2025年11月2日、全日本大学駅伝、8区を走る國學院大の上原琉翔 写真/SportsPressJP/アフロ
(スポーツライター:酒井 政人)
3区野中が留学生を抑えて区間賞
10月の出雲駅伝に続いて全日本大学駅伝でも“連覇”を目指した國學院大。しかし、序盤で少し出遅れるかたちになった。
1区の尾熊迅斗(2年)がトップと1秒差の3位と上々のスタートを切るも、2区辻原輝(3年)が区間9位と大苦戦。トップに立った中大と31秒差の7位でタスキをつなげた。
それでも当日変更で3区に入った野中恒亨(3年)が出雲駅伝に続いて快走する。今度は留学生を抑えて区間賞を獲得。トップの駒大に1秒差と迫ったが、6区で駒大・伊藤蒼唯(4年)に引き離されて、7区の青木瑠郁(4年)で4位に転落した。
「3区野中で独走して、4区高山豪起(4年)でリードを広げるという戦略でしたが、2区でちょっとした誤算があって、野中で追いつくまでしかいかなかった。4区は中大につかれるかたちになり、5区は駒大・伊藤君にドカンといかれて、リズムを狂わされましたね。野中を7区ではなく、前半区間に置いたのは箱根に向けての戦略(テスト)もあったんですけど、僕の采配の甘さが出たと思います」(前田康弘監督)
それでも最終8区は上原琉翔(4年)が気迫のこもった走りを見せる。1分以上前にいた青学大に迫っていく。そして13km過ぎに追いつき、前に出たのだ。終盤、抜き返されたが、主将の激走が箱根駅伝につながるだろう。
3区で区間賞に輝いた野中は、「自分の目標タイムは33分15秒だったので、4秒速いぐらいです。出雲と違って、狙いにいっての区間賞は良かったと思います。ただ優勝できないと満足できません。この敗北に何を感じて、次にどう生かすのか。今回はたまたま僕が良かっただけで、辻原、瑠郁さん、上原さんはもっとやれると思うので箱根は勝ちにいきたいです」と気合十分だった。
正月決戦に向けては、「山はちゃんと準備をしていますし、気を引き締める、という意味では収穫になったんじゃないでしょうか。ただ2区は誰でいくのか。絶対的な存在の青学大・黒田朝日君がいますから、そこに対抗できないと、うまく流れをつかめません。その辺はもう一度考えます」と前田監督。箱根以外の駅伝では昨年から“無敗”を誇ってきただけに、今回の結果はチームにとって起爆剤になりそうだ。