パワーストーンのブレスレットはメルカリやヤフオクなどのフリマサイトでよく販売されている。写真のブレスレットはラピスラズリ(写真:Daisuke_Morita/イメージマート)

 最近、おじさんが意外な場所で働く姿を見かける。給料が上がらない、本当に年金もらえるの?AIに仕事を奪われる…!将来の不安から副業をはじめる中高年男性が増えているのだ。おじさんたちはどんな副業をしているのか、どれくらい稼いでいるのか、あるいはまったく稼げていないのか。組織をはみ出し、副業を始める全力おじさんの姿をより深くリポートする。(若月澪子:フリーライター)

拡大するスピリチュアル市場

 不安な時代には、占いなどのスピリチュアルなものが流行しやすいと言われている。今はそんな時代の真っ只中なのだろうか。

 YouTubeやSNS、フリマサイトなどを通じて、占い、ヒーリング、自己啓発セミナーなど、スピリチュアル市場が拡大を続けている。

 スピリチュアル市場とは科学的根拠は薄いが、精神的な「癒やし」を提供するビジネスである。矢野経済研究所によれば、市場規模は2024年には4兆円まで拡大しており、これは化粧品市場の倍にあたるという。

 スピリチュアル市場には、個人も副業で簡単に参入できる。国家資格や品質保証がいらないからだ。こうした参入障壁の低いスピリチュアル・ビジネスの一つに、「パワーストーン販売」がある。

 パワーストーンとは、力やエネルギーが宿るとされる「石」のことで、アメジストやヒスイなど希少な天然石が「パワーストーン」とされている。こうした石の玉で作られた数珠のようなブレスレットを腕に付けている人を見かけることがあるだろう。

 メルカリやヤフオクなどのフリマサイトを覗くと、数多くのパワーストーン・ブレスレットが販売されている。金額は「1円」から、高額なものは「100万円」以上のものまで。商品ページには「金運アップ」「人間関係の浄化」「開運」などなど、石のパワーについて語るフレーズが踊る。
 
「パワーストーン」ブームのピークは、2009~2010年ごろと言われているが、根強い愛好家は今も一定数存在する。天然石は興味のない人から見れば「キレイな石」に過ぎないが、身に付ける人にとっては「邪気を払い、運を呼ぶ石」なのである。