://web.archive.org/web/20071211063524/http://www.juangotoh.com/node/86

 

 さて、いつだったかこの日本語Rogueが、あくまでRogue Cloneの日本語版であり、ASCII NETで遊べたオリジナルRogueではないという話が出たことがある。オリジナル版とクローンではいろいろ違いがあり、オリジナル版の方がやたら暗黒の部屋があったり厳しかったとかいう話も出てたと思う。場所はNIFTYだったかfjだったか。太田さん本人が「オリジナルRogueのソースがあったら日本語化したい。ずっと探してるんですけどねえ」みたいな事を語っていたのだ。

 

 その後、海外でオリジナルBSD版Rogueのソースが再発見され、現代のコンパイラでコンパイルできるように修正するなどの活動がなされるようになった。

 

Roguelike Restoration Project - Roguelike Restoration Project

 

これを太田さんが日本語化してくれないかと思っているのだが、いまのところそのような動きはない。

「おや、なんて甘いこけももだ」をもう一度見たいのだが………